プレイレポート
「ペーパーマリオ オリガミキング」プレイレポート。オリガミの敵やパズル要素のあるバトル,ユーモアと奥深さのある物語が魅力
紙のように薄い“ペラペラ”のマリオが初登場した「マリオストーリー」からおよそ20年。独自の発展を続けてきた「ペーパーマリオ」シリーズ最新作となる本作は,新機能によるアクションと謎解き,パズル要素のあるバトル,そして奥深い物語が魅力的な,幅広い年齢層が楽しめる作品に仕上がっていた。
「ペーパーマリオ オリガミキング」公式サイト
楽しいだけじゃない,苦みやコクもある物語
“伸び〜る腕”や紙っぺらを使った新アクションも面白い
今回の物語は,マリオとルイージが「オリガミまつり」の招待状を受け取ったところから始まる。お祭りを楽しむため,さっそく兄弟でキノピオタウンに向かうが,街は祭りの準備でキレイに飾られているものの,人っ子,いやキノピオっ子ひとりいない,もぬけの殻。ピーチ城ではピーチ姫が待っていたが,なにやら普段とは違う“パキパキ”した雰囲気だ。一体何があったのか……。
城に仕掛けられたワナにかかり,捕まってしまったマリオは,同じく囚われの身となっていたオリガミの女の子・オリビアと出会い,一緒にピーチ城から脱出することに。その途中,変わり果てた姿(?)で捕まっているクッパと再会。どうやら,ペラペラなこの世界の住人は,パキパキと折られてオリガミ兵にされてしまうようで,クッパは中途半端に折られた状態だったようだ。
この謎めいた事態を引き起こしていたのは,オリビアの兄であるオリー王だった。彼はオリガミの王を名乗り,この世界をオリガミたちの国「オリガミ王国」に作り変えようとしているらしい。
5色の紙テープに絡め取られ,ピーチ姫もろとも運ばれてしまうピーチ城。このままではペラペラな住人たちは,すべてカクカクパキパキのオリガミに変えられてしまう。オリー王の野望を阻むために,マリオとオリビアは5色の紙テープをたどる冒険を始めるのだった。
プレイヤーはマリオを操作し,オリー王とオリガミ兵によって危機に陥った世界を冒険することになる。キノピオたちがオリガミ兵のせいで困っていたり,普段なら使える交通手段が封鎖されていたり,世界を司る力を持つカミガミまでもがオリガミにされていたりと,行く先々でさまざまな問題と直面する。それらを解決しながら,マリオとオリビアの旅が続いていくわけだ。
「ペーパーマリオ」シリーズは,近作ではアドベンチャー要素が強かったが,本作のゲーム展開や物語は“ムービーたっぷりなストーリー主導型のRPG”といった雰囲気だ。もちろんペラペラのマリオならではのアクションを活かした謎解きなどのアドベンチャー要素もしっかりあり,RPGもアドベンチャーも両方たっぷり楽しめるのが魅力となっている。
独特の楽しさを生んでいるのが,「カミの手」による感覚的な操作を使った謎解きや「カミッペラ」を使った世界の修復だろう。
カミの手は,魔法陣のある場所で発動できる特殊なアクションだ。コントローラのボタンとジャイロを使って“長く伸び〜る腕”を操作し,その場にあるものを掴んでめくったり,切り取ったり,ガンガン叩いたりできる。道の先に進めないときや何か怪しいものを見つけたときは,掴めるものがないか,よく探してみよう。
カミッペラでの世界の修復は,各所にあるほころび「スカスカ穴」を,アクションの名前にもなっている紙っぺら(紙切れ)をまいて修復するというもので,道を作ったり,機械を修復して使えるようにしたりと,できることは幅広い。カラフルなカミッペラをばらまくアクション自体も爽快だ。
また,旅の途中のあちこちでは,オリガミにされたキノピオを見かけることがある。道に咲いている花やフライパンの上の目玉焼きなど,風景に溶けこんでいる彼らを探し,見つけたらハンマーでたたいて元に戻してあげよう。キノピオたちはバトルで応援に加わってくれるので,旅路の心強い仲間となるだろう。
ちょっとしたヒントを頼りにアイテムを探したり,マップをしっかり探索して隠れた道を見つけるといった,RPGやアドベンチャーの定番と言える遊びの要素も用意されている。簡単すぎず難しすぎずというほどよい塩梅で,時間を忘れて没頭できそうだ。
冒険の舞台は,森や洞窟,紅葉の山にススキ野原,水の神殿,和風のテーマパーク,劇場など,バラエティに富んでいる。物語の冒頭はちょっとホラーテイストではあるものの,舞台が変わればムードも変わり,ユーモアあるエピソードが楽しめる。
随所に仕込まれたシュールな笑いや,毒っ気(?)のあるテキストも本作の大きな魅力のひとつ。「ペーパーマリオ」シリーズのファンはもちろん,初めてシリーズ作品に触れるという人も大いに期待してほしいポイントだ。
さらに注目してほしいのが,長い旅のあちこちで待っている,さまざまなキャラクターたちとの出会いと別れ。彼ら一人ひとりが背負う物語もなかなか味わい深く,かなりグッとくるものがある。笑える話にしんみりくる話。そのどちらも魅力的な本作の物語を満喫してほしい。
もちろん「スーパーマリオ」シリーズとして,コイン集めも欠かせない要素となっている。物語を進める際やアイテムの購入,バトルなど多くの場面で使うことになるが,さまざまな場面でたくさん手に入るので,ザクザク集めてガンガン使うといった景気のいい楽しみ方ができるだろう。
見晴しの良い高台にある望遠鏡。使用するにはコインが必要だが,コインが溜まりやすいため気にせず使えるはず |
便利なアイテムやアクセサリーはそれなりに高価だが,コインはたくさん手に入るので気楽に購入しても問題ないだろう |
ちょっとクセあり? しかし理解すると楽しくなるパズル要素のあるバトル
いままでの「ペーパーマリオ」シリーズ作品との大きな違いは,パズル要素のあるバトルシステムだ。過去シリーズ作品の基本的なルールを踏まえつつも,だいぶ様変わりしたものとなっている。
攻撃前にパズルのように敵を整列させることが重要となっており,並べ方によってバトルの展開が大きく変わるのだ。
バトルは円状のステージになっており,床が同心円状に4列,放射状に12列に区切られている。これを回転させたりスライドさせることで床の上の敵を動かし,時間内に規定の操作回数で整列させていく。攻撃範囲内により多くの敵を並べると,相手をまとめて攻撃できるだけではなく,与えるダメージも増加するのだ。
上手に整列させて効果的に攻撃できると,反撃を受けることなく一方的に勝つことも可能で,さらに戦闘後に得られるコインにも大量のボーナスが付く。とはいえ,パズルがうまくいかなければ戦闘に勝てないわけではない。強力な武器を装備して大ダメージを狙ったり,ファイアフラワーやPOWブロックなどのアイテムを使ったりといった“RPG的”な解決手段もちゃんと用意されているのだ。
攻撃の際にタイミングよくボタンを押すと与えるダメージがアップするという,シリーズおなじみの要素は健在。同様に「トゲの生えた敵はハンマーかアイアンブーツで攻撃する」や「空を飛んでいる敵にはハンマーが当たらないので踏みつける」といった,シリーズ独自の属性バトルも変わらず楽しめる。
ボス戦では,バトルの仕組みがガラリと変化する。敵が乗っている床を動かすのではなく,矢印のマスを使ってマリオ自身を移動させ,攻撃のマスや魔法陣のマスに導くというもので,パズル自体はそこまで難しくないが,ボスの倒し方に気づかないと苦戦するという印象だ。
特殊なバトルシステムなだけにちょとクセがあり,初めての人はもちろんシリーズファンも少々戸惑うかと思うが,しっかり把握できればかなり楽しくなる。「コツが掴めない」「どうしても勝てない敵がいる」という場合は,バトルの練習ができる「バトル研究所」や戦闘中のヒント機能を活用するといいだろう。
バトル研究所のパズルドリルで戦い方を覚えよう |
ちょっとした会話風にバトルのヒントが? パズルに迷ったら,ヒント機能を使ってじっくり考えよう |
謎解きが楽しいアクションとアドベンチャー要素に,これまでにないパズルのようなバトルシステム,そして“ペラペラ”な世界とキャラクターに新たな魅力として加わったオリガミの独特なビジュアル。かなりゴージャスな内容となっている「ペーパーマリオ オリガミキング」は,初めての人にもシリーズファンにも新鮮な楽しみを与えてくれるだろう。
そして,さまざまな“問いかけ”が含まれている物語は,アドベンチャーやRPGが好きな人にとってたまらないものがあるはず。物語を深読みしたり,考察したりするのが好きな人にもオススメの作品だ。
「ペーパーマリオ オリガミキング」公式サイト
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