インタビュー
3DCGアニメ「バイオハザード:インフィニット ダークネス」合同インタビュー。監督の羽住英一郎氏とカプコンの小林裕幸氏に見どころを聞いた
本作は,カプコンのサバイバルホラー「バイオハザード」を原作とする3DCGのオリジナルアニメシリーズ。レオン・S・ケネディとクレア・レッドフィールドというファンにはお馴染みの2人が主人公として登場する本作は,全4話構成で展開される。4話は7月8日に同時に配信されており,1度にすべてを通して視聴することも可能だ。
今回4Gamerは,「海猿」シリーズや「MOZU」シリーズ,映画「太陽は動かない」などでも知られる本シリーズ監督の羽住英一郎氏と,エグゼクティブプロデューサーを務めるカプコンの小林裕幸氏にZoomでのメディア合同インタビューを実施した。2人が考える本作の見どころや,制作時の苦労話などを聞いたので,ぜひ最後まで読み進めてほしい。なおインタビュー前半は2媒体合同,後半は4Gamer単独でのインタビューとなっている。
羽住氏が初めて手がける3DCGアニメシリーズへの挑戦で意識したこととは
──「バイオハザード:インフィニット ダークネス」が7月8日に配信されます。現在の率直な感想をお聞かせください。
小林裕幸氏(以下,小林氏):
制作開始から3年ほど経ちましたが,配信されるのがすごく楽しみです。世界中の人に観てもらえることにとてもうれしく感じています。
羽住英一郎氏(以下,羽住氏):
「バイオハザード」は世界中にファンがいるコンテンツです。ファンのみなさんに満足してもらえるといいなという気持ちです。
──本作は2006年が舞台となっています。この年代を選んだ理由は何でしょうか。
小林氏:
本作では最初からレオンとクレアを出すと決めていたのですが,長いバイオハザードの歴史の中で,登場させられる場所と年代がある程度限定されてしまうんです。今回,羽住監督と一緒に仕事をすることになって,まず一番初めに年表のことを相談したことを覚えています。
羽住氏:
いろいろと資料を確認したり,小林さんに質問を投げかけたりする中で,どの時代のレオンにフィーチャーすればより面白くなるかということを考えていました。新人警官だった頃から,悪との戦いに疲弊してきている「バイオハザード ヴェンデッタ」の頃まで時代を並べたところ,ちょうど2006年付近が一番面白いんじゃないかという話になって,そこから物語を組み立てていきました。
──羽住監督は初のフルCGアニメ映画への挑戦となりました。監督するにあたり,苦労した点を聞かせてください。
羽住氏:
これまでフルCGのアニメ映画を撮ったことはなかったんですが,苦労という苦労はなかった気がします。オファーをいただいたときに,サスペンス色とドラマを全面に出したいということを伝えられて,自分の役割を明確に提示してもらえたことも大きかったのかなと思います。
(3DCGアニメーションを担当する)Quebicoさんのプロデューサーも,3DCGのノウハウをたくさん持っているにも関わらず,自分の実写的アプローチを受け入れてくださったので,とてもやりやすかったですね。
──オファーがきたときは受けるか悩みましたか。
羽住氏:
いえ,すぐに「やらせてください」と返事をしました。「バイオハザード」という,世界中にファンがいる作品の新作を作るというのは,自分にとってもすごくやりがいのあるチャレンジだと思いましたので。
──本作には夜のホワイトハウスや潜水艦といった,さまざまなロケーションが用意されています。実写とCGでの制作でどのような違いがありましたか。
羽住氏:
実際のロケの場合,カメラが置けない場所がありますし,レンズにしても潜水艦だと狭くて,使うには条件が悪いということがあるんです。本当は被写界深度を浅くしたいけど,ワイドレンズでしか撮影ができないとか。
その点,CG制作の場合,普通であればそういった機材面でのやりにくさはまったくないんですよ。本当になんでもできてしまう。ただ今回は実際に実写制作のロケと同じ条件でCG制作を行っています。本当に撮影している空気を出したかったので,あえて不便な方法で制作したんです。
──「バイオハザード:インフィニット ダークネス」は,Netflixでの4話構成になっています。これまでの作品になかった作りですが,意識した部分や苦労した点はありますか。
小林氏:
次の話にどうつなげるかという点は強く意識していて,「1話が終わったら,2話も早く観たい!」と思わせるような作りになるよう心掛けました。各エピソードのラストパートは,脚本段階から監督と細かくやり取りを行いましたね。
──これまで「バイオハザード」のCGアニメ作品は,「ディジェネレーション」「ダムネーション」「ヴェンデッタ」と3作品ありました。過去作品を意識する部分はありましたか。
羽住氏:
自分としては過去作に混ぜてもらう感覚でした。コンテンツを制作するうえで,ファンの方を裏切ってまで何か特別なことをしようといった考えはありませんでしたね。
参考までにですが,「隠蔽されている出来事なら描いて大丈夫」というルールがあって,これがあることで明確にやれること,やれないことの線引きができていたように思います。
小林氏:
テレビで取り上げられるような大きなニュースになってしまうと年表に載ってしまうので,小規模の出来事に収めてくださいと。「バイオハザード」の世界にいる一般人が知らないレベルの事件であれば大丈夫と伝えていました。
──本作の冒頭は特殊部隊の登場シーンから始まります。いきなり見どころのあるシーンとなりますが,こういった構成にした理由は何かあるのでしょうか。
羽住氏:
エンターテイメント映画の冒頭シーンってすごく大事なんですよ。ロックコンサートで言えば一曲目のようなもので,本作でもクライマックスを感じさせるような作りにしています。今回はサスペンス色が強いんですけど,冒頭はガツンと派手な戦場からというのは決めていました。ただ,それは後半の展開の振りでもあって,その後のドラマの重要な断片を冒頭で観ていたんだって気づいてくれたらうれしいですね。
クリーチャーや登場人物を描くうえでのこだわり
4Gamer単独インタビュー
4Gamer:
「バイオハザード」シリーズと言えば「恐怖」も外せない要素となります。本作の恐怖のポイントを聞かせください。
羽住氏:
「分からないからこそ怖い」という部分を大切にしました。例えば,クリーチャーが登場するときは,カメラアングルや雰囲気で「そろそろ何かが出てきそう……」というのは感じられますよね? その法則を踏襲しつつも,観る人が想像しないところから登場させたり,予兆なしにゾンビが出てきたり,出てこないであろうシーンで登場させたりといった演出を盛り込みました。
4Gamer:
クリーチャーの造形について,こだわった部分は何かありますか。
小林氏:
こだわりというわけではないんですが,タイラントの心臓を動かしてくれたのは現場スタッフの努力を感じました。動かすのは大変だから,無理に動かさなくてもいいと伝えたんですが。あとは本作にはネズミのゾンビが登場するんですが,物語の流れを汲んだデザインになっているので注目してください。
4Gamer:
今回はホワイトハウスが舞台の1つということもあって,政治家のキャラクターも出てきました。
小林氏:
グラハム大統領はアシュリーのお父さんだから,絶対に悪い人にしないでくださいとは伝えました(笑)。いい人そうに見えて,実は悪い人だったってパターンもありますが,そういうのもやめてくださいと。
4Gamer:
最後に配信を楽しみにしているシリーズのファンや読者にメッセージをお願いします。
小林氏:
ファンの方はもちろん,これまで「バイオハザード」シリーズに触れる機会のなかった方にも観てほしいですね。多くの方が楽しめる作品だと思いますので,ぜひ期待してください。
羽住氏:
「バイオハザード」シリーズの歴史と整合性を取っている作品なので,ファンの方が観ても満足してもらえる作品だと思います。また,これまで「バイオハザード」に触れてこなかった人にも.本作をきっかけに興味を持っていただけると,とてもうれしいですね。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
Netflixオリジナルアニメシリーズ
『バイオハザード:インフィニット ダークネス』
原作・製作・監修:株式会社カプコン
監督:羽住英一郎
脚本:武藤将吾、羽住英一郎
エグゼクティブプロデューサー:小林裕幸(カプコン)
製作プロデューサー:篠原宏康(トムス・エンタテインメント)
プロデューサー:古屋厚(ROBOT)
CGプロデューサー:宮本佳(Quebico)
フル3DCGアニメーション制作:Quebico
制作プロデュース:トムス・エンタテインメント
クリエイティブアドバイザー:トニー石塚(Sony Pictures Entertainment)
音楽:菅野祐悟
コピーライト:(C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
日本語吹き替えキャスト:
レオン・S・ケネディ:森川智之
クレア・レッドフィールド:甲斐田裕子
ジェイソン:立木文彦
シェンメイ:潘めぐみ
パトリック:野島健児
グラハム大統領:井上和彦
ウィルソン国防長官:田原アルノ
ライアン大統領補佐官:小形満
話数:全4話
配信日:Netflixにて2021年7月8日(木)より、全世界独占配信
「バイオハザード:インフィニット ダークネス」Netflix作品ページ
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