プレイレポート
「Star Wars: スコードロン」プレイレポート。個性的な8機のスターファイターによる空中戦が熱い,ドッグファイト好きにも勧められる満足度の高い1本
新共和国軍と帝国軍のパイロットとなり,両陣営各4つのカテゴリーのスターファイターをフライトシムテイストの操作感覚で乗りこなし,ドッグファイトを体験できるタイトルとなっている。
本稿ではそのゲーム内容を紹介するとともに,基本となる操作方法や4つのカテゴリーが存在する8機のスターファイターの特徴などについて触れていきたい。なお本稿ではPlayStation 4版でプレイ並びにスクリーンショットを撮影していて,ボタン表記などはPS4のものに準じている。
※厳密にいうと空中戦ではないが,便宜上本稿では空中戦という表記で執筆している。
「Star Wars: スコードロン」公式サイト
フライトシム的な操作だがさほど複雑ではなく,慣れてくると戦略的な動きも見せられる
SWシリーズというと,ジェダイやシスといったフォースを司る存在にスポットを当てたタイトルが中心となる一方で,一介の兵士や賞金稼ぎ,ドロイドなどを主人公に据えたものも多く存在している。本作は後者であり,プレイヤーはスターファイターを操るパイロットとなり,SWをテーマとしたゲームで根強い人気を誇るコクピット視点で空中戦を楽しむゲームとなっている。
注目すべきは,ソロプレイのストーリーモードが,新共和国軍と帝国軍の両陣営の視点で進行していくということ。プレイヤーは最初に各陣営のパイロット1人ずつを設定し,数話ごとに新共和国側と帝国側が切り替わるミッションを体験していく。ストーリー展開はほぼ並行していて,その流れを立体的に楽しめると同時に,ミッションごとに設定されたスターファイター各機の操作感覚を体験できるというわけである。
ストーリーは,デス・スターによる惑星オルデランの破壊後に帝国軍を離反し,新共和国軍の司令官となるリンドン・ジェイブスと,その部下であり,ジェイブスの離反によって左遷されたテリサ・ケリルを中心に描かれる。プレイヤーはこの2人が指揮する中隊のメンバーとなり,彼らの過去の因縁とともに描かれる新たなSWの物語を体験していくのである。
プロローグは「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」とほぼ同じ時期,その先のミッションでは「スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還」から4年後が舞台だ。ダース・ベイダーやパルパティーン皇帝,レイア姫の他,アクバー提督やウェッジ・アンティリーズなど,脇を固めるいいキャラクターも登場していて,このあたりはSWシリーズのゲームタイトルを長くリリースしているEAによる,ファンのツボを突く設定作りや演出の巧さを感じられるだろう。
ミッションは単なる敵機の掃討だけでなく,味方艦の防衛や敵拠点の襲撃などバラエティに富んでいて,ミッションによっては搭乗すべき機体が決まっているものもあるので,進めていくだけでその立ち回り方を身に付けられるようになっている。
本作は空中戦にフォーカスしたタイトルであり,操作もシューティングというよりはフライトシムに近いものだ。といっても概念を理解できれば操作そのものは決して難しいものではなく,チュートリアルも親切なので,ストーリーモードをプレイしていれば自ずと身に付くはず。
機体はスロットルにより前進するスピードを変更し,ピッチ(上下方向)とヨー(左右方向)で移動する向きを変えられる。PS4版のデフォルト設定なら,左スティックの上下がスロットル(左右は機体を回転させるロール),右スティックの上下がピッチ,左右がヨーとなっているため,操作中は両方のスティックをまめに操作することになる。
戦闘は宇宙空間で行われるため,スロットルを0にすれば機体はその場に静止することもできるが,敵に狙ってくれとアピールしているようなものなので,通常は止まらないようにするのが賢明だ。この手のゲームで左スティック主体の操作に慣れていると,思わず左スティックを下に入れてスロットを戻してしまい,知らないうちに機体が静止していたなんてことになるので要注意だ。
スターファイターの操作において,ことのほか重要なのが機体のパワー配分だ。各機体は通常「エンジン」「ウェポン」「シールド」の3項目に対して,均一にパワーを振り分けている。これをいずれかの項目に特化したパワー配分にすることにより,戦況に応じた戦い方をすることが可能だ。
例えばエンジンにパワーを多く振り分ければ,最高速度と機動性が上がり,さらにそれを上回るスピードまで一気に加速する「ブースト」を行える。ウェポンに振り分けたときは,メインウェポンのレーザーのリチャージの速度が上がり,攻撃力も増す。シールドは主に新共和国軍のシールドが装備された機体に存在する項目で,シールドの防御力を上げられる。
いずれかにパワーを振り分けると,それに特化した効果を得られるものの,他の項目のパワーが少なくなるため一長一短ではある。だが,戦況に応じてリアルタイムに変更して戦うことを意識できるようになると,勝率が1段階アップするだろう。
新共和国軍と帝国軍,4カテゴリー全8機のスターファイターに乗り込める
ここからは本作で乗り込む8種の機体を紹介していきたい。各陣営に「ファイター」「ボマー」「インターセプター」「サポート」という4カテゴリーの機体があり,ミッション内容や好みなどで選んで出撃が可能だ。
各機体は[R2]で発射するレーザーやイオン砲などの「メインウェポン」,[L1]と[R1]で使用する「サブウェポン」(増設ポイントにサブウェポンを搭載する),[○]で使用し追尾ミサイルを回避する「カウンターメジャー」などが搭載可能な「アクティブパーツ」,装甲やエンジンなどの装備するだけで効果のある「パッシブパーツ」。これらを変更することで,好みの機体にカスタマイズできる。
また帝国軍の機体は,一部を除いてシールドを装備しておらず,その分装甲が厚くなっているのも特徴だ。これによりシールドに対して高い効果を持つイオン系武装への耐性がある。
ファイター「T65B Xウイング」「タイ/LNファイター」
両陣営の主力機で,SWシリーズの空中戦を象徴するスターファイターだ。4カテゴリーの中で最もバランスが良く,秀でた特徴はないが,カスタマイズパーツが非常に多く,その組み合わせによってあらゆる状況に対応できる。タイ/LNファイターはシールドを持たないぶん,Xウイングよりも全体的な性能が少しだけ高く設定されている。
ボマー「BTL-A4 Yウイング」「タイ/SAボマー」
ボマーといっても爆撃のみならず,火力に優れた攻撃機で,増設ポイントにはタレットや爆弾,ミサイルなど多彩な武装をセットできる。全カテゴリーの中で,デフォルト値の最高速度が最も遅いが,シールドや装甲の厚さでそれをカバーしている。Yウイングはこの機体ならではの自動追尾式イオン砲のタレットを装備でき,タイ/SAボマーは全機体の中で最も装甲が厚いという特徴もある。
インターセプター「RZ-1 Aウィング」「タイ/IN」
全カテゴリーの中で最も速く,かつ小回りが利き,主に対スターファイターの役割を担う機体。メインウェポン,増設ポイント共に機動力を生かした接近戦向けの装備が揃っている。その分シールドや装甲は薄く,それを補うための装備や操縦テクニックが必要となる。Aウイングはそのキャノピーの形状により,他の機体と比較すると前方が少しだけ見やすいという利点がある。
サポート「Uウイング」「タイ/RPリーパー」
味方を支援するための装備が豊富な機体。装甲の回復と弾薬補給の効果を持つドロイドや,敵のセンサーに映ることを防ぐステルス弾など,味方に対する装備や,敵ファイターを妨害する装備が充実していて,他の機体とは立ち回りが異なる後方支援を得意とする機体だ。タイ/RPリーパーは帝国軍の機体で唯一シールドを持っていて,デフォルトの性能はUウイングとまったく同じだ。
ストーリーで基本を身に付けたら,マルチプレイにも挑戦しよう
最後にマルチプレイについて触れておきたい。マルチプレイはストーリーモードとは切り離されていて,最初から全ての機体を選ぶことができるが,機体カスタマイズのための装備は,マルチプレイ後のランクアップで入手できるゲーム内通貨「サプライポイント」が必要となる。
対戦モードはスターファイター同士で戦う「ドッグファイト」と,互いの旗艦を巡る攻防戦を繰り広げる「フリートバトル」が存在し,後者はルールがやや複雑なため,マルチプレイ対戦はランク5以降にアンロックされる。
両陣営が同じ条件で戦うため,ストーリーモードのミッションとはシチュエーションが大きく違う。ストーリーモードで4つのカテゴリーの機体を操るところまで進め,なおかつ練習モードなどをプレイして,操作感覚や自分が駆る機体の特徴などを把握してから挑むことをお勧めする。
空中戦にフォーカスしたタイトルだけあって,8機の機体を操作する楽しさはカクベツで,SWの劇中でも目にしたシーンを上手くゲームに昇華している。ストーリーモードではそれらを生かしたミッションが多数用意され,進めていくだけでどんな立ち回りをすべきかが理解できるレベルデザインも秀逸だ。
SWファンに向けた演出はゲームの細部にまで施されていて,見つけると本当にたまらないものがあるが,その世界観に詳しくなくても,没入しやすいのも優れた点だと思っている。本作のストーリーモードはSWの世界への入口の一つであり,ここから映画本編に入っていく手もあるだろう。
個人的にはこの完成度のもと,Bウイング・スターファイターやタイ・アドバンストx1などにも乗りたかった気がしていて,今後のDLCなどで追加されたりしないかと,少しだけ期待していたりする。
また今回は体験できなかったのだが,VR対応タイトルとしてもかなり高い評判が流れている。SWファンのみならず,対戦シューティングファンやフライトシムファン,そしてVRユーザーにも勧められる1本なので,この機会にぜひプレイしてみてほしい。
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