プレイレポート
「ELEX II」プレイレポート。母なる星を守るため,ジェットパックで縦横無尽に荒廃世界を駆け巡るオープンワールドRPG
本作は,2017年10月にリリースされた「ELEX」(PC / PS4 / Xbox One)の続編で,前作同様に,ポストアポカリプスの世界で生きる主人公“ジャックス”と,その周りの人々を描いた作品だ。
オーソドックスな,3DタイプのアクションRPGだが,腰に付けたジェットパックを使ってフィールドを移動できることが特徴で,広大な世界を縦横無尽に飛び回れる。
5つある勢力のいずれかに所属し,近接武器や遠隔武器,魔法を駆使して戦う本作の魅力を紹介していこう。
「ELEX II」公式サイト
荒廃世界のなかで対峙する,正体不明の脅威
本作は,「ELEX」のエンディングから数年後の世界が舞台だ。隕石の衝突により,文明が崩壊した“惑星マガラン”に暮らす人々は,その隕石がもたらした希少鉱物“エレックス”の力をめぐって,なおも争っていた。
前作で,宿敵であるハイブリッドを倒した主人公ジャックスは,妻子と離れ,簡素な小屋でひとり暮らすことを選んでいた。しかし,その孤独な生活のなか,新たなる脅威がジャックスを襲い,彼はまた戦いに身を投じることになる。
異形の生物に襲われるジャックス。住んでいた家は破壊されてしまう |
逃亡の際に,腕を負傷する |
なおジャックスは,敵から逃れる際に攻撃を受けたことで,謎の病に侵されてしまう。そのせいで本来の力を出せなかったり,記憶が曖昧になったりと,体の不調に悩まされるのだ。
冒頭から怒涛の展開になるのだが,前作の出来事を含め,基本的な世界の説明をしてくれるので,前作をプレイしていなかったとしても,安心して世界に入って行けるだろう。
移動や攻撃などの操作はシンプルで分かりやすい。アイテムや武器は,リング型スロットに登録しておけば,すぐに使用できて便利 |
突如襲撃を受けたジャックスは,何の準備もないまま,安全とは程遠い世界で,ほとんどが謎に包まれた侵略者“スカイアンズ”と戦っていくことになる。
敵は強大なため,多くの協力者が必要になるのだが,マラガンの人間たちは,大いなる脅威を前にしてひとつになるどころか,いくつかの勢力に分かれ,激しく争っている。
勢力は,魔法と知識に長けている“アルブ”や,ハンターやヒーラーが多く所属する“バーサーカー”,ロボット技術に長けている“クレリック”,刺激的なものを追い求める“アウトロー”,地下に暮らし武器制作を得意とする“モーコン”の5種類で,互いに埋められない考えかたの違いがある。
未知の敵を討つため,彼らと関わり団結させ,どうやって人類をまとめていくかが,目下ジャックスの大きな課題となるのだ。
世界を飛び回り,同志を見極めよう |
前作のキャラクターも登場する。お気に入りのキャラクターの現在は……? 人物によっては,かなり意外な身の振りかたをしている場合もある |
ストーリーを進めるにあたって,プレイヤー自身の考えや信念が重要なポイントになるだろう。本作に登場するキャラクターは,主人公を含め,誰の目から見ても無条件に支持を得られる人物は存在しない。
“絶対的な正義”というものがないため,誰かのある行動に対し何を思うかは,登場人物によって大きく違うのだ。それゆえ,プレイヤーの選択の結果が,自身の思惑に反するものになる可能性も十分ある。
ある人物から依頼を受け“ドラガン”を倒しに来たが,彼にも言い分がある。依頼通り彼を殺してしまうか,別の道を選ぶか…… |
だが,予定調和に終わらないシナリオの面白さは,この世界に生きる臨場感を高めてくれる。行動の結果を受け入れる勇気を持ち,道を切り拓いていこう。
美しく広大な世界を堪能する
探索しつくすには相当の時間を要するであろうマラガンのマップは,リアルに換算すると,約120k㎡という広さを持つという。
本作はRPGのため,基本的には,スタート地点周辺から徐々に人と出会っていき,クエストをこなしつつ自身を強化。そしてさらに遠いところを足を延ばす……というプレイが盤石だ。
しかし,ジャックスにはジェットパックという相棒がついているので,最初から遠くまで足を運んでみることもできるのだ。レベルが低い状態でまともに戦える敵は少ないため,安全とは言い難い道のりにはなるが,危険上等でマップの端を目指す探検は非常に楽しい。
フィールドに点在するテレポーターを見つければ,どこからでも各テレポーターにファストトラベルが可能だ。長距離移動に便利なだけでなく,探索の目印や拠点にもなる |
なおプレイ序盤は,レベルを上げるのに工夫が必要だ。探索で出会う敵は基本的に強く,5段階ある戦闘の難度を,易しいほうから2番目の“イージー”にしていても,油断しているとすぐに倒されてしまう。
ジャックスの能力が低いうちは,相手を倒しきるまでに時間もかかるので,雑魚(とは呼べないが)敵を倒してのレベル上げは決して効率がよいとは言えないのだ。
ゲームオーバーになると,大きく“終了”の文字が。その簡素さが妙にシュールで味わい深い |
そこでまず,戦闘を伴わないクエストから着手してレベル10くらいまで上げることをおすすめしたい。そうすれば,戦闘で即死することが減り,探索も多少は楽になってくる。
それでもレベル10へ到達するにはそこそこの時間を要するのだが,クエストをこなしていくうちに世界をより知ることができ,ゲームの流れも見えてくる。
また,冒険を進めることで,一緒に戦ってくれるコンパニオンNPCが仲間になることもあるので,発生するイベントごとには積極的に首を突っ込んでみるといいだろう。
まとまった金を渡せば,よいものを持ってくるという取引を持ち掛けてくるハンク。おいしい儲け話かも? 怪しい匂いもプンプンするが…… |
広大な地を冒険にするのに必要となるマップ。最初は,大まかな地形と道だけが描かれているのだが,ファストトラベルのポイントやスキルを習えるNPCなど,発見したものの位置情報が書き込まれていくようになっている。
初めは,「地方名だけでもあらかじめ書き込んであるとありがたいのに」と思っていたが,プレイ中盤には,施設の位置関係もだいたい把握できるようになるし,到達した地域の情報が少しずつ増えていくのがひとつの喜びとなっていった。
ただ,新しいクエストを受注したときや,クエストを終了させたとき,次に追うクエストを毎回任意で設定し直さないといけないのはやや面倒に。自動で,次のクエストを追尾する設定があれば嬉しいのだが。
マップにマーキングが増えていく充実感! |
フィールドのデザインには抑揚があり,あちこちに移動しているだけで楽しめるだろう。ひんやりとした雪景色,うっそうとした森林地帯,かつては栄えた都市だったことがうかがえる廃墟。そんな世界のあちこちに点在するアイテムを拾う楽しさも,本作の魅力なのである。
荒野で果てている人間の遺体の周りには,タバコや寝袋など生前の生活がうかえるようなものがあり,こっそりそこそこのエレックスを溜め込んでいたりする。また,意味ありげな文書が見つかって,それがあるクエストのヒントになることもあるのだ。
金庫のハッキングや施錠されている箱のピッキングも行える。該当するスキルを上げていけば,より難度の高い仕掛けにも挑戦できる。どんなアイテムが隠されているのだろうか |
エキサイティングな戦いと成長システム
旅の道中で出会う野生生物や略奪者,敵対する勢力の人間などとの戦闘は,冒険のさなか幾度となく発生する。
戦いは,片手/両手用の近接用武器のほか,弓や銃,ブラスターなどの遠距離用武器や,手りゅう弾などの武器を好みや状況に応じて使い分けて行なうのだが,防御やバッシュ,ローリング回避といった立ち回りも重要に。
また,ストーリーを進めていけば,魔法による攻撃なども可能になるのだ。
ジェットパックも戦いで活躍してくれる。格上の敵との戦闘はかなりシビアなのだが,ジェットパックで縦方向に逃げることで,敵の手が届かない高台に素早く一時回避し体勢を立て直すという手が使えるのだ。
敵を倒すのにかなり時間が必要になるが,どうしても勝てないときは,同手段を活用してみるのもいい。
ジェットパックで空に逃げつつ,減ったスタミナゲージを回復させる |
敵を倒してレベルアップすると,AP(属性ポイント)が手に入るので,筋力,体格,敏捷,知恵,狡猾という5つのパラメータに振り振り分けて,ジャックスを強化していく。
各能力を,ある程度強化しないと身に着けられない装備品もある。ジャックスが強くなり,身に着けられる装備品のバリエーションが増えてくる中盤までは,多少苦労するかも |
レベルアップ時には,アビリティの習得に必要なLPも獲得できる。筆者は,近接ダメージが増加する“近接用武器”と,防御力が上昇する“防具”を中心に割り振り生存率を上げてみたが,バーサーカーの呪文と,アルブの魔法を使えるようになるアビリティーを開放して,魔法攻撃が得意なジャックスに育てていくのも面白そうだった。
ほかにも,ピッキングやポーション製造,装備品のクラフトなど,特殊なスキルを上げるアビリティーも,冒険を進めていくうえで非常に便利。ジャックスの能力値によって,NPCとの会話中に選べる選択肢が変わることもあり,強化ひとつとっても選択の楽しい悩みは尽きない。
無益な殺害,反道徳的な会話選択などで蓄積されていく“破壊”のポイントは,所謂カルマシステムだ。もちろんこれは,ジャックスの未来に影響してくる |
海外製のRPGと聞いて気になることのひとつにローカライズの精度があるが,本作における翻訳のクオリティは高い。
たまに,会話が直訳風だったり,無邪気だった子供の口調がいきなり雄々しい男性風になったり,固有名詞の表記がブレたりなど気になる点はあるが,むしろその妙な味わいが楽しかったりするので,概ねご愛敬の範疇だろう。
盛りだくさんのクエストや,大いなる謎を解き明かし,世界の命運を主人公が握るというアツく複雑なストーリーを楽しめる「ELEX II」。濃い世界設定や渋いシステムを持つため,一見スタンダードなオープンワールドRPGに見えるが,ひとたび飛び込んでみれば,一歩一歩自分で道を選び取って結果を得る,泥臭くもエキサイティングな体験にハマるだろう。
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