プレイレポート
本日発売となったSwitch版「Alba: A Wildlife Adventure」のプレイレポートを掲載。豊かな自然の中で,動物を撮影する夏休み
「Alba: A Wildlife Adventure」公式サイト
本作は,2020年12月にPC版がリリースされた同名タイトルの移植版で,ロンドンのデベロッパであるustwo gamesが開発を手がけている。同社は,だまし絵のような世界で姫を導く「Monument Valley」(iOS / Android)や,3Dグラフィックスで表現されたカセットデッキやカメラといった故障品を,マウスでためつすがめつしつつ修理する「Assemble with Care」といった作品で知られ,その特徴はイラストや絵画を思わせる,オシャレな雰囲気のグラフィックスにある。この要素は「Alba: A Wildlife Adventure」でも健在で,舞台となる地中海の島や動物を,活き活きと描き出すことに成功している。
インディーズゲームの小部屋:Room#665「Alba: A Wildlife Adventure」
「インディーズゲームの小部屋」の第665回は,ustwo gamesの「Alba: A Wildlife Adventure」を紹介する。本作は,地中海に浮かぶ小さな島で,美しい自然と動物を守るために奔走するというアドベンチャーゲーム。島のみんなに自然の豊かさを知ってもらい,自然保護区を潰してリゾートホテルを建てるという計画を食い止めよう。
本作の主人公であるアルバは,自然と動物が好きな女の子。ある夏の日,祖父母を訪ねて地中海の島へ遊びに行ったアルバは,島の自然保護区を破壊してリゾートホテルを建てる計画が持ち上がっていることを知る。そんなことをしては,動物達の住み家がなくなってしまう。そう考えたアルバは,島の友達であるイネスとともに,計画の阻止を決意。島の動物を撮影して自然への関心を高め,同時に困っている人を助けて反対署名を集めるため,島を奔走するのだった。
本作をひとことで表現するなら「ノスタルジー溢れる田舎で,動物の写真を撮影しつつ日々を過ごす」ゲームであり,雰囲気的には「ぼくのなつやすみ」シリーズに近い。舞台となる島は豊かな自然のほかには何もない田舎だ。住民もノンビリとした人ばかりで,風景の美しさとあわせて心が和む。
そんな島でアルバは短い夏休みを過ごす。昼は自然の中を駆けめぐって動物の写真を撮り,夜になればご飯を食べに家路に就くといった体験をしていると,胸に懐かしさがわき上がってくる。
先述のとおり,本作は海外で作られたゲームだが,「子共が夏休みに田舎へ預けられ,自然とともにかけがえのない日々を過ごす」という体験は,洋の東西を問わず共通なのが味わい深い。
今回はSwitch版でのプレイだったので,携帯モードなら寝転ぶなどリラックスした姿勢で遊ぶことができ,ゲームのノンビリした雰囲気ともマッチしていると感じられた。Switchを持っているならオススメのプレイスタイルだ。
スマートフォンによる動物の撮影は,本作の大きな魅力だ。島にはたくさんの動物達が棲息している。町ではスコティッシュ・テリアやイエネコ。森にはキタリスやカンムリガラ。沼地にはアオサギやバン。海辺ではユリカモメにチドリ……といった感じで,普通に歩き回っているだけでも色々な動物に出会える。地面を歩いていたり,空を飛んでいたり,電線や木に止まっていたりとその行動はさまざま。撮影がうまくいけば,動物の名前が分かって図鑑に登録されるため,空や地面で何か動くたびに「新しい動物かも?」と,好奇心を刺激される。
スマートフォンで動物を撮影するのは一筋縄ではいかない。動物をフレームの中に捉えており,かつある程度アップでなければならないからだ。動物はこちらの都合などお構いなしにあちこちと動き回り,すぐにフレームの外に出てしまう。引いた画面にすると少しはマシになるが,引きすぎると動物が小さくなって撮影したと認められない。迷っている内にシャッターチャンスを逃してしまい,悔しい思いをする辺りは写真撮影の“あるある”だろう。
エサ箱に寄ってくるイエスズメや,地面でじっとしているムーアカベヤモリなど,ありふれていて大人しい動物なら撮影も比較的簡単だが,レアめな動物だとそうもいかない。撮影できる距離ギリギリになる高空を飛んでいるのを待ち構えて撮らなければならなかったり,沼地や山に行かないと出会えないといったことがあり,ちょっとした動物ウォッチャーの気分になれる。
とはいえ,あくまで小さな女の子が行動できる範囲での話であり,ゲーム的な難度は高くないのでご安心を。撮影した動物は図鑑に登録され,鳴き声を聞けるのも楽しい。
ただ,すでに撮影した動物であるかどうかを簡単に判別する手段がなく,いちいちスマートフォンを構えて動物をフレーム内に収めなければならないのは気になった。撮影が進んで残る動物の数が少なくなるほどに顕著な問題なので,アップデートでの対策を期待したい。また,Switch版ではジャイロ機能に対応していないのも残念に感じられたポイントだ。
町には困りごとを抱えている住民達がいる。彼らを助ければ,リゾートホテル反対の署名をしてくれたり,島の奥に進むためのさまざまなアイテムをくれたりするので,積極的に関わっていこう。自然保護区の看板に貼られた動物の写真を新しいものにしたり,傷ついた動物を助けたりも大事な仕事。こうして,少しずつ島の状況を良くしていくのだ。
本作の面白さは,夏の田舎で動物を撮影して過ごすという,ノスタルジックな日々を味わえることにある。グラフィックスも雰囲気があり,夕暮れ空に飛ぶ鳥を追って浜辺を駆けたり,埠頭から夏の海を眺めたりといった体験には,大人の感情を刺激するものがある。
アルバはとても“いい子”で,動物保護に邁進するだけでなく,ゴミ捨てや洗濯物の取り込みといったお手伝いに大活躍。もちろん夏休みにありがちなヤンチャをすることもない,ある意味で理想化された子どもであるため,低年齢層の児童とともにプレイするにも向いているといえる。人間による自然破壊や環境問題について知識を深めることもでき,ゲーム自体のボリューム自体もそう多くないため,週末の気分転換にも最適だろう。
本作は自然団体とコラボしており,1本ソフトがダウンロードされるたびに,木が1本植えられるという。そういう意味では強いメッセージ性を持つ内容であり,日本からはなかなか出てこないタイプのゲームかもしれない。この夏は外出を制限されることも少なくないが,本作で田舎の夏休みと動物撮影を疑似体験してみるのも面白いのではないだろうか。
「Alba: A Wildlife Adventure」公式サイト
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(C)2020 ustwo games ltd All rights reserved (C)PID Games (C)SUNSOFT
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