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Intel,デスクトップ&ノートPC向け第12世代Coreプロセッサ計50製品を発表
開発コードネーム「Alder Lake」の名でも知られる第12世代Coreプロセッサは,高性能CPUコア(P-core)と省電力CPUコア(E-core)という2種類のCPUコアを搭載する「Hybrid Architecture」を採用したのが特徴のCPUである(関連記事)。これまで市場に投入されていた第12世代Coreプロセッサ(関連記事)は,クロック倍率のロックを解除した高性能デスクトップPC向けの一部製品だけだった。しかし,今回はそれ以外のデスクトップPC向けCPUに加えて,ゲーマー向けの高性能ノートPCや,薄型軽量のモバイルノートPCなどを対象にしたノートPC向けCPUも一斉に発表となったため,50製品というかつてない数が登場したわけだ。
それに加えて,第12世代Coreプロセッサに対応するデスクトップPC向けIntel 600シリーズチップセット3製品も発表となった。本稿では,各製品のラインナップを中心に,その特徴を簡単に紹介しよう。
デスクトップPC向け第12世代Coreプロセッサ
デスクトップPC向け第12世代Coreプロセッサの追加ラインナップは,ハイエンド市場向けの「Core i9-12900」から,エントリー市場向けのPentium・Celeronブランドまで,計22製品が発表となった。
2021年10月に発表となった製品は,定格消費電力(Processor Base Power)が125Wという消費電力が非常に高いものだったが,今回登場したのは定格消費電力が65Wのモデル(※プロセッサナンバーの末尾が無印と「F」)と,35Wの低消費電力モデル(※プロセッサナンバーの末尾が無印と「T」)となっており,常識的な消費電力に収まっている。
冒頭で,「第12世代CoreプロセッサはHybrid Architectureが特徴である」と述べたが,実のところ,今回のデスクトップPC向けラインナップでP-coreとE-coreの両方を混載したHybrid Architectureになっているのは,Core i9シリーズとCore i7シリーズの計6製品だけだ。Core i5/i3とPentium/Celeronは,P-coreだけしか搭載していないので,新アーキテクチャによる利点は,P-coreの性能向上やDDR5 SDRAMへの対応,内部インターコネクトの改良などに留まる。
各CPUの主な仕様を見ていこう。表1は,Core i9およびCore i7のスペックをまとめたものだ。
Core i9は,P-coreとE-coreがどちらも8基,Core i7はP-coreが8基,E-coreは4基となっている。興味深いのは,末尾「T」の低消費電力モデルだ。各CPUの定格動作クロックは相応に低いものの,最大クロックは無印から0.2GHz(200MHz)分低いだけで,消費電力はかなり下がっている。小型のPCケースを使ったゲームPCを自作したいなら,T型番のCPUを選ぶことで,高性能と低消費電力を両立できるのではないだろうか。
Core i5のスペックは表2〜3にまとめた。ラインナップが多いので,通常モデルと低消費電力モデルで表を分けている。先述したとおり,Core i5はE-coreを備えていないほか,自動オーバークロック機能である「Turbo Boost Technology 3.0」(TBM 3.0)には対応しないので,それらの項目は省略した。
表4〜5には,Core i3とPentium,Celeronのスペックをまとめた。CPUコア数が少ないこともあり,相応に消費電力は減っているが,それだけ性能が低いことを考慮すると,ゲーマーが積極的にこれらのCPUを選ぶことはないだろう。
ノートPC向け第12世代Coreプロセッサ
ノートPC向けの第12世代Coreプロセッサは,定格消費電力45Wでプロセッサナンバーの末尾が「H」の高性能ノートPC向けと,同28Wで末尾が「P」の高性能薄型ノートPC向け,そして同15Wもしく同9Wで末尾が「U」の薄型ノートPC向けの3種類,計28製品がラインナップされている。
ノートPC向け第12世代Coreプロセッサには,デスクトップPC向けとは大きく異なる点が2つある。
1つは,ノートPC向け第12世代Coreプロセッサは,全ラインナップがP-coreとE-coreの両方を備えていることだ。デスクトップPC向けは,Core i5以下のCPUがP-coreのみで構成されていたが,ノートPC向けは必ずE-coreも備えている。消費電力当たり性能の高いE-coreは,ノートPCにとって重要ということだろう。
もう1つは,CPUから出ているPCI Express(以下,PCIe)インタフェースの違いだ。デスクトップPC向けの第12世代Coreプロセッサは,グラフィックスカードとの接続にPCIe 5.0 x16を備えていたが,ノートPC向け第12世代Coreプロセッサは,PCIe 4.0であるうえ,単体GPUとの接続用レーンはPCIe 4.0 x8になっている。Intelによると,PCIe 5.0をサポートしない理由は,CPUやその周辺の動作検証にかかるコスト増が主な理由であるという。
各ラインナップを確認していこう。まず,ゲーマー向けノートPCで主に使われる末尾「H」のCore i9/i7/i5を表6,7に示す。なお,本稿執筆時点では,ノートPC向けプロセッサの統合GPU名は明らかになっていないため,以下の表では記載していないことをお断りしておく。
最上位のCore i9でも,P-coreの数は6基までと,デスクトップPC向けCore i9の8基より少ない。性能面の差がどの程度あるのかは気になるところだ。
次の表8は,高性能薄型ノートPC向けのラインナップとなる。薄型筐体のゲーマー向けノートPCに,Core i7やCore i5が使われることになりそうだ。
表9,10は,定格消費電力15W版の,表11,12は同9W版のラインナップとなる。Core i7でもP-core数は2基と少ないので,ゲーマー向け製品で使われることはあまりなさそうだ。ただ,9W版のCore i7/i5は,小型ゲームPCで採用されるのではないだろうか。
デスクトップPC向けチップセットのラインナップも追加
最後に,デスクトップPC向け第12世代Coreプロセッサに対応する「Intel 600」シリーズチップセットの追加ラインナップも紹介しよう。
これまで,第12世代Coreプロセッサ向けチップセットは,最上位モデルにあたる「Intel Z690」だけだったが,今回,3製品が追加となった(表13)。
各ラインナップの主な違いは,チップセットから出ているPCIeレーンの数と,USBポートの数と理解していい。Intel Z690搭載のゲーマー向けマザーボードは高価な製品が多かったものの,「Intel H670」搭載モデルが登場すれば,第12世代Coreプロセッサ対応マザーボードの価格も少し下がるのではないだろうか。
Intelの第12世代Coreプロセッサ製品情報ページ
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第12世代Core(Alder Lake)
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