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[プレイレポ]自由奔放な冒険で多くのゲーマーを魅了した「ロマンシング サガ -ミンストレルソング- リマスター」が令和に甦る
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印刷2022/11/29 00:00

プレイレポート

[プレイレポ]自由奔放な冒険で多くのゲーマーを魅了した「ロマンシング サガ -ミンストレルソング- リマスター」が令和に甦る

 スクウェア・エニックスは2022年12月1日,「ロマンシング サガ -ミンストレルソング- リマスター」PS5/PS4/Switch/iOS/AndroidPC版は12月2日)を発売する。本作は1992年にスーパーファミコンでリリースされた「ロマンシング サ・ガ」(以下,ロマサガ1)を大胆にリメイクし,2005年にPlayStation 2で発売された「ロマンシング サガ -ミンストレルソング-」(以下,ミンサガ)のHDリマスター版だ。

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 サガシリーズといえば,元々はゲームボーイで展開されていたRPG作品だ。原点である「魔界塔士Sa・Ga」から始まり,当時は表現能力や処理速度が据え置きハードと比べ大きく劣る携帯ハードという制約の中で,それをあまり感じさせない演出や,“ごった煮”とも言える独特の世界観で,多くのファンを集めていった。
 ロマサガ1はそんな携帯ハードでの展開が一段落し,表現力が飛躍的に高くなったハードに環境を移しただけでなく,RPGの黄金期とも言える時代に斬新なシステムを数多く採用して,当時のゲーマーたちに強いインパクトを与えた作品だ。著者を含め,「サガシリーズといえばまずロマサガ1」というゲーマーは少なくないはずで,その後のシリーズの方向性を決定づけた記念碑的な存在と言えるだろう。

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 一方,シリーズの再出発作品ということもあって,ロマサガ1にはシステム面や難度という点で,荒削りな部分が多々あったのも事実だ。そんなロマサガ1をほぼゼロから構築し直して高評価を得たのが,本作のリマスター元となるミンサガとなる。変更点を挙げていくとキリがないが,例としてはグラフィックスの3D化,キャラクターボイスの採用,イベントやキャラクターの増加,戦闘システムの一新など多岐にわたっている。名作ではあるのだが,発売から15年以上経つこともあり,未経験者が改めて触るにはハードルが高かった。

 その状況を一変させるのが,今回のHDリマスター版だ。リメイクではないので,ロマサガ1からミンサガほど大きな変化はないものの,単なるビジュアルの高解像度化だけで終わらず,システム面やキャラクター面での強化も行われている。
 今回,発売前に同作をプレイする機会を得たので,そのレポートをお届けしよう。対応プラットフォームは多いが,今回はPS5版を使用しており,コントローラの操作などもそれに準じている。

グラフィックスのモデリング自体はミンサガと変わらないが,テクスチャなどの解像度は大きく向上しており,4K表示でも違和感をあまり覚えない程度のクオリティになっている
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「殺してでもうばいとる」ことができるのが,とても新鮮だったロマサガ1


 本作の舞台は,マルディアスと呼ばれる世界。創造神によって生み出されたこの世界では,かつてデス,シェラハ,サルーインという三邪神と,主神であるエロールの間で大きな戦いがあった。人間とモンスターを巻き込み,争いは長きにわたって続いたものの,人間の英雄であるミルザの活躍と,エロールが作り出した宝石ディステニィストーンにより邪神は封印。平和な時代が訪れ,神々の戦いは人々に語り継がれる伝説になっていった。

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 それから1000年後,かつての戦いはすでにおとぎ話のような存在になったが,危機は去っていなかった。長い時間により封印の力は弱まりつつあり,世界に平和をもたらしたディステニィストーンは世界中に拡散,さらに手下の暗躍により邪神の復活が目前に迫っていたからだ。

 さまざまな境遇にありながらも,邪神との戦いに巻き込まれていく8人。プレイヤーはその1人を操り,数多くの決断を繰り返しながら世界の危機に立ち向かっていく……というのが本作の世界観の大まかな説明になる。

 まずオリジナルのロマサガ1から変わらない点を挙げていくと,本作はプレイヤーの行動や選択がゲームの進行に直結する,自由度が非常に高いRPGだ。プレイヤーは貴族の息子や海賊,旅芸人といったステータスや境遇が大きく異なった8人のキャラクターから好きな人物を選び,冒険を進めていく。

好きなキャラを選び,プレイヤーの名前やクラスを設定してからゲームをスタートする。クラスは後から簡単に変更できるが,最初に設定したスキルは得意スキルとなり,後ほど修練所でスキルを上げるコストが少しだけ安くなる
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 環境が違う故にキャラごとに序盤の展開は大きく異なり,例えば貴族の息子であるアルベルトは序盤に近場のダンジョンを掃討するものの,その後モンスターの集団に城を襲われ命からがら隠し通路から脱出。友好国に助けを求めるつもりが,思わぬトラブルで遠方の極地に流されて,そこで仲間を得てさらにモンスター討伐をすることに……と,劇的でジェットコースターのような物語が進む。
 普通に進めていれば戦闘の機会も多く,一段落つく頃にはそれなりの経験を積んで強くなっている。選択の自由は少ないが,序盤の展開は一種のゲームのチュートリアルを兼ねており,ロマサガ1では初心者向けとされていた。

不幸体質としか言いようがなさそうなアルベルトだが,それだけに序盤の目標はしっかりしている。個人的に残念なのは,姉とパーティが組めないことだろうか
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 一方でたとえば旅芸人のバーバラは序盤の展開が極めてシンプルで,ウェストエンドという開拓地の町でダンスを踊るだけだ。元々風来坊的な立ち位置もあり,お礼としてとあるアイテムを手に入れた後は進行に特に制限は無く,可能な範囲でどこに移動して,誰を仲間に引き入れてもいい。言ってみればほぼ完全に自由だが,それ故に決まった行動の指針や目的がなく,最序盤から“世界に放り出される”感が強いのも印象的だ。

極限まであっさりしている印象の,バーバラの導入部。主人公としてはもちろん,仲間にしても非常に頼りになる
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 こういったように各キャラの特徴の違いもさることながら,「誰で始めるかで世界を見る視点が変わる」のが新鮮で,これが繰り返しのプレイの楽しみにつながっている。

 序盤はキャラごとの違いが目につくが,それ以上に大きく変化していくのが“その後”の展開だ。本作はロマサガ1の頃から「フリーシナリオシステム」と呼ばれる仕組みを採用しており,これによって何をするか(あるいはしないか)がプレイヤーにゆだねられ,人それぞれの千差万別な物語となっていく。
 当時,このシステムは多くのゲーマーに斬新かつ新鮮に受け止められ,シリーズの核とも言えるシステムになっていった。

誰を仲間に加えどの依頼を受けるかで,その後のプレイの展開は変わっていく。悩ましいところだが戦ってケリをつけられる場合,勝てるならそっちの方が効率がいいことがままある
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 具体的には各地の町などで情報収集をしていると,多くの事件や事象が(ミンサガ以降は)プレイヤーノートというメモに追加されていくが,これらのイベントを積極的に追いかけてもいいし,放置してしまってもいい。情報を得た時点では進展がないものや,逆に放置していると勝手に解決(あるいは進行不能)になってしまうものもあり,予定どおりにいかないことも珍しくない。さらにイベント中にも相手の頼みを聞くのか,あるいは力尽くで解決するのかなど,解決方法が複数用意されていることも多く,ここでも「倫理を優先するか,手間を省くのか」といった選択が重要になっていく。
 またこの選択自体も後のイベントの展開に影響するなど,かなり複雑な条件で進行が管理されており,それだけに次にプレイするときは別の選択を試してみたくなるのだ。

イベントがすでに終わっている場合に,それに応じたセリフに変わるキャラもいる。自分が関われなかったときはしょうがないので,次周の宿題にしておこう
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かの名言(?)「殺してでもうばいとる」から若干ニュアンスは変わったが,基本的にできることは今作でも同じ。とはいえ今回はきっちりと戦闘になってしまうので,本当に(力尽くで)奪い取る必要がある
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 これだけなら,現在のオープンワールド作品などによく見られる,クエストベースのRPGの原型とも言える仕組みだが,実は本作の自由度は徹底しており,メインクエスト自体が存在しないような作りになっている。正確には前述の導入部の物語にあったように,「邪神サルーインを倒す」という目的はあり,さらに手下は各地で秩序を乱す悪行を働いている。しかし,実はそこに至る道程でこれを解決する必要はなく,ひたすら敵を倒して淡々と自分たちを鍛え上げるだけでもサルーインには挑めてしまうのだ。

イベント中の選択はその結果に影響するが,場合によっては別のイベントの進行に関係してくることもある。とはいえ知らなければ未来を予知することはできないので,思った通りに選択すればいい
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 さらに最大6人編成(ミンサガ以降は5人)となるパーティに誰を加え,誰を外すかも自由だ。一部のキャラは外すと再加入が不可能になる者もおり,ステータス的にそれなりの向き不向きはあるものの,装備などの制限は一切ないので極端なパーティも普通に組めてしまう。キャラの成長もレベルや経験値という概念がなく,使用した武器や行動によって上昇ステータスが変化していくので,同じキャラでも使い方によって差が生まれる。
 サガシリーズは昔からあっと驚く縛りプレイや,やり込みプレイが多いが,こういった制限の少なさが挑戦を生む土壌になっているのは間違いないだろう。

ステータスは戦闘終了時に自動的にアップする。基本的には強い敵を倒すほど,能力も上がりやすいようだ
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原点であるロマサガ1をベースにしつつも,完成度が高まり成熟したRPGとなったミンサガ


 以上のように当時のゲーマーを驚かせたロマサガ1だが,システムやバランス面では荒削りな部分も多かった。一例を挙げるなら,シンボルエンカウントの敵が非常に多く,戦闘そのものを避けるのは困難だったし,戦いを繰り返しても思い通りにこちらが成長できない場合は,敵がどんどん強くなっていって対処が難しかった。選択したキャラによっては,最序盤からまず倒せない敵が多数うろつく場所に放り出されるのはもちろん,動的に変化するイベントは発生や進行条件が判断しにくいものも多く,何をしたらいいのか途方に暮れることも少なくなかった。
 コツを掴んだり正確な攻略情報にアクセスできたりすれば話は別だったが,難度は相当に高く,著者もロマサガ1をプレイした当時は,途中で挫折してしまった記憶がある。

地域にもよるが,広いフィールドは徒歩で踏破するのが大変なほど。逆にダンジョンはコンパクトなものも多いが,通路が狭いぶん戦闘を避けづらい
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 そこでロマサガ1を尊重しつつも,時代にあわせたアップグレードを行い,そういった諸々の問題解決が図られたのが,本作のベースとなったミンサガだ。こちらも前述のように3Dとなったグラフィックスの変化が目につくが,それ以外の変更点も多岐にわたるので,ざっと紹介しておきたい。

 まずは戦闘システムに,大幅なテコ入れがされた。ロマサガ1では存在しなかった「閃き」システムがロマサガ2から逆輸入される形で採用され,(変な言い方だが)グッと“ロマサガっぽく”なった。強敵と対峙すると閃きやすいのも共通しており,強力な技を覚えることによりゲームの進行が一気に楽になるのは,何度体験しても実に爽快でサガシリーズの醍醐味を味わえる。

戦闘中に電球が頭の上に現れれば,待望の閃きタイム。何を覚えられるかはランダム性が強いが,似た系統の技を閃きやすいという特性はあるようだ
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 また複数のキャラが一斉に攻撃をおこなう「連携」,一部の技が強力になる「無足」や「加撃」,さらにはメンバーが特定の位置で連携を発動すると生まれる「陣」など,シリーズ作の多くの要素が組み込まれているのも大きな特徴だ。本作はバランスがロマサガ1から調整されているとは言え,強力な敵は一撃で味方を戦闘不能にしてくるダメージを与えてくるなど,結構容赦ない。それ故にこういった追加要素を活用し,「やられる前にやる」が基本になるはずだ。つながりやすく強力な連携を見つけるのもまた,技の閃きの楽しみの1つと言える。

強力なのはもちろんのこと,無理につながった愉快な名前が登場しやすいのも,連携の特徴。回避が得意な敵も連携技は避けられないようなので,そういうタイプにはなおさら狙っていきたい
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 システム面では「クラス」と「スキル」という概念が追加され,パーティメンバーそれぞれが独自の働きをできるようになった。具体的にはキャラにはそれぞれ弓や盾,火術などのスキル値が設定されており,金とは別に管理されるジュエルを修練所で消費することによって,能力を上げられる。例えば片手斧のスキルを上げれば片手斧の技を閃きやすくなり,技を発動するための消費BP(ほかのRPGで言うMPのようなもの)も低減していく仕組みだ。

 さらに各キャラは同じく修練所で特定のスキルを上げることで,クラスを名乗ることができる。例として前述の片手斧に加え,細剣と水術を取得することで海賊になることができ,クラスの特性として行動が素早くなるというメリットが得られるのだ。上級職ともなれば連携の確率を高めたり,強力な合成術を発動したりと,さらなる有利な特性を身につけられるが,それだけ必要なスキルも多く,プレイヤーにジュエルの使い道を悩ませる。
 これらはキャラの成長度とは切り離されているため,ジュエルさえ手元にあれば,新規に加入したキャラでもスキルを学び即戦力になりやすいのは,プレイしていて嬉しいところだ。

一定のスキル条件を満たすと,さまざまなクラスを名乗れる。あえて何も選ばないこともできるが,技の消費ポイントが減るなど基本的にメリットしかないので,理由がない限り何かのクラスにはついておこう
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 またスキルにはフィールド上で使う「マップアビリティ」が追加されており,崖を登って先に進むためのクライミングや,隠された宝箱を探すための宝箱サーチなどの能力が発動できる。これらはダンジョンなどの探索時により多くの報酬を得るための手段になることが多い。見逃せないのが隠密スキルにあるステルスと忍び足だ。文字通り隠れて進むためのテクニックで,両方を同時に発動して進めば,ほとんどの敵はこちらに気付かず素通りできる。
 もちろん接触すれば普通に戦闘になるし,マップアビリティの使用回数にも制限があるため,ステルス無双とはいかないのだが。

戦闘スキルに比べると地味な存在だが,マップアビリティはダンジョンの報酬を増やしたり,戦わずに敵をやり過ごしたりできて非常に重要だ
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 本作はロマサガ1から大きく調整が入ったとはいえ,狭いダンジョンなどでは敵を相当に避けづらい。相手は発見次第高速で襲いかかってくるし,狭いと迂回もできず,さらに逃げ回った末に追いつかれると,敵に先制を許してしまう危険もある。近くにいる複数の敵がチェイン状態になって,回復できないまま連戦になることも多く,さらに前述の連携は敵も発動してくるため,先に攻撃されて敵の連携技を食らったあげく,あっさりと誰かがやられる……なんて事態もありうる。
 ゲームに慣れてくると「最深部にいるボスは倒したいが,道中の雑魚とは戦いたくない」という状態も珍しくない。敵を避けるには運や指先のテクニック,あるいはリセットなどが必要だったロマサガ1に比べ,隠密スキルは明確な改善点と言えるだろう。

こちらを見つけると猛烈な勢いで迫ってくる敵も,ステルスや忍び足をつかえばこの通り。このまま避けて進めばいいが,戦うつもりなら後ろから触って先制攻撃を狙おう
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 シナリオ面でもイベントやキャラクターの追加,各キャラのボイスの追加とセリフの調整,ムービーシーンの採用よる演出の強化,期間限定キャラの明確なプレイアブル化など,大幅な強化が図られている。ロマサガ1のイベントは各主人公で共有するものが多く,各セリフは印象的ながら全体的にシンプルなものが目立ったが,ミンサガではボイスの追加や動きのある演出で臨場感が大幅に増した。戦闘時も一定の条件でセリフを発し,場を盛り上げてくれる。冒頭で触れたようにミンサガ自体も発売から相当な時間が経過しているが,ロマサガ1の比較的淡泊な展開が記憶に残っている人には,大きな変化のはずだ。

ボイスがあるからこそ,印象に残るイベントも多い。新規のものはもちろん,ロマサガ1から存在するイベントでも異なるイメージを抱くかもしれない
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会話やイベントで明かされない設定なども,吟遊詩人の弾き語りによって語られることがある。これも追加要素の一つだが,終盤に明かされる正体を考慮すると,これらは単なる伝承ではなく恐らく事実なのだろうと思われる
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 こういった演出面の強化だけでなく,イベントの管理がプレイヤーノートで一括して行えるようになったので,「何が発生しているのか」と「(情報さえあれば)次に何をしたらいいのか」を確認できるようになり,初心者でもグッとプレイしやすくなっている。近年のゲーム作品では当たり前になったタスク管理機能だが,ロマサガ1の発売当時はそういった仕組みはそこまで一般的ではなかったので,これも時代に即した変化と言えるだろう。
 また町にいるギユウ軍というキャラからは,システムの細かい仕様が確認可能で,ゲーム内ヘルプも充実している。本作は確認しておくステータス項目が少し多めなので,初心者はチェックしておくとスムーズにゲームを進められるはずだ。

話を聞いたり関わることになったイベントは,プレイヤーノートから一気に確認できる。完了したものには「○」アイコンが表示されるので,どれだけクリアしたかも管理可能だ
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新システムで快適度がアップし,さらにプレイしやすくなったリマスター版


 ここからは,リマスター版での変更点をまとめておこう。高解像度化を除くと,一番大きなポイントはシステムに手が入ったことにより,ゲーム速度が向上し快適度がアップしたことだろう。オプション設定により,フィールドの移動や戦闘時,そしてイベントでもゲーム速度を等倍/2倍/3倍に切り替えられるようになった。速度変更はR3(右スティック)の押し込みでいつでも可能で,切り替えた時点でゲーム内のほぼすべての速度がアップする。
 これはプレイヤーの移動速度はもちろん,連携などの戦闘時の演出も含まれるため,設定すれば純粋にゲームのテンポが向上する。連携に関しては派手な反面,ものによっては何度も見ることになるので,ここが加速されるのは嬉しい人も少なくないはずだ。ただし,狭いダンジョンの移動に関しては敵の速度も同じだけ上がってしまうため,避けるのがさらに難しくなってしまう。基本的には広い外のフィールドや町の中,そしてワールドマップの移動で使うことになるだろう。

右下にあるのがゲーム速度の設定。等速は「x1」と表示され,さらに2倍の「x2」と3倍の「x3」に設定できる。本作では画面にミニマップが表示されるようになったが,画面のように中央部に重ねるように表示することもできる
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 また快適さというポイントでは,町で任意の店にファストトラベルできるようになったのも嬉しい。これも町中にいればスタートボタンから「パッと行く」を選びいつでも実行可能で,瞬時に目的の店舗にたどり着く。ゲーム速度アップとの併用も,もちろん可能だ。また[△]ボタンからは修練所を含め店舗の品揃えがいつでもチェック可能で,何を売っているのか知りたいときにも大いに役立つ。商品チェックの機能はワールドマップからでも利用できるので,実際にその場所に移動することなく,目的の商品を探すことも可能だ。

オプションボタンで開く画面からは各店舗へのファストトラベルと,ラインナップチェックが可能に。町中を移動する手間が省け,グッと時間が短縮できる
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 同じくシステム面ではセーブ&ロードの機能が非常に充実しており,宿屋でのセーブ,メニュー画面からの通常セーブ,[L2]でいつでも実行できるクイックセーブ,そして画面が切り替わるタイミングなどで実行されるオートセーブの4種類が存在する。これらはいつでも,戦闘時ですらロード可能で「ヤバい」と思ったときはいつでも目的の場面に復帰できる。またクイックセーブは非常にお手軽で,今回プレイした中では一番お世話になった。
 なお宿屋セーブと通常セーブに,機能的な違いは特にないようだ。ただ,宿屋セーブはセーブファイルに「宿屋」のマークがつくため,これをロードすれば町に戻れて(ないに越したことはないが)ハマり状態からでも安全に抜け出せる。不要に感じるなら,もちろん利用しなくていい。

メニュー画面からいつでもセーブとロードが可能になったので,基本的にソフトリセットを利用する必要はない。また画面の左下には時間経過を指すと思われるゲージが追加され,どれだけ物語が進んでいるか即座に確認できる
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 細かいながらに嬉しい配慮としては,メニュー画面の左下に時計のようなゲージが追加された。ゲーム内のヘルプには明確な説明が見当たらなかった気がするが,これは物語の進行度を表しているようだ。戦闘を繰り返すほど時計回りに進んでいき,今回チェックした限り戻ることはない。本作は時間の経過がイベントの発生や終了に大きな影響を与えるので,ゲームに慣れた人ほど目安として役立つだろう。
 また「煙玉袋」という,戦闘開始前にほぼ確実にノーリスクで逃げられるアイテムが標準で追加され,10回までなら気軽に戦闘を避けられるようになった。使用しても使い捨てではなく宿屋で中身を補充できるので,これを考慮してダンジョンのクリア計画を立ててもいいはずだ。

「煙玉袋」は装備系のアイテムの1つとなっている。使用のリスクがない分,戦術の中に逃走を組み込みやすくなるので,すぐに使わなくても装着だけはしておきたい
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リマスター版で追加された要素は,ゲーム開始時に利用するか選択できる。途中で変更はできないが,ミンサガをプレイしたい人には嬉しい機能だ
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 ゲームの開始時には時間経過の設定が可能で,原作基準の「普通」と北米版基準の「ゆっくり」が選べるようにもなっていた。
 シナリオ面では基本的にミンサガと変わらないものの,一部の物語やプレイアブルキャラクターの追加が行われている。今回プレイした範囲では,帝国の女性騎士であるモニカと,騎士団の術士であるフラーマの加入を確認できた。本作は魅力的なサブキャラが多いので,こうやって連れ回せるキャラが増えるのが嬉しいのは筆者だけではないはずだ。

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 公開情報によるとさらにシェリル,マリーン,アルドラの3名のキャラクターが追加されるとのことなので,お目当てのキャラがいるなら期待しておこう。また今回は体験するところまではたどり着けなかったが,強力な“裏ボス”が十数体追加されているとのことで,やり込みプレイヤーはさらなる挑戦を楽しめるはずだ。

追加機能としてはさらに,最大1000個のアイテムを預けられる無料の倉庫が用意された。各地のギユウ軍やショップなどからいつでも利用できるので,とりあえず不要なものはバンバン預けておこう
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 本作はリメイクではなくあくまでリマスター版なので,キャラクターのモデリングやフィールドやダンジョンなどの背景,さらに飛ばすことができないワールドマップでの移動演出など,時代を感じさせる要素があるのは否めない。移動の高速化も,あくまでゲーム全体のスピードアップなのでダッシュなどが実装されたわけでなく,敵の動きも速くなるという弱点もある。欲を言えば,こういった部分にも手が入っていれば嬉しかったところだ。

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 とは言え,それは本作自体のRPGとしての完成度の前には大きな問題ではなく,純粋にマルディアスの各地を仲間と共に巡る冒険が楽しく感じられた。ロマサガ1はプレイしていたが内容はかなり忘れており,右往左往しながら35時間以上プレイして,サルーインに2回負けて(原稿締め切りの)タイムアップという苦いプレイの思い出になったことは自慢できないが……。
 作品自体は特に,現代的な“快適さ”に力が入っていることもあり,新キャラクターに興味があるミンサガプレイヤーはもちろん,ロマサガ1以来の古参ゲーマー,さらにはこの機会に名作に触れてみたい人にも文句なくオススメできると思う。興味があればぜひ,手にとってプレイしてみてほしい。

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「ロマンシング サガ -ミンストレルソング- リマスター」公式サイト

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