プレイレポート
[プレイレポ]“三國死にゲー”「Wo Long: Fallen Dynasty」は攻略しがいがある探索パートと,手に汗握るハードなボス戦のメリハリが楽しい
4Gamerでは1月に前半の一部分をプレイした模様を掲載している(関連記事)が,今回は冒頭から本作をプレイする機会を得たので,あらためてレポートを届けしたい。筆者がプレイしたのはPC版(Steam版)で,,スクリーンショットも実機で撮影したものになる。
なお,紹介している内容は序盤に留めているが,一部はネタバレが含まれている。また,オンライン要素に関しては,レビュワー向けの先行プレイの時期ということもあって,最低限の要素しか触れられなかった。この点を理解してもらえると幸いだ。
後漢末期の中国,黄巾の乱で荒れる大陸に新たなる脅威と,それを打ち砕く英雄達が集まりつつあった
本作の舞台は後漢末期の中国,言わずと知れた三国志の時代だ。黄巾の乱によって世は乱れ,王朝の力も衰退するなかで,大陸は戦乱の世に突き進みつつあった。そんな激動の時代で,名もなき義勇兵のひとりとして,黄巾党が襲う村の救援に当たっていたのがプレイヤーの分身となる義勇兵だ。
見境なく暴れ回る黄巾の一団を倒すなかで,たまたま目隠しをつけた少年の命を助けた主人公。だが彼と言葉を交わす暇もなく,その直後に賊に襲われた主人公は致命傷を受けてしまう。大義を果たすことなく,そのまま命は尽きてしまうかと思われた。
だが,なぜか主人公は死ぬことはなかった。少年の力によるものなのか傷もなく息を吹き返し,そのまま再び戦いを続けることになる。そしてその先には単なる戦乱だけでなく,人知を超えた恐ろしい妖魔の暗躍や,それに対抗しうる超人的な武将達との出会いが待っていた……というのが,本作の冒頭部分の流れとなる。
ゲームを始めて,プレイヤーがまず行うのはキャラクタークリエイトだ。あらかじめ設定されてるプリセットから好きなものを選び,そこからカスタマイズを進めていく。
全体としてプリセットの出来は良く,さらに顔の造形や髪型,声の種類とトーンや肌の色などをかなり細かく設定が可能で,プレイヤーごとにこだわった作りにできそうだ。また,あとから変更できるため,まずはプリセットで始めて,ゲームの雰囲気を掴んでからマイキャラを調整するのもいいだろう。
さて自分の分身を作り出したら早速,逆境に満ちた三国志の世界を冒険することになる。本作は三人称視点のアクションゲームであり,ステージごとに決められたボスを倒すと,新たなステージに移動し,物語も先に進むリニアな仕組みを採用している。また後述するチェックポイントから,サブクエストに挑むことも可能だ。
フィールドそのものは広大とは言えないが,高低差がある場所が多く脇道や隠しアイテムも豊富で,探索のしがいは十分にある。さらに死にゲーらしく,要所要所に手強い中ボスが待ち構えているだけでなく,途中のザコも場合によっては十分な脅威になるので,決して気は抜けない。
プレイ中,特に気をつけたいのが「士気ランク」という概念だ。これは画面の中央下部,敵の場合は頭の上に表示される数字のことで,基本的には高ければ高いほど“強い”状態であることを意味している。相対的に敵よりこちらが高ければ,与えるダメージが大きくなるだけでなく受けるダメージも小さくなる……ということは,反対に低ければろくにダメージを与えられないし,下手をすれば一撃で殺されてしまう。
敵に倒されるとチェックポイントからやり直しになるだけでなく,経験値に当たる「仙氣」を半分失ってしまい,さらにこちらの士気ランクが不屈ランク(詳細は後述)の値まで低下してしまう。デスペナルティで失った士気や仙氣は,その敵の元に再度訪れて倒せば手元に戻るが,こちらがやられた時点で敵の士気は上昇するため,更なる強敵になっていることを意味する。つまりデスペナルティは,思いのほか高いということだ。
とはいえ,本作には士気ランクを高める方法がいくつも用意されているため,死ぬだけで詰み状態になってしまうことはない。まず一番分かりやすいのが「軍旗」と「標旗」で,両方とも士気ランクの下限となる不屈ランクを高める効果を持っている。
特に軍旗はチェックポイントとして,レベルアップやスキル(仙術)の付け替え,さらに死んだ際の再スタート地点の機能も持っているため,非常に重要な施設だ。軍旗と標旗はフィールドの各地に点在していて,場合によっては脇道に隠されていたりするので,まずはこれを見つけるのがフィールド探索の一番の目的になるだろう。
ただ一部の軍旗は明らかに一回り強い,中ボスとも言える敵を倒さないと利用できない。この場合はまず別の手段で,こちらの士気ランクを高めてから挑む方が安全だ。
士気ランクは単純に敵を倒すことでも上昇していくが,敵に対しうまく立ち回ることでさらに効率よく増やせる。アクションとしては「氣勢攻撃」と「絶脈」が代表的だ。
まず前者の氣勢攻撃は,簡単に言えば隙が大きめの大攻撃と言えるもの。画面中央の氣勢ゲージを消費することで発動でき,ゲージの残量に比例したダメージを与える。弱い敵なら一撃で瀕死になるのも珍しくない。だが,氣勢ゲージには魔法に当たる「仙術」などの使い道もあり,さらに減りすぎると一定時間スタンしてしまうので,ある程度使いどころは見極めたい。
後者の絶脈は,敵に大ダメージを与えつつ士気ランクを下げられる必殺技のようなものだ。弱い敵なら一撃で葬り去り,強い敵でも大きくライフを削ったうえで弱体化できるという,狙わない手はない技となっている。ただし発動できるタイミングは決まっており,敵の氣勢を限界まで削った状態か,敵が気づいていないステルス状態での奇襲でしか使用できない。
ステージの道中では“この絶脈をどれだけ発動できるか”によって難度が大きく変わる。遠回りして敵の背後を突いたり,屋根から強襲して絶脈から戦闘を開始したりすることで,大幅に敵の脅威を減らし,さらに士気ランクまで上げられるのだ。
全体的に敵の探知力は低めなので,背後などから積極的に狙うのは決して難しくない。本作のステージ探索は純粋にアイテムや標旗などを探すことも目的だが,それと同時に「初手に絶脈が可能な良い位置取りを探す」ことを意識すると,グッと攻略しやすくなる仕組みになっていると感じた。
攻防一体の「化勁」を狙い,敵の攻撃を受け流せ
本作のアクションで特に重要なのが「化勁」(かけい)と呼ばれる,敵の攻撃を回避しながら,いわゆる“パリィ”を発生させる動作だ。発動する方法は,敵の攻撃が当たる直前にボタンを押すだけで,成功すればもちろん受け流してノーダメージで済む。この時,こちらの氣勢が増えるだけでなく,敵のガード不可攻撃である「秘技」に強力なカウンターを決めることもできるので,通常のガードより重要度はかなり高い。端的に言えば,戦闘をどれだけスムーズに進められるかは,この化勁をどれだけ成功させられるかにかかっている。
化勁の特徴を強く実感することになるのが,ガチンコバトルとなるボス戦だ。閉鎖した空間での真っ向勝負となるので,前述のステージ中のザコのように不意を突くことはできず,また回復薬がなくなったからといってチェックポイントに戻ることもできない。そして死にゲーである本作のボスは常に殺意満点で,油断しなくてもある程度の行動パターンが分かるまではあっさり殺される。
ボスは通常の敵と違い,いくら倒されても士気ランクが上がって強くなったりはしない。だが筆者は,最初のボスの張梁の時点で,何度殺されたか途中で数えるのをやめてしまうほど苦戦した。一撃でやられることこそないものの,全体的な攻撃力の高さはもちろん,赤く光る秘技は当たるととてつもなく痛い。さらにガードの上から連続攻撃を次々繰り出し,こちらの氣勢を容赦なく削ってくるなど,プレイヤーのメンタルに焦りという攻撃も仕掛けてくる。
おまけに耐久力も申し分なくタフで,通常攻撃で体力を削っていくだけでは,いつ倒せるか絶望してしまいかねないほどだ。
ただこの状況を一変できるのが,前述の化勁だ。特に秘技への化勁は敵の氣勢を大幅に低下させ,何度か繰り返せば大ダメージの絶脈を発動できる。ボスの強烈な攻撃をかわし,同時に体力を大幅に削るには化勁からの絶脈を狙うしかなく,これこそが本作のバトルのキモと言えるだろう。
これを言うだけなら簡単だが,化勁は発動タイミングがズレれば普通に攻撃が直撃してしまうし,それがガード不可の秘技だった場合は体力が激減したうえに士気ランクも下がるので,目も当てられない状態になる。つまりハイリスク・ハイリターンな選択肢を否が応でもとり続けるしかなく,それ故にボス戦は基本的に一瞬も気が抜けない,常にヒリヒリした手に汗握る展開が続くのだ。
結果として負ければ純粋に悔しいし,逆に繰り返し挑戦したうえでの勝利の喜びはひとしおだ。また「こんなの倒せるの?」と思った強大な敵が,繰り返し挑戦することでいつの間にか「あとちょっとまで追い詰めたのに!」と状況が変わっていくのは,自分の上達が感じられて感慨深い。
なお本作は経験値によるレベル制を採用しているので,どうしても敵わないボスに遭遇したら,復活するザコを繰り返し倒すなどしてステータスを上げることもできる。項目は中国の五行説になぞらえ「木徳」「火徳」「土徳」「金徳」「水徳」に分かれており,それぞれ体力や攻撃力などを司っていて,好きな順番で強化可能だ。
また五行は,先に触れた仙術の要素としても取り入れられている。こちらも主に炎で攻撃する「令火」,防御力などを上げられる「令土」など種類は豊富で,好きなものを組み合わせて戦闘に活用できる。最初は覚えられる種類も少ないが,特に自分と味方を強化できるバフ系は使いやすく,ザコはもちろんボス戦でも生存力を高める手段になり得るはずだ。
さらに武器や防具などは,基本的にフィールドでランダムで入手できるようになっており,序盤でアップグレードも解禁され,素材と銭を消費して強化できる。本作はスタンダードな剣,射程は長いが振りが遅めな大刀,とにかく重いが攻撃力も高い大槌など武器の種類も多く,お気に入りを強化すれば戦闘を有利に進められる。また防御力の強化も有効で,しっかりと固めていけば特にザコ戦で死にづらくなり,道中の危険を大幅に減らせるだろう。
本作は死にゲーではあるが,キャラクター強化の手段はいろいろと用意されていて,しっかりと準備することである程度まで攻略しやすくなる。腕に十分な自信があれば良いが,そうでない(筆者のような)場合は,可能な限り下準備することをオススメしたい。
“らしさ満点”の三国志の英雄達と共に,死に満ちた冒険に出よう
本作の舞台は三国志時代ど真ん中ということもあり,ファンなら誰でも知っている有名武将が次々登場するだけでなく,武将によっては味方として一緒に戦ってくれるのが嬉しい。序盤だけでも趙雲,劉備,関羽などスターが目白押しで,次に誰が出てくるのかとワクワクしてしまう。コーエーテクモゲームスのタイトルらしく,キャラクターには「三國志」や「真・三國無双」シリーズを彷彿とさせるような雰囲気がある描き方が印象的だ。
世界観としては魑魅魍魎が跋扈しており,一般的な三国志の世界そのものではないのだが,こういった数々の武将の登場により自然と三国志の世界に入り込むことが可能なだけでなく,ひとりの英雄という立場で存分に活躍できるのは非常に楽しい。
また死にゲーとして定番の非同期型オンライン要素も採用されており,ほかのプレイヤーが死んだ場所に立っている旗からバフを得たり,その敵を倒すことでアイテムを入手できたりと,ゆるめのマルチプレイもうまくゲームに組み込まれている。冒頭で触れたように,共闘や対決などの直接的なマルチプレイは体験できなかったが,非同期のものだけでも十分にほかのプレイヤーの存在を感じられると思う。
全体としては,プレイヤーの工夫や立ち回り次第で難度やプレイしやすさがかなり変化するステージ攻略部分と,容赦ない強敵とガチンコ勝負となり,場合によっては“自分の死体を積み上げて体で覚える”ことをストレートに要求するボス戦部分のメリハリが非常に効いている印象だ。ステージの道中では周囲を見渡す視野の広さと慎重さも大いに役立つが,ボス戦では敵の強烈な攻撃を淡々と化勁(パリィ)で弾き続ける冷静さと大胆さも重要であり,このコントラストの違いは本作の大きな特徴だと思う。
とはいえ,開発テーマの“ダーク三國死にゲー”はうまく実現していると思う。特にボス戦の緊張感は並々ならぬものがあり,文字通りコントローラを持つ手にかなりの汗を握ってしまった。さすがにアクションゲームが苦手な人には少し勧めづらいが,死にゲーと三国志が好きな人はもちろん,ダークな世界観や高難度のアクションゲーム,あるいはひと味違った三国志のゲームに興味が湧いたら,挑戦してもらいたい一作だ。
「Wo Long: Fallen Dynasty」公式サイト
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