プレイレポート
本日のおすすめ「アフォガート」です。魔女のカフェ経営RPG×美少女ADVに“タワーオフェンス”を注いだ新作ドルチェ
タンピング圧力で抽出した熱々のエスプレッソを,純白でヒエヒエのバニラアイスに注ぎかけて溺れさせてしまうそれは,苦くて甘い,熱くて冷たい,不思議な口当たりのイタリアンドルチェ。
一番の食べ時は,遅めのランチで客足の少ないお店を見つけたとき。
本日おすすめいたしますは,そんなデザートの名を冠する,シングルプレイ用の新作ゲーム「アフォガート」となります。
本作は“より良い二次元ゲームを制作する”ことをたった一つの目標とする,中国・上海のBefun Studioの開発タイトルで,Spiral Up Gamesによるパブリッシングで提供されます。
コンセプトはJRPG×アニメ×タワーオフェンスの融合。プラットフォームはPC(Steam)。発売予定は来年の2023年内となります。
今回はそんな「アフォガート」より,本日2022年7月29日に公開されたデモ版(Steam)を先んじて遊んでみました。
「Spiral Up Games」公式サイト
魔女のコーヒーは,あなただけの一杯
とある夕暮れどき。お人よしな赤髪(※)の魔女「アフォガート」は,地獄の大悪魔にして少女のような「メフィスト」と借金まみれのカフェを経営すべく,夜の明けぬ町「アローラ」に引っ越してきました。
魔女の仕事は悪魔を祓い,人間を救うことですが,アフォガートはなぜかメフィストと契約している様子。しかも,浸食度なるものが100%になるとその身を食べられてしまう……と言いますが。
そんなことより家賃がローンで40000ドル。手持ちは残り100ドル。当面は経営費に交通費にクレジットカードにとお金お金お金の苦難。
「この世に助けを呼ぶ声がある限り,私は魔女としての使命を果たす!」アフォガートが前向きな間は,その身もしばらくお預けです。
※アフォガートの髪は自称「ローズピンク!」であり,赤と言うと怒る
PC版はWASD移動を基本としたキーボード操作で,アフォガートを走らせたり,アイテム画面を開いたりしてゲームを進めていきます。
そして消えないネオンで煌々と照らされるアローラの町並みは,ビューティショップの隣に文房具屋があるなど雑多な光景ですが,駅から少し歩いたところに2人が営むカフェ「Wichery」があります。
アフォガートはこれから,この店でさまざまなお客さまと出会い,彼らの声に耳を傾け,悩みを聞いてはコーヒーを挽いていきます。登場人物たちのシニカルで小気味のいい会話もフレーバーが満載です。
なお,お店の二階は2人の寝室のため,お客さまの出入りは厳禁。
Wicheryの開店準備中に入り込んできてしまった初めてのお客さまは,しがないライターを自称する元記者の青髪美人「ナタリー」。
彼女は勤めていた新聞社が倒産し,現在は地下室暮らしの身。かつてはジャーナリズムに燃えていたキャリアも,今では魔法に吸血鬼にユニコーンといった空想の産物を糧に,オカルトブログ“女神奇談”の女神ナナさまとしてSNS発信で糊口をしのいでいます。
この町で元記者がご飯を食べるには,オリジナリティもリアリティもクオリティも必要ない。なんとも身に染みる境遇ですね。
コーヒーは神々の贈り物であり,人間の親友であり,残業を心地よくする飲み物である――そんな論者の彼女のために,優しいアフォガートはさっそく一杯のコーヒーを作ってあげることにします。
もちろん,魔女の窯ではなく,最新のコーヒーマシンで。
コーヒーを淹れるのはバリスタの基礎。けれど優秀なバリスタは,お客さまの言動から「どんなコーヒーを飲みたいのか」を読み解き,人それぞれの口にあったコーヒーを提供する手腕が問われます。
当のコーヒー作りはなかなかに手間,コホン。もといカフェ題材のゲームとしてはかなり本格的で,プレイヤーはマシンと材料を使い,一つ一つの手順を丁寧に追って,おいしいコーヒーを淹れていきます。
例えばアメリカーノ(アメリカン。お湯で薄めた一般的なコーヒー)であれば,豆をグラインダーで挽いて粉にし,粉をマシンにセットしたらエスプレッソをカップに抽出して,そこに水をそそぐことでベースができ,さらにシーズニングとして砂糖を適量入れたら完成。
ミルクやチョコチップといったテイストも客任せではなく,アフォガート自らが調整するため,まさにセンスが問われるところ。
余談ですが,コーヒーマシンによっては粉を用意してドリップするだけで,同時にお湯を注いだアメリカーノを作ってくれます。
一方で,本作のように“少量の深入りなエスプレッソ”をベースとして,お湯を注げばアメリカーノ,ミルクをスチームして注げばラテ,さらに泡立てたフォームドミルクでふわふわを飾ればカプチーノなどと,継ぎ足しで完成品を変えていくのはイタリア式の作り方と言えます。
ちなみにエスプレッソは高温高圧でギューッと絞った,一口量の濃ゆーいコーヒーであり,イタリアの方々の気付けの一杯です。慣れないととっても苦いです。コーヒーショップで「やたら安いから」と頼んで,口内が「ぐえー!」となったことのある人もいるかもしれません。
これをクイッといけるとデキるヤツっぽいですが,実際のところ現地の方々は「いや普通に砂糖をゴソッと入れるけど」な飲み方が普遍的ですので,おいしいと思えないならする必要なし。たっぷりの砂糖は溶かしすぎず,先に液体だけクイッといって,カップの底に残った“濃厚コーヒー味のシュガー”をスプーンですくい,口内に幸せを運ぶのが本場流。
といったコーヒーの豆知識を駆使するなどすれば,ゲーム内では魔女の手により,「カフェ・アメリカーノ・ミントチョコチップ唐辛子リンゴレモン水抹茶紅茶ブレンド」などの個性的な飲み物も作れます。
自慢の一杯でナタリーを満足させると,1人残されたWicheryにまた新たなお客さま……ではなく,悪魔憑きの男性がやってきます。
アフォガートとメフィストには手慣れた状況なのか,彼女らは特殊な視点「ウィッチビジョン」を駆使し,相手の心をのぞくことに。
悪魔に憑かれた人々の「心の迷宮(マインドラビリンス)」に侵入し,リスがナッツを蓄えるように封印されている記憶を見つけ出して,人の心に巣くう悪魔を祓う。それがアフォガートの魔女としての使命。
つまり,ゲーム的にはここからバトルのお時間です。
タワーディフェンスならぬ“タワーオフェンス”をうたうバトルシステムは,「そのまんまの真逆な構図」が思いつくなら話は早し。
敵の侵攻を防ぎきるのではなく,敵に進軍しきるといった流れです。
さらにタロットカードをモチーフとした,すべての魔女が憧れる宝物「魔女カード」も駆使します。こちらは育成できる戦闘キャラクター,かつパーティ編成の要素を含み,初期状態では「戦車」「力」の2枚,ゲーム進行に応じて「世界」や「愚者」などが加わっていきます。
大まかなルールは「魔女をステージ上に召喚して歩かせ,道中で敵を倒してアイテムやリソースを稼ぎ,最奥を目指す」といったもの。
戦うのはアフォガート自身ではなく,召喚した魔女たちであり,彼女らはHPや攻撃力,それぞれの特殊能力などを備えています。
操作は主に「魔女カードの召喚」「特定マスの進路変更」「魔法カードの使用」の三点で,やれることは少ないですが,やることは多し。
攻撃も進路上の近くの敵にオートアタックですが,クリックすればフォーカスを変更可能。でも最初は忙しいので忘れてOK。
トコトコと歩くかわいらしいミニキャラも,気分を盛り上げてくる愉快なジャジーサウンドも,それだけでデザイン的にGOODです。
とはいえ,ゲームの難度はわりと高いほうでしょう。
魔女カードの召喚には「パンタ」(MP的な概念)が必要なため,アタッカーな力の魔女をいつ投入し,タンクな戦車の魔女をどこで立たせるか。プレイングが肝心です。全般的に「考えなしにやると即全滅。限りあるパンタを限界ギリギリで切り盛り」な構造ですし,魔女はやられても再利用できるものの,ペナルティでパンタ費用が増大してしまいます。
手持ちでやりくりする魔女カードの編成は最適か?
レベルを上げた魔女カードはそれであっていたか?
パンタ持ちの敵を的確に倒せるルート取りなのか?
方向転換や回復魔法をミスらずに使用できそうか?
封鎖された道を迂回し,隠し道を見つけられるか?
これらの試行錯誤により,ゲームとしてはパズル的な味わいで,いかに自分なりの正解をなぞってクリアを目指せるかが問われます。
バトルでは「心の欠片」「元」「記憶」といったリソースを取得できますが,本デモ版はカフェも含めて“それぞれの機能を体験する”にとどまっており,お金の使い方や一連のゲームサイクルは不明でした。
しかし,本作は「1日の行動を効率的に定める」といった進行により,カフェで儲ける,お客さまと話す,バトルに挑むなど,夜24時になるまでの時間を使って行動を選んでいく遊びになるようです。
また小耳に入った情報では,攻略可能なキャラクターは計6人だとか。アフォガート,メフィスト,ナタリーのほかに「アオイ」「セラ」といった名称も見受けられ,それぞれ専用シナリオがあるみたいです。
現状で目にできている範囲では,色とりどりの美少女キャラオンリーでしたが,このあたりは今後のお楽しみでしょうか?
アフォガートとメフィストの和やかな雰囲気に反して,物語は笑い事じゃない悪魔が息づいていることを示唆するかのように,近所にあるホラー映画に出てきそうな名前の名門校「グレイスキャッスル学院」では,高校生たちが次々と気を失うという怪事件が発生しています。
非凡な女性たちが,ファンタジックでスリリングな世界観のなか,平凡な日常を過ごす。一日のはじまりと終わりには香るコーヒー。それも誰かのためだけにがんばり屋の魔女がブレンドする,特別な一杯。
アフォガート,アフォガード,あるいはアッフォガートは,別添えのエスプレッソを回しかけた瞬間から,バニラアイスが溶けていきます。
食べるのにゆっくりと時間をかけようものなら,まもなく甘ったるくてほんのり苦い砂糖液に変わってしまう。熱くて冷たい不思議な口当たりの楽しさは早いうちだけ。それはゲームのご賞味とて同じこと。
■「アフォガート」制作:Befun Studioのコメント
皆さま、はじめまして!Befun Studioと申します! 私たちは「より良い二次元ゲームを製作する」ことをたった一つの目標として、日々邁進しております!
スタジオは2019年、上海にて創設されました。二次元を愛する魔法少女たち、あっいえ失礼、二次元魔法少女を愛する同好たちによって結成されました。
私たちにとっての一作目になる『アフォガート』は、二次元タワーオフェンスJRPGとなっており、2023年にリリースすることを予定しております。皆さまと魔女の世界でお会いすることを楽しみにしております!
ゲームで笑顔と喜びを!
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