インタビュー
「ライザのアトリエ3〜終わりの錬金術士と秘密の鍵〜」インタビュー。広大なフィールドを冒険して,シームレスにバトルが展開
主人公ライザリン・シュタウト(ライザ)が大きな反響を呼んだ「ライザのアトリエ 〜常闇の女王と秘密の隠れ家〜」(PS4/Switch/PC,以下「ライザ1」),その続編となる「ライザのアトリエ2〜失われた伝承と秘密の妖精〜」(PS5/PS4/Switch/PC),以下「ライザ2」)からなる「秘密」シリーズの3作目だ。この「秘密」シリーズは,25年続いている「アトリエ」シリーズで最大のセールスとなっている。
「アトリエ」シリーズにおいて,同一主人公が3作続投するのは,今作が初めてのこと。ライザと仲間たちが再び集い,“最後の夏の冒険”に乗り出すことになる。そんな今作で目指しているものは何なのかを,プロデューサーの細井順三氏に聞いた。
シームレスなフィールドを冒険できる新たな「アトリエ」
4Gamer:
「秘密」シリーズも今回で3作目ですね。「アトリエ」シリーズで同一主人公の続投は珍しいのに,それが3回目となるとなおさらです。
細井順三氏(以下,細井氏):
同一の主人公が成長する物語を作っていきたかったので,ライザが続投するというのは,当初からの構想通りになります。幸い,前作もユーザーさんに好意的に受け入れていただけたので,今作もライザを主人公にできました。
4Gamer:
物語も当初から3部作構想だったのでしょうか?
細井氏:
3部作で締めくくれたら……とは考えていましたが,ライザの物語が2部作で終わるか,3部作まで続くのかはユーザーさんの反応で決めることにしていました。「ライザ1」も「ライザ2」も拡張性のある舞台は用意していましたが,2作目以降どうするかなどを具体的に決めていたわけではありません。我々としては,1作でも満足していただけるゲームを作りたいと思っていますので。
4Gamer:
今回は“最後の夏の冒険”ということで,ライザの物語の終着点のようなイメージでしょうか。
細井氏:
はい,今作ではライザの青春の終わりを描いています。ライザが人生を賭してもいいと思える,大切な使命を見つける物語にしたかったんです。
「ライザ1」では17歳のライザが錬金術や新たな友達と出会いました。そして,「ライザ2」では,20歳のライザが田舎のクーケン島から都会の王都へ出て,壁にぶつかりながら,もう一度自分を見つめ直します。そして,ライザが自分が何になりたいのかを改めて問いかけ,人生を形作る物語を描くのが「ライザ3」です。20代は,1〜2年経つだけで,自分自身の内面や周囲からの評価が大きく変わる時期ですから,錬金術士をがむしゃらに目指した先で何がしたいのかを,決めていくことになります。
4Gamer:
今作のライザは,前作よりもお姉さんっぽい雰囲気ですね。
デザイン的にもそうですし,ライザを演じてくださっている,のぐちゆりさんの演技に引っ張られて,より成長したようにも感じています。
4Gamer:
太ももも成長しすぎでは?
細井氏:
どうでしょうか……? 制作していて,どれぐらいにすればいいのか分からなくなっているのかもしれません(笑)。
4Gamer:
麻痺してますね(笑)。
今作について,システム面ではどういった部分で進化しているのでしょう?
細井氏:
分かりやすいのはフィールドです。今作では,“広大なフィールドで,シームレスに自由な冒険が楽しめること”にチャレンジしています。
「アトリエ」シリーズとして今後どう進化するのかの方向性は,「ライザ1」を作った時点から考えていて,数作品をかけてさまざまな目標を実現してきています。「ライザ1」「ライザ2」の広いフィールドやアクションゲームのように感じられる戦闘,「「ソフィーのアトリエ2 〜不思議な夢の錬金術士〜」の移動から戦闘への切り替えがシームレスになったバトルシステムなどですね。
4Gamer:
広大と言うと,今作はオープンワールドで冒険ができるんですか?
細井氏:
いいえ,オープンワールドではありません。プレイ感自体は,今までと変わらないものを目指しています。作りとしては,地方ごとに大きなマップが1つ,その大きなマップの中にある小さなマップ内はシームレスにつながっているイメージです。例えばクーケン島周辺という大きなマップがあるとすると,その中にある「秘密の隠れ家」を出発し,「小妖精の森」「旅人の道」「火山ヴァイスベルク」……と小さなマップをずっと走っていくぶんには,全部つながっているのでロードが発生しません。
4Gamer:
なるほど。これまで登場してきた場所がロードなくつながっていると,変化が大きく感じられそうですね。フィールド内でファストトラベルはできるんですか?
細井氏:
できます。フィールドの中にはファストトラベルのポイントとなる「ランドマーク」が点在していて,そこを中心に遊びや探索が広がっていく形になっています。
移動だけでなく,バトルにもロードなく移行しますし,今作では移動を妨げないように,直接手で拾えるものは走りながらボタン1つで採取を行えるようにもしました。フィールドが広がったぶん,遊びやすくなるよう調整しています。
4Gamer:
採取で足が止まらないのは便利ですね。
細井氏:
ほかにも,フィールドがリアルタイムで昼から夜へと変化するようになったり,旅の途中でランダムクエストが発生したりと,これまでなかった冒険感を刺激する要素が新たに入っています。
全体的な遊び方としては,オープンワールドRPGのような“どこでも好きな方向へ歩いて行けば,ユーザーさんごとに異なった自由な物語が展開する”というものではなく,あくまで「アトリエ」シリーズのフィールドが大きくなったものとお考えください。「ライザの冒険をより体験してもらいたい」「ライザが歩いてきた道をシームレスに歩けるようにしたい」「JRPGとしての価値を上げたい」というのが目標です。
調合や戦闘では前作をベースに新要素を追加
4Gamer:
調合システムとバトルシステムはどう変わるのでしょう?
細井氏:
調合と戦闘については,どちらも前作が好評でしたので,大きく変えることはしていません。調合は「秘密」シリーズでお馴染みの「リンケージ調合」をベースに,タイトルにもなっている「鍵」という新要素が追加されます。鍵の詳細は,続報をお待ちください。
4Gamer:
前作では,フィーの存在によってこれまでと別の錬金術を扱うことになるという理由で,ゼロからのスタートでしたよね。今作ではどうなるんですか?
細井氏:
ゼロからではなく,成長した主人公としての扱いになっています。なので,一部のアイテムを除いて,また最初のフラムから全部覚え直すみたいなことにはなりません。
ただ,前作で登場した「エボルブリンク」(完成アイテム同士を掛け合わせて新しいアイテムを生み出したり,特殊効果を付与したりする能力)は,すでに遊ばれている方ならご存じの“とある理由”から今作では使えません。このあたりは,続編で主人公を変えていたこれまでの「アトリエ」シリーズとの違いですね。
細井氏:
戦闘に関しては,評価の高い「ライザ2」のものをより快適にし,「ソフィー2」の“フィールドからシームレスにつながるバトル”という体験を強化したものになっています。
バトルには5人が編成でき,そのうち前衛3人が直接戦うという形式です。切り替えや交代を使って,いろいろなキャラクターを操作できます。
4Gamer:
今作はプレイアブルキャラクターが11人ということですが,かなり増えましたね。
細井氏:
それぞれ個性的なので,組み合わせを楽しんでいただけると思います。普通にプレイするぶんには,この組み合わせでないと厳しいみたいなこともありませんので,お気に入りのキャラクターで楽しんでください。
4Gamer:
11人のうち,新キャラクターは何人いるのでしょう?
細井氏:
3人です。皆さんから再登場希望の声が大きかったキャラクターもプレイアブルになっていますので,こちらも発表をお待ちください。
受け継がれていく「アトリエ」シリーズ,その分岐点となる作品に
4Gamer:
ここしばらくのガストブランド作品では,グラフィックスの進化が続いていますね。「ライザ3」もより美しいグラフィックスになっているように感じられます。
細井氏:
そうおっしゃっていただけるとうれしいです。「ライザ3」では,よりライザを可愛らしく感じられるような表現ができていると思います。夏の物語らしく,よりコントラストが効いた表現になっていますし,表情も増えました。
また,モーションについても今までと違った機能を導入していますので,動かしていて面白いものになったと思います。例えば,移動中に急激に方向を変えたときのモーションが増えて,足で急ストップをかけるような動きになりました。これまで以上に,キャラクターを見ていて楽しいと思います。
4Gamer:
今作は,「ライザ3」の発売から2年ほど経っての発売となりますが,前作よりも時間をかけて作っているんですか?
細井氏:
そうですね。新しいシステムの制作や,キャラクターシェーダの変更を始めとした基礎技術を作るのに時間がかかりました。
4Gamer:
続編ものは,どうしても作品を重ねるごとにプレイしてくれる人も減ってしまいがちですよね。前作をやってこそ,みたいな部分はありますし。
それなのに,新シリーズの「アトリエ」ではなく,「ライザ3」にそこまで力を入れているのはなぜなのでしょう?
細井氏:
おっしゃるとおりです。続編は遊んでくださる人などが,減ってしまう可能性が高いというのは確かだと思います。ただ,だからと言って縮小して作ろうというのは,シリーズとしても正しいのかどうか……という思いがあって。我々が目指すものを作り,今回できたものを今後の新シリーズにつなげたかったんです。
ですので,思い切って社内で提案しました。そうしたら,嬉しいことに,反対されることなく受け入れられました。
4Gamer:
「ライザ3」も楽しみにしています。
細井氏:
後に「アトリエ」シリーズを振り返ったとき,転機として記憶される作品を目指しています。そのために,オープンでシームレスなフィールドを導入し,グラフィックス面もさらに進化させました。
もちろん,今作に限らず,常に最高のものを作りたいと思っていますが,「ソフィー2」とは違うアプローチで,「ライザ3」は25周年記念作品として,今後の「アトリエ」シリーズに残せるものを持つ,現時点での最高傑作にしたいと鋭意開発中です。ぜひ注目してください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「ライザのアトリエ3 〜終わりの錬金術士と秘密の鍵〜」公式サイト
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