新作パズルゲーム「PUZZUP AMITOI」，制作時のこだわりとは？ アート・デザインディレクターのコメントを紹介

　NCSOFTは2023年9月26日に，新作パズルゲーム「PUZZUP AMITOI」（iOS / Android）をリリースした。


　本作は，3つ以上のブロックを揃えて消す，ジャンルとしては一般的な“マッチ3パズルゲーム”だ。しかし，落ちてくるブロックの方向をプレイヤーが指定できるユニークなシステムを持つほか，レベルクリア時に獲得できる「星」を使って冒険に役立つ報酬や可愛らしいキャラクター“Amitoi”を入手できる「スターツアー」，ほかのプレイヤーと協力できるクランシステムなど，パズル以外の要素も楽しめる。
　ちなみに，このAmitoiというキャラクターは，同社の新作MMORPG「THRONE AND LIBERTY」（PC / PS5 / Xbox Series X|S）に登場する，魔法人形Amitoiのアートコンセプトがもとになっているそうだ。

韓国で実施されたβテストでのキービジュアル。Amitoiらしきキャラクターがいる

「THRONE AND LIBERTY」公式サイト

　今回，正式リリースに合わせて，本作のアートディレクターのイ・デヒョン氏，デザインディレクターのソ・スンホ氏から4Gamerにコメントが届いたので本稿で掲載しよう。

（左から）イ・デヒョン氏，ソ・スンホ氏

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●「PUZZUP AMITOI」のリリースを迎えた感想

イ・デヒョン氏：
　パズル開発室のアートチームに加わり，やっと「PUZZUP AMITOI」（以下，PUZZUP）をリリースすることになりました。
　ポップでキュートなAmitoiキャラクター，多彩なカラーのボタン型ブロック，愉快なギミックオブジェクトを盛り込んだ，NCから始まる新しいジャンルのマッチ3パズルゲームを日本のプレイヤーの皆さんにプレイしていただけることを大変嬉しく思います。
　たくさん準備をしましたので，楽しくプレイしていただけると嬉しいです！

ソ・スンホ氏：
　パズル開発室に合流して約2年，本格的に「PUZZUP」の開発を始めてから1年半で「PUZZUP」をリリースすることになりました。NCで始まる新しい試みに参加することになり感無量です。とくにパズルジャンルへの関心と人気が高い日本にもリリースすることができ，とても嬉しく思いますし，日本の皆さんが「PUZZUP」を好きになってくれたら，さらに嬉しいです。


●パズル（ブロック）について

イ・デヒョン氏：
　ブロックやギミックを作る際には，ゲームプレイでの目の疲れやプレイ体感を損なわないように気を付けつつ，「PUZZUP」の魅力と個性を盛り込むことに努力しました。
　パズルゲームの特性上，長く画面を見続けることになるので，目が疲れないように，ブロックについては濃いカラー（原色）は避け，彩度と明度を何度も調整し，シルエットや形状に差をつけて1つ1つのブロックを容易に，そして明確に判別できるようにしました。


　特殊ブロックについても，上記ブロックの基調を参考に，「PUZZUP」ならではの世界観を盛り込んだ新しいコンセプトを，ユーザーの皆さんの体感を考慮してデザインしました。
　例えば，レインボーボム（風車型のブロック）は，周囲のブロックをすべての色のブロックに変化させる効果を持っているので，各ブロックで使用されている5色を使って翼を表現し，爽やかな使用感やブロックが弾けて広がるエフェクトを，風がそよいでいるような印象を受けるように，試行錯誤を経て演出しました。


　「PUZZUP」のデザインは美しい色彩と魅力にあふれています。そして，「PUZZUP」を初めてプレイする方にも気軽にプレイしていただけるように，たくさん悩み，愛情を込めて制作しましたので，思う存分楽しんでいただければと思います！

ソ・スンホ氏：
　アート的にはパズルゲーム特有の「明るくて華やか」な部分，「打撃感」と「ブロックが弾ける楽しさ」に注目して遊んでいただけると嬉しいです。
　企画的には，「PUZZUP」の楽しさをプレイヤーの皆さんがはっきりと感じられるように，各レベルのギミックがどう作用するか，各ブロックがどのような因果関係になっているかなどを分かりやすくなるよう，たくさん要請を出しました。AD（アートディレクター）のイ・デヒョンさんはとても大変だったと思います。すでに完成した効果を減らしたり，多数の調整を行いました。

　「PUZZUP」は，上下左右4方向すべてをプレイヤーの選択によって使用できるため，開発初期のバージョンでは，とても目が疲れやすくなるという短所がありました。これを解決し，よりシンプルで直観的な形で「PUZZUP」の楽しさをプレイヤーの皆さんに感じてもらえるよう，調整をお願いすることになりました。
　やや演出や効果が弱いとマイナスに感じられるかもしれませんが，よりパズルを解く楽しさに集中することを突き詰めた結果として，プラスに捉えていただければと思います。
　加えて，色覚モードやフラッシュ効果に関するオプション，カメラ揺れに対するオプションも提供していますので，もし目が疲れていると感じる方は，このようなオプションも活用してみてください。 皆さんの目は大切ですからね！


●「PUZZUP」で生まれ変わった「Amitoi」について

イ・デヒョン氏：
　「PUZZUP」のAmitoiは友達を意味する「Ami」と「toy」を組み合わせて作られた造語で，「おもちゃの友達」という名前らしく，親しみやすく愛らしいイメージを作ることに重点を置きました。

　「PUZZUP」に登場するAmitoiは，NCからリリース予定のゲーム「THRONE AND LIBERTY」（以下，TL）に登場する魔法人形Amitoiのアートコンセプトを基にデザインされています。
　そのため，パズル開発室でも開発初期には「TL」チームから共有された3DのAmitoiコンセプト原画を参照し，可能な限り原型を維持した状態でアニメーションを適用し，「PUZZUP」のゲーム内へ実装を試みました。


　しかし「PUZZUP」のコンセプトとなる，2Dで描かれたカジュアルで明るく暖かい雰囲気の中に，「TL」のAmitoiをそのまま登場させることには無理がありました。「TL」のAmitoiたちは，3Dモデリングとテクスチャマップで制作されており，「TL」の世界観に基づいたシリアスな印象を与えるため，低彩度の色味で構成されていたからです。
　そこで，開発室内部で「PUZZUP」ならではの個性と特徴を盛り込んだ，Amitoiのリニューアルを進めることになりました。


　まずは，カジュアルな雰囲気を表現するため，複雑な装飾やディテール，形状を単純化し，低彩度の色味を明るく補正，キャラクターにアウトラインを適用することで，よりAmitoiが強調されるようにリニューアルしました。さらに，Amitoiの個性と魅力をより発揮するために可愛い表情とアニメーションを付けるなど，「PUZZUP」ならではの特徴を大事にした，新たな「PUZZUP」の「Amitoi」をデザインしました。



　このようなAmitoiたちと一緒に旅をする「フィールド」でも，Amitoiとの親和性を高められるよう気を使いました。
　そんなフィールドの1つ，「ベネルクスの縫製室」は，Amitoiが誕生する場所というコンセプトでデザインされ，毛糸や布，縫製の素材などを通じて温かさと現実的な雰囲気を演出し，Amitoiの世界と私たちの住む世界が結びついて構成されるようにデザインしました。


　さらにリニューアルを進めながら，Amitoi達のアイデンティティを維持するため，顔，体，衣装の表現において，ボタンとステッチの表現が可愛く見えるように考慮し，現在の「PUZZUP」のAmitoiたちの見た目が完成しました。


　また，2Dフォーマットでの表現に，多様性とAmitoiならではの長所を積極的に取り入れ，ユーモアあふれる表情とダイナミックなアニメーションを追加で制作。「PUZZUP」を楽しむプレイヤーの皆さんにAmitoiの持つ魅力と個性を感じてもらい，収集欲を満たすことができるよう，デザインの方向性について議論を重ね，試行錯誤を繰り返しました。


　「PUZZUP」に登場するAmitoiたちは，世界中のプレイヤーを対象に，東/西洋どちらにも偏向しないように，開発室のアートデザイナー全員で，さまざまな意見と方向性を議論して制作されています。
　日本のプレイヤーの皆さんも，きっと気に入ってくださると思います。たくさん愛してくれたら嬉しいです！


ソ・スンホ氏：
　TLに登場する「Amitoi」を初めて目にしたときはすごく戸惑いました。ご存知のように，TLはとてもシリアスな雰囲気のゲームなので，TLバージョンのAmitoiは，パズルジャンルと言われたときに思い浮かぶイメージとあまりマッチしませんでした。


　プロトタイプを進めるときはアートチームの人材も足りず，TLチームから共有してもらったリソースやテクスチャをリタッチして使っていましたが，「ティム・バートン」氏の作品が連想されるような見た目と色味だったので，どう見ても「PUZZUP」の世界感とはアンバランスな感じがありました。
　案の定，最初のFGT（※）以後，このような指摘をたくさん受けるようになり，ADの決断ですべてのAmitoiキャラクターとUIに至るまで，リニューアルして今の姿になりました。
　個人的には，今のAmitoiたちやUIはとても可愛くて好きです。私はとくに「パーシー」というAmitoiが両手をポケットに入れる動作が好きです。
　まだ皆さんにお披露目していないスキンの中に，「バカンスパーシー」というスキンがありますが，本当に可愛いです！ あ！この可愛さを確認するには，来年の夏までに……プレイを……していただかないと……！

※FGT：Focus Group Testの略。ゲームリリースする前に，限定的に人を集め事前テストを行う事

≪Amitoi「パーシー」≫
ペンギン界の異端児で好奇心旺盛なAmitoi

●事前登録，リリースイベント限定スキン「魔法学校制服シリーズ」について

イ・デヒョン氏：
　「PUZZUP」は「ベネルクス」と呼ばれる魔法学校の見習い魔法使いになったプレイヤーの冒険から物語が始まります。ここをポイントに，アートチームはプレイヤーとAmitoiの共感，絆を与えるために，魔法学校の制服スキンをデザインすることになり，可愛くてはつらつとしたPUZZUPのマスコット「ヘルピー」をはじめ，さまざまな魔法学校の制服コンセプトをデザインしました。
　現代的な制服の様式から，想像の中でベネルクス魔法学校の制服を着ているAmitoiの姿を思い描き，現在のポップでキュートな制服スキンをデザインしています。


　さらに，ヘルピーの制服スキンのデザインを基調として，「リトルルナ」と「ティロ」の制服スキンをデザインすることになりました。全体的に神秘的で安定感のある青色で統一感を与え，制服姿になっても各Amitoiの個性や，特徴を反映するよう心がけています。
　可愛くて賢そうに見えるリトルルナは，メガネと少しだけ飛び出した前髪を追加して，わんぱくなティロは活動的な印象を与える為に，躍動感のある帽子，マント，おもちゃの魔法弓を持たせました。
　個人的には，コスプレに挑戦してみたいくらい魅力的だと思っていますが，日本のプレイヤーの皆さんは，いかがでしょうか？


ソ・スンホ氏：
　「PUZZUP」では，プレイヤーたちは「ベネルクス」という名の魔法学校の見習い魔法使いであり，Amitoiとの不思議な出会いを経て，冒険に出かけます。そうやって出会ったAmitoiが魔法学校の制服を着るなんて，なんて素敵なことでしょう！
　魔法学校の制服シリーズは事前登録報酬（※）と，リリースイベントでのみ獲得できるスキンなので，ぜひ今すぐプレイして手に入れてください！


※事前登録報酬の「魔法使いへルピー」のスキンは，12月31日までにゲームにログインすると獲得できる。「リトルルナ」のスキンは10月24日までのリリースイベントで入手可能だ


●日本のプレイヤーに一言

イ・デヒョン氏：
　全世界で愛されるゲームやアニメを発信し続けている日本で，PUZZUPをリリースすることができ，とても嬉しくワクワクしています。
　過去，多数の日本のキャラクターアニメーション制作の仕事に参加した経験をもとに，「PUZZUP」を身近に感じてもらえるようにデザインを行いましたので，きっと日本のプレイヤーの皆さんにも，「PUZZUP」を愛していただけると思っています。ポップでキュートな「PUZZUP」に登場するAmitoiたちと一緒に楽しむ冒険をお楽しみに！

ソ・スンホ氏：
　パズルゲームやアニメなど，全世界で愛されるキャラクターをたくさん生み出している日本でリリースすることができ，嬉しい半面，心配にもなります。 日本のプレイヤーの皆さんに，上下左右自由に方向を選んで遊べる「PUZZUP」ならではの特徴を楽しんでいただければと思います。そして，Amitoiたちもたくさん可愛がってくださればと思います。

「PUZZUP AMITOI」公式サイト

「PUZZUP AMITOI」ダウンロードページ

「PUZZUP AMITOI」ダウンロードページ