［インタビュー］「Star Wars Outlaws」の開発者に話を聞く。Ubisoftのノウハウを活かしたオープンワールドのスター・ウォーズ

　Ubisoft Entertainmentが制作を発表したオープンワールド型アクションADV「Star Wars Outlaws」（PC / PS5 / Xbox Series X|S）について，開発を担当するMassive Entertainmentのジュリアン・ゲリティ（Julian Gerighty）氏に話を聞いた。

「Star Wars Outlaws」公式サイト

　「Star Wars Outlaws」は，日本時間2023年6月12日に実施されたXbox Games Showcaseで制作がアナウンスされ（関連記事），翌13日に配信されたUbisoft Forward 2023でゲームプレイ映像が公開された新作だ（関連記事）。Ubisoftと傘下のスタジオであるMassive Entertainmentが，Lucasfilm Gamesの監修のもとに開発を進めている。2021年1月にUbisoftとLucasfilm Gamesが「スター・ウォーズ」タイトルについて提携したことはすでにお伝えしているが（関連記事），本作では，「ディビジョン」シリーズに使用されて高い評価を受けたゲームエンジン「Snowdrop」の最新版が採用されているという。


　主人公となるのは，賞金首のスカウンドレル（密輸入者や小悪党の意味）の若い女性ケイで，クリーチャーのニックスを相棒に，密輸などに手を染めつつ，帝国の支配がまだ及ばない，無法者たちが集まるアウター・リム・テリトリーで自由に生きている。そんなケイが，やがて銀河史上最大ともいえる，一世一代の大仕事をやってのける物語が，本作で描かれるという。



4Gamer：
　これまで数多くのスター・ウォーズのゲームがリリースされてきましたが，UbisoftとMassiveにとっては初のプロジェクトとなります。大切にしようと考えているのは何ですか。

ジュリアン・ゲリティ（以下，ゲリティ）氏：
　おっしゃるとおり，スター・ウォーズのIPを使ったゲームは，たくさんあります。Xウイングに乗ったり，ライトセーバーとフォースで戦ったりなど，数十年にわたるゲームの歴史の中で名作とされるタイトルも少なくありません。とはいえ，ファンが望む物語の中には十分に描かれていないものもあると考えおり，それがスカウンドレルなのです。銃器の扱いも，プロの兵士であるバウンティハンターとは違いますし，トラバーサル（移動）もジェダイとは異なります。世界の見方もまったく違うでしょう。体の一部のように動いてくれるペットがいて，さまざまなガジェットを使いこなすという，これまでのシングルプレイキャンペーン型のアドベンチャーには登場していないタイプのキャラクターであり，スター・ウォーズのファンの皆さんの希望に十分応えられると思ったのです。


4Gamer：
　オープンワールド型であるのもスター・ウォーズのゲームでは珍しいですが，実際にどのような感じなのでしょうか。宇宙空間での移動が必要なミッションなどでは，すごく時間がかかりそうです。

ゲリティ氏：
　まず，大きな組織に属していないスカウンドレルがスターシップに乗り，宇宙を自由に駆け巡ることが，もう1つの重要な要素だと言えます。公開したゲームデモで描かれた，トシャラ（Toshara）という星の都市ミラガナ・シティに行ってみましょう。ここは不法売買など何でもありの巨大都市で，いろいろな施設がある中，フラりと立ち寄ったカンティーナ（酒場）の隅で怪しげな人物と出会い，ちょっとした仕事（ミッション）を得ることができます。そうですね，街外れにある帝国軍の施設から，あるものを奪ってくるという内容だったとしましょう。
　簡単そうな仕事だからとスピ―ダーに飛び乗り，街から離れたところまで来たときに，いきなり丘の向こうに宇宙船が墜落するのを目撃します。無法者としてのプレイスタイルに慣れた人なら，「残骸の中に，何か金目のものがあったりするんじゃないか」と考えるかも知れません。そこでミッションを中断して宇宙船の残骸に向かおうが，ミッションに集中しようがそれは自由です。さらに宇宙船の近くで何かを見つけたりイベントが発生したりすれば，そこから別のミッションが発生していくことになるかも知れません。

4Gamer：
　つまり，宇宙船がいきなり墜落してくるようなイベントがランダムに発生するわけですか。

ゲリティ氏：
　そのとおりです。宇宙空間を飛ぶ必要があるミッションもありますが，移動中に海賊に襲われるかもしれませんし，すでに発生した大きな戦闘の残骸の中から何かを見つけるかも知れません。ゲームのデザインとして，ダイナミックでランダムに発生するイベントが，ミッション遂行中にいろいろと起こり得るのです。


4Gamer：
　ゲームの背景となる，映画「エピソード5/帝国の逆襲」と「エピソード6/ジェダイの帰還」の間の期間は1年ほどです。自由度の高さは，時間を忘れてプレイを楽しむことにもつながりますが，スター・ウォーズサーガの1つの物語と考えた場合，プレイヤーにある種の緊張感を与えて先を急がせるような仕組みはあるのでしょうか。

ゲリティ氏：
　もちろん，メインストーリーをこなしていく上で，プレイヤーに緊迫感を持ってプレイしてもらうための要素はいろいろ考えています。しかし，それは「ゲームタイム」であって「（ストーリー上の）リアルタイム」ではありません。
　ミッションを成しとげる上で，時間が切迫して緊張感が高まるといったことは非常に重要だと思いますが，酒場でアーケードゲームを遊んで時間をつぶすといった活動は，やはりプレイヤーの選択に委ねられてしかるべきだと私は考えています。Ubisoftはこれまで，オープンワールド型のゲームをいくつも開発していますが，この「Star Wars Outlaws」も，過去のゲームのデザインから大きく変わることはないでしょう。


4Gamer：
　公開された映像では，主人公ケイは最初はステルスで行動をしていますが，敵に見つかってアクションが始まり，途中で止めてスピーダーバイクで逃亡します。ミッションはあのように流れがあるものになるのでしょうか。

ゲリティ氏：
　いえ，100％プレイヤーが自由にプレイできます。もしステルスですべてをこなそうというのなら，それに挑戦できますし，建物の中にいる敵を全員倒そうと思えば，それもできるかも知れません。ニックスは，ケイの体の一部のように動き回ってくれますが，ケイが腰を落として静かに動いていれば，場所を指定しただけでニックスも敵の視界を掻い潜ります。そして，アクションが始まれば，どこからか武器を拾ってきて，ブラスター･ピストルしか持っていないケイにA300ライフルを渡したりします。どのようにプレイするかはプレイヤー次第で，ニックスもそうしたプレイに対応して，相方役をしっかり果たしてくれますよ。

4Gamer：
　ケイのスターシップには作業台も見えましたが，クラフティング要素もあるのでしょうか。シールドを持った敵と遭遇したとき，武器に何かをしていましたが。

ゲリティ氏：
　ケイの基本的な武器はブラスター・ピストルですが，ゲーム中に見つけたり購入したりした，さまざまなモジュールを組み込めます。たとえばシールドを持った敵に遭遇したら，モジュールを比較的短時間で交換し，ブラスターをフォーカスドに切り替えることでシールドに対してダメージを与えられるようにして，さらに銃床で殴りつけるという動きを見せていました。

4Gamer：
　ニックスは，どのようなことができますか。

ゲリティ氏：
　モノを盗んだり，敵の注意をひいてケイの作業をしやすくしたり，シークレットエリアを探し出したりできますが，さらに敵を直接攻撃することもできます。映像でも，ケイを撃とうとしたキャラクターの手に噛みつくシーンがありますよ。


4Gamer：
　ND-5というドロイドは，ケイにとって相棒のような存在なのでしょうか。

ゲリティ氏：
　彼はクローン戦争のときに大量生産されたBXシリーズのコマンドー・ドロイドで，非常に暗い過去を持っています。ケイのボディーガードとして雇われているとかいった間柄ではないのですが，彼についてはゲームのストーリーを通して知っていくことになります。

4Gamer：
　シューティングの部分は，ターゲットへのロックなどプレイしやすそうな印象で，「ディビジョン」シリーズのMassive Entertainmentらしいと思いました。スピーダー・バイクで敵を振り切るシーンでは，ケイがアビリティのようなものを使っていましたね。

ゲリティ氏：
　ありがとうございます。「ディビジョン」シリーズはよりマルチプレイにフォーカスしたゲームですが，本作は，これまで我々が培ってきたノウハウをしっかり受け継いだ作品になっています。アビリティなどについても，いずれお話できる機会があるでしょう。

4Gamer：
　今回のゲームプレイデモの舞台はトシャラという本作オリジナルのロケーションで，月とのことですが，これはアキヴァ（Akiva）の月ということでいいですか。

ゲリティ氏：
　いえ，映像に出てきましたが，トシャラからアキヴァへ行くためにはハイパードライブを使わなければならないほど離れた場所にある別の星系の天体です。もう1つ，キジーミ（Kijimi）という星も発表していますが，現時点でロケーションとしてお伝えしているのは以上の3つだけです。おなじみのものを含めて，これ以外にも複数存在しますが，それは時期を見て発表する予定です。

4Gamer：
　キジーミといえば，「エピソード9/スカイウォーカーの夜明け」に出てきた雪の惑星じゃないですか。トシャラは「Star Wars Outlaws」のスタート地点なのですか。

ゲリティ氏：
　いえ，公開したデモはかなり序盤に近い部分ですが，今はお話できない星からゲームが始まります。すべてオープンワールドで描かれているので，いろいろな星を探索すれば新しい発見があると思います。

4Gamer：
　本作に期待している読者に，一言いただけますか。

ゲリティ氏：
　「Star Wars Outlaws」は，スター・ウォーズのファンの少なくない人々が持っているであろう「スカウンドレル・ファンタジー」を描いたオープンワールド型アクションアドベンチャーゲームです。今回はまだ詳しく紹介することはできませんが，よく知られた世界を，スピーダーやスペースシップで旅することができますし，宇宙空間に出てアクロバット的なフライトコンバットも楽しめます。いつか，もっとお話ができるのを楽しみにしています。

4Gamer：
　本日はどうもありがとうございました。


　スター・ウォーズファン注目の新作「Star Wars Outlaws」については，Massive Entertainmentの別の開発者にも話を聞いており，ナラティブデザインや，それに関連した「評判システム」のようなゲームの詳細についてもお伝えしたいと考えている。ぜひ，楽しみにしてほしい。

「Star Wars Outlaws」を開発する，Massive Entertainmentのクリエイティブディレクター，ジュリアン・ゲリティ氏

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