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「風来のシレン6」発売が待ち遠しい! 日本にローグライクを根づかせた金字塔シリーズの足跡を振り返る【PR】
スパイク・チュンソフトは2024年1月25日,Nintendo Switch用ソフト「不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録」(以下,「6」)の発売を予定している。
「風来のシレン」と言えば,2020年にNintendo Switch版とPC(Steam)版が発売された「風来のシレン5plus フォーチュンタワーと運命のダイス」が記憶に新しい(と言っても3年前)ところだが,実は「5」はニンテンドーDS版(2010年)→PlayStation Vita版(2015年)→Nintendo Switch版/PC(Steam)版(2020年12月)→iOS/Android版(2022年3月)と,要素を追加して移植を繰り返してきた作品だ。最新作「6」は,実に14年ぶりとなるナンバリング新作となる。
「不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録」公式サイト
「シレン」ファンが待ちに待った最新作の発売を1か月後に控えているわけだが,まだ「シレン」をプレイしたことのない人にもガッと食いついてほしい。そして「6」がヒットして,また新作が作られていってほしいと願っている。
とはいえ,いきなりナンバリングの「6」から始めることに,ためらいがあるのかもしれない。そこで,「風来のシレン」がこれまでどういう足跡を辿ってきたのか,その魅力をお伝えししたい。
なお全作品を紹介していると,とんでもなく長くなってしまうため,とくにエポックメイキングと言える作品や,筆者がとくに好きな作品を取り上げている。
「不思議のダンジョン2 風来のシレン」(スーパーファミコン) | 1995年 |
「不思議のダンジョン 風来のシレンGB 月影村の怪物」(ゲームボーイ) | 1996年 |
「不思議のダンジョン 風来のシレン 月影村の怪物」(PC) | 1999年 |
「不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来! シレン城!」(NINTENDO64) | 2000年 |
「不思議のダンジョン 風来のシレンGB2 砂漠の魔城」(ゲームボーイカラー) | 2001年 |
「不思議のダンジョン 風来のシレン外伝 女剣士アスカ見参!」(ドリームキャスト) | 2002年 |
「不思議のダンジョン 風来のシレン外伝 女剣士アスカ見参!」(PC) | 2002年 |
「不思議のダンジョン 風来のシレンDS」(ニンテンドーDS) | 2006年 |
「不思議のダンジョン 風来のシレン3 からくり屋敷の眠り姫」(Wii) | 2008年 |
「不思議のダンジョン 風来のシレンDS2 砂漠の魔城」(ニンテンドーDS) | 2008年 |
「不思議のダンジョン 風来のシレン3 ポータブル」(PSP) | 2010年 |
「不思議のダンジョン 風来のシレン4 神の眼と悪魔のヘソ」(ニンテンドーDS) | 2010年 |
「不思議のダンジョン 風来のシレン5 フォーチュンタワーと運命のダイス」(ニンテンドーDS) | 2010年 |
「不思議のダンジョン 風来のシレン4 神の眼と悪魔のヘソ」(PSP) | 2012年 |
「不思議のダンジョン 風来のシレン5plus フォーチュンタワーと運命のダイス」(PS Vita) | 2015年 |
「不思議のダンジョン 風来のシレン」(iOS/Android) | 2019年 |
「不思議のダンジョン 風来のシレン5plus フォーチュンタワーと運命のダイス」(Nintendo Switch/PC) | 2020年 |
「不思議のダンジョン 風来のシレン5plus フォーチュンタワーと運命のダイス」(iOS/Android) | 2022年 |
※スーパーファミコン/ゲームボーイ/ゲームボーイカラー用ソフトのスクリーンショットは互換機レトロフリークで撮影しています
シリーズの歴史の始まり──黎明期
「不思議のダンジョン2 風来のシレン」
「風来のシレンGB 月影村の怪物」
チュンソフト(現・スパイク・チュンソフト)は1993年に「不思議のダンジョン」シリーズ第1弾として「トルネコの大冒険」(以下,「トルネコ」)を送り出している。その第2弾として1995年に登場したのが「不思議のダンジョン2 風来のシレン」(以下,「シレン」)だ。
「シレン」は「ドラゴンクエスト」シリーズから離れ,和風の世界設定を採用。チュンソフトのオリジナルキャラである風来人の“シレン”を主人公として,「不思議のダンジョン」をシリーズとして確立させた。
今さら説明も不要だろうと思うが,「不思議のダンジョン」とは入るたびに構造が変化するダンジョンである。ダンジョン内で倒れるとレベル1からやり直し……という,今では「ローグライク」として馴染みのあるものだ。
ローグライクの語源とされる「Rogue」は,すべてが文字で描かれたシンプルなゲームだったが,「トルネコ」はそれをビジュアル的に馴染みやすいものにした。ゲームシステム的にも「目的を達成していくと店と町(村?)が大きくなる」という商人であるトルネコらしい要素があり,ダンジョンを出るとレベルは1に戻るものの,プレイヤーの知識や経験とは別に「目に見えて蓄積されていくもの」として“成長していく店と町”がある。
このRPG感,バランス感が優れたゲームだったと思う。「トルネコ」以前にも国内にローグライクゲームは存在していたが,知名度は低かった。このジャンルを国内で確立し,普及させたのは間違いなく「トルネコ」と「シレン」だろう。
「トルネコ」から「シレン」になって大きく変わった点は,「オリジナルキャラクター」「和風」だけでなく,屋外のロケーションが追加されたことが挙げられる。
「トルネコ」は階層によって壁や床の色,BGMなどが変化するものの,最初から最後まで地下ダンジョンの探索だった。それはダンジョンRPGの良さでもあり,閉塞感があるからこそ,地上に戻ってきたときの開放感もひとしおだ。1作目の「トルネコ」があったからこそ,「シレン」の冒険中にさまざまな変化を見せてくれる景観は新しく映り,屋外のロケーションは新鮮に感じられた。
「トルネコ」でも個性的なNPCは存在したが,「シレン」では冒険に同行してくれる仲間も登場し,“RPGのパーティプレイ”感が増した。仲間となるキャラクターたちは一癖も二癖もあり,しかし,どこか憎めない。基本的には協力してくれる存在なのだが,ダンジョン内で敵に混乱させられたりすると厄介なことになる。
「不思議のダンジョン」のシステム面のベースは「トルネコ」でほぼ完成していたが,「まだこんなに面白くできる余地がある」と感じさせてくれたのが「シレン」だった。
合成の壺による「合成」はその最たるものだ。例えば,前方3方向に攻撃できる「妖刀かまいたち」と,攻撃が必ず当たる「必中の剣」を合成すると,ミスが一切発生せずに前方3方向を攻撃できる武器が完成する。
合成を繰り返すことで強力になっていく武器と盾は頼りになる反面,冒険中に倒れてロストしたときの喪失感が増幅していく。そんなことは気にせずガンガン突き進むのもいいが,貴重な能力源となる武器は倉庫に保管しておいて,もしものときのために似たような性能の武器を複数作るのもいい。コツコツ派もガンガン派も,己のプレイスタイルで楽しめる。
クリア後に登場するダンジョンも素晴らしかった。散々苦しめられた数々のワナを逆利用して,モンスターをワナにかけながら進むダンジョン,食べた肉のモンスターに変身して,モンスターの能力を使って進むダンジョンなどで楽しませてくれたあとに,真打ちと言える「全道具が未識別の99階層ダンジョン」が登場するのだ。
99階の長丁場となるため,「何階からこのモンスターが登場する」といった知識や,ダンジョン内の店では価格から何の道具なのかを絞り込むといった,道中をどう進むかの戦略性の高さはもちろん,ちょっとラクできる抜け道的な攻略法も用意されていた。
「不思議のダンジョン」シリーズは“1000回遊べるRPG”という触れ込みだった。「毎回ランダムだから長くは遊べるだろうけど,そうは言っても1000回って……」と思っていた当時の筆者も,99階層ダンジョンを突破できたころにはプレイ回数が1000回を超えていた。「ホントに1000回遊べるとは……」とビックリするやら,感心するやらだ。
2006年にはニンテンドーDS用ソフト「不思議のダンジョン 風来のシレンDS」としてリメイクが登場した。新たなモンスターやダンジョンが登場したり,システム面が便利になっていたり,タッチパネル操作に対応したりと,遊びやすくなっている。その後に発売されたスマホ版は,ニンテンドーDS版がベースになっていた。
ニンテンドーDSと言えば携帯ゲーム機。携帯ゲーム機ブームの立役者と言えば,もちろんゲームボーイだ。1996年に登場したゲームボーイ用ソフト「風来のシレンGB 月影村の怪物」(以下,「月影村の怪物」)は,ナンバリングではないが事実上の第2作だ。
シレンは月影村で待ち合わせをしていたが,相手のコッパは姿を見せず,村では「オロチ」とやらに生贄を捧げなければならないため,住民は悲しみに暮れていた。生贄に納得できない村人が飛び出したことで騒ぎになり,シレンは村人を追うことになるが,村の外は不思議のダンジョンになっていた……。
スーパーファミコンで生まれた「不思議のダンジョン」シリーズだが,ゲームボーイはボタン数がだいぶ異なる。スーパーファミコンのコントローラでもボタン数をフル活用していたので,ゲームボーイ版に不安はあったが,その点も見事に調整されている良作だ。
「モンスターに攻撃されると,自動的にそちらを向く」という仕様も,「月影村の怪物」で初めて導入されたものだ(以降のシリーズ作品ではデフォルトとなる)。地味な改良点だが,システムの進化において重要なポイントだったと思う。
同作には,クリア時に表示されるパスワードを送ると認定証がもらえるという“早解きキャンペーン”があり,筆者は発売日に購入し,その日だったか翌日だったかに速達で送った記憶がある。そんなわけで自信があったのだが,自宅に届いた認定証に記されていたシリアルナンバーは123番。自分の前に122人もいるという事実に打ちのめされたものだ。
当時,熊本在住だった筆者は「東京に近いほうが有利じゃないか?」と思ったが,それはもういいじゃないか。
確立されたシリーズ,その進化の足跡
「不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来! シレン城!」
「不思議のダンジョン 風来のシレン外伝 女剣士アスカ見参!」
2000年にはNINTENDO64用ソフト「不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来! シレン城!」(以下,「2」)が登場した。子供時代のシレンを主人公として,定期的に鬼に襲来されてしまうナタネ村を守るため,「築城しながら不思議のダンジョンに挑む」という新たな試みを採用した作品だった。
本作のポイントは,なんといっても「城の建築」だ。ナタネ村はたびたび,鬼の襲来を受けて村をボロボロされているため,「城を築いて村を守るしかない」という動きがあった。そこへシレンとコッパがやってきたわけだが,村の言い伝えにより,なぜか子供のシレンが単身で築城を頑張ることに。なんだかスゴイ話だ。
ダンジョン内には「城の材料」が落ちていることがあり,不思議のダンジョンと化している「シュテン山」を登っていき,山の頂上に住む一族に加工してもらうことで城のパーツになる。これを村まで持ち帰ると,城が少しずつ大きく,強化されていく。
不思議のダンジョンでは,限られた持ち物欄に詰め込まれた道具のやりくりが生死を分けるわけだが,そこに城の材料も入ってくると取捨選択はさらに難しいものになる。中には「持ち物欄を2つ分占めるが,城の材料としては上質」というものもあり,道中の危険を覚悟してでも持ち帰りたい……という気持ちを刺激される。
「不思議のダンジョン」シリーズでは強い武器と盾さえあれば,クリア率が高まる。というか,基本的にはある程度強化した武器と盾がないと先へ進めないだろう。そのため,物語本編のクリアまではとりあえず,ダンジョンをそこそこの所まで進んだら,道具を持ったまま帰還できる道具を使って戻る。これを繰り返して武器と盾をコツコツと強化していくことが多い。
筆者はこの“コツコツ過程”が好きなのだが,同じことの繰り返しになるので,マンネリ感があるのも事実だ。しかし,「2」では鬼に対抗するための築城がストーリーの目的になっており,城が完成するまではストーリークリアのためのボスには挑めないようになっている。
「シュテン山の頂上まで登る過程で城の材料を獲得して,頂上で加工してもらって村に戻る」を繰り返していくわけだが,その過程で新たな仲間と出会い,武器や盾を自然に強化できていく。
知恵を絞り出して「不思議のダンジョン」の攻略に挑む! ……というのはひとまず置いておき,「鬼に襲われる村を救うために,シレンが仲間たちと城を築き,絆も築いていく」という物語のあるRPG体験が用意されている。必然的に何度もダンジョンに潜ることになり,プレイヤーはごく自然に「不思議のダンジョン」に慣れていく……というわけだ。このあたりのゲームデザインは今でも素晴らしいと感じる。
前作からの正当進化と言える要素もある。合成の壺と同様の使い方ができるモンスター,「マゼルン」の存在だ。マゼルンに道具を投げると飲み込まれてしまうが,2つ以上飲み込ませた後で倒すと,合成された道具を落とすという寸法だ。合成の壺は高価かつレアなので,比較的序盤から出現するマゼルンを活用すれば,ノーコストで強化可能になる。
ただし,リスクもある。マゼルンに道具を飲み込ませて,倒す前に落し穴に落ちたりして次のフロアに進んでしまうと,その道具はロストだ。もちろん,飲み込ませた後でシレンが倒されてもダメ。マゼルンを活用した合成は,周囲と自身の安全を確保してから臨む,緊張感のあるものだった。
第1作にあった「ワナを活用していくことがメインのダンジョン」や,極限まで鍛えあげた武器と盾なしでは突破が困難な高難度ダンジョンはもちろん,モンスターを捕獲して集めていく「もののけ王国」など,やり込み度の高い施設も登場する。そして,最後には全道具未識別の99階層ダンジョンが待っている。
筆者がとくに好きだった要素は「装備品かけ」。手に入れた武器と盾を飾っておくものだが,少しずつ揃っていくのがいい。アイテムやモンスターの図鑑を埋めていくのが好きなプレイヤーにはたまらない要素だった。
「不思議のダンジョン」シリーズはコアなゲーマーの人気は高かったが,難しいゲームでもあった。シリーズのさらなる発展を見据えて,低年齢層の開拓を目指したのだろうと思うが,「2」は決して「子供向け」だけに留まらず,子供から大人まで幅広く,シリーズファンも満足できる作品に仕上がっているのは見事だった。
子供が嫌うことに,「子供だから」という理由でまともに話をしてもらえないというのがあると思う。「2」のシレンは子供ながらに,大人たちから頼りにされることになる。子供心にも頼られるのは悪くない気分であり,子供の自尊心をくすぐるという意味でも,うまいストーリー展開だっただろう。
「2」の登場NPCであるアスカは,2002年のドリームキャスト用ソフト「不思議のダンジョン 風来のシレン外伝 女剣士アスカ見参!」(以下,「アスカ見参」)で主人公を務めることになる。「シレン」シリーズとしては唯一,主人公がシレンではない作品だ。シレンとは別行動をとっていたコッパが滞在していた村に,アスカが訪れたところから物語が始まる。
「アスカ見参」はシリーズの総決算的な内容になっていて,ダンジョンの種類も豊富。「本編クリア後に出現するダンジョン」の存在はシリーズの定番だが,同作では鋼賀忍者の一件を解決してからがストーリーにおいても本番だ。なんと,10のダンジョンが新たに登場する。1000回遊べるどころか,2000回でも足りないほどの大ボリュームだった。
「2」はプレイヤーの年齢層の幅を広げたが,「アスカ見参」はコアなゲーマーをこれでもかと満足させる玄人好みと言えるだろう。実直なキャラクターとして描かれるアスカも主人公らしく,まさに非の打ち所がない作品だった。
「シレン」がたどり着いた到達点
「風来のシレン5plus フォーチュンタワーと運命のダイス」
2010年にリリースされたニンテンドーDS用ソフト「風来のシレン5 フォーチュンタワーと運命のダイス」は,2015年に追加要素を搭載したPS Vita版「風来のシレン5plus フォーチュンタワーと運命のダイス」(以下,「5plus」)として移植を果たした。そして2020年,さらにダンジョンを追加したNintendo Switch / PC(Steam)版が登場している。
「シレン」シリーズは「4」以降,世界設定の雰囲気が少し変化してきている。それまでの「シレン」を時代劇とするならば,「4」以降は“異世界的ネオ時代劇”のような進化だろうか。
「4」から導入され,「5」にも続投となった新要素として,「タグ」と「夜」がある。
「タグ」とは,お気に入りの武器と盾にタグを付けておくと,ダンジョンで倒れても失わないで済むという超ありがたいシステム。いろいろな初心者救済措置が導入されているが,「タグ」は大胆かつ画期的なアイデアの1つだ。
一方の「夜」はその名のとおり,ダンジョンに昼夜の概念を導入したものだ。周囲の視認できる範囲が狭くなり,松明で照らす必要がある。さらに,夜に出現するモンスターは昼とは違い,強敵ばかりになる。
こうした強敵に対抗するため,夜のみ使用可能な「技」も導入された。その威力は高く,夜モンスターも大体一撃で仕留められるが,1フロアで使える回数には上限がある。夜モンスターは移動がフラフラしているのも特徴で,地形によってはヘタに動き回らず,夜が過ぎるのを待つという作戦もある。とにかく杖や巻物も駆使して,まともに戦うのは避けたほうが賢明だ。
「夜」の導入により難度は高めになったが,「5plus」はプレイヤーのサポートの手厚さにかけてはシリーズでも随一。例えば,「やりなおし草」はダンジョンでモンスターに倒された際,「手持ちの道具を持って拠点に戻る」または「その場で復活するか」を選べるという超高性能なアイテムだ。やりなおし草は比較的容易に手に入るため,「タグ」と合わせて活用すれば,大事な武器・盾をロストすることはほぼないのではないだろうか。
そして,Nintendo Switch / PC(Steam)版から導入されたのが「ライブ探索表示」だ。プレイヤーがゲームを配信するのが当たり前になっているが,こうしたムーブメントをゲーム側から積極的にサポートする試みが当時は珍しく,新しいものだった。ライブ探索表示はオン/オフをいつでも切り替えられる。
そのほか,武器・盾の成長要素もあり,1つの武器を使い込んでいくことに意味が出てきたりと,「4」「5plus」で追加された新要素はすべて書き切れないほどだ。ニンテンドーDS版はクリア後に登場するダンジョンが10種類あり,PS Vita版では新たなダンジョンを16種類,Nintendo Switch / PC(Steam)版ではさらに3種類を追加している。
総合的な完成度の高さ,豊富すぎると言っていいダンジョン数,やり込み要素の沼度。「5plus」は現在,プレイできる最強の「シレン」だ。もちろん,従来のシリーズ作品はプレイ環境を手に入れるのが困難だということもある。
「シレン」シリーズは基本的にストーリーの直接的なつながりはなく,シリーズ未経験者が「5plus」から始めても問題はない。「6」の発売前に予習がてら手を出してみたら,「これ1本でどんだけ遊べるんだよォ!」と鬼ボリュームを味わうことになるだろう。
……それだと,「6」の発売までに終わらないから困る? 大丈夫だって。両方,交互に遊べばいいんだよ。「シレン」の気分転換に「シレン」,最高だろ?(悪魔のような笑みを浮かべながら)
そして,14年ぶりの最新作へ──
「不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録」
発表当時,「おおっ」と思ったのが,ミニマップでシレンが歩いた軌跡を確認できる新機能だ。「シレン」あるあるだが,そろそろ次のフロアに行こうかなってときに「まだ宝がある? 行ったような気がするけど……見落としてた?」と思って,わざわざ足を運んでみたら,やっぱりンドゥバだった! なんて人は少なくないだろう。この機能があれば,そういったことも減りそうだ。
さらにライブ探索機能も進化するらしく,壺の中身が見えたり,装備の印が見えたりするようになっている。簡易モードでは表示される情報を絞る代わりに,ゲーム画面が大きくなるメリットがある。また,ウィンドウの色も自由に設定でき,ダークカラーは目に優しく,文字が見やすくなった印象を受ける。
巨大なモンスターが立ちはだかる「デッ怪」は,ただのお邪魔キャラであり,戦うメリットはとくにないようだ。ただ,「もののけ手帳」と呼ばれるモンスター図鑑があるため,そこにデッ怪が含まれるのであれば,図鑑を埋めたい(筆者のような)プレイヤーは「どうやって倒すのか」を考えることになるのだろうか……と思わなくもない。
満腹度が150を超えると発動する「ドスコイ状態」も注目だ。最大HPの上昇,攻撃力の強化,罠の無効化などのメリットがある一方,道具などによるシレンの移動に関係する効果が無効化されるデメリットもあるのだとか。ボス戦の直前にドスコイ状態を実現できれば,戦いをかなり有利に進められるということか。
おにぎりは欲しいときにはとことん見つからなくて飢えそうになるが,余るときはやたら余る(ような気がする)。そんなとき,とにかく食って食って最大満腹度を上げておくことにメリットが出てくるのは面白い。とはいえ,満腹度の150って普通にやっていて到達するものだろうか……。
中でも注目している新要素は「自分救助」だ。「自分で自分を救助って……どういうこと? 幽体離脱?」と思ったりもしたが,セルフ救助できるのであれば便利極まりない。
導入初期の「風来救助」はパスワード制だったため,ネットの攻略掲示板にパスワードと一緒に「助けてください!」と書き込み,来るかどうかも分からない救助を待ち続けたりしたものだが,時代は進化した……。
4Gamerでは先日,「6」のプロジェクトマネージャーを務める篠崎秀行氏,ディレクター・アートディレクターの櫻井啓介氏へのQ&Aセッションの内容を掲載している。その中から気になる発言を取り上げてみたい。
[プレイレポ]やっぱりシレンは面白い! 14年ぶりの完全新作「不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録」の先行試遊とQ&Aセッションのレポートをお届け
スパイク・チュンソフトのSwitch向け新作「不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録」の先行プレイレポートを,開発者へのQ&Aとともにお届けしよう。「風来のシレン」シリーズ14年ぶりとなる完全新作は,一つネタバレ(?)をしてしまうが……とても面白かったぞ!
装備をしっかり強化するのではなく,毎回手ぶらで気軽に挑めるようなバランスを考えて制作しています。いままでは,大事に強化した武器を失い,「またそれを作らなければならないのか……」とプレイする気分が失われることもありましたが,今作はそういうのは少ないのかなと。(篠崎秀行氏)
これは確かにあった。従来のシリーズ作品は「運さえ良ければ,フラッと行って初回クリア」なんてことはまずないバランスであり,本編のクリアには強化した武器と盾がほぼ必須だった。シビアと言われる「不思議のダンジョン」シリーズだが,作品を重ねるごとに「強化した武器と盾をいかに失わないようにするか」「プレイヤーのやる気を削がないように」という点を重視して調整されてきたように思う。そこを根本的にテコ入れするわけだから,期待したくなる。
昼夜と技に関しては実装を見送りました。今作の開発のコンセプトとなる「原点回帰」という考えもあり,シレンの本質の面白さを見直して,要素の取捨選択をしました。(篠崎秀行氏)
個人的に「夜」の存在は完全に頭を切り替える必要があり,少々苦手だったので,これは嬉しい。
アスカも,シナリオを進めると登場します。ダンジョンの中を歩いているので,話しかけて仲間にしてください。(篠崎秀行氏)
これは胸熱。アスカ,めっちゃ久しぶりじゃない……?
そのほかには,任意の場所でセーブしたデータを共有する「パラレルプレイ」が登場するらしいが,最初はどういう使い方をするのかがピンと来なかった。例えばモンスターハウスに遭遇した後にセーブすれば,「誰か,この状況を助けて!」と泣きついて,打開できたプレイヤーの動きをトレースすることでピンチを乗り切れたりするのだろうか(※個人の想像です)。
「シレン」シリーズを振り返ってみて分かったのは,新たに追加される要素に目を奪われがちだが,システム面の地道な改良を積み重ねて完成度を増してきた点だ。
初代「シレン」をあらためてプレイすると,「攻撃を受けた後,手動で敵のほうを向かなければいけない」という部分だけでも,かなり煩わしく感じる。以降の便利なシステムを知った後だと,その進化がヒシヒシと伝わってくる。「6」の新機能にしても,今後のシステムの“基本”になっていくのだろう。
“14年ぶりの新作”となる「6」の発売は,「シレン」ファン待望の朗報だった。「久しぶりにやるか……」と心の三度笠をかぶり直している熟練の風来人から,「やってみたいとは思っていたんだよね」とソワソワしている新米の風来人まで。すべての旅人に,この言葉を贈ろう。
──旅の神クロンの追い風を!
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