プレイレポート
[プレイレポ]「ブラザーズ:2人の息子の物語 Remake」の序盤を紹介。2人だからこその“連携”を駆使した冒険が,約10年ぶりに蘇る
本作は2013年に発売され,“兄弟を同時かつ個別に操作し,さまざまなギミックをくぐり抜ける”という新感覚のゲームシステムや,言葉少なに描かれる感動的な物語が国内外で高く評価された「ブラザーズ:2人の息子の物語」のリメイク版だ。
「ブラザーズ:2人の息子の物語 Remake」公式サイト
約10年ぶりの復活となる本作では,現行の最新ハードに向けてゲームエンジンが刷新され,グラフィックスが大幅に強化。シナリオなど原作のベースは維持しつつも,ゲーム自体は一から作り直されれており,パフォーマンスやキャラクター,風景などに大幅に手が加えられただけでなく,ローカル2人プレイにも対応した,“リメイク”という名にふさわしい形に仕上がっている。
今回は発売前に,チャプター2までをプレイする機会を得られたので,その手触りをお届けしたい。なお記事中のスクリーンショットは,プレイ中に撮影したものではなく,提供された動画素材から別途切り出したものになる。
病床の父を救うため,勇敢な兄弟2人の大冒険が始まる
どちらかが欠けても旅は成り立たない
本作の主人公は,かつて母親を事故で亡くした2人の兄弟だ。兄と比べ幼い弟の心の傷は未だ癒えていなかったが,父親と共に3人で平穏に暮らしていた。
そんなある日,母の墓前で過去を思い出し涙する弟の前に,慌てた様子の兄が駆けつける。どうやら父親の体調が急に悪くなったらしく,診察の必要があるようだ。兄弟は協力し,荷車に乗せて父を診療所と思われる場所に送り届けるが,状況はかなり悪く死の病に冒されており,医師はそのままでは手の施しようがない旨を兄弟に告げる。そんな父親を助けるには,「命の水」と呼ばれる特殊な治療薬が必要とのこと。たった2人の兄弟は父を助けるべく,借りた地図だけを頼りに,命の水を探す困難な旅に出ることになった……というのが導入部の物語となる。
冒頭でも触れたように本作は,2人の兄弟が主人公になったアクションアドベンチャーだ。プレイヤーは兄弟を主に上から見下ろす形でプレイを進め,命の水を求める彼らを導いていく。パッと見たときの印象として,ごくごくスタンダードなアクションゲームだと感じる人がほとんどだろう。
特徴的なのは兄弟である2人を“同時に”操作する必要があること。そのため操作方法としては,左スティックと左トリガーで兄を,右スティックと右トリガーで弟を個別に操作するという,シンプルながらかなり珍しいものとなっている。兄弟は同時に同じことをすることもあるし,まったく違う作業を行うこともある。もちろん状況が許せば,一時的に片方のみを操作してもう1人は放置,という形も可能だ。
ちなみにPC版の場合はキーボードでの操作もおこなえるが,パブリッシャはゲームパッドでのプレイを推奨しているため,事前に用意しておくことをオススメしたい。
さて,ここで重要になるのが,その旅路が「1人ではどうやっても進めない」ことと「兄と弟で個性があり,できることが違う」ことだ。本作のキーとなる部分なので,個別に例を出して紹介しよう。
まず前者の“1人では進めない”ことだが,これは本作に登場するほぼすべてのギミックが,単独では対処できない仕組みになっているからだ。例えば段差はジャンプしても届かない高さだし,道をふさぐ凶暴な犬は高速で襲いかかってくるし,ドアを開けるハンドルは崖の向こうにあったりする。1人ではなすすべがなく,ただ立ち尽くすだけで終わってしまう。
だが,2人で協力すれば話は別だ。高い段差は兄を踏み台にした弟なら登ることができ,襲いかかる敵は片方が大声で引きつけ移動する隙を生み出すことが可能で,手が届かない場所にギミックがあるなら片方が別ルートから先行して操作すればいい。相互の助け合いこそが,困難な冒険を進めるための原動力になっていくのだ。
もう一つの“兄弟の個性”も,作中で何度も2人の命を救っていく。兄弟はそれなりに年が離れているようで,体格が目に見えてけっこう違う。兄はガッチリとしていて大人とそこまで変わらない見た目をしているが,弟はまだまだ子供という印象だ。これはほぼそのままストレートな形で,両者の実行可能なアクションに反映されている。
例えば兄は力に秀でているので,弟では動かせない重厚なレバーが動かせるし,重い家畜などのオブジェクトを持ち運べる。前述のように弟の踏み台にもなれるので,高所への移動への基点にもなる。足が付かない水の中でも泳ぐことができ,イメージどおり頼れる兄貴という印象だ。
では弟は単なる兄の下位互換かと言えば,決してそんなことはない。動きが俊敏でいざというときに,何かを避けたりかわしたりするのに向いているし,何より体が小さいので,狭い場所をあっさりくぐり抜けられる。動物に対するアクションも優しく撫でたりと,進行には役立たなくても,見ていてこちらが癒やされることもある。
さらにステージ構成の関係上「一足先に進んでギミックを直接操作する」という場面が多く,結果的に兄を助けるシチュエーションが多いのも,見逃せないところだろう。
つまりどちらが欠けても,旅は成り立たない仕組みになっている。イベントシーンなどでは兄が幼い弟を守ろうとするシーンも多いが,実際はほとんどが相互に補完し合う関係になっており,彼らの絆を強く感じられるのが印象的だ。
なお,左右のスティックを完全に独立して操作する必要がある関係上,頭が混乱してうまく誘導できないことも多いのだが,これも本作の味の一つだと思う。失敗しない旅や人生などないし,多少手間取ってもゴールに着けば問題ない。また,この兄弟であれば,そういったミスも笑って済ませられる関係であると感じられるからだ。
海外の絵本のような少し牧歌的な雰囲気ながら,
実際はハードな冒険が待つシビアな世界観も魅力
一から作り直したという本作のグラフィックスは,そのアピールどおりになかなかに見応えがある。序盤のステージでは平和な村と起伏が激しい山間部,そして薄暗い遺跡が舞台になるが,全体的に完成度は高く美しいと同時に今後の厳しさも感じられる出来だ。プレイが可能だった範囲では,冒頭の豊かな自然と,遺跡内の金属表現がとくに印象に残る。
世界観そのものはファンタジー寄りで,村の中こそ人間と家畜ぐらいしか見当たらないが,人里を離れればいわゆるモンスターにあたる種族も普通に生活していて,兄弟と関わっていく。彼らは見た目どおりに凶暴だったり,あるいは印象に反して友好的で手を貸してくれたりと,一期一会の出会いも興味深い。
本作はほぼ「文字による説明」がされない作風だが,だからこそプレイしているとまるで海外の良質な絵本を手に取っているよう。オリジナル版での評価どおりに,全体的な完成度の高さは折り紙付きという印象だ。だがゲーム的には失敗すれば容赦なくリトライになり,さらに「これ,どう考えても助からないのでは?」と思われるシチュエーションも珍しくないので,ほのぼのした雰囲気とは裏腹の厳しさも同時に強く描かれている。これもまた,本作の魅力の一つだろう。
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