インタビュー
[インタビュー]「ガンダムブレイカー4」は“ガンプラを自由に作って動かす”というシリーズの面白さを継承する。8年ぶりに再始動したナンバリングが目指すものを開発陣に聞いた
ガンダムブレイカーシリーズは,「機動戦士ガンダム」シリーズに登場するモビルスーツらのプラモデル,通称「ガンプラ」のパーツを自由に組み合わせて“俺ガンプラ”を作り,敵のモビルスーツと戦っていく“創壊共闘アクション”だ。
ナンバリングとしては8年ぶり,「New ガンダムブレイカー」からは約6年ぶりの新作となる「ガンダムブレイカー4」は,パーツを好きに組み合わせて,ガンプラを作るというシリーズの原点に立ち返っている。
また,左右の腕に別の武器を持たせられるなどビルドの自由度が増していたり,ジオラマモードといったガンプラにフィーチャーした遊びが用意されていたりするのも特徴だ。
今回4Gamerでは,本作のプロデューサーである田中聖憲氏とディレクターの福川大輔氏にインタビューを実施。再始動したナンバリングタイトルが目指したものやシリーズが持つ魅力などについて話を聞いた。
「ガンダムブレイカー4」公式サイト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。「ガンダムブレイカー4」はシリーズとしては久しぶりの新作となりますが,開発に至った経緯を聞かせてください。
田中聖憲氏(以下,田中氏):
ファンの方々から新作を希望される声が強かったというのが,再始動のきっかけになります。もともと「ガンダムブレイカー」シリーズは,ガンダムゲームの中でもガンプラをモチーフにしている独自性の高いシリーズで,ファンも多いタイトルでした。
我々としても新作にチャレンジしたい気持ちがありましたので,2019年ごろから企画がスタートした形になります。
4Gamer:
PC / コンシューマ機向けのタイトルとしては2018年に発売された「New ガンダムブレイカー」がありましたが,ナンバリングを再始動させたのはなぜでしょうか。
田中氏:
新作を作るなら,まずはシリーズファンの方に受け入れていただけるものを作るべきだと考えたからです。
2018年に発売した「New ガンダムブレイカー」では,ゲームの仕組みやシステムがいろいろと変わっていました。「ガンダムブレイカー」シリーズのナンバリングでお届けしてきたコンセプトと少し異なるものだったこともあり,ユーザーの皆様からさまざまなご意見をいただきました。
こうした現状を踏まえ,企画の当初からこれまでのナンバリングのゲーム性やシステムを受け継いだものにするということを掲げて,「ガンダムブレイカー4」の開発がスタートしています。
ナンバリングの4タイトルめともなると,新規の方が参入しづらいんじゃないかという懸念もあるのですが,やはりシリーズファンの方々に楽しんでいただけるものを作りたいという気持ちを込めて,あえて「4」というナンバーをつけています。
4Gamer:
これまでのナンバリングのゲーム性やシステムを受け継いだものを目指したということですが,「ガンダムブレイカー」の面白さはどういった部分にあると考えられていますか。
福川大輔氏(以下,福川氏):
ガンプラを自由に組んで,自分の好きな機体を作って動かすのが最も面白い部分だと思います。強いスキルの組み合わせを探して最強の機体を作ってもいいですし,好きな作品のパーツを使って自分好みの機体を作り上げていくのも楽しいですね。
4Gamer:
自分で好きに作った機体を動かせるという部分が大切なのでしょうか。
福川氏:
そうですね。「New ガンダムブレイカー」では,ルール上,バトル中に作った機体のパーツが入れ替わることがありましたが,「ガンダムブレイカー4」ではそうした入れ替えはなく,自分が作った機体を最大限に楽しめるようになっています。
田中氏:
機体を強くするためのプレイサイクルもテンポ良く進むようになっており,「ガンダムブレイカー3」に比べて,1つのミッションが短い時間でクリアできるようになっています。
1つのミッションが長いと欲しいパーツを探しに行きづらくなってしまいますので,さまざまなミッションにパーツを集めにいくなど,繰り返し挑みやすくしています。
4Gamer:
「ガンダムブレイカー4」における新要素として,左右で異なるパーツ,武器が装備できるようになったことが挙げられます。これにより,かなりアクションの幅が広がったとネットワークテストをプレイして思ったのですが,こちらは開発初期からあった仕様なのでしょうか。
田中氏:
そうですね。左右の腕を別のパーツにすることで,自由度を上げてプレイヤーごとのオリジナリティを出しやすくしたかったんです。
福川氏:
開発当初は「バズーカはやっぱり二丁持ちしたいよね」という感じのロマン要素としての側面が強かったんです。両手に別の武器を持たせるとなると,アクションが発生する状況や挙動の種類がかけ算で増えることになるので,開発は複雑になるのですが,実装に至った形です。
4Gamer:
実現にあたって最も苦労したのはどこでしょうか。
福川氏:
大変だったのは近接武器の調整でした。左右の手に違う武器を持たせること自体は実現できたんですが,「単に違った武器を振り回せるだけではなく,“俺ガンプラ”づくりの延長線として、積極的に武器を切り替えていくようにしたい」という話になり,各武器の性能やアクションに少しわかりやすい特徴を入れ,コンボに組み込んだり,状況に応じて使い分けたりしたくなるように工夫しました。
4Gamer:
武器の見た目が違うだけでなく,それぞれにゲームとしての意味を持たせる必要があったと。
田中氏:
開発メンバーには苦労させてしまいたが,二刀流のアクションができるならアクションゲームとしての触り心地も変えたいと思ったので,頑張ってもらいました。左手にムチ,右手にアックスを持っているなら,ムチで引き寄せてアックスで重い一撃を入れる……といった形ですね。
武器の特徴が変わるなら,バトルの立ち回りも変わってくるし,機体構築のバリエーションも増えますよね。
福川氏:
ただ,武器種ごとの特色が出過ぎていると,それはそれで問題だったりするんです。あくまで「ガンダムブレイカー」は好きなガンプラを作って楽しんでもらうゲームなので,武器の特色が強すぎるとそれがかえって制約になって,遊びの幅を狭めることになります。
4Gamer:
確かに最適解のようなものが決まりすぎていると,そればかりに頼ってプレイの自由度を狭める形になりそうです。
福川氏:
なので,見た目と遊びのバランスを取り,気持ち良くプレイを進めながら武器種の違いも感じていただけるという調整を進めていきました。ここはみんなでたくさん案を出して,調整にも長い時間をかけた部分になります。
田中氏:
もちろん,ゲーム的には若干の最適解は出てくると思いますが,「ガンダムブレイカー」とは自分が好きに組んだ機体で戦うゲームだ,というところは崩さない形にしています。好きな機体で戦うことも,強さにこだわって組み立てていくことも,どちらでも楽しんでいただけると思います。
4Gamer:
ビルドの新要素はほかにどういったものがありますか。
田中氏:
バックパックを反転できるようになりましたね。「ガンダムブレイカー」シリーズのアニメ「ガンダムブレイカーバトローグ」に登場する「ガンダムヘリオス」は,「フリーダムガンダム」のバックパックを反転させて接続しているんですが,こうしたビルドが本作でも可能になっています。
4Gamer:
確かにバックパックの反転というのは,ありそうでなかった機能ですね。
田中氏:
7月のネットワークテストでは「リック・ディアス」のブースター・バインダーを反転させて,思ってもいなかったようなビジュアルの機体を作っておられる人がいて嬉しかったですね。
手軽にこういったビルドを試せるのは,ゲームならではと思いますので,発売後はぜひ試してみてほしいですね。
4Gamer:
本作では「ジオラマモード」という,ガンプラでジオラマを作れる新要素がありますが,こちらはどういったものでしょうか。
田中氏:
あらかじめ用意された背景を選び,ガンプラや建物,ビームや爆発のエフェクトを組み合わせて自分だけのジオラマを作れるというモードになります。
こちらもガンプラを使った遊びであるという点にフィーチャーして実装したものです。できることが多い分,操作に若干慣れは必要ですが,こだわればいつまでも遊べると思いますよ。自分の作ったジオラマを撮影して,オンラインで披露もできます。
4Gamer:
ジオラマモードで作った作品はどのように発表できるのでしょうか。
田中氏:
ゲーム内にあるギャラリーから,オンラインギャラリーに写真をアップロードしてシェアいただけます。ほかのユーザーはこれを見て,「Good Build!!」ボタンを押して評価できます。オンラインギャラリーは,ほかのプレイヤーの「プロフィールカード」から見ることができます。
4Gamer:
「ガンダムブレイカー」はほかの人が作った機体を見るのも楽しいですが,より手軽にチェックできるわけですね。すでに公式サイトでは参戦機体も発表されていますが,ゲームに出す機体の選定はどのような基準で行われているのでしょうか。
田中氏:
すごく難しいですが,開発段階で新しめになる機体はできるだけ入れるようにはしています。本作の場合は「機動戦士ガンダム 水星の魔女」の「ガンダム・エアリアル」や福岡に実物大立像がある「RX-93ff νガンダム」なんかがいい例ですね。
あとは,量産機のラインナップを拡充できるのが,「ガンダムブレイカー」のいいところです。ほかのガンダムゲームですと機体の強さによるバランスがあり,なかなか量産機に活躍の場を与えられないことが多いんですが,本作はガンプラなのでさまざまな機体でビルドできるようにしています。
4Gamer:
「ガンダムブレイカー3」のDLCではボールが登場していましたが,ああいった量産機が出てきて喜ばれるのは確かにガンダムブレイカーらしいですよね。
田中氏:
そうですね。ボールのような“形状に特徴のある機体”というのも,登場させる際に検討材料にしている部分です。特徴のある機体はそのパーツを使うことで,機体構築の幅がグッと広がるので,「ガンダムブレイカー」ならではと言えるかもしれません。
4Gamer:
パーツと言えば,「ガンダムブレイカー」シリーズは,関節部分などほかのガンダムゲームにはない部分が描写されていますが,ガンプラの3Dモデルはどのようにして作られているのでしょうか。
福川氏:
まずは実際にガンプラを買って,作ってみるところからスタートします。特に最近の機体は「なんでこんな所が動くんだろう」「なんでここが外れるんだろう」と思うくらい可動部分がよく動くので,こうした部分をゲームにどう落とし込むかを決めてからモデリングを進めていきます。
実際のガンプラとパーツが分割する位置を変えることもありますし,異なる機体のパーツ同士を組み合わせた際は,手足の長さが変わることもありますから,挙動に合わせてゲーム用に調整するのは結構大変だったりします。
田中氏:
実際,クラフト&マイスターさんのオフィスはガンプラだらけですし(笑)。通常のガンダムゲームでは腕や足が外れた状態があまりないのんですが,パーツが外れる「ガンダムブレイカー」ではこうした部分を作る必要がありますし,普通に機体をモデリングするよりも考えることは多いです。
4Gamer:
「ガンダムブレイカー4」では3月にクローズドネットワークテスト,7月と8月のオープンネットワークテスト,8月には店頭体験会とユーザーが触れられる機会をかなり積極的に設けているという印象があります。
テスト後にユーザーの声を取り入れた仕様変更が行われましたし,双方向に意見を交わしながらの開発を意識しているのでしょうか。
田中氏:
そうですね。ファンの皆さんからは熱量の高いご意見をいただいていますし,シリーズが愛されていることと期待値の高さを実感できて,本当に嬉しいです。そのうえで,ネットワークテストでいただいた意見についてはすでに対応したものもあります。
例えば,クローズドネットワークテストの前は,OPスキルの使用後のクールダウン時間は,全OPスキルで共通でした。ただ,クローズドネットワークテストが終わった後に「個別のクールダウンにしてほしい」というお声をいただき,個別にクールダウンを設定する形式にしています。
4Gamer:
ネットワークテストの反響も逐一チェックされているわけですね。
田中氏:
我々もこっそりテストに参加していますし,SNSもチェックしていました。テスト中はいろいろなご意見を逐一メモしつつ,終わったらすぐに福川さんと打ち合わせをしていました。
4Gamer:
テストでは,ネットワークプレイ用のアバターが従来のパイロットスーツではなく,自分のガンプラになっていたのも印象的でした。
福川氏:
これは,ロビーにいること=ガンプラを見せ合うことになるという効果を狙ったものです。今まではガンプラを見せ合うにもハードルが高かったところはあったと思いますが,今回のネットワークテストでは,アバターを見るためだけに「ビジュアルロビー」に入場して来るプレイヤーも多かったです。
ガンプラを見せることも「ガンダムブレイカー」の面白さということを再確認できました。
4Gamer:
自分のガンプラで戦うこと,ガンプラを見せ合うこと。シリーズならではの良さを拡充したのが「ガンダムブレイカー4」であるということですね。それでは最後に,読者に向けてメッセージをお願いできますか。
田中氏:
ナンバリングの最新作ということで,新要素を導入してパワーアップして帰って来たのが「4」になります。今回はカスタマイズやジオラマモードなどの遊びが本当に広がっていますので,いろいろなガンプラを作ってシェアしてみてください。
福川氏:
ネットワークテストでもまだすべての機体は出ていませんし,見ていただけていないアクションもあります。旧作から変化したところがたくさんあるので,ぜひ楽しんでください。
オンラインでは,一緒にバトルするのもいいですし,ロビーで自慢の機体をほかの人に見てもらって楽しむこともできます。ぜひお友達を誘ってプレイしてみてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「ガンダムブレイカー4」公式サイト
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