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[インタビュー]TCG「フレッシュ&ブラッド」ってどんなゲーム? 日本語版リリースを目前に控え,生みの親のJames White氏に魅力を聞いた
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印刷2024/04/04 08:00

インタビュー

[インタビュー]TCG「フレッシュ&ブラッド」ってどんなゲーム? 日本語版リリースを目前に控え,生みの親のJames White氏に魅力を聞いた

 ニュージーランドに拠点を置くLegend Story Studiosは,TCG(トレーディングカードゲーム)「フレッシュ&ブラッド(Flesh and Blood)」の第13弾パック「霧隠の秘境(Part the Mistveil)」を2024年5月31日に発売する。


 本作の英語版は4年以上にわたって展開されているが,日本をテーマにした第13弾パック「霧隠の秘境」では,日本人プレイヤーにとって待望の日本語版が登場する。また,5月17日から5月19日まで東京で大型イベントを実施し,10月31日から11月3日まで大阪で世界選手権を開催することも発表されている。

 つまり,Legend Story Studiosは2024年から本格的に日本へと進出するつもりであり,「霧隠の秘境」が発売される5月末は,日本人プレイヤーにとって本作をプレイし始める絶好のタイミングとなっているのだ。

 そこで今回は,同社のCEOであるJames White氏に,日本人プレイヤーに向けて本作の魅力を紹介してもらった。現地時間3月22日から3月24日までアメリカで開催された大会「プロツアー:ロサンゼルス」の会場で行ったインタビューの模様をお届けしよう。

Legend Story Studiosの創業者で,CEOを務めるJames White氏
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ファンタジーRPGへの没入をコンセプトにしたTCG


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4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。今回は日本語版のリリースが目前ということで,まだ「フレッシュ&ブラッド」をプレイしたことのない人に向けて,本作の魅力やWhiteさんの人柄を紹介できればと思います。

James White氏:
 よろしくお願いします。4Gamer読者の皆様にメッセージを届ける機会をいただけて嬉しいです。

4Gamer:
 最初の質問です。Legend Story Studiosが制作しているゲームは「フレッシュ&ブラッド」だけですか。

James White氏:
 はい。このスタジオは本作を世界中のファンに届けるために立ち上げたものです。現時点で,弊社の製品は「フレッシュ&ブラッド」のみで,全力でこのゲームの制作に取り組んでいます。

4Gamer:
 それでは,最初にゲームの構想があり,それが軌道に乗ったタイミングでスタジオを設立という流れであっていますか。

James White氏:
 起業の経緯を詳しくお伝えすると,本が1冊書けるほどの分量になってしまいます(笑)。私はTCG業界に25年関わっていて,「遊戯王オフィシャルカードゲーム」など世界の素晴らしいカードゲームを,ニュージーランド全域に流通させる仕事をしていました。そうして働くなかで,「こんなアイデアが実現したら,もっと面白いゲームになるんじゃないか」という思いが募っていき,自分で事業を始めることにしました。

2019年10月11日に発売された第1弾パック「レイスへの招待(Welcome to Rathe)」
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 2012年に「フレッシュ&ブラッド」を作り始め,7年かけてブラッシュアップして,2019年に第1弾パック「レイスへの招待(Welcome to Rathe)」を発売しました。最初は友達と2人きりでプレイテストをしていましたが,今ではゲームデザインのチームだけで14人になり,スタジオ全体ではさらに多くの人が働いています。私の旅のゴールは,理想のスタジオを作り上げることであり,そこは夢のようなゲームを人々に届けることに集中できる場所です。

4Gamer:
 7年のブラッシュアップ期間で,ゲームはどのように変わっていきましたか。

James White氏:
 この期間での最大の発明は「格納庫(Arsenal)」だと思います。本作では毎ターンお互いに4枚のカードを使って戦いますが,格納庫によって次のターンにカードを1枚持ち越せるようにしたんです。初期のバージョンでは膠着状態になりがちでしたが,枚数差のある局面を作れるようになったことで,テンポのいいゲームとなりました。

4Gamer:
 ほとんどのTCGでは次のターンにカードを持ち越せるので,個人的には最初はカードをすべて使い切るようなゲームデザインだったことに驚いたのですが,これは何から着想を得たのでしょう。

James White氏:
 ファンタジーRPGの世界に没入することが当初からのコンセプトです。本作のヒーロー(プレイヤーの分身となるキャラクター)はすべて,RPGのように戦闘開始時に武器や防具を装備しています。

 また,1対1の決闘をイメージすると,最初は元気だったヒーローが,だんだんと消耗していくのがリアルだと思います。本作では,1度使ったカードを基本的に再使用できないので,ゲームが進むにつれてヒーローが弱くなっていきます。一般的なTCGではだんだんと強くなっていくので,大きな違いですね。


西洋らしさとアジアらしさをミックスした世界観


戦士(Warrior)の「ドリンシア(Dorinthea)」と,忍者(Ninja)の「カツ(Katsu)」。ともに最初期から活躍するヒーローだ
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4Gamer:
 ファンタジーRPGへの没入がコンセプトということで,本作のファンタジーアートについてもうかがいたいです。西洋らしさもあり,アジアらしさもあるように感じたのですが,どの地域のアーティストが多いのでしょうか。

James White氏:
 ファンタジーアートの人気が高い東南アジア北米ヨーロッパのアーティストが多いですが,日本がテーマの新パック「霧隠の秘境」には日本人アーティストの作品も登場します。

 「フレッシュ&ブラッド」の世界観に文化の混合を感じてもらえて嬉しいです。本作の舞台であるファンタジー世界「Rathe(レイス)」は,「Earth(地球)」のアナグラムとなっています。現実世界とのつながりも意識しており,8地域それぞれが実際の文化を反映しています。

4Gamer:
 ニュージーランドが多民族国家だということの影響はありますか。

James White氏:
 はい。ニュージーランドでは,ヨーロッパ系民族,先住民族のマオリ,アジア系民族など,さまざまな民族が暮らしています。スタジオの共同設立者で,クリエイティブディレクターのRobbie Wenは中華系ですし,ゲームデザインチームは14人中6人がアジア系です。

4Gamer:
 そのお話をうかがうと,まさにニュージーランドの文化が世界観に反映されているように思えました。

2024年の世界選手権は11月に大阪で開催予定。第1回(2022年)はアメリカのサンノゼ,第2回(2023年)はスペインのバルセロナで実施された
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James White氏:
 インクルージョン(包括性)は,私たちが最も重要に考えている要素のひとつです。世界選手権は,さまざまな地域の人が来場できるように,アメリカ,ヨーロッパ,アジアと順繰りに開催したいと思っています。人種,性別,思想を問わず楽しんでほしいです。

4Gamer:
 ところで,「フレッシュ&ブラッド」というタイトルにはどのような意味がありますか。日本語に直訳すると「血肉」となりますが……。

James White氏:
 血なまぐさい表現ですよね(笑)。ファンタジー世界で,ヒーローたちは壮絶な決闘を繰り広げるので,こうした名称にしました。

 しかし,もうひとつの大きな理由は「血肉」を誰もが持っているということです。先ほどのインクルージョンの話とも関連していて,「人間と人間の関係性」という意味を込めています。


カードゲームの中でトップクラスの賞金制大会数


今では1年間に,世界選手権が1回,プロツアーが2回,コーリングが18回,バトルハーデンが50回行われ,国別選手権も48か国で開催される。すべて賞金制で,賞金総額は150万ドル(約2億2500万円)だ
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4Gamer:
 今回の「プロツアー:ロサンゼルス」をはじめ,多数の競技イベントが提供されているのも本作の特徴です。昨今のカードゲーム業界では,競技シーンを縮小するタイトルのほうが多いと思いますが,その中で積極的に競技イベントを開催する理由は何ですか。

James White氏:
 「競技として楽しいゲームであること」は,本作のDNAに刻まれています。私が「マジック:ザ・ギャザリング」のプレイヤーだったころ,ゲームを本気で遊びながら世界を飛び回る「Play The Game,See The World」の文化に育てられたことも理由のひとつです。真剣に競技に取り組む中で,人生観が変わるような出会いが生まれます。

 とはいえ,プロツアーの会場は本戦に出場する約400人の選手のためだけのものではなく,それ以外に1000人以上のカジュアルプレイヤーが来て,サイドイベントを楽しんでいます。

4Gamer:
 Whiteさん自身が最も打ち込んだカードゲームは「マジック:ザ・ギャザリング」ですか。

James White氏:
 「マジック:ザ・ギャザリング」は間違いなく,私が熱心に取り組んだカードゲームのひとつです。しかし,「WORLD OF WARCRAFT TCG」や「VSシステム」もプレイしてきました。

4Gamer:
 TCG以外で好きなゲームジャンルはありますか。

James White氏:
 私はTCGが100%です(笑)。若い頃は「ストリートファイター」シリーズをプレイしていましたが,TCGに出会ってからはこのジャンルにのめりこんでいます。

 しかし,「フレッシュ&ブラッド」の1対1で体力を削り合うゲームシステムや,コンボの要素は格闘ゲームに似ていると言われることがあるので,「ストリートファイター」から影響を受けているのかもしれません。

4Gamer:
 WhiteさんはTCGをたくさんプレイされてきたようですね。これまでのカードゲームと比べて,「フレッシュ&ブラッド」がユニークな点は何だと考えていますか。

「Surging Strike(赤)」をアクションとして使用するにはリソースが2必要。一方,このカードをピッチ(リソース化)すると,リソースを1得られる
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James White氏:
 まず,リソースシステムが革新的だと思います。「フレッシュ&ブラッド」では,手札をリソースとして使うか,アクションとして使うかを選択できます。これによって,リソース用のカードとアクション用のカードが分かれている「マジック:ザ・ギャザリング」系のタイトルと比べて,手札事故が起こりにくいです。

 一方で「ハースストーン」系のタイトルは,自動でリソースが増えていくシステムによって手札事故を軽減しました。これらのゲームではだんだんと戦力が強くなっていくのに対し,「フレッシュ&ブラッド」では最初からフルパワーで戦えることが大きな違いだと思っています。

 また,ファンタジーRPGの世界観を再現するため,ヒーローと装備品を対戦前に選択して,ゲーム開始時から使えるシステムにしたことも,ファンからの評判がいいです。特殊印刷によってキラキラと光る装備品を手に入れた人は,毎試合それを使って楽しめるでしょう。

「Fyendal's Spring Tunic」は非常に人気の高い装備品だ。レアリティによって値段は異なるが,安いものでも1万円以上,高いものだと数百万円で取引されている
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4Gamer:
 キラカードを集める楽しさは,アナログカードゲームならではの魅力ですよね。デジタルカードゲームの経験者で,アナログカードゲームをやったことのない人に向けて,何かメッセージをいただけますか。

James White氏:
 最初にプレイするタイトルは「フレッシュ&ブラッド」がおすすめですよ! 対面で遊ぶゲームであることを強く意識し,その楽しさを伝えるために制作しています。

 提携カードショップを通じて,忍者ヒーロー「アイラ(Ira)」のウェルカムデッキをプレゼントしているので,ぜひ近くのお店に足を運んで体験してみてください。秋葉原のような巨大TCGタウンがある日本に住んでいる皆さんは,世界のプレイヤーと比べてとてもラッキーなはずです。

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[2024/03/22 10:35]

「フレッシュ&ブラッド」公式サイト内の「霧隠の秘境」詳細ページ

「フレッシュ&ブラッド」公式サイト

「フレッシュ&ブラッド」日本公式X(旧Twitter)アカウント

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