プレイレポート
美少女がパリィと魔法カードでボスバトル! 好きなものを山盛り詰め込んだ「Witch the Showdown」プレイレポート[TGS2024]
本作の内容については,Steamストアページ(リンク)の「ボス戦のみのハイスピードパリィアクション×デッキ構築ローグライクが融合した新ジャンルゲーム」という説明がすべてを表しているだろう。
主人公は魔法の力を操るウィッチで,武闘大会での優勝を目指して戦っていく。
スクリーンショットを見るとターン制のカードゲームのようだが,本作にはターンの概念はなく,試合はリアルタイムで展開していく。ボスはアクションゲーム並みに動き回って激しい攻撃を繰り出すため,プレイヤーは反射神経を駆使して対処していくのだ。
迫りくる攻撃をギリギリで防ぐ,いわゆるパリィを決めれば「マナ」が増えていく。このマナは,魔法カードを発動させるのに用いる。
魔法カードの効果は,攻撃やカウンター,自分の能力強化や回復などいずれも個性的。攻撃力を上げる魔法をかけたあと,威力の高い魔法を使って大ダメージを狙うなどのシナジーを意識し,後述する「エレメンタルバースト」を発動させるために,火,氷,雷といった魔法の属性も考慮しなければならない……と,カードゲームの定石が押さえられている。
魔法カードを使ったあとはデッキからランダムに手札が補充されるため,戦いの展開は手札を引く運によっても左右されることになる。このあたりもカードゲームらしい面白さと言えるだろう。
つまり,激しく攻撃してくるボスの攻撃を防ぐアクションゲーム的なプレイをしつつ,ランダムに補充される手札を見つつ,シナジーや属性を意識したカードゲームをやるようなものだ。パリィだけでは攻撃できないし,魔法カードだけ使ってもマナが枯渇する。プレイ中は,パリィを決める指先と魔法カードの効果を考えて使う頭,その両方がフル回転するのが面白い。
カードゲームの要素があるゲームで“タイミング良くパリィを決める”と聞くと,ターン制カードゲームにタイミング良くゲージを止めるようなミニゲームが組み合わさったものを想像するかもしれないが,本作の敵のアクションはガチもガチ。多彩な技を持つうえ,コンビネーションを途中で止めるフェイントも平気で使ってくる。
特に恐ろしいのがガード不能技だ。パリィはできないため,左右にステップするか,しゃがむかして回避しなければならないが,もちろん技によって避けるべき方向が違う。コンビネーションの中にはパリィ不能技を連発してくるようなものもあって恐ろしい。
しっかりとモーションを覚えてタイミング良く対処しなければならず,その過程で何度もやられることになる。このあたりは,主人公に移動の要素がないだけで,高難度アクションゲームにおけるボス戦のノリだ。
ボスもモーションが大きいミノタウロスや,剣で猛ラッシュを仕掛けてくる剣士,銃と格闘技で変幻自在のコンビネーションを繰り出してくるガンマンなど個性豊かなラインナップで楽しい。
特に面白かった要素が,連続でパリィを決めることで増えていく「コンボ」のカウントと,コンボカウントの数値が高いほど威力が上がる魔法カード「メテオ」の存在だ。メテオがあることで,ミスなくパリィを決めることの重要性が増しており,このようなアクションゲームとカードゲームの要素のシナジーこそ,本作ならではの楽しさを演出しているように感じられた。
また,火,氷,雷の魔法カードを使うと,それぞれの属性の「エレメンタルポイント」が増えていき,規定値を越えると「バースト」という特殊効果が発動する。火のバーストは与えるダメージが2倍,氷のバースト中は無敵になり,雷のバーストなら魔法が撃ち放題になるなど,戦局に大きな影響を及ぼす。
バースト中に別のバーストを発動させると,効果時間はリセットされるので,より長時間バースト状態を維持することが可能となる。3種のバーストを同時に発動できれば,高火力の魔法を撃ち放題,かつ無敵という「フルバースト」状態になり,苦戦していたボスでも一気に殲滅させられる。
効果が絶大なだけに,エレメンタルポイントの管理は結構大変だ。前述のとおり,補充される手札はランダムなので,フルバーストを狙いたいのに火属性の魔法カードが偏ってしまい,結局火のバーストのみで終わってしまったなんてことも起こる。こうした管理を激しいパリィや回避の最中に行わなければならないのが本作の面白さで,うまく決められれば気分爽快だ。
「Witch the Showdown」を開発する桐生 七氏によれば,本作を開発するきっかけは,自身がゲームセンターの対戦カードゲーム好きであり,「一人用でも対戦ゲーマーが夢中になれるようなゲームを作ろう」と考えたことだという。カードゲームで使うコスト(マナ)をパリィで溜めるのであれば面白いのではないかという発想から開発がスタートした。
当初はパリィとカードゲーム的な要素がうまく組み合っていなかったものの,コンボの概念を考えついたことで両者が融合し,面白さが飛躍的にアップしたのだそうだ。
すべての敵をボス級とするというコンセプトのもと,製品版ではさらに敵の数が増えるという。また,ボードゲーム風のパートも導入され,主人公を強化したり,新たな魔法カードを手に入れてデッキを構築できたりもするそうだ。
高難度ボスと対戦するアクション,パリィ,カードゲーム的要素,魔法,美少女と好きなモノをギチギチに詰め込んだ感がある「Witch the Showdown」。カードゲームとアクションゲームを組み合わせるうえで,ターン制カードゲーム+ミニゲームとするのではなく,シビアで歯ごたえのあるアクションと,シナジーを考えるのが楽しいカードゲームというどちらの要素もしっかり追求している。そんな“両取り”的なゲームデザインも好きなモノを詰め込んだ感があり,インディーゲームらしい尖った作品と言えるだろう。これらのキーワードに反応した人は,9ホールC35のiGi/創風ブースで試遊してほしい。
また,桐生氏のnote(リンク)には,これまでに行われたαテストのアンケート結果や,今後の開発方針が公開されているので,こちらもチェックしてみよう。
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