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[プレイレポ]やはり「サガ フロンティア2」は不朽の名作だった。HDリマスター版は現代のゲーム環境に合わせた心配りも行き届いている
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印刷2025/03/29 12:00

プレイレポート

[プレイレポ]やはり「サガ フロンティア2」は不朽の名作だった。HDリマスター版は現代のゲーム環境に合わせた心配りも行き届いている

 昨日(2025年3月28日)リリースされた「サガ フロンティア2 リマスター」PC / PS5 / Nintendo Switch / PS4 / iOS / Android)は,1999年に発売された「サガ フロンティア2」を現在のプラットフォームでも遊べるようにしたHDリマスター版だ。

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「サガ フロンティア2 リマスター」公式サイト


 
 術能力が重んじられる世界で王の嫡男として生まれたにもかかわらず,術を使えなかったギュスターヴ。遺跡から遺物を探すことを生業とする冒険家のウィリアム(ウィル)・ナイツ
 プレイヤーは2人の中心人物とその子孫の視点から,1世紀もの長きにわたる長大なドラマを垣間見る。

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ギュスターヴ
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ウィリアム・ナイツ

浜渦正志氏のピアノを主体とした叙情的な曲の数々や,水彩画調のグラフィックスがもたらす独特のムードも評価が高い
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 HDリマスター版は原作にはなかった新規エピソードやバトルキャラクターが追加されたうえ,グラフィックスの高解像度化,UIの再構築,成長能力継承機能の追加など,ゲームシステムの改良も施されている。
 待望のHDリマスター版をいち早くプレイする機会を得たのでレポートしていこう。なお,ストーリーや重要なシーンを紹介しているため,ネタバレを気にする人は注意してほしい。

オープニングは原作のものをベースにしつつ,書籍などの描き下ろしイラストを追加して再構成している
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 「サガ フロンティア2」はサガシリーズの中でも異色の作品で,とくにストーリーテリングに重きを置いたRPGだ。本作の舞台となる世界,サンダイルは見た目こそ中世風だが,そこに暮らす人類は「術文明」とでも呼ぶべき高度な文明を築いている。
 例えば,灯りを点けるときは火術の源となる火のアニマ(魂や本質のような意味)を用い,石包丁で食材を切る場合は石のアニマを使う。そして戦場では術により生みだされた炎の嵐や石礫が飛び交う。このように,万物に宿るアニマを万事において活用しているわけだ。

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 本作の中心人物であるギュスターヴは,ギュスターヴ12世の嫡男として生まれたが,アニマを操る力を持たず,後継者となるための儀式にも失敗。そのため,母と共に国を離れざるを得なくなる。
 しかし,ギュスターヴは術を阻害するゆえに,忌み嫌われていた金属「鉄」の性質に着目した。鋼の具足に身を包んだ「鋼鉄兵」と呼ばれる最強の兵団を率いて,時代を変える風雲児として飛躍する。

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 一方,もう1人の中心人物であるウィリアム・ナイツは,「クヴェル」発掘を生業とするディガー。かつて世界規模の帝国があり,その遺跡からは無限にアニマを引き出せる遺物が産出する。それがクヴェルだ。
 のちに数々の偉業を成し遂げ,「タイクーン・ウィル」と呼ばれるようになる彼は,ギュスターヴによって変わりゆく世界で一族と共に数奇な運命を辿る。

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 一風変わった世界と状況で幕開けとなる本作の物語だが,その進め方もなかなか変わっている。プレイするエピソードを選ぶ「ヒストリーチョイス」の画面では,世界地図と大まかな年表が表示され,リスト上から好きなものを選んで進めることになる。

原作では地図上にエピソード名が直接表示されていた
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リマスター版はUIが変更され,年代やメインキャラクターなどの情報をまとめて表示
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 これらのエピソードは必ずしも時系列順にプレイする必要はない。例えば,ウィルであればタイクーンと呼ばれるようになった時代のエピソードを遊んだあとに,若い頃の出来事を紐解くことも可能だ。
 コミックや小説などで,本編の合間に「主要キャラクターの過去にあったエピソード」を楽しむ感覚に近いだろうか。

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 リマスター版に追加されたエピソードは,原作ではプレイヤーの想像に委ねていた部分を補足するものになっている。原作をプレイした人には,特別な感慨があるかと思う。
 もちろん詳細は伏せておくが,エンディング後にも驚きのエピソードが出現することも付け加えておく。

ギュスターヴが幼年期を過ごしたグリューゲル。街の近郊にある館がクローズアップされるようだが……
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本編クリア後,任意の項目を選んでデータを引き継げる。周回プレイでは,強力な敵とも戦えるようだ
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 追加エピソードは総合ディレクターを務める河津秋敏氏が監修,小説家のベニー松山氏が執筆を担当している。原作のテキストが簡潔で力強いものであるのに対し,追加エピソードは遊び心と華やかさが増していて,史書をベースにした小説や講談のような印象を受けた。

1261年「ラウプホルツ制圧作戦」より。ギュスターヴの腹心であり,古くからの友人でもあるヤーデ伯ケルヴィンの心中は穏やかではない
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 ゲームの進行速度は「等速」「2倍」「3倍」から選べるようになった。原作のプレイ経験があり,大まかに記憶している筆者には,倍速のほうがテンポ良く遊べる印象だ。
 進行速度はワンボタンで切り替えられ,イベント中や敵のシンボルを回避するときだけ等速に戻すといったことも簡単にできる。原作当時と比べて,全般的に現代のゲームのテンポは速くなっているため,倍速のほうが遊びやすいと感じる人は多いだろう。

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 もちろん,原作そのままの雰囲気を味わいたい人は,等速にこだわるのもいいだろう。ただ,初代PlayStation時代に使用されていた記憶媒体はCD-ROM。本体内部に高速なストレージなどもなく,等速でも当時のままではなく,細部の「間」が異なるようにも思える。
 つい話が長くなったが,要は自分に合った速度でプレイすればいいということだ。

原作の内容そのままになる「追加要素なし」モードも選べる
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 バトルも同様に,UIの改修と倍速プレイが可能になったことで,実に快適に遊べる。単に「早送り」できるだけでなく,バトル開始時や連携の演出が見直されており,等速の場合でも原作よりテンポアップしていることを実感できた。

新旧のバトルシーン(上が原作,下がHDリマスター版)。現在の環境に合わせて,快適に遊びやすくなった
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 本作におけるHP(ヒットポイント)とLP(ライフポイント)の関係は,サガシリーズの中でも独特だ。LPは「HPの回復手段,および技ポイントや術ポイントの代わりに消費するリソース」といった位置づけになっている。
 HPは戦闘終了時に最大値の25%しか回復しないため,プレイヤー自身が判断して余命(LP)を削り,危機を脱していかなくてはならない。これが「サガ フロンティア2」のバトルの醍醐味と言える部分であり,全体的にテンポアップしているとはいえ,LPの使いどころをじっくりと考える感覚はHDリマスター版でも変わらない。

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 本作の特徴と言える,1対1の戦闘「デュエル」もテンポアップの恩恵を受けてだいぶ遊びやすくなっている。敗北時にリトライを選んですぐ再戦できたり,LPを消費して確実に逃走できたりすこともあり,技や術の習得に使うだけでなく,デュエル専用の「ひとり連携」の法則を探りやすくなっている。

実は奥深いひとり連携(スクリーンショットは原作のもの)
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 さらにHDリマスター版では,バトルキャラクターのパラメータの一部をほかのキャラクターに引き継げる。操作するキャラクターが変わったり,時代の変遷によってお気に入りのキャラクターが登場しなくなったりしても,それまでの成果が無駄になりにくくなったわけだ。
 これは原作の賛否があったポイントのフォローかと思われる。

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 「成長能力継承」は上の写真のように,コーデリアの能力をジニー・ナイツに引き継ぐといった形で,それぞれキャラクターを1人ずつ選べる。また,装備のように「つけ外し」も可能で,キャラクターの長所を伸ばしたり,逆に欠点を補ったりと,いろいろと試してみたくなるはずだ。

 原作では伏せられていた装備の詳細なパラメータも表示されるようになった。 当時は画面解像度の都合から表示データに制限があり,また攻略情報の入手性などから,詳細なデータを表示しないほうが遊びやすいという考えがあったのだろう。
 また,最大1000個のアイテムを収納できる「倉庫」が追加され,アイテムのインベントリが圧迫されにくくなっている。地味ではあるが,確実に遊びやすさにつながる変更点だ。

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 原作当時に販売されていた周辺機器,PocketStation(以下,ポケステ)用のミニゲーム「GO!GO!ディガー」も,「DIG!DIG!ディガー」としてアレンジされて楽しめる。ポケステは品薄により入手しにくく,高額転売されることも珍しくなかっため,往年のファンには嬉しいポイントだろう。
 なお,ゲームの内容は各地の遺跡にディガーを送り込み,時間経過に応じて装備やアイテムを受け取れるというもの。装備などのやりくりが確実に楽になる。

ポケステ3台分に相当する量産体制を確立できる。HDリマスター版の倉庫が拡張されたのは,「DIG!DIG!ディガー」のためなのかもしれない
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 追加要素はもちろんだが,随所に遊びやすさのための配慮があり,HDリマスター版は原作の「かゆいところにも手が届いた」印象も受けた。筆者は原作当時,数か月にわたってゲーム雑誌の記事を担当し,プライベートでも遊んでいたくらい思い入れがあるのだが,2021年に「サガ フロンティア リマスター」を遊んだときにも似た,ポジティブな手応えを感じている。

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 とくに嬉しかったところは,天下分け目の「サウスマウンドトップの戦い」だ。偽ギュスターヴの元に集いし十勇士……じゃなくてエーデルリッターたちのドット絵も新たに描かれており,「鉄壁の布陣で丁重に迎撃せねば」と気持ちが引き締まった。

原作では汎用のシンボルだったモイ,トーワ,イシスの姿も見られる
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 2024年4月1日,「サガ フロンティア2」発売25周年のタイミングに河津氏は「信じて待っていれば,裏切られることはないですから」とファンにメッセージを伝えていた。その言葉に嘘はなかった。そして,「サガ フロンティア2」は時を経た今も,胸を打つドラマとプレイヤーの選択が絡み合う不朽の名作だった。

かくて「あけび」はプレイヤーの元に届けられた
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