連載
感染者の検問突破を阻止するシミュレーション「Quarantine Zone: The Last Check」(ほぼ日 インディーPick Up!)
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君は政府から派遣された将校として,押し寄せる生存者の列と対峙する。彼らを通すか,実験動物として檻に入れるか,それとも焼却処分にするか。
判断材料は手元の検査ツールと,君の目だけだ。ここでは命すらも,処理すべきタスクのひとつに過ぎない。
本日は,2026年にリリースされた「Quarantine Zone: The Last Check」を紹介しよう。本作はゾンビパンデミックを題材にした関所運営シミュレーションゲームだ。プレイヤーは検問所を預かる将校となり,安全地帯を目指す生存者たちの運命を決定していく。
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本作の特徴は,徹底してドライな「選別業務」にある。検問ブースに現れる生存者に対して,プレイヤーは自分の目と検査器具だけを頼りに感染の兆候を探る。
肌のシミがただのソバカスなのか,それとも致死的なウイルスの初期症状なのか。自らの目で皮膚を凝視し,手元の見本と見比べる作業は,極めてアナログで泥臭い。システムが正解を教えてくれることはなく,全てはプレイヤーの観察眼に委ねられる。
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判断を下した後の処理もまた,事務的かつ無慈悲だ。感染者と断定され「処分」が決まった人間は,行き先も告げられずに連行され,画面外で乾いた銃声だけが響く。
プレイヤーはその音を聞きながら,すでに次の生存者の身体チェックをしているのだ。
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日々の業務は検問だけではない。数日おきに発生する襲撃イベントでは,施設に群がるゾンビを俯瞰視点で淡々と撃退しなければならない。
また,業務の合間には,研究材料として捕獲したゾンビに,死体置き場から運んだ「餌」を与えるといった裏仕事もプレイヤーの責務だ。ここにあるのは英雄的な戦いではなく,生き延びるための果てしない汚れ仕事だけだ。
答え合わせは事後報告
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検査中,システムは沈黙を保つ。目の前の人物がシロかクロか,その場で正解を告げる演出は一切ない。居住区に通した人間が実は感染者だったとしても,判明するのは一日の終わりのリザルト画面だ。
「見逃しゼロ」の文字を見た時の安堵感は,派手な演出がないからこそ,じわりと胸に染みる。この遅れてやってくる重圧が,役人としての責任感を嫌でも意識させるのだ。
事務的に処理される死
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本作の死生観は徹底して乾いている。処分が決まった生存者は,自分が殺されるとも知らずにおとなしく連行され,プレイヤーもまた判断ひとつで彼らを死地へ送る。
時折,家族を探す者が現れ,残酷な真実を知って暴れることもあるが,それすらも警備兵の銃弾によって即座に「処理」される。ドラマチックな別れなどない。ただ業務上のトラブルとして命が消えていく様が,逆に恐ろしい。
生体解剖による知識の更新
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マニュアルにない未知の症例が現れた時,プレイヤーは非情な決断を迫られる。その人物を研究所へ送り,生きたまま患部を摘出するのだ。レーザーで邪魔な臓器を焼き切り,目的の検体を回収する手術はパズル的な手触りだが,検体採取と引き換えにドナーは死亡する。
しかしその犠牲によって,ガイドブックに新たな症例写真が追加される。未来の正確な検査のために,目の前の命を「踏み台」にする感覚は,本作でしか味わえない業の深さだ。
冷たい雨が降る検問所で,ひたすら他人の肌を覗き込み,冷徹な決断を下し続ける。本作は,ゾンビもの特有のアクション性よりも,極限状態における「管理者の孤独」を味わいたい人へ向けた作品だ。感情を殺してルールを守る,その息苦しさに耐えられるなら,きっと忘れられない体験になるだろう。
- 関連タイトル:
Quarantine Zone: The Last Check - この記事のURL:



























