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[CES 2015]「Cherry MX」のZF,キー入力の遅延を小さくした高速入力重視の赤軸キーボード「MX Board 6.0」発表
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印刷2015/01/07 10:37

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[CES 2015]「Cherry MX」のZF,キー入力の遅延を小さくした高速入力重視の赤軸キーボード「MX Board 6.0」発表

MX Board 6.0の最終試作品と製品ボックス
画像集 No.002のサムネイル画像 / [CES 2015]「Cherry MX」のZF,キー入力の遅延を小さくした高速入力重視の赤軸キーボード「MX Board 6.0」発表
 北米時間2015年1月6日,メカニカルキースイッチ「Cherry MX」で知られるZF Electronics(以下,ZF)は,2015 International CESの会場内で報道関係者向け説明会を開催。その場で,キー入力の遅延を小さくする技術「Real Key Technology」採用のキーボード「MX Board 6.0」を2015年春に北米および欧州市場で発売すると発表した。価格は219ドルとのことだ。

 採用するキースイッチは“Cherry赤軸”こと「Cherry MX Red」となっており,全キーでAnti-Ghosting(アンチゴースト)とNキーロールオーバーに対応する。
 対象ユーザーはプロのタイピストやプログラマーなど,高速な入力を必要とする人とされているが,[Windows]キーを無効化する機能など,ゲーマー向けの機能も備えているので,ゲーム用途でもその入力遅延技術には期待が持てそうである。

MX Board 6.0。オーソドックスな英語配列キーボードとなっている。ボディは金属製で,手に持つと見た目の印象より重い。キースイッチにはLEDが埋め込まれており,基本的には赤く光るが,[Windows]キーや[Caps lock]キーなどは,写真のとおり,青色に光らせることも可能だ
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MX Board 6.0は,高速なキー入力を必要とするタイピストやライター,プログラマーを対象ユーザーとしている(左)。2015年春発売予定で,価格は219ドルの予定(右)
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キースイッチはCherry赤軸を採用。「なぜ赤軸なのか」という問いに対しては,赤軸が一番ポピュラーであることに加えて,「我々(=Cherry)のシンボルカラーだから」という理由もあるそうだ
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テンキー部分の上には,3個のメディアコントロール用キーと並んで,Cherryマークのキーがある。これは[Windows]キーの有効無効を切り替えるもので,「要はゲームモードだよ」とのこと

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[F5/F6/F7/F8]キーは,[Fn]キーとの同時押しでキーボードバックライトの輝度を調整できる
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付属のパームレストは奥行きが長い。本体とは磁石で取り付けるようになっていた

MX Board 6.0のLEDを無効化したところ
画像集 No.005のサムネイル画像 / [CES 2015]「Cherry MX」のZF,キー入力の遅延を小さくした高速入力重視の赤軸キーボード「MX Board 6.0」発表


キーボード側の信号処理で遅延を縮小

特別なドライバソフトは必要なし


 MX Board 6.0を実現するカギとなっているReal Key Technologyとはいったいどういうものなのか。
 ZFによると,この技術はいくつかの要素を複合したもので,キーボード内部での信号処理や,USBでやり取りするデータの管理などに改良を加えることで実現できたものだそうだ。

 とくに重要な改良が,キーのオン/オフで発生する電気信号の不規則な変動を補正する手段だ。たとえば通常のキーボードでは,キーを押してスイッチがオンになると信号線の電圧が上がり,それが一定のしきい値を安定して超えると,「0」から「1」に変わったと見なされる。ところが,0から1に変わるごく短い間に,電圧が激しく変動して高くなったり低くなったりを繰り返すことがあるのだという。
 電圧が安定した状態になるまでは,「1になった」と見なされないので,キーが押されてから,実際にキーボード側のコントローラが「1になった」と判定するまでには,わずかとはいえ遅延が生じる。この「電圧が安定するまでにかかる時間」は,説明会で「Debounce Time」(デバウンスタイム)呼ばれていたが,ZFによれば,これまでのキーボードにおいて,Debounce Timeはおおよそ5ms程度存在していたとのことだ。

Debounce Timeについての説明スライドより。0から1に電圧が変動する途中で,ギザギザになっている部分が電圧の不規則な変動部分だ。電圧がしきい値を超えてから安定して高い状態になるまでは,スイッチがオンになったと見なされない。そして,その時間はおよそ5msになるという
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 そこでReal Key Technologyでは,キーボード内部の信号処理を,0と1だけで判断するデジタル式から,アナログ式に変更した。それにより,電圧の不規則な変動部分であっても,オンになったと判定できるようにしてあるのだそうだ。これによって,キースイッチが押されてからオンになったと判定されるまでの時間を0.8msまで短縮できたと,ZFはアピールしている。

信号処理をアナログ式に変更し,「1になった」と判定されるまでの時間を0.8msに短縮した
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 そのほかにも,USBで送信するデータを蓄積するまでの時間――いわゆるレポートレート――を1ms単位=1000Hzまで短くして送信することでも遅延を減らしているという。これは,ゲーマー向けマウスや,一部のゲーマー向けキーボードでも採用されている手法なので,この点ではキャッチアップしたということになるだろう。
 こうした細かい積み重ねによって,素早いキー入力を繰り返すような用途であっても遅延の少ない入力が可能なキーボードが実現できた。その成果がMX Board 6.0というわけだ。

デバイスマネージャから「ヒューマンインターフェイスデバイス」を確認してみたところ。ドイツ語版Windowsなので分かりにくいが,Windows標準のドライバしか読み込まれていない
画像集 No.014のサムネイル画像 / [CES 2015]「Cherry MX」のZF,キー入力の遅延を小さくした高速入力重視の赤軸キーボード「MX Board 6.0」発表
 この話を聞いて,MX Board 6.0を使うためには,特別なドライバソフトをPCにインストールする必要があるのではないかという懸念を抱いた人がいるかもしれない。だが,結論からいえばその必要はなく,Windows標準のドライバソフトだけで動作する。
 MX Board 6.0が接続されたデモ機で確認し,ZFのスタッフにも確認したが,特別なドライバソフトはインストールされていなかった。キーボード内のコントローラ側で処理を行っているため,クラスドライバだけで問題なく動作するとのことだ。

 そうなると気になるのは,Real Key Technologyを導入したゲーマー向けのキーボードをZFが開発したり,ほかのキーボードメーカーに技術提供したりする可能性があるかどうかだ。質疑応答でその質問が出たときには,当然ながら「未発表の話題であるため回答できない」という答えしかなかったが,発表会終了後に筆者があらためて聞いてみたところ,その可能性は排除されていない印象を受けた。一部のゲーマー向け製品ブランドが,Cherry MX互換のスイッチを採用しつつ,高速に打鍵できると謳うキーボードの展開を始めているが,そこに,本家本元からのカウンターが当たる可能性はありそうな気配だ。

 説明会場には,7色に光るキースイッチ「Cherry MX RGB」を搭載するキーボードの開発でZFと協業を行ったCorsairのスタッフも来場していたので,あるいはReal Key TechnologyでもまたCorsairと……ということも,あくまでも想像ながら,あるかもしれない。

 いずれにせよ,Real Key Technologyを採用した本格的なゲーマー向けキーボードの登場には期待が高まる。ZF自体が手がけるにせよ,パートナー企業と協業して行うにせよ,何からの方法で実現されることに期待したい。


Cherry 製品情報ページ(英語)

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