テストレポート
「PS Vitaに[L2/R2]トリガーを追加できるグリップ」を試す。これはPS4リモートプレイに必須のアイテムかも
製品名そのままに[L2/R2]トリガーを搭載したこのグリップは,PS VitaのPCH-2000用。装着すると,PS Vitaで[L2/R2]トリガーを利用できるようになるというのが最大の特徴だ。
上越電子工業というのは,ゲーム業界では聞き慣れない名前だと思う。実のところ,筆者にとっても初耳だったのだが,主な事業は,産業用機械の制御基板や,車載用ランプなどの製造だそうだ。
「ではなぜ突然PS Vita用グリップを?」というと,販売代理店であるアンサーいわく,社長のゲーム好きが高じて,ゲーム周辺機器事業に参入することになったとのこと。今回のグリップカバーを出しておしまい,というわけではなく,今後も製品を投入する計画があるという。その意味では,名前を憶えておく価値があるかもしれない。
今回4Gamerでは,そんな“新興ゲームデバイスメーカー”の第1弾製品,その開発途上版プロトタイプを入手できたので,その仕組みと効果を,取り急ぎファーストインプレッションとしてお伝えしてみよう。
なお,それに先だって1つお断りしておくと,製品版で変更される予定の部分には,事情によりモザイク処理を施している。また,グリップ本体や[L2/R2]トリガーの見た目も製品版とは若干異なるとのことなので,この点はご了承を。
グリップ自体の握りやすさは上々
導電ゴムでタッチパッドを[L2/R2]トリガー化
テストに先立って,グリップカバーの仕様をチェックしておこう。
入手した開発途上版のサイズは実測約190(W)×91(D)×35(H)mm。重量は同72gだった。グリップカバーの右上と左上には小さな爪があり,装着時にはこの爪でPS Vitaを固定する仕組みだ。
というわけでさっそく装着してみたのだが,第一印象はかなりよい。とくに好印象なのは,グリップカバー本体背面で大きく膨らんだブロックの存在で,グリップカバーごとPS Vitaを持つと,中指から小指が自然とこのブロックを覆うように収まってくれるのだ。「据わりが悪く,意図せずタッチパッドをタップしてしまう」といった問題は,まず生じないのではないだろうか。
また,盛り上がるブロック部を中指以降でしっかり握れるため,「グリップカバー分,PS Vitaが重くなった」ことの悪影響は,あまり感じない。
最大の特徴である[L2/R2]トリガーは,装着するとPS Vita側のバンパーボタン奥側(=机上に置いた状態では下側)にくる場所へ用意されている。DUALSHOCK 4の[L2/R2]トリガーとは似て非なる感覚で,左右に幅が広く,一方で厚みはない,大きめの板のような感じだ。
グリップカバーをよく見ると,PS Vita背面タッチパッドの一部を覆う部分が膨らんでいるのが分かるが,ここに「トリガーを引くと,タッチパッドをタップする」機構が搭載されており,[L2/R2]トリガーを引くと,写真でモザイクのかかっているところにある導電ゴムが内側に向かって膨らみ,PS Vita背面のタッチパッドをタップするようになる。
PS Vitaのタッチパッドは,静電容量の変化を検出して「指が触れたかどうか」を検出し,押された場所の位置情報を踏まえて入力として受け付ける仕様になっている。なので,導電ゴムで擬似的に「指によるタップ操作」を再現できればいいというわけだ。
ちなみに,この[L2/R2]トリガーの構造や形状は,上越電子工業が実用新案および意匠権を取得済みという。
新生FFXIVのリモートプレイでテスト
DUALSHOCK 4と同じ操作感の実現には設定変更が必要
では,実際にPS4版「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」(以下,新生FFXIV)のリモートプレイで,グリップカバーの使い勝手を確認してみよう。
まず,前段で「かなりよい」と評した第一印象は,実際にゲームをプレイしてもあまり変わらない。グリップカバーの自重分だけ,どうしても重くはなるが,本体背面にあるブロック状の膨らみのおかげで,むしろしっかり握れることのほうを評価したい感じである。
気になる[L2/R2]トリガーは,引くときの感触がやや固め。DUALSHOCK 4のトリガーも固いのだが,グリップカバーのそれはさらに固い印象だ。
ただ,「固すぎてつらい」わけではない。「DUALSHOCK 4のトリガーと比べると,引くのにやや強めの力がいる」というレベルの話であり,新生FFXIVを長時間プレイしても疲れるというほどではなかった。むしろ個人的には,[L2/R2]トリガーが少し遠いので,PS Vitaの[L/R]バンパーボタンから人差し指をスライドさせるときに少し面倒なのが気になったが,トリガー自体の操作性は問題ないと述べていいと思う。
新生FFXIVの場合,[L1]ボタンがオートラン,[R1]ボタンがホットバーセットに割り当てられている。オートランは戦闘中に多用するようなものではないが,ホットバーセットは戦闘中に使う頻度が高く,うまく使いこなせないと戦闘不能に陥ることもある。そのため,「グリップカバーを装着してちょっとボタン割り当てをカスタマイズすれば,DUALSHOCK 4と同じ操作感を得られる」のは,かなり有用と感じた次第だ。
よりアクション性の高いタイトルでどうなるかは分からないが,上越電子工業では,最終製品版で,導電ゴムのサイズをより大きくし,トリガー入力のさらなる安定性向上を図るとのことなので,この点は期待していいのではなかろうか。
操作性の向上を実感できるのは○
最終製品版でのブラッシュアップに期待
PS Vitaを用いたリモートプレイを,ギャザラーやクラフターといった生産職用と割り切っているプレイヤーも多いと思うが,そこまで割り切ったとしても,DUALSHOCK 4と比べて使いにくいという印象を持っている人はいるのではなかろうか。正直,筆者もその1人だったのだが,このグリップカバーは,そういう不満を解決してくれる存在だと感じている。
もちろん,リモートプレイそのものにどうしても遅延があるのと,そもそも画面解像度が低すぎるという問題もあるため,エンドコンテンツのようにシビアな戦闘には向かない。ただ,ちょっとした戦闘なら十分こなせるレベルになる。これは,小さいようで大きな違いだ。
最終製品版の仕上がりを待つのもアリだが,待ちきれないなら現時点で注文してしまってもいいのではなかろうか。
L2/R2ボタン搭載 グリップカバー 製品情報ページ
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上越電子工業 公式Webサイト
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