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Motorola「Moto G4 Plus」を試す。Snapdragon 617搭載のミドルクラス機はバランスの取れた性能のスマートフォンだった
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印刷2016/07/16 12:41

テストレポート

Motorola「Moto G4 Plus」を試す。Snapdragon 617搭載のミドルクラス機はバランスの取れた性能のスマートフォンだった

Moto G4 Plus
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 既報のとおり,2016年7月13日,Motorola Mobility(以下,Motorola)の日本法人であるモトローラ・モビリティ・ジャパンは,SIMロックフリー対応のAndroidスマートフォン「Moto G4 Plus」を7月22日以降に国内発売すると発表した。Qualcomm製のミドルクラスSoC(System-on-a-Chip)である「Snapdragon 617(MSM8952)を採用しつつ,メインメモリ容量3GB,内蔵ストレージ容量32GBとなる上位モデルでも税込4万円未満,メインメモリ容量2GB,内蔵ストレージ容量16GBの下位モデルだと税込3万円台半ばという,手頃な価格がポイントの新製品だ。

Danny Adamopoulos氏(アジア太平洋/中東地域プロダクト・オペレーションズ・ディレクター,モトローラ・モビリティ・ジャパン社長)
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 同日に行われた製品発表会に参加した筆者が,「ゲーマー向けに,こってりとチェックをしたい」と伝えたところ,通されたのはなぜか関係者控え室。しかたなく控え室で「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(iOS / Android,以下 デレステ)のテストをしていたところ,そこへ会見を終えたモトローラ・モビリティ・ジャパン社長のDanny Adamopoulos(ダニー・アダモポーロス)氏が現れたではないか!
 「それはなんだい?」と興味深げにデレステを見つめる氏に,説明しながらテストをするという羞恥プレイというか,謎な展開になってしまったわけだ。

 ともあれ,ミドルクラススマートフォンの新しい選択肢となり得るのか,Moto G4 Plusの実力をチェックしていこう。


ストイックなデザインに往年のMotorola製携帯電話を思い出す


 4Gamer読者に,Motorolaブランドのスマートフォンや携帯電話機を使ったこと,あるいは見たことがあるという人はどれくらいいるのだろうか。ストイックとさえいえる機能性重視の外観でありながら,ある種の洒落たデザインというか機能美というか,独特のデザインセンスを感じられる製品が,Motorolaには多かったように筆者は思う。
 新しいMoto G4 Plusも,そんなMotorola製品の雰囲気を,しっかりと継承している。

本体前面(左)。本体上部の受話口はスピーカーも兼ねている。本体背面(右)には,アウトカメラとLEDライト,レーザーオートフォーカス用の受発光部,サブマイクがある
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背面のMotorolaロゴは,軽く凹んでいる。ちょうど人差し指を置きやすい場所と形状だ
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 外観は大人しめのデザインで,背面にあるMotorolaロゴと少し出っ張ったカメラユニットが,アクセント的な存在感をみせるといったところ。背面パネル全体にマット調の表面加工が施してあるおかげで滑りにくく,手に持ったときの安定感はいい。触り心地もなかなか良好。
 触り心地もなかなか良好。派手で人目を引くコンシューマ向け製品ではなく,道具としての良さを重視した法人向け製品な雰囲気が強いといってもいいだろう。

本体上側面(左):中央に4極のヘッドフォン&ヘッドセット兼用端子がある
本体下側面(右):USB 2.0 Micro-B端子がある。その右にチラリと見える隙間は,背面パネルを取り外すときに爪を差し込むスリットだ
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本体左側面(左):ボタンやスロットはない。エッジを丸めた定番の形状がよく分かる
本体右側面(右):[電源/スリープ]ボタンと音量調整ボタンが,ほぼ側面中央に並んでいる
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 前面下側には四角いボタン型の指紋認証センサーがある。一見するとホームボタンのようにも見えるが単なるセンサーであり,一般的なAndroid端末と同様に,ホームボタンは画面上に表示されるものを使う。

本体前面下側にあるのは指紋認証センサーで,ホームボタンではない。ボタン類は画面上の仮想ボタンを使う
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軽く出っ張ったアウトカメラ部分。レーザーと位相差という2方式のオートフォーカスに対応する
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 背面で目立つ約1600万画素のアウトカメラは,レーザーによるオートフォーカスユニットを搭載している。一般的な位相差オートフォーカスにも対応するので,レーザーと位相差によるオートフォーカス性能が武器であると,発表会でMotorolaのスタッフはアピールしていた。ちなみに,イメージセンサーそのものは,OmniVision製とのことだ。
 ゲーム用途ではあまり活躍の場がなかったスマートフォンのアウトカメラだが,「Pokémon GO」(iOS / Android)のサービスが日本でも始まれば,プレイヤーがカメラ機能を活用するシーンも増えそうではある。特筆するほど画質がいいというカメラではないが,人物や風景のスナップショットではなく,ある種のスクリーンショット的にポケモンの写った風景を保存しておく程度の用途であれば,写真の画質もとくに不満を感じることはないだろう。

背面ジャケットを外したところ。microSDカードスロットの右側に,2基のmicroSIMカードスロットを確認できる
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 さて,Moto G4 Plusの持つ特徴の1つに,2基のmicroSIMカードスロットを搭載し,2枚のSIMによる同時待ち受けに対応する「デュアルSIMデュアルスタンバイ」(以下,DSDS)がある。2基のmicroSIMカードスロットに,それぞれ異なるSIMカードを装着していても,設定メニューの階層をたどってどちらを使うかイチイチ選択したりすることなく,2つのSIMを使い分けられるのだ。DSDSなら,「通話用に3G対応SIMカードを使いつつ,データ通信用にはLTE対応SIMを使う」といったことができるため,月々の通信料金を節約したり,2つの電話番号を1台のスマートフォンにまとめたりといった使い方が可能になる。

SIMカードの設定画面。自動SIM選択の項目もある
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 ちなみに筆者は,データ通信専用のSIMカードを2枚同時に使って,1枚よりも高速に通信するというアイデアが真っ先に思い浮かんだのだが,残念ながら,2枚のSIMカードで同時に通信することはできない。たとえば,一方でデータ通信中にもう一方に音声通話の着信があれば,データ通信は一時切断となってしまうそうだ。


独自のアプリや機能がほぼない,クリーンなAndroid 6.0.1を搭載


 Moto G4 PlusはAndroid 6.0.1(Marshmallow)を搭載するスマートフォンだが,端末メーカー独自の機能や独自のアプリといったものは,ほとんど搭載されていない。製品発表会で端末の説明を担当したプロダクト・マネジメント・ディレクターのAllison Yi氏も,「チューニングを施している部分はあるものの,(基本的にはGoogle製の)Nexusスマートフォンに近い」とMoto G4 Plusを紹介していた。
 ゲーム用途で致命的な問題となり得る,SoCの動作制御が「チューニング」に含まれるかだが,Motorolaによると,バッテリー残量が一定以下の水準になったとき,動作クロックを抑える機能はあるという。ただこれも,OSの設定から有効/無効を切り換えられるので,ゲームプレイの邪魔になるケースは少ないはずだ。

電源管理設定は,「バッテリーセーバー」の名称で用意されているのだが,「設定」→「電池」の右上にあるメニューアイコンをタップすると,ようやく確認できる。これは素のAndroid 6.0.1と同じだ
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ミドルクラスのSoCながら動作は軽快。ゲームもよく動く


 Moto G4 Plusのスペックを確認していこう。冒頭でも触れたとおり,搭載SoCは現行のQualcomm製品のなかでミドルクラス市場向けとなるSnapdragon 617(MSM8952)だ。集積するCPUコアは「Cortex-A53」×8で,GPUコアにQualcomm製の「Adreno 405」を組み合わせた製品となる。
 液晶パネルは5.5インチサイズで,解像度1080×1920ドット,画素密度は401ppiである。

 冒頭でも紹介したとおり,Moto G4 Plusのラインナップはメインメモリ容量とストレージ容量の違いで2つある。今回テストに用いたのは,メインメモリ容量3GB,ストレージ容量32GBの上位モデルだ。実際のところ,Motorolaの製品パンフレットには上位モデルのスペックしか書いていなかったりするので,主力製品はこちらと考えていい。

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 さて,それではベンチマークテストによる性能計測を始めよう。
 筆者のテストで定番となっているグラフィックス系テスト「3DMark」と,CPUの動作クロックを見る「CPU-Z」「AIDA64」,メインメモリおよびストレージの性能を見る「A1 SD Bench」,連打応答性を調べる「ぺしぺしIkina」は,すべて実施。そのうえで,ゲームの動作検証としてデレステと,Android版「艦隊これくしょん -艦これ-」(以下,艦これ)の先行運用版を実行してみることにした次第だ。艦これのテストでは,「Intel Performance Viewer」を使ったCPU使用率チェックも行っている。

 というわけでまずは,3DMarkのIce Storm Unlimitedプリセットからだが,総合スコアは「9689」となった。最新世代のハイエンドスマートフォンと比べてやや低いという印象は否めないのだが,Snapdragon 61x世代では1つ下の「Snapdragon 615」を採用するスマートフォン「AXON mini」が「8209」だったので,それよりも高い性能を有するとはいえそうだ。

Moto G4 Plusにおける3DMark Ice Storm Unlimitedの総合スコア(左)と細目(右)
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 続いては,CPU-Zと,クロスチェック用のAIDA64だが,前者はSoCをSnapdragon 615と判定し,後者は,Moto G4 Plusが搭載するSnapdragon 617の最高クロックが1.52GHzのところを,どういうわけか1209MHzと判定する問題があった。
 もっとも,どちらのアプリもCPUコアの挙動は正しく取得できているようで,アイドル中は,高クロック動作がターゲットとなる「big」コア4基中2基が最大960MHz動作,残る2基は停止して,低クロック動作がターゲットとなる「LITTLE」コアは4基が最大806MHz動作となる様子を,CPU-Z,AIDA64ともレポートしていた。負荷をかける操作を行ってもなかなかクロックは上がらないので,何らかの制限はかかっているのかもしれない。
 とはいえ,3桁MHzという表示の割に,操作に対するレスポンスは良好だ。

左のCPU-Zでは,SoCの名称をSnapdragon 615と誤判定している。一方,右のAIDA64は,「Core Architecture」欄の動作クロックが1209MHzと誤った数値になっていた。ただ,下にある「CPU Clock Range」は,806〜1516MHzと正しいと思われる数値を示しているので,どちらもデータベースがSnapdragon 617をサポートしきれていないだけという可能性はある
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Adreno 405は基本的に400MHz動作。低負荷状態が長く続いた場合に限り,240MHzまで下がるという挙動を示していた
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A1 SD Benchの測定結果
 一方,GPUコアであるAdreno 405は,数分放置すると動作クロックが240MHzまで下がることもあったが,基本的にはアイドル状態でも400MHzを維持していた。

 A1 SD Benchのスコアは,内蔵ストレージへのアクセス速度を示すInternal memory Readが「134.39MB/s」で,Writeは「49.17MB/s」,メインメモリの読み書きを示すRAMは「3503.98MB/s」となった。実際,アプリのインストール時に遅いなと感じていたので,書き込み速度の低い,低コストなフラッシュメモリを採用しているのだと思われる。ただ,読み込み性能のReadはごく一般的なレベルなので,一度アプリをインストールしてしまえば,それほどストレスを感じることはないかもしれない。
 RAMの速度は,ハイスペック端末の50%ほどだったが,体感するほど遅いシーンに出くわすことはなかった。

ぺしぺしIkinaの結果は「80」
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 ぺしぺしIkinaの結果は,連打回数が93〜96になるよう連打して「80」。12タップめと24タップめに大きな飽和があったくらいで,以降はストレートに伸びた。前半に飽和が集中しているのは気になるものの,ゲームのプレイテストで問題を感じることはなかったので,延々と連打し続けるというゲームでない限り,気にする必要はなさそうである。

 ゲームのプレイテストは,まずデレステから行った。チュートリアル時の判定は「3D標準」で,タップの反応も問題ナシ。3D標準で「流れ星キセキ」をプレイしたところ,後半の紙吹雪演出でフレームレートの落ち込みがあったくらいだ。
 ただ,難度「Pro」までは確認した限りなかった「スライドやドラッグ入力の取得漏れ」が,難度「Master」だと,後半に目立つようになったので,この点は記しておきたい。
 普段は「2D標準」か「2D軽量」でプレイしておき,MVを楽しむときは「3D標準」にするのが無難だろうか。

チュートリアル時の判定は「3D標準」(左)。充電しながらヘッドフォンを接続してテストしたのだが,この状態では持ち方を工夫する必要がある(右)
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 余談だが,テストをしていた関係者控え室はネットワーク状況があまりよくなく,20分くらいダウンロード状態が続いたためか,本体はけっこうな熱を発していた。iPhone用赤外線カメラ「FLIR ONE」を使って筐体の温度計測をしてみたところ,背面の一部は44℃まで発熱していたほどだ。
 それにも関わらず,プレイ中には熱の影響によると思われる挙動の重さは感じなかったことを付け加えておこう。

チェックに入る直前の背面側温度(左)。一部は44℃になっていた。右は表側の温度で,受話口部分の温度が高いことが分かる。なお,ディスプレイ上に見える円形の熱源は,写り込んだ照明だ
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 最後は艦これのプレイテストだ。Moto G4 Plusは,DMM.comのスマートフォン事業である「DMM mobile」でも販売する予定なので,快適な動作が期待できるかもしれない。
 テストプロセスは,スマートフォン&タブレット8機種を使った検証記事と同じで,起動画面で「スタート」(BGMあり)を選び,1−1へ出撃。1−1を勝利したら撤退して母港に戻るまでの様子を動画で撮影するというものになる。
 チェックしてみた限りでは,推奨端末入りしそうなくらい快適な動作をみせた。リザルト画面や中破時の演出ではやや処理がもたつく部分も散見されたものの,母港画面でも主な操作でひっかかりを感じることはない。


 艦これの画面に重ねて表示しているので見難いとは思うが,Intel Performance Viewerのグラフを見ると,big.LITTLEのうちLITTLE側の4コアが1.2GHzで動作し続けていることが分かるだろう。ときおり986MHzに下がることもあるが,描写がもたつく様子もない。艦これ用として,Moto G4 Plusはなかなか優秀なスマートフォンだと言えそうだ。

Intel Performance Viewerで見ると,LITTLE側の4コアは1.2GHzで動作していることが多い。big側は2コアのみ960MHzで動作しており,残る2コアが停止しているというのは,アイドル状態と同じだ。仮に全コアがゲーム中に動作するようになると,バッテリー駆動時間は犠牲になるが,ゲームの快適さはさらに上がるかもしれない
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デレステも艦これもよく動く

多用途に使えて導入コストも低い優等生


 それではまとめに入ろう。
 これまでのミドルクラススマートフォンといえば,ゲームの性能においては割り切りが必要というのが定番だったが,Moto G4 Plusでそういった妥協は不要であり,デレステも艦これも挙動はおおむね快適だった。バッテリー駆動時間を過剰に重視したチューニングが行われていないことが,ゲームにおいては功を奏しているのではなかろうか。

 その意味において,ゲームを中心に,WebブラウズやSNS利用と多用途に使える,できる限り安価なAndroidスマートフォンを探している場合に,Moto G4 Plusは狙い目のスマートフォンだと言えるだろう。
 おそらく今後は,他メーカーもMoto G4 Plusと同程度の価格帯に向けて,性能のいい端末を投入してくると予想される。今後のスマートフォン選びは,いい意味で悩ましくなりそうだ。

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Motorola Mobility 公式Webサイト


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