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Lenovoの「折りたためるスマートフォン」は商品化の期待大。CEATEC JAPAN 2016で見かけた変わり種デバイスをレポート
Lenovoが作った折りたためるスマートフォンとリストバンドなスマートフォン
Lenovoブースには,2016年9月に発表されたスマートフォン「Moto Z」と「Moto Z Play」(関連記事)に加えて,参考出展として「Folio」と「Cplus」という異色のスマートフォンが展示されていた。
あくまでも参考出展なので,実際にこのまま製品化に至るかどうかは不明だが,とくにFolioは細かいところまで仕上がっていため,製品化の可能性は高いと思われる。まずは,そのFolioから見ていこう。
NECのパソコン部門は,今ではLenovoの傘下となっているわけだが,そのつながりからMEDIAS Wの遺伝子がLenovoに紛れ込み,Folioとして発現のだろうか? そう思いたくなる端末だ。
Folioの特徴は,MEDIAS Wのように,左右で独立した2枚のディスプレイを使うのではなく,1枚のディスプレイを曲げることで,5.5インチのスマートフォンとしても,7.8インチのタブレットとしても成立しているところにある。この曲がる有機ELディスプレイは「Flexible Display」と呼ばれており,それを使ったFolioは,「Flexible bonding」(曲げられる結合形成体?)なデバイスであるという。
コンセプトも明快で,「スマートフォンとタブレットを1台ずつ持つのは面倒」だから,1台にしてしまえというわけだ。
参考出展とはいえ,仕様はある程度固まっている。ディスプレイの解像度は1920×1440ドットで,OSはAndroid(※バージョンは不明)。スマートフォン形態のときに,裏側の表示領域にも情報を表示したり,端末を操作できる「Dual Side Display」なる機能を備えているという。
また,スマートフォン形態とタブレット形態で異なるUIを搭載しているそうで,動的にUIも変更できるという。説明パネルには「Sidebarで素早い操作が可能」という文言もあったのだが,実際に触れて確認することはできなかった。
よくよく見てみるとSIMカードスロットもあり,かなり製品を意識したサンプルのようだ。そこで,説明員に聞いてみたところ「市場の反応もあるが出してみたい」とのこと。
普段はスマートフォンとして使い,大きな画面でゲームをプレイしたいときはタブレットに切り換えられるのであれば,ゲーム用途でもメリットになりそうだ。2-in-1 PCのように,テントやフォトスタンドのような形にして横画面時でも自立させることができるので,ワイヤレスゲームパッドでAndroidゲームを遊ぶときにも,便利に使えるかもしれない。
搭載SoC(System-on-a-Chip)次第ではあるが,このまま製品化に成功すれば,見た目とギミックだけでなく,実用的な利点からも気になる読者はいそうである。
さて,もう1つの参考出展であるCplusは,変形してスマートウォッチにもなるスマートフォンといったデバイスだ。「スマートフォンとして使わないときは,スマートウォッチになってもいいのではないか」という提案を含むコンセプトモデルなのだという。
腕時計サイズのスマートウォッチよりも巨大となるが,端末をポケットに入れるのではなく手首に巻いておくことで,スマートウォッチよりもアプリを使いやすいデバイスになりそうだ。
Folioと同様に,Cplusも製品化も視野に入れたデバイスという印象を受けたが,説明員の反応を見るに,まだ満足のいくものではないらしい。将来的に,Cplusが原形となった製品が出てくるかもしれないが,このままお蔵入りする可能性も低くはなさそうだった。
自由な形を目指す「フリーフォームディスプレイ」
液晶パネルや有機ELパネルを使うディスプレイが四角形なのは,製造とコスト面の理由だけでなく,その形状で情報を見ることに我々が慣れているからだと思う。だが,四角形ではないディスプレイも,古くから模索され続けている。とくにシャープは,2014年に「フリーフォームディスプレイ」(Free Form Display)を発表して以降,製品化に向けた様々な取り組みを続けている。シャープブースに出展されていたは,そうした取り組みが製品化に近い段階にまで来ていると,アピールするものだった。
「Corner R」と呼ばれる5.2インチサイズのスマートフォンは,その名のとおり,四隅の角が丸いスマートフォンだ。単に四隅が丸いだけでなく,額縁ギリギリまで広がった液晶パネルの端も丸いのである。
液晶パネル自体は「IGZO液晶」なのだそうだが,その角が丸くなっているのが特徴的である。実機をよく見てみると,本体下端は液晶パネルに覆われていないので,かつてのシャープ製スマートフォンでよく見かけた,いわゆる「3辺狭額縁仕様」の最終形みたいなものだろうか。
ちなみに,液晶パネルの解像度は1080×1920ドットで,画素密度は425ppiとのことだった。
とても未来的な印象を受けるビジュアルのスマートフォンなので,いずれ製品化してほしいところだ。
そのほかにもシャープブースには,円形や楕円系をした液晶パネルや,VR向けという4K解像度の超高ppiパネルなどの展示もあった。すぐに製品が登場するものではないが,いずれはこれらが製品として,我々の手元にやってくるだろう。
「Oval」と呼ばれる楕円形液晶パネルのデモ機。4.5インチサイズで解像度は1280×720ドット,328ppiとのこと |
こちらは円形液晶パネルのデモ「Circle」。直径は2.5インチで,解像度は824×824ドット,328ppiである |
ゲームに関係あったりなかったりする,気になったデバイスや展示をまとめて
ゲーム用途に適したものではないが,技術展示で筆者が面白いと思ったものをまとめて紹介しよう。2015年のCEATECよりも,面白い展示が増えていたように思う。
CEATEC JAPAN 公式Webサイト
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