Kaihua Electronicsブース。ブランド名「Kailh」を何と読むのかセールスマネージャーのMandy Wong氏に聞いてみたところ「お客さんは多くが『カイル』と呼んでいるけど,そういえば正式な呼び名って確認したことない(笑)」という回答が返ってきた
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COMPUTEX TAIPEI 2018のメイン会場であるNangang Exhibition Centerに出展しているKaihua Electronics(カイフアエレクトロニクス,以下 Kaihua)のブースで,同社がゲーマー向けと位置づける新作キースイッチ「
SUN Switch」「
NB Switch」を公開していた。
下に示した写真を見てもらえば一目瞭然だと思うが,SUN Switchは,
Lo
gi
te
ch(日本ではロジクール)とオムロン スイッチアンドデバイスが共同開発した
「
Romer-G」を彷彿とさせる,キースイッチの中央が光るタイプ。NB Switchは,COMPUTEX TAIPEI 2017のレポートで紹介したパンタグラフ式メカニカルキースイッチ「
PG1425」――製品名は「X Switch」になった――をさらに低背化したタイプとなっている。
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SUN Switch |
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NB Switch |
SUN Switch
2018年4月に完成済みで,COMPUTEX TAIPEI 2018後に注文受け付けを開始するというSUN Switch。SUNの名は,キースイッチの中央から光が拡散し,最も明るいというところから取ったそうだが,実際のところ,キースイッチ側にLEDは搭載せず,基板側に搭載したLEDの光を筐体で全方向に拡散するという仕様になっているため,キースイッチ自体が太陽のように光るわけではない。Kaihuaの説明員も,「輝度はキーボードメーカーの採用するLEDによって変わる」と述べていた。
付け加えると,SUN Switchの推奨キーキャップは半透明のものだそうで,半透明の筐体とキーキャップによって全方位に光を拡散させるのがコンセプトとのことである。
中央のLEDユニットを囲むように2つの金属を搭載する点は一見Romer-G風だが,SUN Switchの場合は片方の金属で打鍵感,もう片方の金属で打鍵音をもたらす仕様になっているそうだ。
筐体カバーを取り外してもらった。金色の金属が打鍵感,銀色の金属が打鍵音を司っているという
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COMPUTEX TAIPEI 2018の会場で展示されていたのは“Cherry青軸”風の「Kaihua Blue Switch」と基本的に同じ打鍵感のものだったが,「“Cherry赤軸”風など,ほかの打鍵感も比較的簡単に実現できる」(Kaihua)。会期中のフィードバックを受けて,イベント後にほかの打鍵感の実現にも取りかかる計画だという。
なお,Kaihua Blue Switchと基本的には同じ打鍵感と述べたが,同スイッチだとアクチュエーションポイントが2mm,ストロークが4mmのところ,SUN Switchでは順に1.8mm,3.5mmとそれぞれ若干短くなっている。最近流行の,アクチュエーションポイントを詰めたモデルと紹介することもできるだろう。
SUN Switchの主なスペック
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NB Switch
現在のところはサンプル出荷中というステータスになっているNB Switchは,
“Cherry赤軸”“Cherry茶軸”“Cherry青軸”風の3モデル展開になることが決定済み。COMPUTEX TAIPEI 2017のタイミングで紹介したX Switch(=PG1425)だと“Cherry茶軸”“Cherry青軸”風の2モデル展開だったので,1モデル増えることになる。
NB Switchの主なスペック。現時点では“Cherry青軸”風のモデルしか完成していないとのことで,グラフも1つのみとなっているが,最終的には3モデル展開になる
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アクチュエーションポイントは1.1mmで,これはX Switchの1.2mmより短い。キーストロークの情報は開示されなかったが,X Switchの2.4mmよりは短くなっているとのことだ。
アクチュエーションポイントを詰めるにあたって,キー荷重は従来より5gf重い55gfにしてあり,これと従来同様のパンタグラフ構造とによって安定性を確保しているという。
LEDはキーごとに赤と緑,青のものを1基ずつ搭載しており,これらを組み合わせて光らせることができるとのこと
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搭載するキーボード製品やノートPCがいつ頃登場するかについてのはっきりした回答は得られなかったものの,SUN Switch搭載製品は早ければ年末商戦に間に合うのではないかという見通しは聞くことができた。
最近のゲーマー向けキーボード用キースイッチの選択肢は増加の一途を辿っているわけだが,その一因でもあるKaihuaが積極的かつ継続的に新スイッチを出してきている以上,今後もしばらく“キースイッチ戦争”は続くことになりそうである。