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[TGS 2013]インディーズゲームと実況主,2つの面白さを“かけ算”する「インディーズゲームフェス2013」
「インディーズゲームフェス2013」は,2013年9月21日と22日に,東京ゲームショウ2013の会場で開催されたイベント。「ニコニコ動画」などでお馴染みのゲーム実況者がインディーズゲームを実況プレイし,その魅力を伝えていくというユニークな試みとなっていた。
“インディーズゲーム”とゲーム実況が“かけ算”される必要性とは?
インディーズゲームは“自己資本で自立して作られているゲームである”と理解されることが多い。しかし,「風ノ旅ビト」のように,企業の資本が入っていながらインディーズゲームと呼ばれる作品も存在する,と大前氏は指摘する。こうした点から,氏はインディーズゲームとは,資本の調達方法ではなく,“作品に込められた理念や作り手の動機を指す言葉”ではないか,という考えを提示した。
「何が売れるか」という市場の論理ではなく「何を作りたいか」という作り手の衝動から生まれ,その個性や作家性が色濃く反映されて,作り手のゲームへの愛情が伝わってくる……というゲームを指してインディーズゲームと呼んでいるのではないか……というのが大前氏の出した回答というわけだ。
氏がこういうテーマを考えるようになったのは,Game Developers Conference 2013の「Game Developers Choice Awards」に選ばれたタイトルの多くがインディーズゲームだったことがきっかけだったという。もちろん,これはインディーズゲームを対象とした賞ではない。多額の開発費をかけた一般タイトルもノミネートされているにも関わらず,インディーズゲームが高評価を得たことから,“インディーズゲームはゲーム産業にとって重要なポジションを得つつある”と感じたそうだ。
こうした評価の理由としては“皆が大人数で作れるゲームに限界を感じている”ことが挙げられるという。何が売れるかという市場の論理で作られたゲームはほかの作品と似たものになりがちで,これは次世代プラットフォームにおいて解決しなければならない問題であると氏は語る。個性と作家性を持ったゲーム,即ち前述したような“インディーズゲーム”が必要になってくると言うわけだ。
大前氏によれば,作家性のあるインディーズゲームが育つには,作り手のチャレンジを承認する,つまり受け手がゲームを面白がれることが必要になってくるという。ここで重要な役割を果たすのがゲーム実況だ。“面白いゲーム”と“プレイヤーに親切なゲーム”はイコールではなく,“不親切だが面白いゲーム”というものも存在している。作家性の強い“ピーキーなゲーム”の魅力を多くの人に伝えられるのがゲーム実況である,というのが氏の考え方だ。
面白くゲームを遊ぶ人を見るのは,面白いものなのだ……と,大前氏は,インディーズゲームとゲーム実況が“かけ算”されることの必要性を説明した。
今後のユニティはコミュニティ作りを支援
会場では,「インディーズゲームフェス2013」を起点としたユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの今後の取り組みについても説明が行われた。
同社は2013年11月より「支援P」と題したプログラムを展開していく。
これはゲーム開発者コミュニティを包括的に支援していこうという試みで,開発者同士の強化合宿やゲームジャムといったイベントの開催,日本語チュートリアル動画の提供,「デジゲー博」「東京ロケテゲームショウ」「コミックマーケット」といったインディーズゲーム関連イベントの支援といった取り組みを行っていくという。
「支援P」ではパブリッシングやローカライズなどへのサポートも行っていく。パブリッシングでは,売れる品物にするための意見を出すのではなく,インディーズゲーム開発者それぞれの個性に合わせたアドバイスを行っていくとのことだ。
大前氏は「こうした活動を行っていき,来年の東京ゲームショウの頃にはいくつかのゲームをリリースできるような状況ができれば嬉しいなと考えています」と今後の目標を示して,プレスカンファレンスを締めくくった。
ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン公式サイト
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