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[GDC 2014]Facebook市場を中心にFree-to-Playゲームの1年を振り返る「The Year in Free-to-Play Games」をレポート
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印刷2014/03/18 19:30

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[GDC 2014]Facebook市場を中心にFree-to-Playゲームの1年を振り返る「The Year in Free-to-Play Games」をレポート

 現在アメリカのサンフランシスコで開催中のゲーム開発者会議「Game Developers Conference 2014」(以下,GDC 2014)で,イベント「Free-to-Play Business&Design Summit」のオープニングを飾るセッション「The Year in Free-to-Play Games」が,2014年3月17日(現地時間)に開催された。

 このセッションは,Free-to-Play(以下,F2P)と呼ばれる,基本プレイ無料型のゲームについて,この1年の動向を分析するというもの。解説を行ったのは,GSN Gamesのクリエイティブ担当副社長・Steve Meretzky(スティーブ・メレツキー)氏,GameHoundのCEO,Dave Rohrl(デイブ・ロール)氏,そしてJoju Gamesのスタジオマネージャー,Juan Gril(フアン・グリル)氏の3名だ。

セッションに登壇したGSN GamesのSteve Meretzky氏(写真左),GameHoundのDave Rohrl氏(写真中央),Joju GamesのJuan Gril氏(写真右)
画像集#001のサムネイル/[GDC 2014]Facebook市場を中心にFree-to-Playゲームの1年を振り返る「The Year in Free-to-Play Games」をレポート

 セッションではまず,F2Pをビジネスモデルにしたタイプの無料ゲームでは,ユーザー層の固定化などから,これまでの常識を覆すようなイノベーティブなゲームが生まれにくくなっていると説明。その傾向はFacebookで提供されているゲーム作品で顕著に現れているという。
 今回は,F2Pゲームの中でも代表的なジャンルである,育成シミュレーション/パズル/ディフェンスストラテジーについて,それぞれのスピーカーが解説した。

 育成シミュレーションは,「Farmville 2」「Hey Day」「Dragon City」など,多くのタイトルがヒットランキング上位に君臨し続けているジャンルだ。
 Meretzky氏は,育成シミュレーションゲームは長期にわたって利益を生み出せるというメリットはあるものの,開発/運営のコストがかさみやすいと指摘。さらに,すでに先述したようなヒットタイトルが固定化してしまっているため,今から開発するなら避けたほうがいいジャンルだとも話していた。

根強いファン層を抱え続ける「Farmiville 2」や「Hey Day」など,育成シミュレーションゲームの内部構造は複雑だ
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 次に,パズルジャンルを担当したGril氏が,2013年にヒットした「Color Zen」「Pet Rescue Saga」「Threes!」「Voro」といった作品群では,共通した特徴として「絵柄の可愛さ」や「効果や色彩の派手さ」が挙げられると述べる。
 またGril氏は,2013年にリリースされたイノベーティブな作品として「Help Me Fly」を挙げたが,同作品は大きなヒットにはつながっていないことから,パズルジャンルでは,グラフィックスのテーマやデザインでプレイヤーの嗜好が偏る傾向にあると分析していた。氏は,イノベーティブな作品が必ずしもヒットするとは限らないが,パズルを成功させると脳からドーパミンが出るようなゲームをもっと作ってほしいと,開場の開発者達に呼びかけていた。

 ディフェンスストラテジーは,自分の領地に侵入してくる敵を倒すことが目的のゲームで,日本ではよく「タワーディフェンス系」と呼称されるジャンルを指す。
 Rohrl氏は,同ジャンルで2013年のトレンドをけん引したタイトルとして,Supercellの「Clash of Clans」Android/iOS)を挙げていた。
 一方で,「Clash of Clans」の完成度の高さからか,同ジャンルでトップチャートに割り込んで来るような後続のヒット作品はほとんどないとRohrl氏は述べる。「Clash of Clans」のテクスチャを変更しただけのような類似ゲームが次々とリリースされていることを例に,Free-to-Playのビジネスモデルでは,「Clash of Clans」のような“イノベーション”は“イミテーション”を生んでしまうと分析していた。

「Clash of Clans」の後を追ってリリースされたタイトルの中には,システムやユーザーインタフェースなどをそのまま真似たと思われるようなものもある
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 続いてRohrl氏は,ディフェンスストラテジーをステップアップさせる可能性を秘めている作品として,「Boom Beach」というタイトルを紹介した。ちなみに,この作品の開発元は「Clash of Clans」と同じSupercellである。
 このゲームは,南国の群島を舞台にしたミリタリー風のディフェンスストラテジー。基本的には「Clash of Clans」と似た仕組みだが,レベルが上がると近隣の島々がアンロックされ,広大な海洋地域を開拓できるようになるのが面白いのだという。

 そのほか,2013年に成熟の兆しを見せたジャンルとして話題に挙がったのが,カジノゲームとCCG(Collectable Card Game,日本で言うトレーディングカードゲームを指す)の二つだ。

さまざまなスロットマシン系のカジノゲームが続々とリリースされており,とくにグラフィカルな部分の見栄えが,以前より向上しているという
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 カジノゲームは,以前からあったジャンルではあるが,最近は,カジノなどで使われているスロットマシンなどの“本物”をデザインしていた人がゲーム業界に入って来ることも多いとのこと。当たり確率や演出など,本物さながらの作りがユーザーを惹きつけているということだろう。

 「マジック:ザ・ギャザリング」に代表されるCCGは,欧米では市民権を得ているジャンルの一つで,Blizzard Entertainmentの「Hearthstone: Heroes of Warcraft」など,PCやモバイルの分野でも多数のオンラインカードゲームがサービスされている。
 そのトレンドは,カード収集の楽しさをそのままに,ルールの簡略化やプレイ時間の短縮といった傾向が顕著とのこと。中には,若年層にも受け入れられやすくするためか,5枚組のカードで対戦して1試合が数分で終わるようなシンプルなものも存在するという。

「Injustice: Gods Among Us」では,レベルアップによるステータスの向上を可視化したことが,ファンに受け入れられた要因とのこと
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 さらに,CCGの要素をうまく活かした例として,「Injustice: Gods Among Us」が挙げられた。単なる対戦ゲームにとどまらず,キャラクターごとにステータスやアビリティなど詳細なデータが用意されているのが,多くのファンに受け入れられている要素であるそうだ。

 今回のセッションでは,主にFacebook市場におけるFree-to-Playゲームが取り上げられたが,その傾向は,App StoreやGoogle Playといったほかのプラットフォームにも当てはまるだろう。
 ここ数年で,それこそ星の数ほどのゲームアプリが登場したことで,まったく新しい革新的なゲームは生まれにくくなっている。しかし,「Boom Beach」や「Injustice: Gods Among Us」のように,開発者が一つ先に進むという“イノベーション”の感覚を持てば,まだこれからも魅力的な作品は生まれてくる,ということなのだろう。

Game Developers Conference公式Webサイト


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