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内田明理氏は,「AR performers」でどんな世界を実現するつもりなのか。その意図を聞く
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印刷2016/08/13 00:00

インタビュー

内田明理氏は,「AR performers」でどんな世界を実現するつもりなのか。その意図を聞く

 我々のお義父さんとして親しまれてきた内田明理氏が,ユークスに移籍(関連記事)して立ち上げた新プロジェクト,「AR performers」
 今年4月に行われた「AR performers β LIVE」(関連記事)では,「AR」(Augmented Reality:拡張現実)で表現されたアーティストが,ステージ上で歌い,踊り,MCとの軽妙なトークを見せたかと思えば,観客の声援にリアルタイムで応じるなど,見る者を圧倒した。


 また,つい先日(8月3日)には,AR performersのデビューCDもリリース(関連記事)するなど,徐々にその存在が二次元の世界から現実の世界へ近付いてきている。

 内田氏は何を思い,何を狙ってこの企画を立ち上げ,遂行しているのだろうか。企画の成り立ちから今後の展望まで,じっくり聞いてみた。

「AR performers」公式サイト



コンテンツの売り方が変わってきたからこそ

キャラクターコンテンツで体験価値を生み出したい


4Gamer:
 たいへんご無沙汰しております。

内田明理氏(以下,内田氏):
 お久しぶりですね。

4Gamer:
 内田さんが今の環境に移られてから初めてのインタビューということで,まずは最近,どんなことを考えていて,ユークスではどんなことをやろうとしているのかを教えてください。

内田氏:
 これは常々思っていたことなんですが,デジタルコンテンツそれ自体にお金を払ってもらうのが難しい傾向が,数年前から強くなっているんですよね。最近のスマートフォン用アプリで多く見られる課金って,デジタルコンテンツそのものに対してというより,多少ギャンブル的な要素を含んだものが多いですし。
 そのことの良し悪しではなく,「こういうデジタルコンテンツを作ったので,さあ買ってください」という商売が成り立たなくなっていると思うんです。

4Gamer:
 何に対してお金を払うのかという,言ってみれば消費者側の価値観が変わってきたと。

内田氏:
 ええ。一方で自分の得意技というか,できること,やるべきこと,やりたいことを考えていくと,キャラクターコンテンツを皆さんに見ていただいて,評価してもらうことだろう,と。
 じゃあ,デジタルコンテンツそのものにお金を払ってもらえないご時世で何をするべきかを考えてみると,一方で,体験価値と言いますか,経験に対してお金を使っても良いと思う方が増えていると思うんです。音楽なんかもまさにそれで,どんな大物アーティストでもCDはかつてほど売れません。でも,夏フェスやイベントの市場規模は拡大しています。2.5次元舞台の人気も,そういう流れの中の一つかもしれません。

4Gamer:
 確かにそういう傾向はあります。

内田氏:
 それで,自分が得意とすることや市場環境などを複合的に考えていった結果,デジタルコンテンツのキャラクターで体験価値を生む方法があればいいんじゃないか。それは,デジタルのキャラクターと一期一会の体験をしていただくことなんじゃないか。そういう結論に至ったんです。

4Gamer:
 なるほど。ちなみに内田さんご自身として,得意とするものがキャラクターコンテンツであるという自覚を持ったのは,いつ頃のことなんでしょう?

内田氏:
 自分の中ではあんまり立ち位置を決めているつもりはなかったんですよ。キャラクターコンテンツをたくさんやっているという意識はありましたし,そこそこ得意だという自負もありましたが,自分がそういう人間だとは思っていなくて。もっとほかのアイデアもありましたしね。
 むしろ,キャラクターコンテンツを作る人という評価に対しては,5年ぐらい前まで多少抵抗があったほどです。

4Gamer:
 それは意外でした。

内田氏:
 でも,自分の身の振り方をいろいろと考えている時期に,たくさん励ましてくださったのは,これまで手がけてきたキャラクターコンテンツを愛してくださった方達でした。それに,動く直前に行ったイベントで,お客さんが涙を流して感動してくださる様子を目の当たりにしたこともあって,自分の価値は“そこ”なんだなと,受け入れることができたんですよ。
 そこから,ちゃんと軸足を定めようということで,キャラクターコンテンツを中心に考えるようになったんです。

4Gamer:
 割と最近の出来事だったんですね。
 では,ユークスへの入社も,そういう考えを後押ししてくれたからだったんでしょうか。

内田氏:
 そうですね。本当は僕は一人で何か始めようぐらいに思っていたんですけど(笑)。
 前職を離れたあと,これまでにお付き合いのあった各デベロッパさんへご挨拶に回っていたんですが,そうすると「今後はどんなことをやられるんですか?」という話になるんです。

4Gamer:
 なりますよね。

内田氏:
 そこで当時考えていた「AR performers」のアイデアを話したら,うちの社長の谷口(行規氏)が,凄く面白がってくれて,「それ,うちでやりましょう」と言ってくれたんですよ。
 僕もプロデューサー歴はそこそこ長かったんで,「こういうアプリも作りまして,こういう形にすればある程度安定した収入が得られますので,そのうえでライブをやって……」みたいな提案はしたんですけど,谷口からは「アプリがやりたいんじゃないでしょ? こっちだけやればいいじゃん」と逆に言われてしまって。

4Gamer:
 すげえ……。

内田氏:
 そこからは,もう,よろしくお願いします! という感じで(笑)。

4Gamer:
 さすが,かつて窮地に陥っていた新日本プロレスを救った会社だけありますね。


AR performersは

プロの技術の結晶


4Gamer:
 その時点で構想していたのが,今のAR performersなんですか?

内田氏:
 ええ。ほぼこの形です。

4Gamer:
 では,いつ頃からこれを考えていたんでしょう。

内田氏:
 けっこう前から考えてはいたんですけど,ゲームなりアプリなりがあってイベントをやるという形ではないので,なかなか実現しづらかったんです。

4Gamer:
 そういえば,以前にもステージにキャラクターが登場して,歌を歌ったり,MCと会話をしたり……といった試みをされていましたが,あくまでゲームありきというかゲームのファン向けのイベントという形でしたもんね。
 そうではなく,今回は完全にイベントありきの企画であった,と。

内田氏:
 ええ。最初にお話ししたとおりの理由で,デジタルコンテンツ,キャラクターコンテンツそのものを買っていただくのが難しい時代になっているのならば,新しい形を考えなければいけない,というところがまずありますから。

4Gamer:
 イベントありきでも,キャラクターコンテンツという形は重視しているということですよね。キャストを公表していないのも,そういった意図があるからでしょうか。

内田氏:
 そうですね。何か新しいものを発表したときに,タイトルよりもキャストの名前が大きく取り上げられる傾向があるじゃないですか。それに抵抗感があったんですよね。

4Gamer:
 ああ……。

内田氏:
 声のキャストさんだけでなく,キャラクターごとにモーションアクターさんや技術スタッフもいて,それこそ“チームシンジ”と“チームレベクロ”と呼んでいるのですが,プロの技術の結晶なんです。彼ら全員が準備や練習を経たうえでシンクロ率を高めているからこそ,ああいうステージを実現できるわけで,どうせなら裏方全員を発表したいぐらいなんですよね。

4Gamer:
 一人一人が専門技術を持って,彼らに命を吹き込んでいる,と。

内田氏:
 先日の「AR performers β LIVE」のときなんかも凄かったですよ。ステージが終わると,「次はこういうことをやろうか?」なんて話になって,バック転をやってみようということになったり。
 アウトプットに対してフィードバックが返ってきて,そこからさらにアウトプットをリアルタイムに変えていける,そういうダイナミズムがあるのが,イベントやライブなんだなって,あらためて実感しましたね。

4Gamer:
 β Liveのとき,お客さんの反応は直接見られましたか?

内田氏:
 直接は見られなかったんですよ。舞台裏でバタバタ指示出しをしたりしていたので。

4Gamer:
 なんだか,舞台監督のようですね。

内田氏:
 そうそう。そういうイメージです。


ステージの上の人から見られている感覚は

AR performersでしか味わえない


4Gamer:
 ところで,AR performersがほかの映像を使ったライブと大きく異なるポイントは,どこにあると考えていますか?

内田氏:
 ポイントというか,狙っているのはステージの上の人から“見られている”という感覚を作ることなんです。
 声援があれば,その声が届いていること,コミュニケーションが成立していることを感じてほしいんですよね。それがないと,映像ライブとの違いが分からなくなりますし。

4Gamer:
 β Liveのとき,そのあたりはちゃんとお客さんに伝わっていましたか?

内田氏:
 いや〜凄かったですよ。
 1回目の公演のときは,「内田が生だ生だと言っているが,何だか分からん」という状態だったと思うんですよ。せいぜい「映像ライブなんだけどスイッチ式で臨機応変にセリフやモーションが変わったりするぐらいでしょ?」と考えていた方も多いようで。
 ところがキャラクターが歌い終わってMCで話していると,少しずつどよめきが広がっていったんですよね。あれ? あれ? って。

4Gamer:
 それは舞台裏にいてさぞかし気持ち良かったでしょうね(笑)。

内田氏:
 気持ち良かったですよ!
 当日は3回の公演で1000人ぐらいのお客さんに来ていただいたんですが,会場でアンケートをとったところ,98%以上もの方が「ものすごく好き」みたいに答えてくださったんです。一部の専門誌さんで多少のインタビューテキストみたいなものが出ただけのキャラクターなのに,これだけ大勢の方が足を運んでくださったというだけで驚くべきことなんですけど,支持率というか愛着度の高さには度肝を抜かれましたね。

4Gamer:
 98%って,とんでもない数字ですよ!

内田氏:
 大体キャラクターの人気投票みたいなものって,人気があったとしても6:4で賛否が分かれたりするものなんですよね。僕もこれまでいろいろやってきましたけど,こんな数字は初めて見ました。
 きっと,こういうキャラクターとの出会いという初めての体験そのものに,価値を認めていただけたからだと思っています。

4Gamer:
 内田さんが今回,AR performersで男性アイドルを題材にしたのは,なぜでしょう?

内田氏:
 まず,僕は音楽が大好きなんで,これまでよりも音楽に絡んだ仕事をやりたかったんです。曲作りにも深く参加したかったですし。
 そういったこともあって,当初はもっとアーティストっぽい感じにしようかとも思っていたんですけど,新しいものを打ち出すうえで,受け入れられやすいものにする必要があるということで,今回はこういう形にしました。当初は男女織り交ぜようと思っていたんですけど,そうすると説明が難しくなってしまうんですよね。どこに向けたコンテンツなのかが分かりづらくなってしまう。それだけは避けたくて。

内田明理氏は,「AR performers」でどんな世界を実現するつもりなのか。その意図を聞く

4Gamer:
 確かに男女のアイドルが同時に出てきたら,ちょっと戸惑ってしまいそうです。

内田氏:
 とはいえ,この着想自体は女性向けに限ったものではないですし,当然男性向けのものも考えています。

4Gamer:
 それは楽しみですねぇ。
 今って,男女問わず,さらに2次元,3次元を問わずアイドルもののコンテンツは非常に多く存在していますよね。その中でもAR performersは明らかに異質な存在だと思うんです。それだけに,次なる展開が気になるところなんですが……。

内田氏:
 社長にもよく呼び出されて聞かれるんですよ。「今後の展開はどうなっているんだ?」って。β Liveの現場にも来てくれたので,そのときの反応なども知っているからだと思うんですが,「早くやれ」と。

4Gamer:
 それは当然の反応だと思います!

内田氏:
 まずはちゃんとしたライブ興行,β Liveではなく本公演を今年度中にはやりたいんですよね。そしてそれを柱にしつつ,今後はいろいろな展開をする可能性はあると思っています。それこそ,ゲームであったり,アニメであったり……。

4Gamer:
 最も注力するのがまずライブであるというのは,変わらないわけですね。

 
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