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[CEDEC 2016]A4の紙1枚にすべてを込めろ! プロアマ問わずの企画書バトル「PERACON2016」をレポート
「PERACON」は「ペラ企画コンテスト」のことで,2011年にスタートし,今やCEDECの名物となっている。テーマに沿ったゲーム企画をA4サイズの紙1枚にまとめるというユニークな条件と,学生からプロまで,CEDEC参加者であれば誰でも応募できる間口の広さが特徴。作品の審査は,有名クリエイターからなる審査員と,Webでの投票によって行われる。
テーマの発表から締め切りまではわずか12日。期限内に企画を思いつくだけでなく,これをA4の用紙1枚に見栄え良くまとめなければならない。プランナーとしての力量が問われるというわけだ。
今年のテーマは,リオ五輪にちなんだ「リング」。主催者の発表によると,195作品の応募があり,その内訳はプロ48名,セミプロ6名,アマチュア141名とのこと。
結果発表では,審査委員長である東京工芸大学の遠藤雅伸氏,審査副委員長を務める東京工科大学の三上浩司氏,ファリアー代表取締役社長の馬場保仁氏,ゲームデザイナーの簗瀨洋平氏が登壇し,作品を講評した。本稿では,そのトップ10を取り上げよう。
●1位 「登れ!ぐるりん塔」 神代 瞬氏
リングを回して落下物をうまく積み上げ,上に登っていくパズルゲーム。作者の神代氏はPERACON初参加で1位に輝くという快挙を成し遂げた。
●2位 「GO!GO!リングマン」 鯉沼 拓氏
身体がリング状になった主人公を操作し,ゴールを目指す2Dアクションゲーム。ステージ上のバーや突起といったギミックにリングを引っかけて攻略する。
HAL研究所のプランナーである鯉沼氏は,上位に入賞するため,過去の傾向を研究したり,審査が投票制であることに着目し,なるべく多くの人に受け入れられる企画を目指したそう。
少ない操作で色々なアクションができるということで,リング状の主人公が登場する2Dアクションゲームになったという。
●3位 「グリンとリングス!!」 大森崇博氏
いろいろな形のリングがつながった鎖が登場するパズルゲーム。手持ちのリングと鎖を交換し,同じ形を揃えて消していく。鎖が消えるごとに90度回転するのが特徴的。
●4位 「いきなりBATTLEROYAL(いきなりバトルロワイヤル)」 パグンタランイチロ氏
人々の周囲をなぞってリングを作り,互いに戦わせるというゲーム。パグンタランイチロ氏は昨年に引き続いての受賞だ。プレッシャーはあったそうだが,企画には自信を持っていたという。
●5位 「みんなのスマホをつなげて遊ぶ 心眼ホッケー」 山中雄作氏
複数のプレイヤーで遊ぶスマートフォン用ホッケーゲーム。全員のスマートフォンを円状に並べ,音を頼りにパックを打ち返す。プロペのプランナーである山中氏は,一昨年に3位,昨年は2位を獲得した実力者だ。氏は「リング」というテーマから,人が輪になって新しい体験を得られるゲームを目指したという。
●6位 「リングワンダリング」 大畠海人氏
歩いた軌跡で円を描き,これを転がして建物を壊すという,ユニークな発想のARゲーム。
大畠氏はインディーズ・ゼロの新人プランナーだ。同社はPERACONへ積極的に参加しているが,氏は今回社長より上の順位になったとのこと。
「リング」というテーマでは指輪など小さな品が連想されがちだが,歩いて巨大なリングを作り,これを引き起こすというスケールの大きな発想が評価された。
●7位 「AR。俺の私鉄環状線」 渡辺繁樹氏
Googleマップに架空の環状線を作り,他のプレイヤーの路線と交わらせるなどして運賃増収を目指す。鉄道好きにターゲットを絞り,流行のARを使った点が高い評価を受けた。
●8位 「仏陀の説砲」 朝日征治氏
手で輪を作って印を結び,破壊光線を発射して敵を倒すゲーム。印の形によってさまざまな破壊光線を撃てる。朝日氏はプロペのプランナーだ。
●9位 「円卓の騎士」 高田翔平氏
円陣を組んだ騎士達を回転させ,迫りくる敵の攻撃に対処する。リングというテーマを「円卓の騎士」まで昇華したこと,動きのあるアイデアであること,ありそうでなかったアイデアをきちんとまとめているところが評価された。高田氏は和歌山大学の学生だ。
●10位 「リアルスカイダイビング」 会田朋彦氏
主観視点でスカイダイビングを楽しむスマートフォン用アプリで,仲間と手をつないで輪を作っていく。スカイダイビングのスリルと仲間とつながる楽しさ,スケールの大きさなどで票を集めた。
今回のPERACON全体についての講評も行われた。今年の企画書は絵やレイアウトなどは良かったものの,アイデアとしてはリングに関連したモノを複数組み合わせたところで終わってしまったものが多かったとのこと。
また,設定やストーリーに「リング」という言葉が入っているものの,ゲームプレイには反映されていないものが多く見受けられたという。
今回の作品は公式サイトで公開されている。来年の応募を考えている人は,講評を頭に入れたうえで受賞作をチェックするといいのではないだろうか。
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