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[GDC 2019]アメリカでのプレゼンス強化を図る,ベルギー・フランデレン投資貿易委員会のブースを取材
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印刷2019/03/23 21:36

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[GDC 2019]アメリカでのプレゼンス強化を図る,ベルギー・フランデレン投資貿易委員会のブースを取材

 ゲーム産業の黎明期,ヨーロッパではイギリス,フランス,そしてドイツがゲーム開発国として知られていたが,最近ではスウェーデンやフィンランド,ポーランド,そしてウクライナなどでもゲーム開発が産業として根付いてきた。近いうちに,そこにベルギーが加わることになるかもしれない。GDC 2019で初めてエキスポフロアに出展を行った,Flanders Investment & Trade(フランデレン投資貿易委員会)のブースを取材してきたので紹介したい。

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 ベルギーといえば,「フランダースの犬」のフランダース地方を思い浮かべる人もいるかもしれないが,このフランダースというのは「フランデレン」(Vlaanderen)の英語発音だ。ちょっとややこしいが,ベルギーは特別都市区であるブリュッセル首都圏地域(オランダ語とフランス語を使用)と,オランダ語圏のフランデレン地域,フランス語圏で一部にドイツ語圏を含むワロン地域という3つの地域で構成されている。フランデレン投資貿易委員会(FIT)は,ベルギー北部のフランデレン地域に基盤を置く組織だ。ちなみにベルギーでは,英語を含めて4つの言語を操れる人が多いという。

スヴェン・ヴィンキ氏
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 フランデレン投資貿易委員会は,フランデレン政府によって2005年に設立された行政法人で,ブリュッセルに本部を置き,東京を含めた世界90都市にオフィスを構えるという。国内外の貿易会社のネットワーク作りや中堅・中小企業の海外展開支援,そして対ベルギー投資の呼び込みを目的としており,日本のジェトロ(日本貿易振興機構)に相当する機関だと考えて良さそうだ。

 そんなFITでサンフランシスコ地域のIT産業や航空産業などを管轄するヴィム・ソアー(Wim Sohier)氏によれば,アメリカの対ベルギー投資はフランデレン地域のGDPの約3%に達しており,アメリカとデンマークに本拠を置くUnity Technologiesにも多くの人材が雇用されているという。
 事実,ブリュッセルはオランダのアムステルダムやフランスのパリから列車で2時間ほどの距離にあり,フランデレン地域には貿易港が4つもあるという地の利を持っている。今回,なぜアメリカのイベントにブース出展したのかまでは聞けなかったが,おそらくは欧州連合からイギリスが分離する,いわゆる“ブレクジット”を契機に,さらなるハイテク産業への投資に期待しているのだろう。

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 さて,フランデレン地域で最大のゲーム会社が,ゲントを拠点に20年近い歴史を誇るLarian Studiosだ。アクションRPG「Divinity :Original Sin 2」が大ヒット中のLarian Studiosだが,今回のGDC 2019では同社の創設者でCEOでもあるスヴェン・ヴィンキ(Swen Vincke)氏が,「The Making of Divinity: Original Sin 2」と題されたセッションを行っていた。
 Larian Studiosは2010年に投資会社との資本提携によるセルフパブリッシングに乗り出し,現在は,サポート的な開発スタジオを置くロシアのサンクトペテルブルク,脚本や翻訳などを担当するアイルランドのダブリン,アートワークを中心にしたカナダのケベック・シティーと,3つのスタジオを構えるほどに成長した。講演によれば,「Divinity :Original Sin 2」のリリース直前には,急激すぎる拡大から,破産の可能性もヴィンキ氏の脳裏にチラついたそうだが,ゲームが発売された2017年だけで8500万ドル(約93億4000万円)を稼ぎ出すなど結果は成功で,その心配はなくなったようだ。今では180人もの従業員を抱えるゲーム企業になり,ベルギーのゲーム産業の中核を占めるという。

 というわけで,そんなベルギーブースにあった,気になる作品を4つ紹介しておこう。


■Antigraviator
開発元:Cybernetic Walrus
公式サイトhttp://www.antigraviator.com/


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 2018年6月にリリースされた「Antigraviator」は,23世紀初めの世界を舞台に,半重力マシーンを使って高速レースを行う「銀河トーナメント」に参加するというレーシングゲームだ。「Wipeout」シリーズを思わせるような雰囲気の作品で,オンラインモードにも対応している。さまざまな妨害行為を駆使して相手を攪乱するといった,いささかクラシカルなゲームデザインが取っつきやすい。
 「Unity」エンジンを利用して開発されているが,2017年のUnity Awardのファイナリストに残ったり,アートチャレンジで大賞を得るなど,Unityにとってショーケース的な作品としても知られるところ。特筆すべきは,インタフェースが日本語化されていることだろう。


■Arkham Noir
開発元:Rebelle Productions
公式サイトhttps://www.rebelle-productions.be/en/jeux_details_inde.php?id=3


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 「Arkham Noir」は,H.P.ラブクラフトの小説「クトゥルフの呼び声」をライセンスしたボードゲームのデジタル版で,現在PCおよびスマホ版が開発中であるという。
 奇怪な出来事に悩まされる町アーカムの刑事になった主人公が,発生した事件の証拠を組み立ててデッキを作り,最終的に関係のあるカードを手元に残して事件を解決するか,狂気にさらされてしまうかというシステムで,クトゥルフもののゲームの中でも,ユニークな内容になっている。


■Forklift Simulator
開発元:Triangle Factory
公式サイトhttps://www.forklift-simulator.com/


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 GDC 2019に出展されていたわけではないが,開発メンバーから話しを聞いたあとに調べると,なんとも遊んでみたくなったのが「Forklift Simulator」だ。
 フォークリフトの運転をシミュレートするという,ゲーマー向けではなく業務用なのだが,大企業やアメリカ軍などでも作業員や兵士向の訓練に利用されるなど,二ッチながらも社会にとって不可欠なシミュレーターだといえる。Triangle Factoryは,VR向けのソフトの開発も行っているのだが,ゲーム開発の下請けとしても実績を作りたいとのことだった。


■Hoverloop
開発元:Not A Company
公式サイトhttps://www.not-a-company.com/


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 Kickstarterのクラウドファンディングキャンペーンに成功し,現在はSteamでアーリーアクセス中ではあるが,なぜか無料公開されているのが「Hoverloop」だ。
 アーケード風アリーナコンバットで,プレイヤーはカスタマイズ可能なホバークラフトを操りながら,低重力の宇宙空間での戦いに挑むことになる。オンラインでは最大8人の対戦に対応しているほか,BOTとの模擬対戦も可能。ローカルで画面を4分割したスプリットスクリーンで,家族や仲間達と楽しむこともできる。最近リリースされたパッチが「v0.2.0.」なので,完成にはかなり時間がかかりそうだが,カジュアルに楽しめるゲームになりそうだ。

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GDC 2019公式サイト

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