イベント
“今井麻美 Winter LIVE「Flow of time」TOKYO”をレポート。沼倉愛美さんとの「ETERNAL WIND」デュエットのサプライズも
■出演者(敬称略)
Vo. 今井麻美
Gt. 中村天佑
Gt. 瀬川千鶴
Vi. 清水 歩
Vi. Ai
Key. 花岡 環
Ba. 宮下 智
Dr. 大津 惇
Mani. 濱田智之
■セットリスト
M1. アドレッセンスの丘
M2. The Azure 〜碧の記憶〜
M3. Strawberry 〜甘く切ない涙〜
M4. 満天星
M5. ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜
M6. たからもの
M7. Carve out
M8. Precious Sounds 〜風が残していった〜
M9. Rain 〜手のひらのアンブレラ〜
M10. COLOR SANCTUARY - Bossa Nova -
M11. 孤独な銀河
M12. Made in You!
M13. カンパネラ
M14. 朝焼けのスターマイン
M15. 回帰線
M16. Believe in Sky
M17. 化身
M18. Flow of time
M19. 散花の祈り
M20. World-Line
M21. rinascita
1曲目は,2019年11月27日に発売されたオリジナルミニアルバム「Flow of time」から「アドレッセンスの丘」,それに続くのはPSP版「Ever17 -the out of infinity-」のエンディングテーマ「The Azure 〜碧の記憶〜」だ。最初のMCパートでは,当日が今井さんにとって2019年の仕事納めになることや,冬場は体調を崩しやすいのでライブを控えたいと思っていたものの,振り返ると毎年やるようになっていることなどが語られた。ちなみに今回の衣装は9月1日に開催された「Animelo Summer Live 2019 -STORY-」最終日と同じもの。CDジャケットやパンフレット用の写真にも使用しているお気に入りなのだとか。
アニメ「にゃんこい!」のED曲「Strawberry 〜甘く切ない涙〜」と,1stアルバム「COLOR SANCTUARY」の「満天星」の2曲に続いて,壇上にスペシャルゲストが呼び込まれた。“ありがとうを伝えたいグランプリ”の準優勝者であるとの紹介で登場したゲストは,今井さんとはバンダイナムコエンターテインメントの「アイドルマスター」シリーズで長い付き合いのある沼倉愛美さんだ。
ちなみに,同グランプリの優勝者は,沼倉さん以上に長い付き合いの中村繪里子さん。2019年11月30日に大阪・LIVE HOUSE TAKARAで開催された“今井麻美 Winter LIVE「Flow of time」Osaka”では,中村さんからのビデオレターが上映されていた。今井さんと沼倉さんは,この「優勝者はビデオレターで,準優勝者は出演」というチグハグな状況に疑問を呈しつつ,思い出話をスタートさせる。
沼倉さんが今井さんと初めて出会ったのは,ラジオ番組「THE IDOLM@STER RADIO」の,ゲスト出演の2か月前に実施された現場見学であったという。今井さんの目に映った沼倉さんは平然とした様子だったものの,その内心は番組パーソナリティである今井さん&たかはし智秋さんのハイテンポな掛け合いを前にたじろいでいたそうだ。
そんな沼倉さんを迎えてのデュエットで演じられた楽曲は,映画「機動戦士ガンダムF91」の主題歌である「ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜」。この曲を沼倉さんがPSP用ソフト「アイドルマスターSP」のオーディションで歌い,我那覇 響役を獲得したというのは,よく知られたエピソードだ。
それだけでなく,今井さんにとっては1991年当時の自宅から隣県まで初めて一人旅をして観た映画が「機動戦士ガンダムF91」であり,思い出深い曲なのだという。さらに,今井さんがオリジナルシンガーの森口博子さんにライブで歌うことを伝えたところ,森口さんに喜んでもらえたそうだ。デュエット曲はこれだけでなく,ゲーム情報サイトのWebラジオで制作された企画曲「たからもの」も披露される。
沼倉さんが退場してからのパートは,「Flow of time」からの2曲目となる「Carve out」,3rdアルバムの表題曲「Precious Sounds 〜風が残していった〜」,4thアルバムの収録曲「Rain 〜手のひらのアンブレラ〜」,1stアルバム表題曲「COLOR SANCTUARY」のボサノババージョンと,非タイアップ系の楽曲が続く。そんな中,今井さんの側頭部を飾っていたアクセサリーの紐が外れるというハプニングが発生。それを直すため舞台袖に引っ込む今井さんは,その合間を即興演奏で埋めるよう,+A(バックバンド)の面々にオーダーする。
今井さんによる「『え〜』って言ったから(コードは)Aで」という軽いノリでの無茶振りされた+Aだが,見事にファンキー・ジャズテイストの演奏を見せてくれた。壇上に戻ってきた今井さんは,ベースの宮下 智氏に即興曲のタイトルを尋ねる。無茶振りの天丼とすら言える畳み掛けだが,宮下氏は「六本木の夜」という,「なんだか納得できる」といった雰囲気の絶妙な回答で,観客の感嘆を浴びる。演奏だけでなく話芸もバッチリだ。
それに続いての11曲目は「Flow of time」から「孤独な銀河」,そして6thアルバム「Words of GRACE」から「Made in You!」。MCパートで「沖縄行きたい。イタリアも行きたい。けど遠い」といった唐突すぎるトークを挟んだりもしつつ,「超次元アクション ネプテューヌU」主題歌のカップリング曲としてリリースされた「Made in You!」,14thシングル「カンパネラ」の表題曲,2016年にゲーム化もされたアニメ「プラスティック・メモリーズ」主題歌の「朝焼けのスターマイン」と続く。
ライブも終盤になり「すごいお腹空いた」と疲労感を見せる今井さんだったが,「スペシャル頑張らなきゃいけないコーナー」として,CD-BOX「rinascita」収録の録り下ろし曲「回帰線」,「Believe in Sky」,「コープスパーティー BLOOD DRIVE」(PS Vita / iOS / Android)の2nd OP曲として使われた「化身」を連続で披露した。
今井さんは「化身」について,歌手としての“自分らしさ”を見つけた曲であり,「コープスパーティー」は人生の転機になった作品のひとつであると語る。ただ凄惨なゴア描写がコンテンツの中核にある「コープスパーティー」で“自分らしさ”を見つけて良いものだったのかと,冗談交じりに自問する様子も見せた。
18曲目の「Flow of time」を一区切りとして,+Aのインストゥルメンタル演奏を挟み,ラストパートに突入する。ラストパートは,6曲目と同じくWebラジオ企画曲である「散花の祈り」から,「STEINS;GATE 0」(PS4 / PS3 / PS Vita / Xbox One)のTVアニメ版で後期EDテーマに使われた「World-Line」。「シュタインズ・ゲート」も人生の転機になったタイトルの1つとのことで,今井さんは同作とMAGES.,そして主人公の岡部倫太郎に感謝を述べた。最後を飾った曲は,今井さんが「10年間が一番詰まった曲かもしれません」と語る,CD-BOXの表題曲「rinascita」だ。
終わりぎわのあいさつで,今井さんは終盤のバンドメンバー紹介で失念していたマニュピレーターにしてプロデューサーでもある濱田智之氏を改めて紹介すると共に,濱田氏へ観客に向けたコメントを求めた。「そんなのシナリオに無いって……」とためらい気味の濱田氏だったが,今井さんは「人生にシナリオなんて無いんだ! 今,皆が求めている一言をくれ!」とゴリ押し。それに対する濱田氏の答えは,「来年もよろしくお願いします」というものだった。本稿掲載時点では今年ということになるが,プロデューサーである濱田氏から“よろしく”という発言が出たということは,きっと“よろしく”すべき何かが今年も待っているということだろう。今年の展開にも期待したい。
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