プレイレポート
[TGS 2021]VRでボディビルダーになる!インパクト抜群のゲームが揃った,バンタンゲームアカデミーブースレポート
VRボディビルゲーム「輝けブラウニー」
プレイヤーは筋肉ムキムキのボディビルダー。イベント会場のステージ上に立ち,ポージングして観客たちを魅了するのだ。
HMDを被り,コントローラを両手に持てば,もうそこはイベント会場だ。頭と両手の位置を検知しているので,指示された通りのポーズを取ろう。巨大スクリーンにはムキムキの自分がポーズを取っている様が見えて大満足。観客たちからは筋肉を賞賛する歓声が飛ぶのだが,これがいわゆる「ボディビル大会での独特なかけ声」なのだ。「ジャンボモナカにニスを塗ってんのかい!」「逆ガリガリ!」「お前の破ったTシャツの枚数,覚えとるんかい?」「肩に板チョコ乗せてんのかい!」などなど,インパクトが強い。男性であれば,一度は筋骨隆々の身体やボディビルダーに憧れると思うが,そうした気分を疑似体験できるのである。
VRゲームといえ,ポーズの正確さを問われるわけではないし,音楽ゲームのようにタイミング良くポージングするリズム感を問われるわけでもない。使っているのは市販のVR機器なので,筋肉に力を込めているか否かを検出してくれたりもしない。それでも,“ボディビルダーになってポージングする”という行為自体が魅力的であり,独特のかけ声が「マッチョでもないのにマッチョのふりをする」照れくささを笑いに昇華してくれるのである。
公式サイトを見ると,出展されていたものとバージョンが違うものも存在する模様。こちらは観賞側のプレイヤーたちが,かけ声のセンテンスを選んで組み合わせることで,ボディビルダーをより自由に賞賛できるようだ。
ポージングの認識が良い意味でユルいことと合わせ,パーティーゲームとして面白そうで,こちらのバージョンも遊んでみたいと感じられた。勢い重視の企画であり,勢いのまま最後まで突っ走った感が微笑ましくも楽しい。なお,本作はバンタンゲームアカデミー 大阪校のチームによる作品とのこと。関西に住んでいた筆者としては「やっぱり大阪人の笑いやな」と妙に納得してしまった。
バーチャルYouTuber体験ゲーム「あいちゅ〜ぶ 〜絶対に何をしてでも急上昇1位を目指す 夢乃ルナの配信2.4分!!〜」
「あいちゅ〜ぶ 〜絶対に何をしてでも急上昇1位を目指す 夢乃ルナの配信2.4分!!〜」のテーマは,今をときめくバーチャルYouTuber。プレイヤーは人気バーチャルYouTuber「夢乃ルナ」になり,3Dお披露目配信をランキング1位にするため奮闘する。キラキラした感じの音ゲーかなにかが始まりそうだが,さにあらず。配信画面ではスパチャで要求されたポーズを取りつつ,裏画面ではライバル配信者の妨害に勤しむのである。
配信画面はピンクピンクして夢いっぱいだ。画面左に落ちゲーのブロックの如く,いろいろなポーズを要求するスパチャが積み上がっていく。対応したボタンを押してポーズを取ることにより,これを消していく。……といっても操作は簡単。ボタンとスパチャには「赤」「青」「黄」「緑」の色がついているため,スパチャと同じ色のボタンを押せばいい。同じ色のスパチャが複数個積み上がっている場合にボタンを押せば,一気に消えて得られるお金も倍増。配信の順位も上がっていいこと尽くめだ。コメントが流れる(ブロックが積み上がり過ぎて溢れる)と視聴者が減るため,頑張ってポーズしよう。
しかしながら,頑張るだけでは1位を取れない。裏画面に切り替え,ほかの配信者を妨害しなければならないのだ。妨害は「ライバルの配信に悪質リンクを出す」(100円),「アンチを雇って送り込む」(500円),「ハッカーに電波ジャックを依頼する」(1万円),「黒魔術をかける」(5万円)の4種があり,高いものほど多くの視聴者を減らせる。
ここまで読めばお気づきかと思うが,妨害工作に使う費用は,視聴者のスパチャで賄われる。「夢乃ルナ」は「ぴょんぴょんポーズ」とか「ぷんぷんポーズ」が得意な夢いっぱいの美少女だが,“中の人”である山田さんは性根が真っ黒。視聴者のスパチャで他人を陥れることに罪悪感を覚えるどころか「今日はどんだけ儲かるんだろうな〜?」と皮算用し,妨害しては「この感じ……最高っ!」と悦に入るド外道だ。
配信画面で「少ないですがどうぞ」などといじらしいスパチャをする人が,この本性を知ることがないように祈るばかりである。ただ,妨害するごとに「天罰確率」が上昇。一定値を超えると,今度は自分の配信にトラブルが起こり,マウス連打で対応しなければならない。天罰覿面だ。
「輝けブラウニー」同様に勢いを重視した作品だが,バーチャルYouTuberというキャッチーな題材に加え,夢乃ルナと“中の人”山田さんのひどいギャップ,突き抜けた山田さんの外道っぷりなど,キャラが立っていて面白い。
本作を開発したプログラマーの1人である専門部2年生の笹原海人氏によれば,今年の東京ゲームショウがオンライン開催であり,インフルエンサーや配信者も多く訪れるということからバーチャルYouTuberという題材を発想。“プレイヤーの立場を視聴者とするか,バーチャルYouTuberにするか”という議論を経て,現在の形に。授業を受けつつ,約3か月で開発したという。ターゲットを絞った短期間開発の経験は,この先きっと役に立つことだろう。
人目を引くことと作品を完成させること,そのどちらもゲーム開発においては重要であるように思える。そうした意味で,突き抜けたインパクトを持った今回の展示は印象的なものであると感じられた。
「バンタンゲームアカデミー」TGS 2021ページ
4Gamer「東京ゲームショウ2021 オンライン」掲載記事一覧
- この記事のURL: