AIボイスレコーダーの“自動文字起こし機能だけで作ったこの記事”で，自らの有用性を語ってもらおう（類似サービスの出力比較も）

※編注：本稿は「AI文字起こし機能付きのボイスレコーダー」を用いて，音声録音→文字起こし機能でテキスト化→記事にしています。


　以下，手書きの前提説明。


■機材
製品：AutoMemo S（オートメモS）
発売：ソースネクスト
価格：1万9800円（税込）
特長：録音した音声を自動文字起こしするAIボイスレコーダー
注記：自動文字起こし機能は有料プラン（サブスクリプション）


■概要
・台本を用意し「普段より丁寧に話した音声」を自動文字起こし
・そんな恵まれた素材がまずないことは重々承知の身の上である
・インタビューやミーティングでの現実的な実用性は差し引き必須


■注記
　可読性よりも“実際の機器の使用感”の参考を優先すべく，手入れは「固有名詞などのカギ括弧の付記」「改行などのレイアウト面」のみ。誤字も句読点も修正せず，最低限の「編注」の追記にとどめる。


■付録（記事末尾）
1.録音用台本の原文
2.文字起こしの原文（無編集）
3.類似サービスの文字起こし機能の出力比較


★読む前に，読んでほしいこと
　本稿には，使用する製品の性能を貶す意図はありません。インタビューなどの高精度な自動文字起こしというのは我々の業界において誰しもが待ち望む，なにがなんでも到達してほしい最初の夢であり，このクソデカ期待と切迫感の大きさは読者にすら負けないと自負しております。



　以下，録音を「AutoMemo S」の文字起こし機能で出力した本文。

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　どうもみなさん。私はソースネクストが生み出したAIボイスレコーダー製品の「オートメモS」と申します。

　私は録音した音声を分析して文字起こしする機能を備えているので、従来のボイスレコーダーよりも文章化の作業が手軽です。

　音声と文字化素材はメール送信、クラウド保存にも対応していて、PCでのテキスト編集もすぐにできます。録音中のブックマーク付け、文字化したテキストのキーワード検索だってできてしまいます。

　複数人でのインタビューやリモート会議など、音声の聞き分けも上手です。この他の特徴はぜひ公式サイトをご覧ください。


　さて、今回は試しにゲームボーイ版「テトリス」を紹介します。

　こちらは4月掲載の人気記事で紹介した題材ですが、本校（※1）では同記事の内容を要約していき私の性能を確かめていきます。

※編注：本稿


　ゲームボーイ版テトリスは1989年6月14日に発売された名作パズルゲームです。現在は任天堂スイッチオンライン（※1）の会員向けサービス「ゲームボーイ、任天堂スイッチオンライン」（※2）でも配信中です。
　ちょうどテトリスにまつわる実話ベースの“1988年の舞台裏映画”もAppleTVプラス（※3）で公開されましたので、合わせてご覧ください。

※1：Nintendo Switch Online
※2：ゲームボーイ Nintendo Switch Online
※3：Apple TV+


　当のテトリスはシリーズを重ねるごとにシステムを変化させていきました。例えば、ゲームボーイ版ではホールドが存在しません。ホールドとはテトリミノを1個だけストックできる機能のことです。

　また、壁際でブロックを回転させられないことがある。落下予測地点を示すゴーストブロックがない。落下速度を早める操作のハードドロップがない。次に落ちるブロックの予告表示「ネクスト」もありません。

　さらに、回転操作で地形にはめ込む「回転入れ」や、設置後に固定されるまでの時間を延ばす操作ブロック7種をランダムな順番で一順させる「7種一順の法則」も存在していませんでした。

　このようにゲームボーイ版は最新版よりも正確な判断や操作集中力が求められ、テトリスの“本質”をより強く感じられます。それと同時に最新テトリスの“進化”を感じるいいきっかけになります。

　ゲームボーイ版テトリスの特徴はいかがでしたでしょう。
　より詳しくは、上記の特集記事でおさらいしてください。


　改めてここまでの文章は「AutomemS」（※1）で音声を録音し、文字起こし機能で出力されたテキストをほぼそのまま用いています。

※1：AutoMemo S

　編集者、記者、ライターといった人種は、これまでに何度も何度もインタビューの文字起こしから逃げたい、助かりたい、勘弁してくれ、許すまじ、といった。一年で（※2）、私たちのようなサービスを試してきました。音声が記事を作るああ、なんて素晴らしい未来なんだろうと。

※2：といった一念で

　しかしそれらでアウトプットされたものはどれも文字の塊、魂、生の豚、バラブロック（※3）、電子の資源ゴミといったものでした。ノイズも多ければ再調理も必要。それらを整形するくらいなら自力でゼロから文字起こしした方がスマートで早い、など散々な結果で死死累累でした。

※3：文字の塊魂，生の豚バラブロック

　もちろん過去の文字起こしサービス、あるいは機器でも今回のようにゆっくりと丁寧な音声を収録すれば精度は高めでした。
　とはいえ、プレイレポートを作るとしましょう。台本もなしに録音すれば内容がまとまるわけがないならば、と台本を作るのなら、そもそもそのテキストを記事にした方が早い。本末転倒です。

　じゃあ、インタビューを作るとしましょう。無理でした。和社（※4）の認識が甘い自動開業してくれない「えー」「あー」と口語が入る。自動文字起こしのために相手にゆっくり喋ってもらうんじゃ、場の空気も乗り切れなくてクオリティーを担保できない七点抜刀（※5）です。

※4：話者
※5：七転八倒

　だから諦めてきたけれど、楽になりたいから求めてやまないから、こうして何度となく試してくじけても諦めずに求め続けた。それが今です。そんなところでいかがでしたか?　私の性能は、
　最後はゲーム関係に助力するAIとして、この言葉で締めましょう。

「あなたは最善を尽くしました。」
「私はあなたのお役に立てましたか?」

付録の参考＆比較資料

　まずは上記テキストの「録音用台本の原文」から。ついでに感想を付け足すが，従来型の類似サービスで期待感を散々打ちのめされてきた過去を思い返すと，想定以上の精度であった。

　記事掲載前のこと，すでにインタビュー現場などでも使用したのだが，「もうこれなしで取材はできない」である。




　続いて「文字起こしの原文」だ。記事本文は「カギ括弧」「改行」「編注」を加えたが，それ以外は無編集であった。

　自動改行の調整はいかんせん（購入したばかりで）コントロールできるのかが不明だが，句読点は意識して話せば作れる。しかし「書く」で仕事している我々には，台本を「読む」のが難しかった。
　また，実戦に用いる場合はこれらを意識してしゃべるわけがないため，今回の結果はあくまで「よくできているほう」と思うべきだ。

　ただし，前述したとおり，すでに身をもって実戦投入をした結果，「もうこれなしで取材なんてするかボケぇ！」である。

■類似サービスによる音声文字起こしの比較資料

　ここから「今回の録音用音声を用いて，いくつかの類似サービスでも自動文字起こししてみた結果のテキスト」を比較していく。

　あらためてだが，本稿のために収録した素材は「丁寧に話した音声」，悪く言えば，平坦で抑揚も勢いもつけていないものである。そのため専門用語や難しい言い回し，句読点の有無などをのぞけば，平易的な音声に関してはどのサービスも優秀な結果になったと思っていい。

　同時に“その難しいところこそ，どうにかしてほしい”のが我々のため，一部で発生している誤差の認識具合はいいチェック項目になる。
　ああ，申し訳ない。これは同業者向けのコメントでもある。









　さすがにすべてに目をとおすのは億劫だと思うので，まとめる。


・全体的に，有料サービスほど精度が高めな傾向

・誤字レベルはまちまちだが，どれも意味不明まではいかない

・ちょっとした改行＆スペースの自動付記も，使い勝手に直結

・音声ファイルをPCに移動させず，機器だけで録音＆文字起こしが完結するAutoMemo SやPixelシリーズはたしかに手軽

・とりあえず，これらなしでの取材は断固として行かない決意


　といった所感である。使い勝手がいいものほど料金体系がサブスクリプションになりがちなところが精神的に「んーっ！」っとくるところだが，手軽さは十分に実用レベルであり，自動文字起こししたテキストだけでの記事制作も十分に可能な領域まで達した。

　ただし収録人数が多いとき，記憶があいまいなときは，従来的な「音声を聞きながら作業」でないと，（テキストへのエンタメ性の付加という観点では）音源のエッセンスを取りこぼす可能性が高まる。
　AIボイスレコーダーおよび自動文字起こしサービスは作業効率と引き換えに，音声を聴くこと自体が面倒になり，いいや超・面・倒になり，「自動文字起こし分のテキスト編集だけでいいや」な姿勢が生まれ，現場の付帯音や空気感を無意気に削りがちになるという副作用のためだ。
　これは機器やサービスの手落ちではない。編集する当人が「このあたりよく覚えてないし，音声を聴き直すのも面倒だし，トリ（削ること）でいいや」と考えはじめて堕落するからだ。すでに身をもって恐ろしき堕落を味わっているから，これは避けきれない真実である。

　その結果，各方面に行きわたりはじめたAIサービスと同様，使用者はうまい付き合い方をしないと，楽になる反面，テキストの淡泊さを生み，単純にアウトプットの品質を落とすだけの危険性が出てくる。

　というのが，読者宛というよりも，この記事を見て「ほなら買お」と思っていそうな4Gamer編集部ならびに同業者，そのほかライティング業に携わる人たちへのお人よしなアドバイスである。
　それでも断言できるのは，今から，今すぐ，さっさと，もう使え，である。チャットやイラストのAI関連はあーだこーだとまだまだ騒がしく，当面は静まりそうにないが，自動文字起こしに関しては今から使っていかないと，ついて行けなくなるぞ，売文業界のスピードに――。

ソースネクスト「AutoMemo S」公式サイト