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NVIDIAとMicrosoftが,PC上で生成AIを利用するアプリ開発で協業
AIチャットサービス「ChatGPT」に代表される生成AIが話題だが,それらの開発は,多くがLinux上で行われている。理由はいろいろあるが,たとえば,PythonベースのAI開発用オープンソースライブラリ「PyTorch」を利用できる環境を構築するのは,WindowsよりもLinuxのほうが楽,といったことはあるだろう。
一方,Microsoftは,LinuxのアプリケーションをWindows上で動作させる仕組み「Windows Subsystem for Linux」(WSL)を提供している。とくに,Windows 11から正式サポートとなった「WSL2」は,Microsoftの仮想化技術「Hyper-V」をベースにWindows上でLinuxを動作させており,高い互換性と動作速度を得られる。
NVIDIAは,WSL2上でGPUアクセラレーションを利用できるように「GeForce Driver」の開発を進めてきたが,今後はMicrosoftと協力して,NVIDIA製のAI向けフレームワークをWSL2上で利用できるよう開発を進めていくそうだ。
また,PyTorchモデルの最適化,およびディープラーニングモデルの相互変換を行うオープンなフレームワーク「Open Neural Network Exchange」(ONNX)の変換を行うツール「microsoft/Olive」を,MicrosoftがGitHubで公開している。今後は,MicrosoftとNVIDIAが協力してOliveを使用した最適化を進めていくそうだ。
これにより,AIアプリケーションの開発者は,GeForce RTX GPUを搭載したワークステーションやノートPC上でモデルをカスタマイズしたり最適化したりしたうえで,それを「Microsoft Azure」のクラウドにプッシュするといったことが,より自在に行えるようになると,NVIDIAは説明している。
ちなみに,OliveはGPUへの最適化機能もあるので,NVIDIAとの共同開発によりNVIDIA製GPUでの性能の向上も期待できるかもしれない。
これまでもWSL2を活用しつつWindows上でAIアプリケーションの開発を行うといったことは,一部の開発者が工夫しつつ行ってきた。だが,MicrosoftとNVIDIAがその分野で協力することにより,ツールやライブラリが充実したり安定性が増すということが期待できるだろう。消費者にとっても,Windows上で活用できる生成AIを応用したアプリやゲームの登場が期待できるかもしれない。
NVIDIAによる当該ブログポスト
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