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ゲムマ2023春,試遊卓遊びまくりの巻。「チョコボの不思議なダンジョン ボードゲーム」など,遊んで面白かった作品をまとめて紹介
そして,もちろん去年から復活した試遊卓も健在だ。というわけで,今年も気になるゲームを片っ端から試遊してきたので,その中から面白かった作品をピックアップして紹介しよう。
ついに試遊卓が復活した「ゲームマーケット2022秋」。会場で遊べた新作タイトルから,オススメ6作をまとめて紹介
2022年10月29日と30日に開催された「ゲームマーケット2022秋」では,ついに各ブースでの“試遊卓”が復活。各ブースでさまざまなタイトルが遊ばれていた。会場で新しいゲームと出会い,その場で遊べるのが同イベントの醍醐味の一つ。というわけで,1日かけて遊びまくった筆者のオススメ6タイトルを紹介していこう。
ゲームマーケット 公式サイト
チョコボの不思議なダンジョン ボードゲーム
ホビージャパンはスクウェア・エニックスと提携しており,ホビージャパンブースでは「ファイナルファンタジー・トレーディングカードゲーム」の最新弾をはじめとした,スクウェア・エニックスの人気IPを活用した作品が展示されていた。
その最新作にあたるのが,会場で試遊できた「チョコボの不思議なダンジョン ボードゲーム」だ。FFシリーズでお馴染み“チョコボ”をテーマにした作品は,「チョコボのクリスタルハント」「チョコボのパーティーアップ」に続いて3作目となる。
本作は,最大4人で遊べる協力型ゲームだ。ダンジョンに挑戦するチョコボを全員で操作して,最奥に待ち構えるボスの討伐を目指すことになる。
ダンジョンのフロアは双六のような形式で表現され,ラウンドがめぐるごとに新たなモンスターが出現する。モンスターはラウンド終了時にチョコボに自動でダメージを与えてくるので,モンスターを撃退しつつ先へ進まなければならない。
最大の特徴は,チョコボが実行する攻撃や移動といったアクションの決定システムだ。各プレイヤーはラウンドごとに,手札からカードを1枚選んで出すのだが,ここで出したカードは“行動番号”が低い順に「アクションダイヤル」へと配置される。
アクションダイヤルのカード配置枠には「はしる」「たたかう」「たべる」といったアクションが書かれており,枠に置かれたカードの“パワー”に等しい回数だけアクションが実行される仕組みになってる。
●アクションの種類
・はしる:配置したカードのパワーに等しい数だけマスを移動する
・たべる:配置したカードのパワーに等しい数まで「ギザールの野菜」を消費し,消費できた数に等しい枚数のカードを引く
・たたかう:モンスター1体に,配置したカードのパワーに等しいダメージを与える
・死神:配置したカードのパワーに等しい数だけ「死神トラック」を進める。死神トラックが最大になると,全員がゲームに敗北する
ただし,カードは全プレイヤーが同時に出す必要があるので,常に実行したいアクションを使えるわけではない。また,アクションの中には「死神」と呼ばれるものが存在し,何度も死神アクションを実行するとゲームに敗北してしまう。
手札の数字を相手に直接伝えるのはルールで禁止されているので「行動順が早いカードがなさそうです」とか,「高パワーダスト死神踏みそうだから,今回は別ので行きます」とか,そういった“ふんわりした情報”で意思疎通をはかり,互いに察し合いながら出すカードを決めるのだ。
ダンジョン内で「野菜」や「本」のアイコンを踏んだときに獲得できるトークン類。野菜をめくるとランダムな数の野菜が得られ,本をめくると使い切りの特殊能力が手に入る |
モンスターを撃退すると,下部に表示された報酬が得られる。報酬目当てでちょっと同じフロアに居座る戦略も有効かもしれない |
コミュニケーションを制限しつつ,カードを同時にプレイして順番を調整するゲームとしては「ザ・ゲーム」や「花火」などが馴染み深い。そのメカニクスを“協力ゲームにおけるアクション選択”に用いることで,チョコボという1匹のキャラクターを全員で協力しながら導く感覚を味わえる,独特な作品に仕上がっていた。
ダンジョンはフロア枚数を調整可能で,ボスにも複数の段階が用意されているとのことなので,プレイヤーの実力に合わせて遊べるのも嬉しいポイントだ。発売された際には,ぜひ全フロアの踏破を目指してみたい。
タイトル | チョコボの不思議なダンジョン ボードゲーム |
メーカー | ホビージャパン |
価格 | 未定 |
プレイ人数 | 1〜4人 |
プレイ時間 | 30〜40分 |
発売時期 | 2023年秋 |
スプラッシュパーティー
「レンレン」「チャージ&スパーク」「ことば落とし」「ロストコード(日本語版)」といった新作タイトルを一気に出展したJELLY JELLY GAMESブースでは,今夏に発売を予定している新作タイトル「スプラッシュパーティー」を遊ぶことができた。
スプラッシュパーティーは,「コンプレット」や「デジャブ」などで知られるゲームデザイナーのHeinz Meister氏が,1999年に発表した「Ab in den Pool!」のリメイク作品だ。パッと見ではパーティーゲームのようにも思える本作だが,ジャンルは正体隠匿型の推理ゲームとなっている。
缶ケース型のパッケージを開けると,箱の内側がプールサイドに見立てた足場になっている。ここに5色のコマ各3個を配置し,各プレイヤーが担当する色を秘密裏に決定すれば,もう準備完了だ。
プレイヤーの目的は,自分以外のプレイヤーが担当するコマをすべてプールに叩き落として脱落させること。各コマの裏側には1〜3までの数字が書かれており,手番が来たプレイヤーはコマ1つを選んで,書かれた数字ぶんだけプールサイドを移動できる。移動先にコマがあったら,そのコマをプール(箱の中央部)に叩き落すことが可能だ。
動かすコマの色に制限はないが,コマの裏に書かれた数字はコマを選んでみるまで分からない。1〜3マスの間に自分の色のコマがいる場合は,自分のコマを蹴落としてしまう可能性があるので,並びをよく見て動かすコマを選ぶ必要がある。
ただし,安全な行動を取り続けていると「どのコマを選んだか」によって,担当している色を特定される可能性が高まってしまう。うまく情報を散らしつつ,生き残りを目指そう。
また,プールサイドには1マスだけ「飛び込み台」と呼ばれるマスがあり,通った際にプレイヤー1人の色を宣言できる。ここで見事に色を言い当てれば,対象のプレイヤーは一発で脱落となる。逆に言い間違えた場合は宣言下側のプレイヤーが脱落するので,確信を持った状態で使わなければならない。このルールがアクセントとなり,手軽に正体隠匿の醍醐味を味わえる。
遊んでみてゲーム自体が面白かったのはもちろんのこと,やはり一番強く印象に残ったのは,ゲームシステムに組み込まれたパッケージのデザインだ。
箱を開けてプールからコマを取り出して並べたら,もうゲームを開始できる。しまう場合も,コマをプールに全部投げ込んでフタをするだけでOK。利便性と意外性を両立させた本作は,1つ持っておけばいろいろな場で取り出せる便利な1本になりそうだ。
タイトル | スプラッシュパーティー |
メーカー | JELLY JELLY GAMES |
価格 | 未定 |
プレイ人数 | 2〜6人 |
プレイ時間 | 10分 |
発売時期 | 2023年夏 |
STRIVE in the SQUARES
GOTTA2ブースの新作タイトルは,1対1専用の戦略ボードゲーム「STRIVE in the SQUARES」だ。ブースには複数の試遊卓が設置され,2日間を通して活発に試遊が行われていた。
本作はチェスや将棋といったゲームと同様,ランダム要素が存在しない完全情報ゲームだ。5×5マスのボード上に自身のユニットを配置し,中央の1列に3つ以上のユニットを侵入させたプレイヤーが勝者となる。
ルールは非常に単純で,手番が来たら「自軍ユニットを1つ選んで行動させる」「新しいユニットを手前4マスのいずれかに配置する」のいずれかを選んで実行するだけ。これを,どちらかのプレイヤーが勝利条件を満たすまで繰り返すのだ。
各ユニットは前後左右に1マスだけ移動可能で,移動先に敵軍ユニットがいた場合は戦闘が発生する。各ユニットには戦闘能力を示す1〜5までの数字(仮に戦力と呼ぶ)が振られており,戦闘が発生した場合は高いほうが勝利する(同値の場合は相打ち)。
両プレイヤーは4種類のユニットを持った状態でゲームを開始し,自軍のユニットを配置しながらゲームを進めることになる。配置コストなどの概念は存在せず,敗北したユニットは所有者の手元に戻るので,何度でも同じユニットを出すことが可能だ。
これだけ聞くと「じゃあ戦力5のユニットだけ出せばいいのでは?」と思うかもしれないが,そうはできない事情がある。本作には“同じ横列に置ける同陣営ユニットの合計戦力は最大8まで”という縛りが存在するのだ。
つまり,戦力5のユニットを場に出してしまうと,同じ列に出せる残り合計戦力は3までになってしまう。勝利するためには3体のユニットを中央に送り込む必要があるため,この縛りはなかなか厳しい。
その悩ましさを加速させるのが,それぞれのユニットが持つ特殊能力と,戦力の設定だ。各ユニットは表面と裏面で異なる能力を持ち,表面と裏面の戦力の合計は6になるように設定されている。つまり,表面A/裏面Bの持つユニットを使い,戦力1のAを出した場合,そのユニットが場にある間は戦力5のBを使えなくなってしまう。
将棋やチェスなどと同系統のルールを持ちつつ,場に出したユニットや移動によって課される制限を考慮して相手を出し抜くという,パズルゲームのようなプレイフィールを持った作品だ。戦闘で相手のリソースが直接削られないので,いわゆる“攻撃されている”感も薄く,直接的な対戦に苦手意識を持っている人でも楽しめるかもしれない。
タイトル | STRIVE in the SQUARES |
メーカー | GOTTA2 |
価格 | 3800円(税込) |
プレイ人数 | 2人 |
プレイ時間 | 20分 |
発売時期 | 発売中 |
「STRIVE in the SQUARES」公式サイト
BLOOD RECALL(ブラッドリコール)
「ペンデュラム・ドールズ」などを手掛けてきたシエラゲームズ/幻想遊戯団ブースでは,2022年秋にリリースされて話題となった「BLOOD RECALL」(ブラッドリコール)の試遊スペースが用意されていた。
BLOOD RECALLは,1対1のデッキ構築型対戦カードゲームだ。各プレイヤーは同一内容のプレーンなデッキを持って対戦を開始し,共通の場から新たなカードを購入してデッキに加えつつ,先に相手のHP(初期値20)を削りきらなければならない。
本作における対戦は,各プレイヤーが順番に手札のカードを使用する「メインフェイズ」と,それぞれが出力した攻撃力を比較する「血戦フェイズ」の繰り返しによって進行する。
血戦フェイズのダメージ計算では,より大きな攻撃力を出力した側が,その“差分のダメージ”を相手に与える形式が採用されている。攻撃力が防御力とほぼイコールであり,ゲームが進むごとにどんどん火力がインフレしていくのが本作の大きな特徴だ。
なかなか面白いのは,カードの購入に使用するコスト“ブラッド”に関連するシステムだ。ブラッドは手札のカードから出力できるだけでなく,相手から受けたダメージもブラッドに変換される。つまり,ダメージを受けるほど一度に大量のブラッドが利用できるのだ。
出力したブラッドで共有の場から購入したカードは,購入したそのターンに使用できる。下手に相手に大ダメージを与えると,いきなり超強力なカードが飛んでくる可能性があるので,中途半端なダメージを出すと手痛いしっぺ返しを食らうことになる。
さらに,各プレイヤーは1ターンに1度だけ,自身に一定のダメージを与えるアクション「自傷」を実行できる。もちろん自傷でもブラッドを生成できるので,買いたいカードのコストにブラッドが届かない場面などでは,自分のHPを減らしてブラッドを確保することが可能だ。
プレイヤーの個性を出す要素もなかなか強烈だ。ゲームを開始する前,各プレイヤーは6種類の武器と,武器に対応する必殺技を1枚選んでゲームを臨むことになる。
武器によって「ターン開始時のドロー枚数」「自傷で受けるダメージ」が変化するほか,使用するごとに特殊効果が発動するアクション「血継」をプレイヤーに付与する効果もあるため,選んだ武器次第で有効な戦い方はガラッと変化する。相手の武器の特性を考慮しつつ,最適な立ち回りを考えながら戦うのはなかなか楽しい体験だった。
独自の用語が多く,最初はやや複雑なゲームにも思えたが,覚えてしまえばさほど情報量は多くない。購入したカードを即座に使用できるため展開がスピーディで,非常に爽快感のあるゲームだ。
一度でもどちらかが大ダメージを与えたが最後,どちらかが倒れるまで大火力を叩きつけ合うバトルが始まる独特なゲーム展開は,ほかのカードゲームではなかなか味わえない。
デッキ構築システムを導入したことで「事前にデッキを考えておく」といった手間がなく,手軽にTCG的なバトルを味わえるのも本作の魅力だ。ルールさえ覚えてしまえば何度でも繰り返し遊べるゲームなので,対戦ゲーム好きにはぜひオススメしたい。
タイトル | BLOOD RECALL(ブラッドリコール) |
メーカー | シエラゲームズ |
価格 | 4500円 |
プレイ人数 | 1〜2人 |
プレイ時間 | 10〜30分 |
発売時期 | 発売中 |
「BLOOD RECALL」公式サイト
DICE CONブース 1対1推理ゲーム
中国でゲームマーケットに近いポジションにあるアナログゲームイベント「DICE CON」(北京国際卓面遊戯展)の出張ブースでは,さまざまなインディー作品が展示されていた。そこで目に留まったのが,スパイをテーマにした2人用の対戦型推理ゲームだ。
パッケージ等が存在せず,タイトルも分からないので不思議に思っていたのだが,ブースの担当者によると,本作を開発した董 海鵬氏は北京在住の大学生で,現時点ではお手性のコンポーネントしか存在していないとのこと。
しかし,出展したDICE CONでは特徴的なゲームシステムが評価され,ゲームマーケット出展に至ったのだという。そんな話を聞いて興味を持って遊んでみたところ,なかなか面白かったので,ここで紹介する。
本作におけるプレイヤーは,冷戦下で活動するスパイ組織のリーダーだ。敵施設にスパイを送り込んで司令部まで情報を持ち帰るか,マップに潜むスパイを逮捕すれば勝利となる。
各プレイヤーは5×5マスのマップを持ち,4つの角のいずれかを“司令部”に設定したスパイを配置した状態でゲームを開始する。司令部の対角線上の角には敵施設が配置されるので,まずはスパイを敵施設まで移動させるのが第一目標となる。
手番にできる行動は「マップタイルの配置」「スパイの移動」の2種類で,スパイは1ターンに1マスだけ移動できる。マップタイルは手札として4枚の中から選択できるので,移動したいルートに合わせて配置していこう。
ただし,マップタイルを置いた位置は相手に通知される。ボード上には目印としてカラーチップが配置されるので,一直線に敵施設までタイルを敷いて移動すると簡単に場所がバレてしまうので,ある程度広範囲にタイルを置いていく必要がある。
また,ボード上には各プレイヤーの“巡査”が1体ずつ存在し,敵勢力の巡査に発見されると即座にゲーム敗北となってしまう。自身のスパイが敵施設に到達すると,相手プレイヤーは毎ターン巡査を移動させられるようになるので,施設に到達するまでに逃走経路を組み立てておかなければならない。
ゲーム全体が,位置を気取られないようにマップを構築しつつ移動ルートを構築する前半戦と,巡査に捕まらないように逃走する後半戦に分かれており,ゲーム前半から後半の動きを見据えた計画を立てられるのが面白いポイントだ。
カラーチップには特殊な効果を持つものも存在し,スパイの移動を阻害することもある |
巡査の位置は互いのマップ上で同期しており,移動時には移動先を相手に伝えなければならない |
この読み合いを面白くしているのが,アイコン付きのタイルを配置した際に引ける“協力者カード”の存在だ。カードには「追加で2マス移動する」といった単純に便利なものから,「現在スパイがいる場所を含む3つの座標を相手に書かせる」といったテクニカルなものまで多彩なものが用意されている。
巡査を動かせないゲーム序盤はスローペースになりがちなのだが,協力者カードによって序盤から少しずつ互いの情報が見えてくるのだ。推理ゲームの序盤は“とっかかり”が少なくて動きにくいことも多いのだが,その点をカード効果で緩和しているのは面白いデザインだと感じられた。
プレイ時間はルール説明を聞きつつ約1時間ほどで,1対1の推理ゲームとしては比較的ヘビーなゲームだったが,プレイした後の満足度はかなり高かった。
残念ながら現時点では日本国内でプレイする手段はないが,何らかの形で董氏が活動を続けていれば,どこかのコンベンションで遊ぶ機会があるかもしれない。その際には,ぜひ触れてみてほしい作品だ。
メーカー | 未定 |
価格 | 未定 |
プレイ人数 | 2人 |
プレイ時間 | 約60分 |
発売時期 | 未定 |
ゲームマーケット 公式サイト
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