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第2回新作マダミス大賞が発表された,「マダミスフェス2023」トークイベントレポート。大賞は該当なし,奨励賞に“ミッシングファイター”など
前者の「新作マーダーミステリー大賞発表」では,審査員を務めるグループSNEの安田 均氏,ディアシュピールのかわぐちまさし氏,ミステリアス・トレジャーの水谷 剛氏の3名が登壇し,第2回を迎えた同賞の選考結果の発表が行われた。
一方,後者の「品川署 GM捜査五課」は,マーダーミステリーにおいて重要な位置を占めるゲームマスター(以下,GM)という役割について,歴戦のGM達が語り合うというトークイベントだ。GMのテクニック本「君がマダミス作家になるために」などで知られる週末倶楽部の小田ヨシキ氏,マーダーミステリー専門店のクインズワルツでGMを務めるキュウ氏,5000人以上が参加するDiscordサーバーを主催するオンラインGMのイケメン氏が,フリーランスGMのマシュー氏の司会の元,そのノウハウを語り合った。
「マーダーミステリーフェスティバル2023」公式サイト
「第2回 新作マーダーミステリー大賞」,大賞は受賞作なしの結果に
新作マーダーミステリー大賞は,マーダーミステリーの主要メーカーであるグループSNE,コザイク,ディアシュピール,ミステリアス・トレジャー,Rabbitholeが共同で運営する,新人向けの作品コンテストだ。
「GM必要部門」と「GM不要部門」の2部門があり,受賞作は商業ベースの製品化,もしくは公演化が約束されている。実際に第1回の大賞受賞作「羅生門☆プリンシプル」は「奇想アムネジア」と改題され,,グループSNEから「MYSTERY PARTY IN THE BOX」シリーズとしてパッケージ販売が行われている。
2022年10月にスタートした第2回は,遅れもあったが順調に進み,2023年7月10日に行われた選考会にて受賞作が決定。その発表が「マーダーミステリーフェスティバル2023」で行われる運びとなったワケだ。そして気になる大賞の選考結果は……該当なし。GMなし部門14作,GMあり部門9作の計23作品の応募があったというが,残念ながら両部門とも大賞は選出されなかった。以下,大賞以外の選考結果は次のとおりだ。
GM必要部門
受賞作なし
最終選考進出:「忌むべきものの葬送」(かかしのクロウリー)
GM不要部門
大賞:該当作なし
奨励賞:「ミッシングファイター」(tomiha)
ミステリアス・トレジャー賞:「地球より愛をこめて」(冬浮)
最終選考進出:「船乗りの願いは終宵に沈む」(ヘシオリ)
※かっこ内は応募者ペンネーム
選評として,かわぐち氏は応募作のストーリーを評価しつつ,ゲームシステム面での独自性が弱いことを,今回大賞が生まれなかった理由として挙げていた。曰く,「グループSNEさんのMYSTERY PARTY IN THE BOXのシステムを踏襲した作品が多く,システム面で突出したものが見られなかった。次はストーリーとシステムの両面でレベルの高いものが現れることを期待したい」とのことである。
一方で,安田氏は奨励賞に選ばれた「ミッシングファイター」の独自性を高く評価したという。ウォーゲームなどで使われるヘクスマップを使って移動を表現した新規性と,その移動の過程で発生する事件が,本作を正しくマーダーミステリーたらしめている点がそれである。ただ,ミステリーとしては今一歩ということで,大賞を逃した理由はそこにあるとのこと。
水谷氏は「地球より愛をこめて」をミステリアス・トレジャー賞に選んだ理由として,同作がSFという難しいテーマに挑み,充実した設定やストーリーを作り上げたことを挙げた。しかし一方で,そうした設定とマーダーミステリーの相性の悪さ,またシステム面の踏み込みがあと一歩であることから,大賞には至らなかったそうだ。
なお「ミッシングファイター」と「地球より愛をこめて」は,両作とも製品化が予定されている。また「第3回 新作マーダーミステリー大賞」の開催も予定されており,こちらは2023年末の実施になるそうだ。正式な告知も近日中にあると思われるので,期待して待ちたいところだ。
ミステリアス・トレジャー「第2回新作マーダーミステリー大賞 選考結果について」
品川署 GM捜査五課 〜GM取調室 イベント出張版〜
マーダーミステリーの運営進行を司るGMのコツを,ベテランGM達が伝授する企画「品川署 GM捜査五課」では,事前に寄せられた質問に,登壇者達が答える形で進行した。
東京の大久保と高田馬場,大塚に店舗を構える専門店,クインズワルツでGMを務めているキュウ氏は,参加者にとってGMは頼りになる存在であるべきと考え,自身がGMをするときは「人の目を見て話すこと,対話を行うこと」を重視しているという。
そんな氏に向けられた質問は,「エモーショナルなシナリオに感極まって泣いてしまったプレイヤーがいたら,どうするか?」というものだった。氏はそのプレイヤーを一旦,ほかのプレイヤーから離しつつも,あくまでキャラクターとして扱うようにすることを提案した。進行している物語のフレーバーを壊さないようにするというわけだ。
これを補足する形で発言したのが,オンラインを中心に活動するイケメン氏だ。氏はGMがプレイヤーの物語への没入感を削いではいけないと考えており,GMは可能な限り透明で,存在を忘れられるほうが好ましいとしている。
またマーダーミステリーのGM指南書も書いている小田ヨシキ氏は,これこそGMのアドリブ力が求められる場面だと話す。マーダーミステリーのGMは,テーブルトークRPGのGMよりも自由度が低く,アドリブで話の筋書きを変えたりはできない。一方で,こうしたシーンでの受け答えにこそ,GMの対応力が重要になるとのこと。
なお,ベテランGM陣への質問はこの後も続けられたが,本稿では割愛する。トークの全編はYouTubeのStudioOZONチャンネルにて後日公開予定とのことなので,気になる人はそちらをチェックしてみよう。
質問の後,キュウ氏はクインズワルツ新作「ナナイロの迷宮」(作:イバラギーユ)を紹介した。7話からなるシリーズ作品で,7色に対応する登場人物が登場するという |
小田ヨシキ氏は,今回のイベントでデモプレイが行われた新作「Lost/Remembrance」を紹介。中国のマーダーミステリー制作集団・Trouble Kの作品を日本向けにローカライズしたタイトルだそうだ |
「マーダーミステリーフェスティバル2023」公式サイト
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