インタビュー
ブロックチェーンゲーム業界をリードする34名がコメント。2023年に興味を惹かれたニュースや,業界における課題など6個の質問に答えてもらった
さて1回目の記事の序文で,
日本で誰もが知る国内大手メーカーの皆さんも,まだ未発表のものも含め,エース級の開発者をヘッドに据えてブロックチェーンゲームの開発に取り組んでいる会社も多い。コアゲーマーであっても「これならやってみよう」と思える作品が登場するのも,時間の問題だと思われる。すでにチラホラと情報は出始めており,2023年はもっと多くのタイトルが登場するだろう。
と偉そうに書いたものの,ブロックチェーンゲームを取り巻く環境は,残念なことに想定よりは前に進んでいない。
日本という環境に限って話をするならば,コロプラ子会社のBrilliantcryptoからは,馬場氏渾身の宝石掘り「Brilliantcrypto」が。ドリコムからは,あのWizardryのIPを使ったクッキークリッカー「Eternal Crypt -Wizardry BC-」が。
この記事が掲載されるころには,報酬総額1700万円相当のCBTを開催中。確かに“宝石”とNFTは相性良さそうだ |
言うならば,Wizardryの世界観でクッキークリッカーをプレイするゲームなのだが,これほどまでにマッチするとは思わなかった |
國光氏のMint Townと真田氏のBLOCKSMITH&Co.からは,超有名IPを使った「キャプテン翼-RIVALS-」が。クルーズの子会社CROOZ Blockchain Labからは,YouTuberのヒカル氏とがっつり組んだ「PROJECT XENO」が。
ちょっと荒れたこともあったが,いまはかなり安定している。なんだかんだ言って長く続くことは重要で,そういう意味では「いい事例」になっていると思う |
ヒカル氏とのコラボみたいな派手な動きばかりが目立つが,今年スマホで成功したブロックチェーンゲームは,実質これだけでは? |
完全オリジナルIPだったり,有名IPを使ったものだったり,目立ったタイトルもちゃんと登場しているのだが,逆に言うならば,今年目立った作品はこれくらいしかない。死亡率が高い理由がゲームの面白さによるものだけでなく,経済が死んだら投機筋のユーザーが一斉にいなくなるので釣られてゲームが終わり,みたいなところも少なからずあって,ブロックチェーンゲーム独特の難しさを物語っている。
そうはいっても決して死に絶えたジャンルではなく,というかむしろ「これから」なわけで,いったんアクセルを緩めたように見えた業界が,またじわりと盛り上がりつつあったのが2023年の特徴だ。IVS2023やWebXなどを見ても,業界の人達の熱量がずいぶん高いのは,容易に感じ取れた。
2022年の秋ごろに「そうだ,今年の年末はブロックチェーンゲームの業界の人のコメント集も作ろう」と思い立ったときから考えると,業界関係者がフィルタリングされ始めていることを感じるのも2023年の特徴だと思う。語弊を承知で言うならば,いま業界に残っている人達は,真面目にブロックチェーンゲームに取り組んでいる人達,とでも言えばよいだろうか。
単なる短期的利益を求めたり,「話題の分野」だからちょっと首突っ込んでみたり,そういう理由で参入してきた人や会社※が,思ったよりも盛り上がっておらず,思ったより儲からないことに業を煮やして,業界から去っていった1年でもあった。流行り物が好きな会社が,途中で急上昇したトピックである「AI」にシフトしたという影響もあるかもしれない。
※なんだかこう書くと,短期的利益を求めたり話題の分野に首を突っ込んだりすることが,さも悪いことみたいな印象だが,もちろんそんなことはない。
前回も書いたが,ブロックチェーンというテクノロジーは,ゲーム業界が10年周期くらいで手に入れる新しい柱の1つであることは間違いないと思う。
1980年代のアーケードゲーム,1990年代のコンソールゲーム,2000年ころから始まるPCオンラインゲーム,2010年あたりから始まるスマホネイティブアプリ,そして2020年前後から始まる「ブロックチェーン」……。10年周期くらいで起こるパラダイムシフトが,ゲーム業界に少なからず影響を与えてきた。
ブロックチェーン(NFT),VR,メタバースという,ゲーム業界パワーワード御三家は(いまだとAIも入れてもよいかも?),2023年が終わるこのタイミングでも,どれもまだ普及段階には至っていないし,キャズムを越えられていない。
しかし,ブロックチェーンをテクノロジーとしてキチンと捉え,ゲームにマージされることで何が起こるのかを真摯に考えている人達が作る作品が,早く世に出てくることを願っている。大手メーカーの作品の噂も,ようやくここへきて具体的にチラホラ聞こえ出しているし,2024年こそ,ゲームとして楽しめる作品がいくつも登場するのだろう。
そんな期待を持った2023年末に,ブロックチェーンゲームの関係会社の方34名に参加いただき,中の人達がどう考えているのかを語ってもらうコメント集を再び作ることができた。
昨年スタートなのでまだ2回目だが,ブロックチェーンゲームに興味のない皆さんも「へー」と思いながらぜひお読みいただきたい。ブロックチェーンゲーム界隈の皆さんは,たぶん皆さんが思っているより,冷静にあれこれ考えているのだ。
「ブロックチェーンゲーム界隈」とひと言で言っても,そのエリアは思ったより広く,ゲーム開発会社だけでなく,ブロックチェーンアーキテクチャであったり,NFTプロジェクトであったり,DAOであったり,関係している組織や会社はさまざまだ。
今回は,その中から4Gamer編集部のチョイスで34社にご参加いただき,以下の質問をさせてもらった。
<質問1>
いま最も読者に知ってほしい自社のサービスは何ですか。それにはどのような魅力がありますか。
<質問2>
2023年のBCG業界で,最も興味を惹かれたニュースは何ですか。
<質問3>
この1年,BCG業界に変化を感じましたか。いまの業界における課題は何ですか。
<質問4>
現状,日本のWeb3政策をどう評価していますか。もっと政府にサポートしてほしい部分はありますか。
<質問5>
ゲームにブロックチェーンを導入する,最大のメリットは何だと考えていますか。
<質問6>
2024年に向けての抱負と,4Gamer読者に向けてのメッセージをお願いします。
4Gamerのコメント集のお約束だが,回答者の生の声を届けるため,編集作業を必要最低限に留めている。表記ブレなどはご容赦いただければ幸いだ。
最後に,年末の忙しい時期にも関わらず,本企画にご賛同,ご協力いただいた皆様に,この場を借りて厚く御礼申し上げます。ちょっと面倒くさい(答えづらい)質問にも,真摯にお答えいただき,本当にありがとうございました。うまくいけば来年もできそうなので,またよろしくお願いいたします。
また,今回ご参加いただけなかった(4Gamerがご連絡できていない)会社さんは,ぜひともご連絡ください!
回答者の一覧
(敬称略,社名のアルファベット/五十音順)
※名前をクリックすると,その人物の回答にジャンプします
■0x Consulting Group(旧LCA GAME GUILD)
細金恒希[Founder]
■BLOCKSMITH&Co.(KLabグループ)
真田哲弥[代表取締役社長]
■Brilliantcrypto(コロプラグループ)
馬場功淳[代表取締役社長]
■CCP Games
Hilmar Veigar Pétursson[CEO]
■Com2uS USA
Kyu Lee[Leader of XPLA & President]
■CRETA
中里英一郎[代表取締役]
■CROOZ Blockchain Lab
古瀬祥一[代表取締役社長]
■CryptoGames
小澤孝太[代表取締役社長]
■Digital Entertainment Asset
山田耕三[Founder & Co-CEO]
■double jump.tokyo
上野広伸[代表取締役 / CEO]
■enish
公文善之[取締役 プロダクト本部 本部長]
■EPIC LEAGUE
Jay Kim[Executive Director]
■Eureka Entertainment
辻 拓也[CEO]
■Gala
Jason “BitBender” Brink[President of Blockchain]
■GMOメディア
佐藤 真[取締役 コンテンツ事業本部 本部長]
■gumi
寺村 康[Head of Blockchain Business]
■Intella X(NEOWIZグループ)
Jose Ko[CEO]
■Kyuzan
髙橋卓巳[代表取締役]
■LOOTaDOG
亀澤 凌[グローバルストラテジー・マーケティングヘッド]
■MARBLEX(ネットマーブルグループ)
Jinpyo Hong[Head of Business]
■MCH
若尾俊仁[代表取締役]
■Mint Town(Thirdverseから分割)
國光宏尚[代表取締役 CEO]
■Oasys
松原 亮[Representative Director]
■Trys
佐藤竜史[プロデューサー]
■WEMADE
ヘンリー・チャン[CEO]
■グリー
村田卓優[Head of Business Development]
■コナミデジタルエンタテインメント
金友 健[web3事業部 部長]
■しおにく企画
しおにく(澤 紫臣)[代表]
■スクウェア・エニックス
畑 圭輔[ブロックチェーン・エンタテインメント事業部 事業部長]
■セガ
内海州史[代表取締役副社長 Co-COO]
■ドリコム
内藤裕紀[代表取締役社長]
■ネクソン
ファン ソンヨン[Executive Producer of MapleStory Universe]
■バイビット
イワマ タツヤ[ゲームプロデューサー]
■プラチナエッグ
竹村也哉[代表取締役]
- この記事のURL: