イベント
コーエーテクモ 襟川恵子会長が立ち上げた「えりかわ学資金」記者発表会を開催。シングルマザー家庭の支援を目的とする返済不要の給付型奨学金
[インタビュー]母子家庭の子女を対象とした「えりかわ学資金」に,コーエーテクモの襟川恵子会長が込めた想い―――「当支援金は返済する必要がないので,ぜひ多くの人に知ってほしいです」
日本有数のゲーム会社「コーエーテクモ」の創業者でありホールディングスの会長といえば襟川恵子氏だが,氏が先ごろ設立し,公益財団法人の認定を受けたのが「襟川教育財団」だ。中学生〜大学生が対象で,返済不要の学資金を援助してくれるこの財団は,どういう思いで作られたのだろうか。
冒頭,襟川教育財団の代表理事を務める襟川恵子氏は,シングルマザー家庭の年収が平均24万円であり,シングルファーザー家庭のそれと比較すると半額以下であることを説明した。とくに昨今,大学に入学するために子どもが学習塾に通うことはほぼ必須と言えるが,その費用をシングルマザー家庭が捻出するのは非常に困難な状況にある。
自身もシングルマザー家庭で育ち,美大を卒業している襟川氏は,シングルマザー家庭を支援するべく,えりかわ学資金を立ち上げたことが語られた。
神奈川県知事・黒岩祐治氏からメッセージも寄せられた。
同県ではシングルファーザー家庭とシングルマザー家庭支援制度の情報をSNSで発信したり,高等職業訓練促進給付金の支給や養育費の支援を行ったりするなど,当事者の視点に立った取り組みを行ってきたが,えりかわ学資金はそれらと共に新たな希望を子ども達に与えるものだと紹介された。同県としても,えりかわ学資金の周知に努めていくとしている。
続いて,襟川教育財団の評議員を務める襟川芽衣氏より,財団の概要が紹介された。それによると,2023年3月28日に設立され,2024年7月1日に公益財団法人に移行している。
厚生労働省の2021年度全国一人親世帯等調査によると,シングルマザー家庭は全国に約120万世帯あり,また前述のとおり平均年収がシングルファーザー家庭の半分以下となっている。
さらに文部科学省の学力テストのデータをもとにした都道府県別の中学生の通塾率ランキングによると,神奈川県は74.3%と全国トップである。そして通塾率の高い地域は,大学進学率が高いことも示された。
その一方で,中学生・高校生の学習塾(受験対策)費用は,集団指導塾で年間40〜70万円,個別指導塾で60〜80万円が相場と言われており,経済的に厳しいシングルマザー家庭では極めて重い負担となる。
そうした状況を踏まえ,えりかわ学資金は経済的に恵まれない子ども達が中学・高校・大学と,安心して勉学に励むことのできる環境を目的として設計されたことを説明した。
会場では,えりかわ学資金の第1期にあたる2025年度の育英生募集要項が紹介された。本稿の末尾にスライドを掲載するが,同財団の公式サイトには詳細が記されている。関心のある人は以下のリンクから確認してほしい。
大きなポイントとなるのは,同学資金が返済の必要ない給付型学資金であること,第1期育英生の募集人数が中学生・高校生・大学生それぞれ5名であること,そして応募対象は神奈川県内居住のシングルマザー家庭の子女であることだ。
なお,応募対象が神奈川県内である理由は,今回が初めての試みであるため,どれだけコストが必要になるのかが不明であり,まずは地元の神奈川県から始めるとのこと。今後,取り組みを続けていく中で,対象地域を広げる可能性があると言及していた。
襟川教育財団 公式サイト
- この記事のURL:
キーワード