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米労働委員会の民主党議員46名,サウジファンドによるElectronic Arts買収計画を巡りFTCに書簡を送付。厳格な審査を要請
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本取引は,総額550億ドル(約8兆1780億円)でEAを非公開化する内容で,2025年12月に実施された株主投票では大差で可決されている。今後は,対米外国投資委員会(CFIUS)による国家安全保障審査と,米連邦取引委員会(FTC)による独占禁止法上の審査を経る必要があり,条件を満たした場合,取引は2027年度第1四半期に完了する見通しだ。
噂どおりElectronic Artsの買収と株式非公開化が発表に。評価額は約8兆1780億円
米国時間2025年9月29日,Electronic Artsは,米国の投資会社であるSilver Lakeと,サウジアラビア政府系ファンドであるPIF,Affinity Partnersの3社からなるコンソーシアムによる買収を,取締役会が承認したと発表した。買収における評価額は,約550億ドル(約8兆1780億円)になる。
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- 編集部:小西利明
Electronic Artsの株主がサウジアラビア政府系ファンドによる買収案を圧倒的多数で承認。総額550億ドル,2027年度第1四半期の完了を予定
EAの株主は,サウジアラビアの政府系ファンドを中心とするコンソーシアムによる同社買収案を,圧倒的多数で承認した。取引総額は550億ドルにのぼり,買収は2027年度第1四半期の完了が見込まれている。現CEOのAndrew Wilson氏は続投で,買収後も創作の自由を維持すると強調。
こうしたなか,2026年1月22日,労働委員会に属する民主党議員46名は,FTC委員長のAndrew N. Ferguson氏宛てに連名書簡を提出し,本買収計画に対する慎重かつ厳格な審査を求めた。
当書簡では,労働者の権利保護の観点から,本取引に対する強い懸念が示されている。議員らは,本取引に約200億ドル規模の債務融資が含まれている点を指摘し,買収後にEAがコスト削減を目的として人員削減,業務の海外移転,スタジオ閉鎖といった措置を加速させる可能性があると警鐘を鳴らした。
データ集計サイト「Obsidian」の情報によれば,EAは2023年以降,米国内で1700人以上を削減しており,同期間におけるゲーム業界全体のレイオフ数は3万5000人を超えるという。書簡では,こうした動きが労働者にとって不利な雇用環境を生み出しているとの認識が示されている。
さらに,EAが米国ゲーム業界を代表する企業の一つでありながら,従業員の年収中位値が継続的に低下している点が問題視されている。EAの開示資料によると,2024年度の中位数年収は14万8400ドルだったが,2025年度には11万7300ドルへと大幅に減少した。
その一方で,CEOであるAndrew Wilson氏の株式報酬は,2024年度の2039万ドルから,2025年度には2541万ドルへと大幅に増加しているとのことだ。
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FTCが2023年に公表した企業結合ガイドラインでは,労働者の賃金を抑制し,雇用条件を悪化させる恐れのある合併と買収は,独占禁止法に抵触する可能性があると明記されている。議員らは,こうした状況を,企業側が十分な競争圧力にさらされていないことの表れだと捉えており,結果として,従業員の交渉力がさらに低下する恐れがあると主張している。
EAが業界内で持つ影響力と,現在の労働市場における優位的な立場を踏まえ,本取引について賃金決定への影響や,買収後のレイオフの可能性を含めた包括的な審査を行うよう求めている。
さらに,資本構造の観点から,コンソーシアムに参加するSilver Lakeについては,スポーツやギャンブル関連事業など幅広い分野に投資している点にも言及し,EAの事業との間で反競争的な協調行動や自己優遇が生じる可能性があると指摘した。労働市場の集中度や,交差持株の影響についても精査すべきだという。
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加えて,PIFのトップであるMohammed bin Salman皇太子がTrump政権と近い関係にあることや,Affinity PartnersがDonald Trump大統領の義理の息子であるJared Kushner氏の率いる企業である点にも触れ,政治的影響力が本取引を後押ししている可能性を示唆した。
サウジ資本による大型買収として注目を集めるEAの非公開化計画は,今後,FTCおよびCFIUSの判断によって大きく左右されることになる。引き続き,労働市場への影響を含めた規当局の判断に注目したい。
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