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AMD自慢のCPUクーラー「Wraith Cooler」を試す。冷却能力と静音性は確かに高い
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印刷2016/02/04 12:00

テストレポート

AMD自慢のCPUクーラー「Wraith Cooler」を試す。冷却能力と静音性は確かに高い

FX-8370の製品ボックス。「AMD FX PROCESSOR」と同じフォントサイズで「WRAITH COOLER」と書いてあり,けっこう目立つ
画像集 No.002のサムネイル画像 / AMD自慢のCPUクーラー「Wraith Cooler」を試す。冷却能力と静音性は確かに高い
 2016年1月のCES 2016でAMDが披露したWraith Cooler」(レイスクーラー)の市場投入がいよいよ始まる。
 現状,Wraith Coolerが付属するのは「FX-8370」だけだが(関連記事),これが現行製品で終わる話というのは考えづらい。当然,次世代CPUマイクロアーキテクチャ「Zen」を採用するプロセッサも,視野には入っているだろう。

 「霊」(wraith)の名を冠するこのWraith Coolerについて,AMDは「従来のものに比べてより静かでより冷える」と,静音性と冷却性能の高さをアピールしている。では,実際にこれまでのCPU/APUクーラーとはどれくらいの違いがあるのだろうか。今回は従来型CPU/APUクーラーの代表として,「A10-7870K」に付属するリテールクーラーと比較することで,Wraith Coolerの実力を探ってみたい。


サイズが大きくなったWraith Cooler。当面は「FX専用」か


画像集 No.003のサムネイル画像 / AMD自慢のCPUクーラー「Wraith Cooler」を試す。冷却能力と静音性は確かに高い
 まずはWraith Coolerの構造を確認しておきたいと思うが,「CPUに密接する銅製枕から,6mm径のヒートパイプ4本が,直上の放熱フィンに伸びる」という構造自体はA10-7870Kの付属クーラーと変わらない。放熱フィンの上部にあるファンのエアフローで冷却を行う,いわゆるトップフロー型である点も同じだ。

4本のヒートパイプが走る,なかなかコストのかかった作り
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 ただ,そのサイズは明らかに異なる。
 Wraith Coolerにおける(ファンを除いた)ヒートシンク部のサイズは,ヒートパイプの出っ張り込みで実測約104(W)×120(D)×60(H)mm。90mm角のファンを含めた高さは82mmとなる。A10-7870Kのリテールクーラーだと,ヒートパイプおよび60mm角ファンを含めたサイズが92(W)×95(D)×60mmなので,体積比だとざっくり4割増しということになる。
 つまり,Wraith Coolerは,クーラー自体を従来比で大きくして,さらにファンも大口径化し,冷却能力と静音性の向上を狙ったものだとまとめることができる。

マザーボードに取り付けた状態でA10-7870Kのリテールクーラーと比較。どちらがどうだと説明する必要もないくらい,Wraith Coolerは大きい
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こちらは2つ並べて底面側から撮影したカット
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GA-F2A88XN-WIFIに無理矢理取り付けようとしたらこの有様。絶対にマネしないよう警告しておきたい
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 ただし,サイズが大きくなった都合上,装着できないマザーボードがある点は心に留めておきたい。たとえば,GIGA-BYTE TECHNOLOGY製のmini-ITXマザーボード「GA-F2A88XN-WIFI」では,Wraith Coolerを装着するとメモリスロットに干渉し,2本あるスロットのうち1本しか利用できなくなった。だからこそAMDは,APU用として,Wraith Coolerとは別に「95W Quiet Thermal Solution」を用意したのだろう。
 今後,Wraith Coolerと95W Quiet Thermal Solutionをどう棲み分けるのか,AMDは明言していないが,少なくとも現時点では,AMD FXプロセッサ専用クーラーということになりそうである。


CPU温度はA10-7870Kのリテールクーラーから10℃低下。動作音も確かに低い


 ということで,実際にテストで比較してみよう。
 テスト環境はに示したとおり。CPUには,Wraith Coolerが付属するFX-8370を用いている。テストにあたっては,24℃の室内で,PCケースへ組み込まない,いわゆるバラック状態で机上に置き,OS起動後30分間放置した時点を「アイドル時」,「3DMark」(Version 1.5.915)の「Fire Strike」から,「Physics test」のみ30分間実行し続けた時点を「3DMark時」とした。そして,各時点におけるCPU温度を,MSIのオーバークロック&モニタリングツールである「MSI Command Center」(Version 1.0.108)で取得する。

画像集 No.010のサムネイル画像 / AMD自慢のCPUクーラー「Wraith Cooler」を試す。冷却能力と静音性は確かに高い

 その結果はグラフ1のとおり。スペースの都合上,グラフ中のみ,A10-7870K付属クーラーは「7870K Cooler」と表記したが,アイドル時は25℃で揃う一方,3DMark時はA10-7870Kのリテールクーラーが66℃に対して,Wraith Coolerは56℃と,10℃も低いスコアを示している。冷却性能は確実に向上したと述べてよいだろう。

画像集 No.011のサムネイル画像 / AMD自慢のCPUクーラー「Wraith Cooler」を試す。冷却能力と静音性は確かに高い

 また,各時点におけるファンの回転数をMSI Command Centerから取得したものがグラフ2となる。Wraith Coolerは,A10-7870Kのリテールクーラーから回転数がかなり低くなっていることが分かる。
画像集 No.012のサムネイル画像 / AMD自慢のCPUクーラー「Wraith Cooler」を試す。冷却能力と静音性は確かに高い

 その動作音も確認しておきたい。下に示したムービーは,A10-7870KのリテールクーラーとWraith Coolerのそれぞれで,3DMarkのFire Strikeから,Physics testを実行してそれをオリンパス製デジタルカメラ「OM-D E-M5 Mark II」から録画し,最も回転数が大きくなったところをそれぞれ約20秒ずつ切り出し,つなぎあせたものだ。
 前半がA10-7870Kのリテールクーラー,後半がWraith Coolerのそれぞれの様子を映し出しているが,その違いは一目(一聴?)瞭然である。



冷却性能と静音性はともに申し分なし。Zen世代でソケット周辺はどうなる?


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 Wraith Coolerは,サイズを大きくすることで冷却性能を高め,ファンを大口径低回転のものに変更することで静音性を向上させたものである。サイズが大きくなったことで,APU用マザーボードに流用できる可能性は下がったが,AMD FX搭載のデスクトップPCで,それが問題になることはないだろう。Zen世代でプラットフォームがAM4で揃ったとき,Wraith Coolerと95W Quiet Thermal SolutionをAMDがどう使い分けるのか,ソケットの周囲に楽しみな要素が出てきたともいえるが,いずれにせよ,Wraith Coolerは,AMDの謳い文句どおりの実力を発揮できているとまとめておきたい。

AMD公式Webサイト

  • 関連タイトル:

    AMD FX(Vishera)

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