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本能バースト演劇「sweet pool」ゲネプロレポート。刺激的かつ切ない場面たっぷりの舞台,注目ポイントは?

 Nitro+CHiRALより,2008年12月19日に発売されたBLアドベンチャーゲーム「sweet pool」。その舞台化作品となる本能バースト演劇「sweet pool」が,2022年3月12日から3月21日まで天王洲 銀河劇場にて上演されている。

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本能バースト演劇「sweet pool」公式サイト


 舞台は,現代の東京都にある学校。主人公・崎山蓉司の身体に起こるとある異変をキッカケに,狂気に蝕まれていく登場人物たちの姿を,切なくも刺激的に描いていく。公演回は「通常公演」「エクストラver.睦」「エクストラver.善弥」の全3種類あり,それぞれで異なる展開が楽しめる。

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 本稿では,開幕に先駆け3月10日に行われたメディア向けゲネプロ公演での“通常公演”の模様をお届けしよう。なお,舞台のネタバレとなる写真や文章が含まれるため,これから観劇する人はご注意を。

■公演情報
〈公演日時〉
2022年3月12日(土)〜3月21日(月・祝)
〈会場〉
天王洲 銀河劇場

〈出演者〉※敬称略
崎山蓉司役:櫻井圭登
城沼哲雄役:砂川脩弥
三田 睦役:杉江大志
翁長善弥役:宇野結也
姫谷浩平役:福地教光
芹沢枝里香役:永田紗茅
翁長邦仁役:若杉宏二
上屋武彦役:村田 充

〈スタッフ〉
原作:Nitro+CHiRAL
演出:中屋敷法仁
脚本:内田裕基
主催:本能バースト演劇「sweet pool」製作委員会

■チケット情報
・ローソンチケット
https://l-tike.com/sweetpool/(Lコード:31099)

・銀河劇場チケットセンター
https://www.gingeki.jp/ (PC&スマートフォン)
TEL:03-5769-0011(平日:10:00〜18:00)

※全カーテンコール撮影会ほか,お楽しみ企画あり。詳しくは公式サイトをチェック!

Twitter:https://twitter.com/sweetpool_stage
公式サイト:https://www.gorch-brothers.jp/sweetpool_stage


 幕が開けると,中央にたたずむ主人公・崎山蓉司の姿が。そして彼を囲むようにほかの登場人物たちが集まり,謎の声が響くなかで,妖しくもアーティスティックなダンスで魅せていく。

 次に原作ゲームのOP曲「I'm in blue」が流れ,場面は舞台となる学校へと変わり物語が動き出す。
 東京都管見区・私立駒波学園に通う蓉司は,体調の理由から1年留年していたが,久しぶりに登校することに。しかし復帰したその日をきっかけにして,自らの身体と周囲の人物たちに少しずつ変化が起こっていく,というのが物語のあらすじだ。

画像集#005のサムネイル/本能バースト演劇「sweet pool」ゲネプロレポート。刺激的かつ切ない場面たっぷりの舞台,注目ポイントは?
本公演のステージは,立体的な仕様で階段と上段にあるフェンスが印象的。劇中の音楽は,OP曲「I'm in blue」含めて原作ゲームのものを使用しており,原作ゲームをプレイ済みの人には懐かしくもあってかなりうれしいポイントであった。筆者もしばらく鳥肌と涙目が止まらなかった!
画像集#002のサムネイル/本能バースト演劇「sweet pool」ゲネプロレポート。刺激的かつ切ない場面たっぷりの舞台,注目ポイントは?
序盤の学園の場面をはじめとした物語の随所には,蓉司のクラスの担任・上屋武彦が舞台の上段に現れて,語り部的な位置でキャラクターや学園の説明をしてくれた。原作を知らない人にはありがたい仕様かもしれない。ただの先生かと思わせておいての,後半での怪しい動きにも注目だ
画像集#012のサムネイル/本能バースト演劇「sweet pool」ゲネプロレポート。刺激的かつ切ない場面たっぷりの舞台,注目ポイントは?

 蓉司が学園に久しぶりに登校すると,続々と主要キャラクターがお目見えする。アイスを食べながらも明るく挨拶を交わしてくれる三田 睦,何を考えているのか全く読めない真っ直ぐな眼差しを向けてくる城沼哲雄,校門の門をガチャガチャしながら「出られなーい!」と声を上げる翁長善弥。どの登場シーンも原作ゲームのスチルが思い浮かぶような,プレイした思い出が蘇るほどの素晴らしい再現度であった。

校内で変わり者と噂されている善弥。彼に絡まれてしまった蓉司は,缶を手に「鉄の味しかしないんだよね」と言いながら傷ついた舌を見せられる。ゲームの序盤で善弥の狂気に震え上がったシーンだが,舞台でもしっかりと恐ろしさを感じられた。い,痛々しい!
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かなり寡黙な同級生の哲雄とは,当番で一緒にゴミ出しに行く場面で初めて会話をする。そのときに急に首に触れられて……。哲雄と近づくたびに,優しさや落ち着きを感じる蓉司……それはなぜだろうか
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 原作がBL18禁ゲームということで,艶っぽいシーンも登場する。その1つが,舞台で再現できるとは想像もしなかったお風呂のシーン。哲雄に首を触れられたことを思い出した蓉司は……「見てはいけないものを見てしまった!!」と,ドキドキさせられてしまった。

蓉司の部屋の水槽や肉塊など,舞台の随所ではプロジェクションマッピングを使用。光の効果でお湯の色が赤く染まって,血の広まりを再現している
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 物語が進むと,蓉司の身体から“肉塊”が産まれたり,奇妙な苦痛と生々しい悪夢を見たりといった異変が表れる。そんな蓉司に善弥は,「お前,人間じゃないんだよ」と何かを知っているかのように声をかけ,謎の部屋に哲雄と一緒に閉じ込める。ここでの刺激的な場面にドキッとさせられつつも,蓉司を演じる櫻井圭登さんの儚げな雰囲気,今まで見たことのない体当たりの演技に息を飲んだ。

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発作に悩む蓉司にとっても,舞台を観ている側にとっても,睦は本舞台の癒やしの存在だなと思っていたら……。哲雄と善弥との関わりが増えていくほどに,秘められた嫉妬心をあらわにしていく。緩めな笑顔を浮かべていた彼が見せる,狂気的な表情にゾクゾク
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もしかしたら睦よりも本公演の癒やし要員かもしれない,善弥の面倒を見る姫谷浩平(写真左)。見た目は強面だが,エプロン姿で善弥に料理を振る舞ったり,“どシリアス”な終盤で肩にクリスティーちゃん(善弥のペットのイグアナ)を乗せて走ったりと,かわいらしかった
画像集#001のサムネイル/本能バースト演劇「sweet pool」ゲネプロレポート。刺激的かつ切ない場面たっぷりの舞台,注目ポイントは?

 舞台中盤以降では,周囲や蓉司の身体の症状に不穏な空気を感じつつも,哲雄の家に訪れる場面もあり,2人の距離が近づく姿が描かれていく。不器用な2人が触れあっていき,少しだけ理解しあう。それを経てからの通常公演の終盤,哲雄と歩む運命の行く末は切なくて仕方がないのひと言! 屋上に佇む2人の交わす言葉,後ろ姿の美しさは必見だと思う。

終盤は,自身の秘密と善弥たちと決着をつけるために学園へ向かう。壮絶なやりとりを経ての哲雄と屋上で過ごす,束の間の静かな時間……彼がなぜ蓉司を目で追っていたのかを語って,純粋に今はお前といたいと告げてくれる。本当にもう,2人には幸せになってほしいと願うばかりだ。この必見のシーンは,ぜひ自身の目で確かめてもらいたい
画像集#009のサムネイル/本能バースト演劇「sweet pool」ゲネプロレポート。刺激的かつ切ない場面たっぷりの舞台,注目ポイントは?

 終演後は,ゲネプロながらも本番と同じく,カーテンコール撮影会の時間もあった。本編は基本的にシリアスなので,なかなか見られない和やかな笑顔を見せてくれるキャスト陣にほっこり♪ エンディング曲(原作ゲームED曲のうちの1つ)に乗せて優雅にパフォーマンスしてくれた。

 難解な設定と,物語の進行に外せない官能的なシーンが満載の「sweet pool」。最初はこの作品をどうやって舞台にするのかと思っていたが,キャスト陣の迫真の演技と,演出でうまい具合に再現しきっていて驚いた(これは入れてほしいというシーンは全て詰まっていたかのように感じる)。

 とくに主演の櫻井さんは,「こんなに見せてしまっていいのか!?」と思うぐらいに大胆で艶めかしい演技を存分に披露されていて,とにかく衝撃的だった。また,ゲームをプレイ済みの筆者は,「より刺激的な展開になるであろう」「これこそ舞台ではできなさそう」と思っている「エクストラver.睦」「エクストラver.善弥」の公演も観てみたい気持ちが強まった。

 本公演は現在,チケットが発売中でライブ配信+ディレイ配信も予定しているので,気になっている人は今すぐチェックしてもらいたい。

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