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フランスパンの芹沢鴨音氏インタビュー。「UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late[cl-r]」のゲーム全体の調整やアーケード展開について聞いた
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印刷2020/01/30 12:00

インタビュー

フランスパンの芹沢鴨音氏インタビュー。「UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late[cl-r]」のゲーム全体の調整やアーケード展開について聞いた

 2020年1月24日から26日にかけて開催された格闘ゲームイベント「EVO Japan 2020」。会場となった幕張メッセの企業ブースにて,フランスパンで開発を務める芹沢鴨音氏にインタビューする機会を得た。2月20日に発売となる「UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late[cl-r]」PS4 / Nintendo Switch)のゲーム全体の調整やアーケード展開を始め,プレイヤーが気になっている質問をぶつけてきたので,ぜひ読み進めてほしい。

フランスパンの芹沢鴨音氏。「UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late[cl-r]」には,ディレクターとバトルディレクター,バトルプランナーとして携わっている
画像集#002のサムネイル/フランスパンの芹沢鴨音氏インタビュー。「UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late[cl-r]」のゲーム全体の調整やアーケード展開について聞いた
4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。はじめに本作の開発における立ち位置を聞かせてください。

芹沢鴨音氏(以下,鴨音氏):
 フランスパンの芹沢鴨音です。本作では,バトルプランナーとバトルディレクター,ディレクターを兼任していて,ゲームの制作進行やバトル部分の方針決めを行っています。

4Gamer:
 2月20日の発売まで1か月を切りました。現在の開発状況はどの程度進んでいるのでしょうか。

鴨音氏:
 正直に言ってしまうともう100%できています。EVO Japan 2020で試遊してもらっていますが,これと同じものが出てくると思ってもらって大丈夫です。

4Gamer:
 「UNDER NIGHT IN-BIRTH」シリーズは,前作の家庭用が発売されたのが2017年7月と少し時間が空きました。本作の開発が決まった経緯を聞かせてください。

鴨音氏:
 前作「UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late[st]」は,発売から時間が経っており,DLCがいろいろと出ているんです。新しく本シリーズに興味を持ってくれた人が,いざ購入するときにどれを買えばいいのか分からないと困りますよね。ですので,スタートするのにピッタシな完全版にあたる作品を出したいと思ったんです。
 また,大前提として今すごく勢いがあるNintendo Switchで出したいという気持ちも強くありました。

4Gamer:
 開発が決まったのはいつ頃のことでしょうか。

鴨音氏:
 EVO2019のメイン種目に決まって,国内外で大きな盛り上がりを見せていたころだったと思います。そもそも開発自体はずっと続いていて,タイミングやきっかけがあれば出したいとは常々思っていました。

4Gamer:
 Nintendo Switchで出したい気持ちが強かったとのことですが,最近は格闘ゲーマーの間でもSwitch版がお手軽に遊べて流行していますよね。

鴨音氏:
 そうなんですよ。もっとも勢いがあるハードだと自分は思っていて,カジュアルにゲームを遊ぶ人にも普及していますよね。PS4ユーザーとは少しユーザー層が異なるので,そういった方にもリーチできればと考えています。

4Gamer:
 「UNI cl-r」は現状,PS4とSwitchで発売が予定されています。元々はアーケードのシリーズですが,そちらでの展開予定はありますか。

鴨音氏:
 少なくとも自分の目が黒いうちは,“アーケード版がない”ということは絶対にありえないと思ってください(笑)。今の盛り上がりがあるのはアーケードでの盛り上がりがあったからで,恩返しをしたいという気持ちは常にあります。時期やプラットフォームを考えている段階なので続報に期待していてください。

4Gamer:
 本作には新要素のほか,さまざまな調整が施されています。これらについて聞かせてください。

鴨音氏:
 バトル部分の新要素はロンドレキアの追加くらいで,基本的にはブラッシュアップが中心です。新必殺技を追加し,各キャラのアクションを全体的に見直しました。新システムの追加はないので,前作を遊んでいた人であればすんなりと移行できるとは思います。

画像集#003のサムネイル/フランスパンの芹沢鴨音氏インタビュー。「UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late[cl-r]」のゲーム全体の調整やアーケード展開について聞いた

4Gamer:
 ギャラリーモードの内容もかなり追加されているとのことですが。

鴨音氏:
 開発資料をありったけ詰め込みました。立ち上げの際に作った企画書なんかも入っているので,シリーズのファンであれば喜んでくれるんじゃないかなと思っています。キャラクターの初期設定も見られるので,今との違いも楽しめますよ。

画像集#004のサムネイル/フランスパンの芹沢鴨音氏インタビュー。「UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late[cl-r]」のゲーム全体の調整やアーケード展開について聞いた

4Gamer:
 公開されている製品紹介トレイラーで,「より遊びやすくなったネットワーク対戦」と紹介されていましたが,こちらは何が変わったのでしょうか。

鴨音氏:
 ネット対戦はまずランクマッチがこれまでの1セット先取から2セット先取ルールに変わりました。ほかの格闘ゲームがそうですが,現在の主流が「2先」ですし,要望も非常に多かったんですね。そのほか,これまでになかったプレイヤーマッチ中のトレーニングモード待ち受けを追加しました。

4Gamer:
 ネット対戦モード以外のゲームモードはいかがでしょうか。

鴨音氏:
 評判の良かったミッションモードに新しい連続技が増えています。

4Gamer:
 新しく追加された必殺技などが組み込まれたものになるのでしょうか。

鴨音氏:
 実はあえて入れていません(笑)。新しい技の使い道はプレイヤーに考えてほしいんですよ。今回追加されたミッションモードの連続技は,これまでプレイヤーの間で使われてきた実戦的な連続技で,対戦で使うものしか入っていないと思います。初級中級上級とステップアップしていく形で用意しているので,今から始める人でも,少しずつ練習していけるようになっています。

4Gamer:
 バトルバランスの調整の方針についても聞かせてください。

鴨音氏:
 調整でよく見られる「強いキャラを落として,弱いキャラを上げる」というのはあるんですが,前提として戦いの幅を広げるようにしています。1つ具体的な例を挙げると,特定の組み合わせで大幅に不利がついてしまうことってよくあるじゃないですか。そういった組み合わせに対して,その部分が緩和されるような調整を入れていますね。
 ただし,当然すべての厳しい組み合わせが解消されたわけではないので,そこはプレイヤーにがんばってほしいですね。

画像集#005のサムネイル/フランスパンの芹沢鴨音氏インタビュー。「UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late[cl-r]」のゲーム全体の調整やアーケード展開について聞いた

4Gamer:
 本作は有料アップデートがロンドレキアやギャラリーモードの内容追加となっていて,バトルバランスの調整は無料で行われます。なぜこちらも有料アップデートに含まなかったのでしょうか。

鴨音氏:
 個人的な意見ですが,バトルバランスのアップデートは無料でやるべきだと思っています。もちろん,儲けがないので会社的によくはないんですが……。ただ,本シリーズが盛り上がっている今,これまで遊び続けていた人には継続して遊んでほしいし,昔やっていた人にも復帰してほしいという気持ちが強くあります。盛り上がってるから稼ぐぞーといった気持ちではなく,ただただプレイヤーの数を増やしたいんです。

 補足になるんですが,バトルバランスのアップデートはPS4版をお持ちの方のみが対象になります。PS3とVita版をお持ちの方に向けては,割引価格で購入できるキャンペーンがあるので,そちらを利用してもらえればと思います。
 また,ロンドレキアで遊びたかったり,資料も楽しみたいという人はぜひDLCを購入していただければと思います。さらにパッケージ版には,さまざまな店舗別特典が付属されるので,ファンの方は気になったものがあれば購入してほしいですね。たくさん売れれば次につながると思いますので(笑)。

4Gamer:
 本シリーズは2012年にアーケードで登場した作品です。長寿タイトルの1つでさらに最近はプレイヤーも増えてきています。開発としてこうなることを予想していましたか。

鴨音氏:
 正直に言うと,していませんでした。本シリーズはアーケード生まれでゲーセンゲーマーがずっと遊んでくれていました。そうなるとアーケードのコア勢向けに調整を施していくことになるわけで,ライト層がそんなに遊んでくれるとは思ってもいませんでしたし,好きな人がより楽しめるものを作っていこうと考えていました。自分もこのゲームが大好きなので,みんなと一緒に遊んでいきたいと思っていたんです。

 ただ,最近出ている格闘ゲームを見るとカジュアル向けに調整されているものが多く,コアなゲームがすごく減っていますよね。これって大きな企業からすると当たり前のことで,新規プレイヤーを増やすためには仕方がないことなんです。そんな状況の中で本シリーズはコアな路線を突き進んだわけで,格闘ゲームをある程度やりこんでいるようなコア層にフックしたのかもしれません。

4Gamer:
 コア層に向けたゲームとおっしゃりましたが,触った時のプレイフィールはすごくいいですよね。自分もいろいろな格闘ゲームを遊んできたのですが,ファーストインプレッションの触り心地がすばらしかったことを覚えています。

鴨音氏:
 ほかの格闘ゲームと比べるとレスポンスはかなり早いんじゃないでしょうか。描画は多少犠牲にしているんですが,入力遅延と描画遅延を限界まで減らしています。自分も格闘ゲームが大好きでいろいろな作品を遊んでいるんですが,レスポンスが悪いゲームはそれだけでモヤっとしてしまうので。少なくともゲームセンターやオフライン対戦であれば快適に遊べるようになっていると思います。

4Gamer:
 日本では現在,eスポーツが大きな盛り上がりを見せています。プレイヤーの目標になる大会やeスポーツ展開は考えていますか。

鴨音氏:
 自分たちはとにかくいいゲームを作ることに注力して,盛り上げはアークさんにお任せしています。今年もアークさん主催のワールドツアーが開催されるとのことで,うまいこと組み込んでもらえないかな〜って(笑)。
 また,自分は本作はeスポーツとは少し違うんじゃなかなって思っています。eスポーツであれば万人が楽しめる,観ていて分かりやすい,といったゲームにするべきだと思うんですが,本作がヒットした要因はたぶん真逆なんですよね。もちろん,いろいろな人に遊んでもらうのは大事なんですが,自分はこれまでずっと遊び続けてくれた人のことを一番に考えてゲームを作っていきたいんです。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。最後に発売を楽しみにしているファンやプレイヤー,読者に向けてメッセージがあればよろしくお願いします。

鴨音氏:
 ここまでで全部言ってしまった気もしますが(笑)。「UNI cl-r」は2月20日発売となります。これまで本シリーズを盛り上げてくれてきた人に少しでも恩返しをしたいと思い,制作したタイトルですが,新規で始める人にとっても絶好のタイミングになっています。ぜひみなさん楽しく遊んでください。

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「UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late[cl-r]」公式サイト

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