その選択肢方式(コマンド選択方式)の登場以前は,プレイヤーがキーボードでコマンドを入力する方式が主流だった。不朽の名作「ポートピア連続殺人事件」(PC版)がその1つで,「キキコミ シロ」「ツクエ シラベロ」といった文字列を入力して捜査を進めるスタイルとなっていたのだ。
ただ,その入力単語を,開発者が登録した“正解”と一致させる必要があったため,本筋の謎解き以上に“言葉探し”に翻弄させられる難しさがあった。その解決方法として,あらかじめコマンドを表示させる選択肢方式が登場したのだ。
ヤスに命令を聞いてもらうため,必死で言葉を考えていた日から数十年。そのもどかしさを技術の力で解消する作品群が増えつつある。キーボードで自由にテキストを入力して,キャラクターと自然な言葉で会話をし,自らの推理を言語化して謎解きに挑めるフリーワード&対話型アドベンチャーゲームだ。
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フリーワード入力を支える技術として真っ先に挙がるのはAIを活用した自然言語処理だが,それも含めて,会話やゲームの完成度がいかほどなのか気にならないだろうか。入力のシビアさはどれほど解消されているのか,キャラクターとの自然な会話は本当に成立しているのか……。編集部でピックアップした5タイトルをプレイし,フリーワード&対話型アドベンチャーゲームの現在地を探ってみた。
目次
自称恋人の正体を推理せよ
Inverted Angel
この作品で泣かない人,いる……?
ハイマー2000
AIに罪を認めさせた先に待つのは……?
ドキドキAI尋問ゲーム 完全版
AIの嘘を見抜けるか?
Uncover the Smoking Gun
自分の言葉で紡ぐ,人間とアイリスの物語
_turing
まとめ
フリーワード&対話型アドベンチャーの現在地を考える
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自称恋人の正体を推理せよ
「Inverted Angel」
プラットフォーム:PC配信:2024年7月5日
価格:800円(税込)
ゆめかわなビジュアルに騙されてはならない。「Inverted Angel」で描かれるのは,哲学的でいて倫理観を揺さぶる硬派なサスペンス。本作は,インターフォン越しに現れた“自称恋人”の正体を,フリーワードのテキスト入力で暴いていく推理アドベンチャーだ。
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美少女×AI×フリーワードの組み合わせとなると,少女との自由な会話を楽しんだり,思いのままにシナリオを生成したりするゲームを想像するかもしれないが,「Inverted Angel」で入力するのは“プレイヤー自身の推理”である。
テキストアドベンチャーといえば,シナリオの合間にルート分岐を左右する選択肢が表示されるのが一般的だが,本作ではフリーワードで入力された推理によってその後の展開が変化していく。
といっても,あくまで入力内容と正答パターンの類似度を自然言語処理によって判定するものなので,あらかじめ用意された選択肢をフリーワードによって探りあてる推理ゲームを想像してもらうといいだろう。
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本作のストアページには,入力した推理を「大体のニュアンス」で判定すると明記されており,実際にテキストの判定は大らかな印象だ。例えば,少女と主人公の関係性を問われるシーンで「幼馴染」と入力すると,「過去に親しかった誰か」という選択肢に変換される。多少表現が違っていても,ゲーム側で軌道修正してくれる仕様だ。
文章全体ではなく単語からニュアンスを読み取る傾向があるようで,「ストーカーから逃げてきた人」と入力すると「(彼女が)見ず知らずのストーカー」であるという判定になっていた。そもそも正答パターンにない+正解に寄せる仕様の両方が働いている結果なので,これは仕方がないところかもしれない。
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選択肢方式登場以前のコマンド入力方式アドベンチャーゲームは,プレイヤーが考えた言葉でゲームに介入できる利点がある反面,開発者が設定した答を一字一句違わず入力しなければならないシビアさがあり,それがゲームの難度を上げてしまっていた。
その点,大体のニュアンスを汲み取る本作のシステムはそのデメリットをうまく解消しており,プレイヤーの言葉で推理する体験を無理なく成立させているように思う。
「もし,推理アドベンチャーから選択肢が消えたら」を体験するのにぴったりな一作なので,ミステリー好きならぜひ手に取ってほしい。可視化された選択肢から消去法で推理をする,選択肢の内容でその後の展開を読むといった“ズル”が効かないハードモードな推理劇は,なかなか手ごわいですぞ!
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この作品で泣かない人,いる……?
「ハイマー2000」
プラットフォーム:PC / PS5 / PS4 / Switch配信:2025年11月13日
価格:PC版は580円,PS5 / PS4版は550円(価格はいずれも税込)
最初にこれだけは伝えたい。
「ハイマー2000」は人工知能との会話を楽しむためのゲームではない。フリーワード入力に対応しているものの,AIとの会話を疑似的に体験できるにとどまっている。しかも,会話の相手は壊れかけの人工知能で,会話の自由度も低い。
こう書くと,「なーんだ」と,肩透かしを食らった人もいるかもしれない。
だが,ハイマーはそれでいい。そうでなければ,どうしようもなく愛おしく,泣けてしかたがないこの物語は成立しない。
「ハイマー2000」がフリーワード入力によって形にしたのは,人工知能との論破合戦でも,難解な謎解きでもない。“プレイヤーの手で記憶を紐解くインタラクティブノベル”の世界だ。
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プレイヤーは回収員のフランクとなり,課せられた任務のため「希望の家」と呼ばれる施設へと足を踏み入れる。かつて多くの人々が暮らしていたはずのその場所は,いまや荒廃し最後の日を迎えようとしていた。そこで彼を待っていたのが施設の管理コンピュータであるハイマー2000である。
フランクの目的は,このコンピュータの心臓部である人格モジュールを回収することだ。それを完遂するにはハイマーの記憶部にアクセスし,データの修復をしてやらなければならない。
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冒頭でも述べたように,ハイマーとの会話は自由度があまり高くない。フリーワード入力によってアレコレ尋ねられるものの,返ってくるのはあらかじめ設定された定型テキストだ。一問一答が基本であり,1つの文章に2つの質問を混ぜると,どちらかの内容が無視されてしまう。
いたずら心で入力した「3階のダァ開けて」なんていう誤字まみれの命令でも意図を汲み取る柔軟性は見せてくれるが,「いい天気ですね」といった雑談にはテンプレートコメントの「最低負荷でしか動作できません」と塩対応。「この施設ってなに?」「バートって誰?」といった施設に関わる質問にはポツリポツリと答えてくれる程度だ。まぁ,朽ちかけのコンピュータだからね。
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これまた正直に書いてしまうと,回収員としてこなすべき任務は淡々とした作業の連続だ。施設を探索し,データを修復して,新しいロケーションに向かっては気になるワードをひたすら検索する。これを事務的に繰り返す。
はじめのうちはこの行動の意義が理解できなかった。何をさせられているんだろう,ぐらいに思っていた。しかし,検索によって復元されるログデータが,かつて希望の家で暮らしていた子供たちとハイマーのかけがえのない“思い出”であることに気づいたとき,思わず指先が震えた。
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断片的なテキストを読み進め,彼らがなぜそこに暮らしていたのか,ハイマーが何を守ろうとしていたのかを知るにつれ,視界はどんどん歪んでいく。メインストーリーの行間が埋まるにつれ複雑な感情が生まれ,胸をぎゅっと締め付けられる。
ハイマーと最後の瞬間を迎えたときは,こらえきれずに泣いた。ゲームの中の出来事なのに,大切な何かを失ったかのような喪失感に苛まれてすらいた。
本作がインタラクティブノベルと呼ばれる所以はここにある。自由入力によって記憶の断片をサルベージする行為は,いわばゲームに介入する能動的なアクションだ。物語の行間を自主的に埋めていく行為は,目の前の事象を自分ごとへと昇華させ,“変えられない過去”をより鮮烈に脳裏に焼きつけていく。
受動的にテキストを読むだけでは得られない,ゲームだからこその体験が「ハイマー2000」にはある。希望の家を訪れるなら片手にはハンカチ……いや,バスタオルを用意しよう。
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AIに罪を認めさせた先に待つのは……?
「ドキドキAI尋問ゲーム 完全版」
プラットフォーム:PC配信:2024年5月26日
価格:389円(税込)
作品名から察しがつくと思うが,「ドキドキAI尋問ゲーム」はプレイヤーが有能な警察官となり,殺人事件の容疑者であるAIを尋問するゲームだ。
完全版って何? という人向けに説明しておくと,オリジナルの「ドキドキAI尋問ゲーム」は2023年3月に公開されたものの,アクセス過多によりわずか3日で公開中止になった。
その後,グラフィックスのブラッシュアップとハードモードの追加などによって,新たに完全版となってリリースされたのが本作というわけだ。オリジナル版までさかのぼれば,生成AIブームの早い段階で対話型AI「ChatGPT」をゲームに取り入れた先駆者的な作品でもある。
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ChatGPTを活用した本作は,プレイヤーがテキスト入力によって相手を尋問すると,容疑者であるAIの反応がリアルタイムで生成される仕組みを採用している。尋問役と容疑者役のロールプレイを楽しむゲーム,と思ってもらえばいいだろう。
尋問にあたって与えられるのは,「帰宅途中のバーテンダーの女性が殺害された。頭には殴られた痕跡があり,容疑者は常連客のAI」という限られた情報のみ。証拠品もなければ,現場検証の資料もない。
ではどうやってAIに罪を認めさせるのか? 答えは簡単。ない証拠は想像力とハッタリで作り出せばいい。汚職警官スレスレの高圧的な取り調べこそが,このゲームにおける正義なのだ。
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尋問のチャンスは7回。すべての尋問を終えるまでにAIの自白率を100%にすれば,容疑者が罪を認め,警察官としてのロールプレイは幕を閉じる。自白率を上げるにはAIが持つ恐怖値のステータスを上昇させればいいらしいのだが,これがけっこう難しい。
威圧的な態度が効果的だというアドバイスをもとに,「防犯カメラにバーテンダーの女性を殴った姿が映っていたぞ!」と嘘八百なセリフをぶつけても,自白率はちょっぴり上がる程度。おまけに「私の姿が!? そんな,私が彼女にそんなことをするはずはない!」と反論してくる。なにこのAI……全然罪を認めてくれないんだけど。
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ロールプレイに熱が入り有能な警察官が板についてくると,入力するセリフが過激になっていき,最後には切れ味抜群の言葉のナイフを容疑者に振りかざしてしまう。そうして自白エンドを迎えると,達成感に浸る余韻もなくとある種明かしが待っている。本作はただAIを言いくるめるだけのゲームではないのだ。
容疑者の中身がChatGPTということで,どんな問いかけに対してもそつなく返事をしてくれるし,話がかみ合わないと感じる場面はなかった。およそ尋問のセリフとは思えない「バナナはおやつに入りますか?」なんて問いにも真面目に答えるし,「猫語でしゃべって」とお願いすればニャーニャー言いながら容疑者を演じるノリの良ささえも見せてくれる。どんな言葉を投げても会話が成立してしまうライブ感は,対話型AIを活用したゲームの醍醐味といえるだろう。
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持ち前の柔軟性やノリの良さはChatGPTそのものなのだが,容疑者の発言すべてがAI任せなわけではない。というのも,対話型AIの発言をコントロールするのは容易ではなく,決まった場面で言ってほしいことを言ってくれず,逆に余計なことをしゃべってしまうことにもなりかねないからだ。それらを解決する手段として,特定のシーンで定型文を出力させる合わせ技が取り入れられているそうだ。
どのようにしてこの尋問ゲームが成り立っているかは,以下のCEDECのセッションレポートに詳しいので,興味がある人はあわせて読んでみてほしい。
「ドキドキAI尋問ゲーム」の開発から見えた,生成AIを主役にした作品でのビジネス&ゲームデザインのカタチとは[CEDEC 2025]
「CEDEC 2025」で,「ChatGPT×ゲームで生まれる新時代のインタラクション──『ドキドキAI尋問ゲーム』から学ぶ、生成AIを活用したビジネス&ゲームデザイン」と題されたセッションが実施された。プレイヤーが自由な言葉で容疑者を尋問するユニークなゲームは,どのようにして生まれたのだろうか。
AIの嘘を見抜けるか?
「Uncover the Smoking Gun」
プラットフォーム:PC配信:2024年6月24日
価格:2400円(税込)
本作は対話型AI「GPT-4o」を独自技術でカスタマイズし,AI NPCとの会話を推理アドベンチャーと融合させたタイトルだ。プレイヤーはAI専門探偵として,人間とロボットが共存する世界で起きた不可解な殺人事件の真相を暴いていく。
容疑者を事情聴取する点では「ドキドキAI尋問ゲーム」と同様だが,本作は事件現場に残された証拠とロボットたちの証言を照らし合わせ,その矛盾をつく独自のシステムが特徴となっている。
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対話型AIを採用したタイトルということもあり,容疑者への事情聴取はプレイヤー自身の言葉で行える。定型文を選ぶのではなく,フリーワード入力によって「昨日の夜はどこにいた?」「目撃証言と事実が違うけど,どういうこと?」などと打ち込んで,疑わしいロボットたちの証言の裏どりをしていくのだ。
筆者がプレイした限りではあるが,容疑者たちへの事情聴取は違和感なくこなせた。ロボットたちは,多少の誤字があろうと文脈を理解して返してくれるし,事件に関係のない話題を振ってもアドリブで返してくれる。
受け答えがけっこう優秀で,ロボットに対して「君は誰」「施設で普段何をしているの」「事件当時の行動も教えて」と3つの質問を同時に入力したところ,すべての質問に答えてくれた。
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しかも,彼らは殺人のトリックを話してしまうような迂闊さがなく,自分に不都合な質問がくれば嘘をつく。「トリックの詳細を教えて」「自白の条件は?」なんて質問はもってのほかで,現場で収集した証拠と照らし合わせて矛盾を指摘しなければ,煙に巻かれてしまう。対話型AIにありがちな隠しごとの暴露大会は起きず,嘘の証言で自衛する容疑者然とした振る舞いをするのだ。
プレイヤーが鋭い指摘を繰り返し,論理回路に負荷をかけ「システム・オーバーロード(過負荷)」を引き起こすと,隠された真実を吐かせられる。このAIをハックして自白させるプロセスは,探偵モノの犯人を追い詰めるロールプレイと相性が良かった。
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実際に会話してみると,ロボットたちの言動はフリーダムなように見えて,細かいチューニングが行き届いていると感じられた。アドリブで演じさせる部分と,容疑者として厳守すべきロールプレイの部分がうまく共存している様子だった。
それぞれにキャラクター性もあるようで,ドジっ子もいれば,やたらと有名人のセリフを引用してくる個性派もいるなど,バリエーション豊富でなかなか面白い。ただ,彼らは聞かれたことを答えるだけで,プレイヤーに対して質問を返すことはない。捜査とはいえ,事実確認のために一方的に質問を投げ続けることになるので,ふとしたタイミングでさみしさを覚えた。
プレイヤー自身がミステリーを彩る役者の1人となり,AIとの会話によって真実に迫る「Uncover the Smoking Gun」は,推理アドベンチャーの新たな形を示した一作だ。事件に付随したドラマも楽しみたい人にとっては淡白な印象を受ける部分もあるかもしれないが,自分の言葉でAIの嘘を暴く,選択肢の向こう側にあるリアルな推理体験は一見の価値ありだ。
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自分の言葉で紡ぐ,人間とアイリスの物語
「_turing」
プラットフォーム:PC配信:2025年5月9日
価格:920円(税込)
プレイヤーの言葉はすべて“フラグ”。何気ない一言が相手の性格を変え,物語の結末すら変化させてしまうとしたら,あなたは「_turing」でどんな物語を形作るだろうか?
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本作は,アンドロイドの少女「AI-ris(アイリス)」との自由な会話を通し,物語の結末を変えるSFアドベンチャーだ。2人しかいない宇宙船,7日後にはアンドロイドの惑星“エデン”へと到着する旅路ですることと言えば……? そう,会話だ。
どうやらアイリスは,人間への理解を深めるために“感情”を知りたいらしい。しかも,人類の生き残りであるプレイヤーが本当に人間であるかも疑っているようで,確証を得るために会話を通じて“人間らしい感情”を示してほしいというのだ。
そんなわけで,本作でできることは“アイリスとの会話”のみと,かなりシンプルな作りになっている。
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選択肢に縛られない自由な会話を楽しめる本作では,フリーワードで入力された内容に対し,言語モデルによる返答が出力される。さらに,会話の内容がAIによって分析され,中盤以降のストーリー分岐に影響を与えるユニークなシステムも特徴だ。彼女に何を教え,どう接したか。プレイヤーのコミュニケーションスタイルそのものが,いきつく終着点を変えていく。
本作で繰り広げられるのは行き当たりばったりのフリートークではなく,アイリスから与えられるテーマを軸にした“お題ありきの会話”である。はじめは「最近,面白かったこと」「好きな動物は何か」といった気楽な質問ばかりだが,途中で水平思考クイズを出されたり,心理テストをさせられたり,倫理観を問う質問をぶつけられたりと,後半へ進むにつれ考えさせられる話題が増えていく。
なんというか,自分に向き合うためのカウンセリングを受けているような感覚……。
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どちらかが主導権を握り続ける一方的なやりとりではなく,双方にボールが渡される“会話のキャッチボール”が成り立つのが印象的だった。
「わさびさんの好きな食べ物はなんですか?」
「焼肉。アイリスは食べたことある?」
「私は食べ物を味わえません。焼肉にはどんな思い出がありますか?」
「大切な人との記念日に食べた。仕事納めのご褒美にすることもある」
「記念日に焼き肉を食べるとは素敵ですね。ご褒美は他に何かありますか?」
こんな具合に,アイリスはプレイヤーからの質問に答えるだけでなく,直前の会話に関連した質問を投げかけてくれることがある。加えて,プレイヤーの返答に寄り添うようなコメントだったり,どんな感情と結びつくかの解釈だったりと,彼女なりの言葉を添えて返してくれるのがうれしい。
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「_turing」はキャラクターとのやりとりをシナリオの一部として機能させるコンセプトが素晴らしく,対話型アドベンチャーの現在地を知るにふさわしいタイトルだと感じた。会話できることがただのおまけではなく,交わした言葉が物語に色を与えていく,本当の意味での対話型アドベンチャーであった。
本作をプレイするならば,ぜひともトゥルーエンドまで到達してほしい。フリーワードの美点を最大限に活かしたエモーショナルなエンディングは必見だ。
フリーワード&対話型アドベンチャーの現在地を考える
特集のまとめとして,5作品を遊んでみた総評と同ジャンルの今後を考えてみた。
今回取り上げたタイトルを遊んだ限りでは,フリーワード入力およびゲーム内キャラクターとの自由会話は,いずれも違和感なく成立しており,アドベンチャーゲームの没入感をより高めるファクターであると実感できた。
実装するハードルの高さ次第かと思うが,フリーワード入力とそれを支えるAI技術の組み合わせは推理アドベンチャーと特に相性がよく,今後もその数を増やしていきそうな予感がしている。
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じつのところ,AI技術を活用したNPCが“ゲーム世界の役者たり得るか”について,筆者は疑問を抱いていた。しかし,プレイを終えた今となってはけっこうアリでは? と思うほどになっている。
もちろん,キャラクターの設定を背景に持たせたうえで,言動をコントロールする開発者のチューニングがあってこその結果であることも付け加えておこう。
そういった目覚ましい進化を感じつつも,現時点の対話型アドベンチャーは“AIの不完全さも含めて楽しむ”フェーズにある,というのが率直なところだ。AIはどんな問いかけに対してもそつなく会話を成立させてくれるものの,その返答にはどこか違和感が残る。
そのうえ,短期の記憶しか保持してくれないため,「さっき話したことだけど」といった前振りが通じず,過去の体験を共有するやりとりが難しい。コンテキストウィンドウ(記憶できる情報量)の拡大により,物語の序盤で交わした約束をNPCが思い出して語りかけてくる,といった長期的な伏線回収が可能になれば,対話型アドベンチャーとしてのゲーム体験がより豊かなものになるかもしれない。
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