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[GDC 2016]インディーズゲームのプロモーションは誰でもできる。その方法を教える実用的なレクチャーが開催
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印刷2016/03/18 20:00

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[GDC 2016]インディーズゲームのプロモーションは誰でもできる。その方法を教える実用的なレクチャーが開催

 今年も多数のインディーズゲーム開発者がサンフランシスコに集まったGame Developer Conference 2016。彼らの悩みの一つはプロモーションだろう。数多くのタイトルが次々にリリースされる現状では,自分の作品を知ってもらうのさえ一苦労だ。素晴らしいゲームはおのずから認められるようになる,という意見もあるだろうが,それでも,できることがあるならやっておきたいもの。そんな需要に応えるレクチャーが,北米時間の2016年3月17日に行われた。

 「Everyone can do PR:The 5 pillars & 5 pitfall of indie games PR」と題されたこのレクチャーでは,イギリスのICO Partnersでコンサルタントを務めるThomas Reisenegger氏が,誰でもできるPRの秘訣を披露したのだ。

Thomas Reisenegger氏
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 銀河に散らばる無数の星のように,次々と登場する新たなゲーム。Reisenegger氏によれば,2015年の段階でValveのオンライン配信システム「Steam」には3050以上のタイトルがラインナップされており,毎日8タイトルが増え続けているという。目をモバイルゲームに転ずると,こちらはもっとすごくて,2015年のApp Storeには16万4000を超えるタイトルが登録され,毎日450タイトルずつ増えているとのこと。これはもう,いろいろ間に合わないんじゃないだろうか。

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 だがReisenegger氏は,まだ間に合うという。インターネットの発達で個人の情報発信能力が過去にはなかったレベルまで高まった現在,ネットやソーシャルメディア,動画投稿サイト,そして4Gamer.netのようなゲーム情報配信サイトを活用することで,自らのゲームをPRするわけだ。

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 そこで,最初に挙げられたのが「ポジショニング」(Positioning)だ。これは,自分の作品がどのようなものであるのかをズバッと説明するコピーなり,アートワークなりのことだ。どんなに苦労して作ったとしても,ゲームのシステムを細かく説明するのではなく,「ストーリーを売る」ことが大切だという。

 最初の例として挙げられたのは「This War of Mine」だ。極限状態の人間の本性をあらわにし,憂鬱になるゲームとして話題を呼んだ本作は,「PRマンにとっても悪夢」だとReisenegger氏は言う。めっぽう暗いアートワークしかなく,目立ったキャラクターもおらず,ゲームシステムも話せば長くなりそう。そこで,この作品には,“In war, not everyone is a soldier(戦場では誰もが兵士であるわけではない)”というポジショニングワードが付けられた。なるほど,この画面にこのワードを重ねるとなんとなく気になってくる。

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 同様に,「メトロイド」にめっぽうよく似た「Axiom Verge」と,自分が動けば時間も動くというユニークなFPS「SUPERHOT」にも,それぞれ“らしい”ワードが添えられた。すべてを引き写すのは面倒なので写真を掲載するが,納得できるのではあるまいか。

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 ポジショニングが決まったら,続いてやるべきは「ニュースビート」(News Beats)だ。聞きなれない言葉だが,これはオンラインメディアを活用しようという話であるようだ。ニュースビートとしては,制作のアナウンス,最初のスクリーンショット,最初のトレイラー,発売日のお知らせ,発売のお知らせ(+新トレイラー)がある。
 当然,ニュースが少なく記事が目立つときを狙いたいところだが,Reisenegger氏は,これを送るタイミングまでそつなく教えてくれた。おそらく欧米メディアの傾向だと思うが,記事の掲載数はたぶんE3の関係で6月が最大で,次にショッピングシーズンの11月に次の山が来るという。なるほど。曜日については,火曜日に掲載される記事が一番多く,当然ながら土曜日,日曜日は少ない。このへん,日本とは微妙に違う気もするが自信はない。

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 さらに,ニュースを送るときは時差も考慮すべきで,太平洋標準時の6:00近辺はグリニッジ標準時間,つまりヨーロッパでは14:00あたりになるので,オススメとのこと。ただし,三連休になりがちなバンクホリデーには注意を払う必要があるという。至れり尽くせりだが,日本のことはまったく考慮されていないのが少し寂しい。

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 さて,次は「トレイラー」(Trailaer)について,やるべきことだ。YouTubeなどの動画投稿サイトもニュースビートの仲間であり,トレイラーはニュースビートの中で最も重要なアイテムとなる。Reisenegger氏はこうした動画では,ゲームを見せろ,と述べる。ゲームが確実に存在することを示し,潜在的購買者の信頼を獲得することが重要なのだ。時間は,最長でも1分30秒がいいらしい。
 上記の「This War of Mine」や「SUPERHOT」でも,トレイラーの公開で大きな注目を集めており,現物を見せられなければ信用もされないというわけだ。

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 4つめは「ゲリラマーケティング」(Guerrilla marketing)となる。要するに,低コストで固定観念にとらわれない手法(ときには,100%合法ではなかったりする)を使った広告戦略のことで,これもある種のニュースビートで,いろいろなセグメントに個別にリーチすることが望ましい。

 とはいえ,なかなか難しくもあるようだ。例えば,Acclaim Entertainmentはかつて「Burnout 2」の発売に合わせてスピード違反の呼び出し状を送付するというゲリラマーケティングを行ったらしいが,これはもういろんな意味でダメだった。

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 また,ローグライクな「Crawl」を2014年にリリースしたインディーズスタジオ,Powerhoofが,ValveのCEO,ゲイブ・ニューウェル(Gabe Newell)氏がダンジョンのボスとして登場する「Crawl Gabe Newell」というアップデートを行った。これも一種のゲリラマーケティングになるが,このアップデートに対して当のニューウェル氏が大変面白いとTweetして話題になった。
 しかし結果として,メディアの報道はニューウェル氏のTweetに集中し,「Crawl」の注目度はたいして上がらず,またダウンロード数も振るわなかったとReisenegger氏は言う。

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 5つめは「イベント」(Event)だ。今回のGDCのほか,PAX,東京ゲームショウ,gamescomなど,ゲームイベントに出展することで,認知度を高めようというもの。メディアの記事数は毎年のように増えており,費用対効果はそれなりに高いようだ。

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 GDC 2016における注目のレクチャー,というわけではなかったのだが,やはりインディーズゲーム開発者達にとっては切実な問題なのか,広い会場がいつの間にかほぼ満員になるという盛況のうちにレクチャーは終了した。これをこのとおりにやれば,必ずうまくいくというわけではないだろうが,いかにもGDCらしい講演であり,終了後も多くの参加者がReisenegger氏の周り集まって,次々に質問していたのが印象的だ。

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