「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2023」をレポート。3年ぶりのeスポーツタイピング競技大会は，“絶対女王”miri選手が4連覇を達成

　東プレは2023年3月12日，eスポーツタイピングの日本一を決める競技大会「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2023」（以下，RTC2023）を，東京・汐留の日本テレビ特設スタジオにて開催した。
　新型コロナウイルスの影響で，2019年以来3年ぶり，4回目の開催となった今回は，日本テレビとの共同企画のオフライン大会として観客を入れて行われた。本稿ではその模様をレポートする。

「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2023」公式サイト

　今回のRTC2023では，今年2月に行われたオンライン予選（参加者数1万3531名）を突破した，ローマ字入力12名，かな入力4名の計16名が決勝へと進出した。決勝出場選手と入力方式は以下のとおり。

ごえ選手（ローマ字）
テル選手（ローマ字）
はるまき選手（ローマ字）
くわな選手（ローマ字）
三山羊選手（かな）
あるぱー選手（ローマ字）
セレナーデ☆ゆうき選手（ローマ字）
星凪選手（ローマ字）
はやとう選手（かな）
あの選手（かな）
Y-i選手（ローマ字）
really選手（ローマ字）
魔が差す選手（ローマ字）
muller選手（かな）
miri選手（ローマ字）
のん選手（ローマ字）
※決勝トーナメント組合せ順

トーナメントの組み合わせはこちら

　決勝トーナメントはシングルエリミネーション方式で，準決勝までは3ラウンド先取（BO5），決勝は5ラウンド先取（BO9）で勝利となる。
　対戦にはタイピングソフトウェア「Weather Typing」を使用し，選手は同じワードを同時に打ち始め，10ワード目を先に打ち切ったプレイヤーが勝利しラウンドを獲得。ただし，その正確性が95％未満で，相手の正確性が95％以上の場合は後者が勝利になるという，速さだけでなく正確性も重視したルールのもとで行われる。
　出題ワードは「たべもの」「ビジネス」「ALL」のほか，「日テレ」のジャンルも用意された。

選手は特設ステージ上で観戦者と複数のカメラが見守る中で対戦を行った。この環境も多少なりとも勝敗に影響したようだ

　注目が集まったのは，やはり過去3回の大会すべてで優勝している“絶対女王”miri選手。1回戦は最後の8組目の出場で，対戦相手ののん選手をストレートで破り，3本目にはスピード1027kpm／正確性99％という凄まじい記録も叩き出している。

当日，唯一の女性同士の対戦カードはmiri選手（左）がのん選手（右）にストレートで勝利

　また，かな入力選手の優勝候補でRTC本戦に全出場し，2017年と2018年には決勝まで進みながら，共にmiri選手に敗れているmuller選手は，2回戦で早くもmiri選手と対戦することとなった。miri選手が2ラウンド先取した状況から，muller選手が今大会ならではの「日テレ」の出題ワードでラウンドを取り返し会場を沸かせたが，ペースを乱さないmiri選手が3本目を取り，準決勝へと進出した。

過去すべての大会でmiri選手（右）と対戦しているmuller選手（左）。結果はmiri選手が全勝している

番組名など，独自の言葉が飛び出す「日テレ」の出題ワード

　準決勝は奇しくも2戦とも「かな入力対ローマ字入力」の対決となった。その第1戦はローマ字入力のくわな選手とかな入力の三山羊選手のカード。1本目からポイントが拮抗しつつも，正確性でくわな選手が大きく上回り，全ラウンド96％以上をキープして3連勝し，決勝進出を決めた。

くわな選手（左）と三山羊選手（右）

　第2戦はかな入力のはやとぅ選手とローマ字入力のmiri選手の対戦。最初のラウンドはかな入力ならではのスピードで，はやとぅ選手がポイントをリードするも正確性に欠け，10-4と大差を付けながらmiri選手にラウンドを取られてしまう結果に。しかし次のラウンドでは正確性を落としたmiri選手を同じ10-4で破りタイに持ち込む。
　ここで乱れることがないのが“女王”の強さで，続くラウンドを正確性98％をキープし2本連続で勝利したmiri選手が決勝にコマを進めた。

はやとぅ選手（左）のタイピングは速いが正確性を欠き，ポイントで上回っても勝利できなかった

　大会初出場で決勝進出を果たしたくわな選手と，RTC4連覇という大記録を目前にしたmiri選手による決勝戦。2人ともスピードのみならず，正確性の高さを武器に決勝まで進んでおり，わずかなタイプミスがラウンドを落とす結果につながる緊張感のある対戦だ。

決勝戦のくわな選手（左）とmiri選手（右）

　その初戦から両者譲らないシーソーゲームが展開し，1ラウンド目は正確性のわずかな差でmiri選手が先取するも，2ラウンド目は正確性も落とさなかったくわな選手が10-9の僅差で勝利する。5ラウンド目ではスピードと正確性の両方でくわな選手が上回り，ラウンドを3-2とリードする結果となり，会場は大いに湧いた。

miri選手（右）のリードを覆して2ラウンド目を取り，小さくガッツポーズをしたくわな選手（左）

　決勝戦は5ラウンド先取のルールなので，ここで試合は終わらない。追い込まれた緊張もあったのか，わずかなタイプミスもあったmiri選手だったが，後半は自身のペースを取り戻し，最後は1042kpm／96％という記録で3-5でラウンドを勝利し，RTC4度目の優勝という快挙を成し遂げた。

6ラウンド目から3連勝して4連覇を決め，ホッとして顔に手を当てたmiri選手

　「今までで一番いい試合だったかもしれない」と決勝戦を振り返ったmiri選手。女性が性別を超えてトップに立てるタイピングという分野で勝ち続けるために，がむしゃらに頑張ってきた結果として，王座を守ることができてホッとしたとその感想を述べた。
　miri選手には賞金20万円と「ゴールドREALFORCEキーボード」トロフィー， REALFORCE希望モデルが贈られた。

　なお当日の模様はREALFORCEのTwitch並びにYouTube公式チャンネルにアーカイブされているほか，日本テレビ系列の番組「eGG」（2023年3月21日24：59放映）でも放送される予定となっている。出場選手の超越したタイピングの腕をぜひその目で確かめてみてほしい。

左から，3位の三山羊選手，優勝のmiri選手，準優勝のくわな選手

「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2023」公式サイト

日本テレビ「eGG」番組公式サイト

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