業界動向
ソニー,2013年度第3四半期決算を発表。PS4の好調でゲーム分野は大幅な増収増益もグループ全体の2013年通期予想は1100億円の赤字
ただし,グループ全体の2013年度通期での予想は,営業利益が前年度比で−65.2%という大幅な減益となり,連結最終損益が1100億円の赤字に下方修正されるという厳しい状況にある。とくに,厳しい事業環境が続くPC事業については,投資ファンドである日本産業パートナーズへ譲渡し,テレビ事業は分社化して完全子会社として運営することも発表されている。これにより,「VAIO」のブランド名で知られたソニーのPC事業は,1997年の国内販売開始から17年目にして終息することとなった。
PS3は大幅減も,PS4の好調と為替差益でゲーム分野は増収増益
発表された2013年度第3四半期決算から,ゲーム分野を抜き出して見てみよう。まず売上高は,前年同期の2685億円から今期の4418億円へと,+64.6%の増収を記録。営業利益はさらに好調で,前年同期の46億円から180億円へと,+292.1%もの増益となった。
PlayStation 3の販売台数は大幅に減少したとのことだが,PS4が発売後1か月半で420万台,PS4用ソフトウェアは970万本の実売を達成。会員制ネットワークサービス「PlayStation Plus」の会員数も飛躍的に増加したと表明されており,PS4事業全体が好調なスタートを切れたようだ。
一方で,今期のマイナス要因としては,Sony Online Entertainmentが提供するPCゲームタイトル(タイトル名は未公開)の評価損が62億円ほど発生したことが挙げられている。
一見すると好調なソニーのゲーム分野であるが,2013年度通期では「前年度比では大幅な増収,大幅な損益悪化を見込んでいます」(原文ママ)と,明るいとはいえない予測が示されている。
さて,その理由についてだが,2013年8月に発表された2013年第1四半期の決算短信を読み返すと,ゲーム分野の通期予測に関して,「営業損益については,ハードウェアコストの米ドル建て比率が高く,米ドルに対する円安が損益に悪影響を与える」(原文ママ)とのコメントがある。売上高という面ではプラスに寄与する円安も,米ドル建てで部材を調達しているハードウェア製造に対しては,大きくマイナスの影響を与えてしまったということのようだ。
円ドルの為替相場が与える影響は大きいものの,PS4の販売そのものは好調のようであるから,ゲーマーとしては少し安心して,2月22日のPS4国内発売を迎えられるのではないだろうか。
ソニーグループ業績発表文・決算短信 ページ
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