ゲーム事業は成長の牽引役に。ソニーが2016年度の経営方針説明会を開催

　2016年6月29日，ソニーは，東京都内にて「2016年度 経営方針説明会」を開催し，同社社長兼CEOの平井一夫氏が，2015〜2017年度における中期経営計画の進捗と，2018年以降の施策について説明を行った。
　ソニーの本業である家電事業は，営業利益および純利益の改善が続いており，とくにPlayStation 4（以下，PS4）を軸としたゲーム＆ネットワークサービス分野は引き続き好調で，PS4の世界累計販売台数は4000万台を超えたことを，あらためて発表している（関連記事）。

　「利益の創出と成長への投資」をテーマとして掲げた2015〜2017年度の中期経営計画では，規模，つまり市場シェアを追わずに収益性を重視した経営に集中することで利益の改善を目指したことにより，ソニーの連結営業利益は，2014年度の685億円から2015年度に2942億円と大幅な改善を達成した。
　現在進行中の2016年度も，連結営業利益は3000億円を予想しているほか，2017年度は，同社としては20年ぶりとなる5000億円以上の連結営業利益を予想するなど，強気の見通しを示している。

来年度である2017年度の分野別経営数値目標の見直し。ゲーム＆ネットワークサービス分野の売上高は，既存の見積もりよりも3000〜4000億円程度の向上を見込んでいる。ただ，2017年度の円ドル為替レートを113円と想定しているので，この見積もりどおりにいくのは難しそうに思える

　好調の立役者であるゲーム＆ネットワークサービス分野は，プレスリリースにて「ソニーの成長を牽引する最大のドライバー」と非常に高い評価が付けられているのがポイントだ。PS4本体と対応ゲームが好調であるだけでなく，定額制ネットワークサービス「PlayStation Plus」も，2015年度には売り上げが前年度比で50％以上拡大するなど成長を続けているとのこと。2016年10月には仮想現実対応型ヘッドマウントディスプレイ「PlayStation VR」を発売することによって，さらなる利益の拡大を目指しているという。ただ，PlayStation VRの具体的な販売見込みは示していない。

PlayStationシリーズの累計販売台数を四半期単位で並べたグラフ。PS4の台数は，PlayStation 2をしのぐほどの好調を持続している

ネットワークサービスも，PS4の登場以降，PlayStation Plusが大きく伸びたことで大幅な成長を見せている

　一方，ゲームと並んで成長を牽引していたデバイス分野は，スマートフォンの成長鈍化によって主力製品であったイメージセンサーの売り上げが減速しており，2016年度は下方修正，2017年度も減速が避けられないと厳しい見方を示している。そのためイメージセンサーは，スマートフォン以外の機器，監視カメラやドローン，車載機器といった用途の拡大で成長を目指していくとのことだ。

　2018年以降の取り組みについては，「ラスト・ワン・インチ」をキーワードに掲げている。簡単にいえば，消費者が実際に触れて使う機器で，魅力的な製品を提供することに注力する，といったところか。これは，平井氏がCEOに就任以降打ち出し続けていたことの延長線上にあるものなので，現在の路線をさらに発展させていくという理解でいいだろう。
　一方，新規の事業としては，コンシューマー向けロボットの事業化が上げられている。ソニーでロボットといえば，犬型ペットロボットとして名高い「AIBO」（アイボ）を思い出す人もいるだろう。プレスリリースでは，「お客様と心のつながりを持ち，育てる喜び，愛情の対象になり得るようなロボット」の開発を行っているとあり，まさにAIBOの再来といった印象を受ける。
　開発中の新しいロボットがどのような製品になるのか，今から楽しみだ。

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