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世界選手権の試合展開はこうなる! ガンホーに聞く,RWC2007のレギュレーションと戦術予測
2004年に行われた前回から3年ぶりの開催となるRWCだが,この3年で導入されてきた数々のアップデートにより,ROというゲームそのものがかなり変わっている。上位2次職の登場と,それに伴う新スキル追加などが端的な例だ。そして当然ながら,RWC2007のルールもその影響を受けており,RWC2004とは大いに違った試合展開になると予想される。また,先ごろ開催されたROの日本最強ギルド決定戦であるRJC2007とは,試合のルールが微妙に異なるので,これともやや違った展開になるだろう。
そうしたわけで今回は,ROの日本国内での運営を担当している,ガンホー・オンライン・エンターテイメントを訪問し,第二開発部 第一課課長 ラグナロクオンライン制作責任者 廣瀬高志氏および,同課所属の野呂 彰氏のお二人に,新ルールに基づくRWC2007の見どころや試合展開に関する予想などを聞いてみた。
そこへきてRWC2004における1ギルドの試合出場キャラクターは,RWC2007の7名(補欠なし)よりも多い9名(+補欠2名)となっていた。試合に出場するメンバーは,先ほどの6種類の職業をすべて含んでいなければならないが,それでもメンバー内で同じ職業のペアやトリオが出来る計算だ(ウィザードとプリーストは重複不可)。これだけを見ても,RWC2004と2007の試合内容がかなり異なるはずと想像できるだろう。
フタを開けてみるまで分からないからこそ,GvG競技は面白いわけだが,試合のルールとレギュレーションを通して,ある程度予測できることを整理してみるのが今回のインタビューだ。ふだんあまりGvGになじみのないプレイヤーも,競技の中身と理屈を理解するための情報として,ぜひ読んでみてほしい。
■マルクカードがない! 豊富なスキルと限られたアイテム
本日はよろしくお願いします。まず,国内大会であるRJCと世界大会のRWC,最大の相違点を教えていただけますか。
野呂氏:
RJCと比較したとき,大きな違いは2点あります。一つは選択できる職業がすべて上位2次職であること。全選手が,多種多様なスキルを持つ上位2次職のキャラクターを使いますから,戦略の幅もだいぶ広がるはずです。その一方で,販売アイテムの種類は縮小されています。
4Gamer:
販売アイテムの縮小というのは,具体的にどのような影響をもたらすのでしょうか。
野呂氏:
販売アイテムの種類が少ないだけでなく,アルケミストのスキル「アシッドデモンストレーション」用のアイテム「ファイアーボトル」と「アシッドボトル」,そしてアサシンクロスが「エンチャントデッドリーポイズン」で消費する「毒薬の瓶」の購入数自体に,制限がかかっています。
RJCのように試合中,アシッドデモンストレーションを連打し続けるような戦い方ができなくなるため,大会全体を通して影響は非常に大きいです。
4Gamer:
ゲーム内通貨Zenyの支給についても,RJCではギルド全体に対して2000万Zenyというルールで,RWCでは1キャラクターにつき1000万Zenyとなっていますね。職業によっては途中で消耗品の購入が厳しくなる,ということも予測されますが。
野呂氏:
そのとおりです。RWC本戦で,Zenyの支給は最初の1回限りです。職業によっては,決勝戦でお金が足りなくなることもあるでしょうが,ギルドメンバー同士でもZenyやアイテムの取引は禁止されています。キャラクターごとのお金の使い方も含めて,戦略となるわけです。
なお,日本代表ギルド決定戦では,決勝リーグ開始と同時に,所持金を1度だけ1000万ZenyにするNPCが現れます。
4Gamer:
消耗品以外のアイテムにも,影響が大きいと思われる相違点がありますか。
野呂氏:
使えるカードの種類が,RWC2004のときとあまり差がないのは,要注意でしょう。例えば凍結への耐性100%の「マルクカード」が使用できません。最近のPvP,GvGでは凍結対策が基本になっていますが,マルクカードが使えないとなると,戦略はもちろん,構成メンバーの職業からステータス値まで,すべてに影響を及ぼします。
4Gamer:
出場できるクラスが,上位2次職だけに限定されているのには何か理由があるのでしょうか。
野呂氏:
1次職を禁止したというより,上位2次職が使えるぶんには問題ないということでしょうね。
■逆転要素は多いが,より技量を問われる戦闘
それまでの試合結果を見て,相手ギルドの戦術に合わせてメンバー構成を変えることは自由ですか? 大会ルールでは,できるように読めますが。
野呂氏:
同じ職業のキャラクターが重複して出場できないというルールにさえ沿っていれば,使う職業の変更は何回でも自由にできます。
しかし,スキルツリーを暗記し,別の職業に切り替えてもまごつかない自信のあるギルドでなければ,そのやり方は生かしきれないでしょう。むしろ準備時間中にセッティングが間に合わず,中途半端な状態で試合に出場するといったハプニングが,大会当日に起きることもあり得ますね。
4Gamer:
RJC本戦ではスナイパーを採用するギルドはほぼ皆無でしたが,RWCのルール下においても,やはりスナイパーが活躍する可能性は低いと思われますか?
野呂氏:
罠を張るだけでなく――例えばですが――クラウンの「ブラギの詩」に乗せてハイプリーストが「レックスエーテルナ」をかけたターゲットに,スナイパーが「ファルコンアサルト」を連打するといった,遠距離戦を重視したとき,スナイパーも戦力として十分通用すると思います。
4Gamer:
あくまで参考として,現在考えられる最もバランスの良いメンバー構成例を一つ挙げていただけますか?
野呂氏:
ハイプリースト,ハイウィザード,チャンピオン,パラディン,プロフェッサー,クリエイター,クラウン。これが最も無難な構成になるでしょう。職業構成を見るとRJCとあまり変化がないように思われますが,戦術面は大きく異なるはずです。
技量の高いプレイヤーが今回の試合条件をフルに使いこなすとなると,どの試合もおそらくはRJC2007以上の短期決戦,長くても2〜3分で勝敗が決まるでしょう。
4Gamer:
今年のRJCでも,試合が5分以上かかることはほとんどありませんでしたが,それよりも短くなると……。そうだとすれば,例えば早期にメンバーが脱落すると挽回は難しいでしょうか?
野呂氏:
いえ,その逆です。RWCではRJC以上に逆転の要素が多くなると予想されます。例えばマルクカードが使えないため,ハイウィザードの魔法「ストームガスト」はこれまで以上の脅威になり,凍結したところを「阿修羅覇凰拳」で狙われたら,ほぼ一撃です。
そこで,「ランドプロテクター」を使うプロフェッサー,それに対して「ガンバンテイン」で穴をあけるハイウィザードの重要性はRJC以上に高くなるでしょう。
プロフェッサーを試合序盤に失った場合は,故意に混戦に持ち込んでしまう,あるいは最初から混戦を意図して,回復役のハイプリーストを使用せず,代わりに火力最重視でスナイパー,アサシンクロスを採用するといったギルドも,出てくるのではないでしょうか。
4Gamer:
RJC以上の火力戦になりそうですが,その場合熟練度,つまりプレイヤースキルの高さがより問われる方向に傾くのでしょうか? それとも相対的に小さくなるのでしょうか。
野呂氏:
短期戦だからこそ,ますますプレイヤースキルが問われると予測しています。一瞬でも迷ったり動きを止めたりすると,その時点でまずやられてしまうでしょう。ですので,その職業のキャラクターの操作に,熟練しているプレイヤーが操作するのが,おそらくはベストの選択です。
先ほど,相手ギルドの構成やそれまでの戦術を見て,キャラクターをチェンジするのも有効とは述べましたが,不慣れな職業を操作することで生まれる不利は,おそらくRJCより大きくなります。
廣瀬氏:
職業の構成を変えるのではなく,同じ構成のまま,あらゆるパターンを想定して対応策を練る。そういった練習を積んだほうがよいでしょう。海外のプレイヤーが一体どんな戦術でくるのかは,まったく予測が立ちません。こちらが想定しない動きをされて,少しでも動揺したら立て直す間もなく戦局が傾くでしょう。
国内ギルドだけが参加するRJCと違い,相手がどういったギルドなのかという情報を手に入れにくいこともありますし。
■会場セッティングの影響は不透明
PvP競技一般ではキーボードやマウスの持ち込み,ボイスチャットの使用が認められるケースも多いですが,RWC2007ではどうでしょうか? とくに本戦のクライアントは日本語が使えませんし,会場の雑音などを考えると認められてもよいと思いますが。
廣瀬氏:
今のところ,そこは考慮されていません。ボイスチャットの使用を,一つの要望としてGravity側に出すことはできますが,実現は難しいかもしれないですね。
4Gamer:
RJCの会場では横一列の配置で,両端に座ったプレイヤー同士の意思疎通が難しいように見えました。司令塔をどこに座らせるか,というのも作戦のうちかもしれませんが,ボイスチャットの有無は試合展開への影響が大きいですね。
廣瀬氏:
RWC会場のセッティングの詳しい部分は,当日まで分からない可能性が高いです。もちろん配慮はなされていると思いますが,万が一声が届きにくい配置だったり,会場がうるさくて声が届かなかったりしたらどうするかを,事前に考慮しておくべきでしょうね。
4Gamer:
RWC2004では残念ながら,日本代表ギルドは比較的早期に敗退してしまいました。RJC2005〜2007を通じて,日本のROプレイヤーの実力は世界大会で通用するレベルにまで上がったと思われますか?
野呂氏:
まず,2005年から毎年RJCというGvG大会を実施することで,場慣れしたプレイヤーが増えたと思います。試合会場が韓国に移っても,これまでの経験を踏まえて実力を発揮できるでしょう。
また日本のプレイヤーは,仲間同士で行う練習の時点から馴れ合いを排除し,ルールに対して真剣に向き合って,互いにきちんと意見を交換しあっています。
そういったGvGに対するモチベーションは,RWC2004の時点よりかなり高まっていますので,日本プレイヤーが世界大会で通用するかどうかについては,まったく心配していません。
4Gamer:
国内予選についてですが,RJC2007でブロック優勝・準優勝の成績を収めたギルドに,優遇措置は図られるのでしょうか?
野呂氏:
予選への参加希望ギルドが48を超えてしまった場合,該当する16ギルドは優先的に予選トーナメントへの参加権が得られます。しかし,とくにシード権のような優遇措置は用意しません。
というのも,RWCとRJCはルールが異なりますので,本戦で優勝を目指すためにも,RWCのルールで試合数をこなし,真の実力で勝ち上がったギルドに出場してもらうためです。
4Gamer:
最後に,日本代表ギルドに対し,運営側としての何らかのサポートを行う予定があるかどうかを,教えてください。
廣瀬氏:
具体的なサポート施策は後日あらためて発表します。これから行われる予選を勝ち抜いたギルドメンバーのみなさんが,万全の状態で本戦に出場できるよう,施策を考えていますので,安心して世界チャンピオン決定戦に臨んでいただきたいと思います。
しかしながら,あれから3年でROのゲーム内容は大きく変わり,それを受ける形でRWCの競技条件も変化した。その間,日本ではRJCが3度にわたって開催され,ROのGvG競技は,ある程度の定着/浸透を見せたといえる。
そこで主にRJC2007と比べる形で,RWC2007の特徴を語ってもらったのだが,速戦即決の傾向がますます強まり,予想外の事態にも素早く対応できるプレイヤースキルがカギになるというのが,予測の一つの結論であるようだ。
RJCで培った,日本プレイヤーの探求心と勝負度胸が,世界大会の場でどのように結実するのか。それを最終的な楽しみとしつつ,今後の進捗を見ていきたい。(ライター:麻生ちはや)
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