インタビュー
「ラグナロクオンライン」の10周年記念イベントやアップデートなど,2012年後半の施策を聞いてきた。3次職スキルテストはいよいよ9月にスタート
これらのイベントは,3月に行われた「ラグナロクオンライン10周年プロジェクト発表会」(関連記事)や4月の「ROファン感謝祭」(関連記事)でその概要が発表されているが,どうやらまだまだ未発表の施策があるようだ。12月に向けてどんなアップデートやイベントが予定されているのか,オンライン本部 第1パブリッシング部 第1企画課 主任 中村聡伸氏に話を聞いてみた。
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「サマースペシャル」で暑い夏を楽しめ!
そして8月21日からはポートマラヤで背中がヒンヤリ!?
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まず,7月24日に始まった夏恒例の「サマースペシャル」ですが,初心者でも3次職を目指せるという謳い文句の割に,難度が高くて本当になれるのだろうかという声が,ちらほらと見られますね。
「サマースペシャル」は8月21日までの1か月という長い期間遊んでいただくものですから,その判断はまだ早いかもしれません。去年の「サマースペシャル」では,1次職の皆さんが先に進めるように,上位職のプレイヤーさんがモンスターを排除するという攻略の形ができていましたよね。今回もそのように,攻略が進んでいくと思います。
4Gamer:
なるほど。
中村氏:
今回,なぜサマースペシャルで3次職を強調したのかと言えば,「サマースペシャル」後の8月21日にフィリピンをモチーフにした「ポートマラヤ」の実装を予定しているからです。ポートマラヤは,町と悪霊が住まうメモリアルダンジョンが主な舞台となりますが,そのメモリアルダンジョンに入るのに,最低でもBaseレベル100が必要になるので。
4Gamer:
サマースペシャルで3次職を目指してもらうことで,レベルの底上げを図ろうという意図なんですね。
中村氏:
そうです。ぜひ「サマースペシャル」でBaseレベルを100以上にしてもらって,ポートマラヤで楽しんでもらいたいと考えています。
ちなみに,ポートマラヤのメモリアルダンジョンは,Baseレベル100,120,140と3つに分れていて,それぞれで戦えるボスが異なります。また,それとは別に通常扱いのダンジョンも実装しようと調整しています。
4Gamer:
メモリアルダンジョンと通常ダンジョンには,どのような違いがあるんですか?
中村氏:
レベルに関係なく,いつでも入れるのが通常ダンジョン。入場にクールタイムはありますが,必ずボスと戦えるのがメモリアルダンジョンといった感じです。通常ダンジョンでもボスは出現しますが,ほかのダンジョン同様に時間湧き(討伐から一定時間後に再出現)になります。
4Gamer:
レベルごとに異なるボスと戦えるということですが,それは同じタイプの強さが異なるモンスターというわけではないんですね。
中村氏:
ええ。Baseレベル100のダンジョンはビョンウンゴ,Baseレベル120のダンジョンは宝箱を背負ったワニのような姿のブワヤ,そしてBase140のダンジョンには,湖の主と呼ばれるバコナワが出現します。バコナワは湖の中にいるという設定なので,こちらの攻撃が届かないんですよ。
4Gamer:
というと,ボスに近寄れないんですか。
中村氏:
近寄れませんし,ボスは動きません。ただ,魔法などのスキルをバンバン使ってきますので,プレイヤーサイドも弓や魔法などで応戦することになります。この3体のボスからは,鎧,盾,靴といったパワーアップ可能な有用な装備品がドロップします。
4Gamer:
パワーアップというと,アーティファクト装備のように精錬値で効果が変化するんですか?
中村氏:
はい。それとエンチャント系のものもあります。積極的に精錬やエンチャントにチャレンジできるぐらい高確率で入手できるので,アイテムを目当てに挑戦するプレイヤーが多いアップデートになると思います。
さらに極めつけが「タトゥー」というアクセサリーで,「The Sign」クラスのものになります。MVPボスがドロップするアイテムと,いくつかの収集品を集めると作成できるので,そちらにもチャレンジしてもらえればと思っています。
4Gamer:
「The Sign」クラス……それはぜひ手に入れたいです。そのほかのポートマラヤの見どころはどこでしょうか?
中村氏:
ポートマラヤの設定は,フィリピンの伝承に基づいて練られており,例えばポートマラヤ専用のペットも実装されますが,このペットのモチーフはフィリピンの英雄的な存在なんです。ゲーム中では連れていると3体のボスに対してのダメージが増加します。
4Gamer:
フィリピンの神話や民話を知っていると,より楽しめそうですね。
中村氏:
ええ。出てくるモンスター名を調べてみると,いろいろな逸話が出てくるので,そんな裏話を噛みしめながら戦うのも面白いと思いますよ。
4Gamer:
ちなみにポートマラヤへは,アルベルタの桟橋から船で移動することになるんですか?
中村氏:
はい。ただ,ポートマラヤの実装に伴い,アルベルタが少し改修されることになります。
4Gamer:
フェイヨンやモロクのような感じになるんですか。
中村氏:
あそこまでドラスティックな変化はありません(笑)。ローカルマップ行きのNPCもだいぶ増えてきましたし,港の部分をちょっと豪華にして使いやすくするといった感じでしょうか。蚤の市を開催しているプレイヤーさんにとっては,会場が広くなっていいかもしれません。またポートマラヤ実装時に,まだ正式名称は決まっていませんが,リプレイシステムのようなものを追加します。
4Gamer:
それは動画の撮影機能というわけではなく?
中村氏:
動画ではなく,ゲームのプレイログを残して,そのログを専用のクライアントで再生できるというものです。それによって自分がクライアントで遊んでいた状況を,そのまま再現できるわけです。
これは描画範囲内のキャラクターの行動をそのままログとして保存するものです。例えば攻城戦を研究するために長時間の動画を作成すると,普通は何百GBという容量になってしまいますが,それがすごく小さなサイズで済むんです。
4Gamer:
具体的にはどれくらいのサイズになるんでしょう。
中村氏:
2時間の攻城戦で,200MBほどに収まります。ただし,アクションや記録されているキャラクターが多いほど,ログのサイズは大きくなります。とはいえ,動画に比べればかなり小さなものですから,例えば身内でプレイを検証するときなどに,撮影した動画のアップで苦労することなく,直接ログファイルをやりとりするなどができるようになるので,配信はかなり楽になると思います。
4Gamer:
どの程度の情報が,ログとして記録されるんでしょうか。
中村氏:
範囲内のキャラクターの動き,スキルの発動,ステータスの変化――ステータスはグループメンバーだけになってしまいますが,要するにログデータとしてプレイヤーが取得できるものは,すべて記録されます。さらに再生中に画面を拡大縮小したり,回転させたりすることもできます。
4Gamer:
プレイ中では見られなかった視点から,確認できるのはいいですね。
中村氏:
ええ,例えば攻城戦のログを再生しながら,画面を回転させて「こんなところに敵が潜んでいたのか!」と確認できるんですよ。さらに,2倍速,4倍速,1/2倍速,1/4倍速での再生も可能です。
4Gamer:
おお! それは,対人戦の研究がはかどりそうです。
中村氏:
ただ,途中再生はできません。現状では,ログを頭から走らせているので,テープのように途中からというのができないんです。また,ギルドエンブレムが記録できないという仕様です。
4Gamer:
途中再生の要望は多く出るでしょうね。
中村氏:
ですので,攻城戦など長時間の場合は30分ごとに一度記録を止めて,再スタートをかけてファイルを細切れにするといった撮り方のほうが,あとで再生するときに便利だと思います。このほか,マランアイランドの追加要素であるマランエンチャントと,シーラカンスの実装も近々に行われる予定です。
キーワードは「まったりプレイ」
新コンセプトの「Breidablik」ワールドがこの秋オープン
春にワールド統合を行って,今は13のワールドでサービスしていますが,この秋にはこれまでとはちょっと違ったルールの新ワールドを立ち上げようと考えています。
4Gamer:
ルールが違うというと,常に対人戦プレイが可能なUrdrみたいなワールドに?
中村氏:
Urdrみたいにルールが違うというイメージは合っていますが,中身はまったく逆で,言うなれば「まったりワールド」です。
4Gamer:
まったり……。なんとなく,対人戦はなさそうかなとか想像できますが。具体的にどんなワールドになるのか教えてください。
中村氏:
まず,おっしゃるとおり攻城戦がなく,3次職も存在しないワールドになります。ROは10年間サービスを行っていますが,これから始めようというプレイヤーさんにとっては,長年積み重なってきたコンテンツの多さが逆にネックになっています。
さらにプレイスタイル自体も変わっていて,いまのプレイヤーさんの多くはここ数年のソーシャルゲーム作品の影響もあり,ゲームに対する遊び方のイメージが,短時間/短期間化していると感じています。
4Gamer:
そうしたプレイスタイルに合わせたものが,まったりワールドになるわけですね。
中村氏:
そうです。MMORPGって時間がかかるんでしょ? と,敬遠しているプレイヤーが多いと感じていました。そこで,短時間でもROの醍醐味や面白さが味わえるようにコンテンツを整理して,もう少しライトな遊び方ができるようなワールドを企画したんです。ちなみに我々の間では,社会人ワールドとも呼んでます(笑)。
4Gamer:
なるほど,忙しい社会人でも短時間で遊べるというイメージですね(笑)。
中村氏:
ええ。仕事から家に帰ってきて一時間ほど晩酌しながら,軽くROを遊ぶといった感じで,無理なくライフスタイルに組み込んでもらえればと。また,短い時間で充実した遊びができるように,概ね30分前後で達成できるこのワールド専用の「デイリークエスト」のようなものを企画しています。
4Gamer:
確かに1回のプレイの目安が提示されると,ここまで遊ぼうと止めどきを設定しやすいですね。一方で,遊んでいるうちに,もっと深く遊びたくなるプレイヤーも出てくるのではと思いますが。
中村氏:
例えば,3次職を作りたくなるようなプレイヤーさんもいると思います。これは,まだ詳細が決まっていませんが,WES(編注:ワールドエクスチェンジサービス。キャラクターのデータをほかのワールドに移動させるサービス)のような形で,より深くプレイしたいという方に道を作るなど,住み分けができるようにしたいですね
4Gamer:
WESを考えているということは,基本的なところは従来のワールドと同じ仕様なんですか?
中村氏:
はい。あまり差分がないようにしないと,本ワールドで遊びたいとなったときに混乱してしまいますから。ですので,有料アイテムの購入も可能です。また,どう短時間で遊ぶのかを考えると,装備品の有料レンタルのニーズもあるかもしれません。すべてのプレイヤーにご提供するのはちょっと……というアイテムでも,多くが初心者という制限があるこのワールドであれば,こちらとしてもチャレンジできると思いますので。
4Gamer:
確かに装備品を揃えるためには,時間がかかりますから。では,このワールドのオープンはいつごろを予定していますか。
中村氏:
日程は決まっていませんが,9月中旬ぐらいを目標に開発を進めています。
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