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[E3 2002#54]すでに大作の片鱗を感じさせるRTS 〜「Rise of Nations」
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印刷2002/05/25 20:53

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 [E3 2002#54]すでに大作の片鱗を感じさせるRTS 〜「Rise of Nations」 - 05/25 20:53


 「アルファ・ケンタウリ」のリードデザイナーとして敏腕を振るったブライアン・レイノルズ(Brian Reynolds)氏と,彼が率いるBig Huge Games社が開発を手掛ける「Rise of Nations」(以下,RoN)は,国家の建設をテーマに据えたリアルタイムストラテジーゲームである。

 画面を見てもらえれば分かると思うのだが,グラフィックスからインタフェースに至るまで,基本的な設計はAge of Empires(以下,AoE)のそれに近く,資源を集めて技術力や軍事力を充実させながら,自らの国家を発展させ,敵対する国家の打倒を目指していく。
 古代から中世,そして現代までの人類の壮大な歴史を題材に選んでいる点では,つい先頃日本語版が発売された「エンパイア・アース」などに近いコンセプトを感じるが,ゲームシステムはAoEのそれを完全に踏襲しているワケでもなく,基本的なゲームデザインはかなりスリムな,絞り込んだ内容になりつつも,"シミュレーションゲーム"としての体面を崩していない印象を受けた。

世界観に破綻のないゲーム設計が素晴らしい

 第一に,「街」を基本単位とした内政システムに注目したい。というのも,RoNでは最も重要な資源である「金」の獲得が,自分の所有する街の数に大きく依存しているのである。つまり,ほかの同ジャンルの作品のような"金鉱から金を掘る"というような直接的な採取方法ではなく,RoNでは街からの税収を基本として金が徴収されるらしいのだ。広大な領土を獲得して多くの街を支配下に置いていれば,それだけ金の収入が増えるというわけだ。
 そのほかの金を獲得する方法として,商品を街から街へ運んで商業活動を行う"キャラバン"などのユニットを生産して,そこから収益を得る方法がある。交易というと,AoEシリーズを始めとしたいくつかのRTSでは,実質的な機能を果たせていない作品が多かったものだが,RoNにおける交易は非常に簡単かつシステムの主軸を担う重要なポジションにあるのだ。交易の指定も非常に単純明快で,キャラバンを選択した状態で交易したい都市をクリックしていけば,あとは自動で交易を開始してくれる。対戦型RTSに近いゲームテンポを保ちながらも,この手のシミュレーション的な雰囲気を過不足なく盛り込めているところは,さすがにゲームデザイナーの力量を感じさせてくれる。

快適なゲームテンポを生み出す,スリム化された進化システムに注目

 多くの独創的なアイディアで満ちあふれるRoNだが,中でも最も注目したいのが,国家の進化に関するシステムだろう。RoNのゲームデザイン思想は,もしかするとすべてがここに集約されるかもしれない,と思ってしまったほど,筆者としては感心した部分だ。

 RoNには軍事,政治,生産,宗教(系統の正式な種類には正直自信がない。後日,改めて調べたいと思う)など,国家の主要な技術を表す四系統の技術アイコンが,1時代ごとに一つずつ設けられている。つまり,時代ごとに四つあり,この作品には計八つの"時代"が用意されているわけだから,計32種類の主要テクノロジーが用意されていることになる。そして,ここからが重要なのだが,RoNでは,この時代ごとに4系統ある主要テクノロジーの内二つを開発することで,"次の時代"へと進化していくことができる。自分の首都を選択したときに表示される"技術アイコン欄"にある,未開発技術を埋めていくだけで,自然に文明が発達していくといえばいいだろうか? つまり,RoNにおける進化とはAge of Empiresのような特別なアクションではなく,ゲームを進める上での"一連の流れの一つ"に過ぎないのである。
 また,当然ながら4系統ある内の二つの技術だけを特化させて時代を進めていくこともできるため,例えば,軍事と生産のみに特化した軍事大国や,政治と宗教に特化した非戦闘国家など,いろいろな戦略が考えられる点も面白い部分だろう。

 とにかくこのシステムは,古代から現代に至るまでのゲームの流れを,明確かつ一元的にユーザーに認識させ,なおかつテンポのよいゲーム展開を生み出す,優れたアイディアなのではないかと筆者は考える。昨今,アメリカなどのゲーム業界において,ゲームデザインをアカデミックな視点で考える動きが目立ちつつある中,RoNはその最先端を行く非常に錬り込まれた作品であると実感した次第だ。
 加えて,ユニットのパラメータの欄に,そのユニットの得手不得手が表示されるなど,細かい部分での配慮も欠かさないこのRise of Nationsは,間違いなく大きな反響を呼ぶ作品となるに違いない。まだまだ先ではあるのだが,発売予定日となる2003年の春が本当に待ち遠しい。(TAITAI)


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