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Evil Genius
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[E3 2003#127]デミス・ハサビスの新作シム「Evil Genius」正式発表
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印刷2003/05/21 22:52

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 [E3 2003#127]デミス・ハサビスの新作シム「Evil Genius」正式発表 - 05/21 22:52

 「Evil Genius」は,そのタイトルの通り,プレイヤーが悪の天才となって秘密基地を築き上げるという,非常に変わったゲームである。主人公は1億ドルを持って南洋の島に移住し,地球を征服するための最終兵器を作るのだ。

 開発を手掛けるのは,デミス・ハサビス(Demis Hassabis)氏が率いるElixir Studios社で,同社が開発中の「Republic:The Revolution」とは対極にあるといってほど軽いノリの,ジョーク満載の作品である。しかし,ハサビス氏を始めとするプログラマー陣は,ケンブリッジ大学で人工知能を研究にしていた同窓の仲間達で,本格的なゲームに仕立て上げてくるのは間違いない。例えるなら,秘密基地を作ってシークレットエージェントの到着を待つのが,過去の名作の一つである「ダンジョンキーパー」に非常に似ていると感じた。

 Evil Geniusの雰囲気は,スパイ映画が華やかな頃,つまり1960〜70年代風になっていて,ハサビス氏が選択したプレイヤーキャラクターも,映画「オースティン・パワーズ」に出てきたDr.イーブル似の小男。ゲームが完成する頃には,「シンプソンズ」のスコーピオや「007/ドクター・ノオ」のDr.Noのようなキャラクターでもプレイできるようになるらしい(もちろん,正式なライセンスは受けていないので,それらに"似ている"ものである)。
 ゲームはミッション制になっていて,アメリカ,ヨーロッパ,アフリカ,ロシア,そしてアジアの五つが用意されている。それぞれのミッションに,「エッフェル塔を記念品くらいの大きさに縮小させる装置の開発」「世界中の人々を悪者にしてしまう電波の開発」など,ちょっと笑ってしまうような最終兵器を開発するという目的が与えられる予定だ。

 南洋の島に秘密基地を作るといっても,真の悪玉は国連やメディアに悟られるようなことはしない。表向きは観光地としての体裁を整え,南国風の小屋をあしらえた宿泊施設や,ビーチ,ゴルフコースを設置して,観光客の誘致を図るのだ。ところが,誰も近寄りそうにない辺ぴな場所の小屋をクリックすると,建物自体が真っ二つに割れて,地下の秘密基地への入り口が開くのである。
 秘密基地の内部は,プレイヤーの好みによって好きなようにデザインできる。司令室から寝室はもちろん,キッチン,図書室,研究室,指令センター,シャワールーム,脱出用の潜水艦発着所などを通路でつなげて増設していく。
 もちろん研究者や警備員のような部下を雇うのも重要で,さらには外敵が侵入するのを防ぐトラップも重要な要素になっている。トラップは,地面から飛び出す鉄ノコギリの歯や,敵の動きに反応する赤いレーザー光線など。トラップは基地の外にも配置できるようになっていて,進路と想定される場所にココナッツ爆弾を用意できる。ココナッツ爆弾とは"やしの木"の形状をしたもので,敵が近くを通ると自動的に落下して炸裂するのである。

 秘密基地に進入を試みる外敵には,政府が送り込んでくるネイビーシールのような特殊部隊を始め,CIAのスパイのような強敵もいる。中には間違って迷い込んで来る観光客もいるが,トラップで葬り去っても捕らえても構わないようだ。
 ハイレベルな侵入者ほど,トラップの回避能力や殺傷能力に秀でている。とくにプレイヤーにとって恐ろしいのが,黒のスーツとボウタイに身を包んだ(ジェームス・ボンド風の)トップ・エージェント。プレイヤーの部下達を一発で撃ち殺すなど,秘密基地に大きな被害を与えるのは間違いない。
 このような外敵に対して,プレイヤーの右腕として活躍してくれるのが"henchmen"(ヘンチマン)である。これまた歴代のスパイ映画に影響を受けたようなキャラクターばかりで,ジェームス・ボンドシリーズでいうオドジョブやジョーズのような,悪玉お抱えの雇用兵達である。
 今回のデモで見たのは,ブードゥー系のウィッチドクターやサムライ,カンフーの名手,フランケンシュタインに似た怪物,そしてピンクのカーデガンを着たオバアチャンなど。このオバアチャンが,実はhenchmenの中でもかなり強力なキャラクターなのだという。henchmenはそれぞれ独特の戦闘スタイルを持っていて,ほかの警備員とは異なり,RTSのようにプレイヤーがコントロールして敵のいる場所へと送り込むことが可能だ。

 ただしどれだけ資金があっても,有能なhenchmenを獲得できない。彼らを雇うには,プレイヤーキャラクターがどれだけ悪人なのかを証明する必要があるのだ。
 例えば,多くの犠牲を払って捕虜にしたスパイをすぐに処刑しては面白くないし,そんな悪役は(少なくともスパイ映画の中では)存在するわけがない。真の悪玉というものは,妙な機械で彼らを拷問にかけ,牢屋の前で不敵な笑い声を響かせ,さらには基地内で最終兵器を開発しているという秘密まで漏らしてしまうものだ。
 場合によっては,映画のワンシーンのように,わざわざトップエージェントを自宅に招待して,豪華なディナーを前に自分がどんな偉大な人間であるかを力説する,という大胆な行動も取れる。こうすることで,ノトリティ(Notoriety)というメーターが上昇し,プレイヤーの悪ぶりが世間に知れ渡るようになる。これで,より有能なhenchmenが手助けしてくれるようになるのだ。
 拷問の方法にはさまざまな種類があり,施設内の小道具のほとんどを使用できるといって良さそうだ。ハサビス氏が見せてくれたデモでは,キッチンにある巨大なミキサーでかき混ぜたり,移動式の図書室の本棚で挟んだりと,残虐というよりは笑える機器が利用できるようになっていた。

 ゲームは,プレイヤーキャラクターが最終兵器を作り上げるか,敵の凶弾の前に倒れた時点で終了する。ただし,破れた場合でも「また会おう」などと減らず口を叩きながら脱出してゲームをやり直すというような,明るいゲームが展開されるのではないだろうか。
 さらには「美女のいないスパイ映画も考えられない」とハサビス氏が語るように,水着姿の美女を基地内のジャグジーにはべらしたりもできるようだ。彼は「ゲイシャガールも出したいね」と話していたので,アジアのミッションは日本が舞台になるのだろうか。
 ゲームエンジンにはRepublicと同じTotalityエンジンを使用しており,机の上の本に至るまで,細かいモデリングがなされているのはElixirらしい。シングルプレイヤー専用ゲームで,2004年の第3四半期にはVivendi Universal Games社から発売される予定。(奥谷海人)


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